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Last-modified: 2014-02-05 (水) 14:28:16

今からバレンタインネタ投下します。当日に間に合わなくてゴメンなさい
しかも甘くもなければ恋の話でもないという…

――2月14日午前0時

日付が変わって直ぐのこと。

セリカ「アールム!」
アルム「なに、セリカ?」
セリカ「うふふ――はい!」

楽しそうに笑うセリカは、後ろ手に隠していたソレをアルムに差し出した。
それはラッピングされた箱である。そう、バレンタインのチョコだ。

アルム「わぁ、今年もありがとうセリカ!」
セリカ「当たり前じゃない!」

開けていい?とセリカに許可を得てから、リボンを解き箱を開けるアルム。
中には大きなハート型のチョコと、その周りに小さな円形のチョコが数個入っていた。勿論手づくり。

セリカ「どうしても一番にあげたかったの」
アルム「うん、ありがとう」

アルムに一番にあげるため、早く寝るように催促されながらもここまで粘ったのだ。
そしてその想いをわかっていたアルムも、何かしらの理由を付けては起き続けていた。

セリカ(それにこの時間ならジャンヌに邪魔されることもないし…)

などといった考えは心にしまっておく。

アルム「せっかくのチョコだけど、学校から帰ってきてから食べるね」
セリカ「えぇ、さすがに今は遅いから。午後にじっくりと味わってね。私の愛情たっぷりだから!」
アルム「あはは、さすがセリカ」
セリカ「アルム…」
アルム「セリカ…」

そうやって二人の世界へと突入する。だが普段ならばここで聞こえてくる声がこの時は聞こえてこなかった。

セリカ「………」
アルム「…シグルド兄さん遅いね」

見つめあっていた二人だったが、何だか調子でも出ない、とでも言いたそうな表情となる。
そしてそんな二人に声をかけたのはシグルドではなかった。
ミカヤ「最近仕事が忙しいんですって。さすがに日付が変わっても帰ってこないのは久々だけど」

そう言いながら玄関の方を見つめている。
実はミカヤは日付が変わってからの二人のやりとりを、ずっと見守っていたのだ。

ミカヤ「それよりもあなたたち、明日…今日も学校でしょ?さすがにもう寝なさい」
アルム「ミカヤ姉さんは?」
ミカヤ「シグルドを待ってるわ」

寝坊も恐くないのは占い師という職業柄か。

アルム「なら兄さんは姉さんに任せて僕たちは寝ようか」
セリカ「…そうね。ミカヤ姉さん、この時間まで起きてるのを許してくれてありがと」
ミカヤ「一番に渡せて良かったわね、セリカ。おやすみ」

二人はおやすみと同時に挨拶してから、それぞれの部屋へと向かって行った。

次の日、セリカは学校で男女それぞれの友人に、義理チョコやら友チョコやらを渡し、そして受け取った。
本来学校には持ち込み禁止のチョコだが、皆こそこそと持ってきていたのだ。
きっとアルムももらっていることだろう。
表向きは友チョコやら義理チョコなどと銘打っていても、中には本命チョコもあるかもしれない。
それにジャンヌの存在もある。
去年までならばそのようなことにやきもきしていたセリカだったが、今年は違った。
一番に渡したことによってその気持ちは落ち着いていたのだ。
私こそが一番なのだ、と。

むしろ今の心配は別のこと。

セリカ(シグルド兄さん大丈夫なのかしら)

結局シグルドはセリカ達が寝てからしばらく後に帰ってきたらしい、と学校に行く直前に起きてきたミカヤが話してくれた。

エリンシア「そんなに遅かったのですか!? 仕事が忙しい、ともうとっくに会社に行ってしまいましたわ」

とその時エリンシアは驚いていたものだ。

セリカ(寝不足なんかでむしろ仕事に響かないのかしら)

セリカは家へと帰ろうと校門に向かいながら思う。
アルムはまだ学校。委員としての仕事が残っているのだ。
一緒に帰るために待っていようと思ったセリカだったが、アルム本人に先に帰ってていいよと言われたので諦めた。
セリカ(一緒に帰って私のチョコを食べさせようと思ったのになぁ)

少しむくれる。だが変に粘って彼に嫌われては意味がないのである。そんなことはなさそうだが。

セリカ(今回は今までで一番の出来なのよね)

そう冷蔵庫の中のチョコ(「アルム用 食べるな」と貼ってある)に思いを馳せていたその時、ふと校門の影に目がいった。そこには…

セリカ「貴女…!」
ジャンヌ「!」

校門から中を窺っていたジャンヌがいたのだ。向こうもセリカに気付く。
おそらくセリカの隙をついてチョコを渡すつもりだったのだろう。実際、多くの生徒は彼女に気付くことなく通り過ぎていた。
しかし残念ながら彼女に最初に気付いたのはセリカであった。
そしてセリカから離れようとしたジャンヌを呼び止めたのも、そんなセリカだった。
そしてセリカが告げたのは…

ジャンヌ「渡しても、良い…?」
セリカ「えぇ、そうよ。何か文句でもあるの?」

なんとセリカが告げたのはアルムにチョコを渡しても良い、とのことだった。
しかしジャンヌが怪しむのもおかしくはない。今までセリカは頑なに彼女がアルムに近づくのを拒否していたからだ。

ジャンヌ「どういうつもりですか?」
セリカ「別にどうもこうもないわ。どうせ今ここで阻止したって貴女、どんな手を使ってでも渡すつもりでしょ」
ジャンヌ「それは勿論」

そうやって今までセリカを出し抜いてきたのだから。

セリカ「なら今私が見ているところで渡してちょうだい。その代わりその他は一切禁止よ」
ジャンヌ「何を企んでるんですか?」
セリカ「疑うの?」

校門で繰り広げられる女のバトル(?)に学生たちは興味津々。だが直接観戦するには少々近寄りがたく、遠巻きになってはいたが。

セリカ「ならこの話はなかったことにするだけよ。どうなの?」
ジャンヌ「…真意は?」
セリカ「アルムは今、委員の仕事を教室に残ってしているわ。その邪魔はしてほしくないのよね」

それも理由だった。熱心に仕事に打ち込むアルムは素敵で、邪魔をしたくはなかったから、セリカも大人しく一人で帰ることに決めたのだから。
でも本当の思いは別にもあった。
一番。つまり一番に渡したことが大きい。アルムにとっての一番、それは私。これがセリカにとって重要だった。
セリカ(最初に食べてもらうチョコも私の!って念を押さなくちゃ)

そんな一種のセリカの独占欲を知ってか知らずか、ジャンヌはしばし考えた後返事を返した。

ジャンヌ「…わかりました。今回は貴女の考えに従います。今度休みにでも会いに行きますから」
セリカ「ならアルムに――って今なんて言った!?」
ジャンヌ「何も?」

睨み合う二人。はぁ…と観念したように息を吐いたのはセリカ。

セリカ「ならさっさと教室に行くわよ。貴女他校生なんだから怪しまれる前に」

既に怪しまれてます、とは周りの談。

セリカ「ほら」
ジャンヌ「………」

しかしジャンヌは動かない。なぜなら校舎の方を向いている後ろ姿のセリカが、手は後ろのジャンヌに差し出しているからだ。
その手には紙袋が握られている。

ジャンヌ「それは?」
セリカ「今日は何の日よ」

何故かむすっとしたセリカの顔。と言ってもジャンヌには見えないのだが。
ふふ…とジャンヌは笑う。

ジャンヌ「まったく…同じこと考えてるのって嫌ですね」
セリカ「何のはな……」

セリカが振り返ると同じく手を差し出しているジャンヌ。その手には同じように紙袋。

セリカ「………」
ジャンヌ「………」

二人は互いの紙袋を無言で交換した後歩き出した。

セリカ「それ貴女のお兄さんにも渡しておいてちょうだい。私知り合いには必ず渡すようにしてるから」
ジャンヌ「まぁ、渡すのはいいですけど」

そして教室に残っているアルムに会いに行った。
アルムはアルムで二人が一緒なことなどに驚いていたが、素直に受け取った。
後にそれが学校中で噂されることを彼はまだ知らない。
セリカ(まったく私ってなんて優しいのかしら)

そして学校から家へと帰りついたセリカは思い出しながら自画自賛。
その後学校から帰ってきた順に兄や弟へとチョコを渡した。
姉たちとはチョコを作りあっていた時に既に味見しあっているので、交換は無しと話し合い済(勿論セリスもこっち)。
夕方帰ってきたアルムに自分のチョコを食べさせ(一番であることを強調した)、夕飯前に仕事から帰ってきたアイクにチョコを渡したところで、セリカのチョコは残り一つとなった。
――シグルドの分だ。
夕飯の席にその兄はいない。今日も遅くなると、既に連絡があったとエリンシアが教えてくれた。

セリカ「………」

セリカは夕飯を食べながらその席をただ見つめていた。

夜。それぞれが寝るために部屋へと向かっていく中、セリカは一人リビングのテーブルにいた。
テーブルに置かれた一つの箱を見つめている。

アルム「セリカ寝ないの?」

そんなセリカを見兼ねたアルムが声をかけた。風呂上がりのパジャマ姿。

セリカ「うん…寝なくちゃなんだけど」

セリカは小さくアルムに笑うが、直ぐに箱に目を落とした。
セリカを見つめるアルム。暫く無言が続いたが、アルムがふっと笑った。

アルム「………セリカは優しいね」
セリカ「え?」

その言葉の真意をはかりかねる、とセリカはアルムを見た。その顔は優しく微笑んでいて。

アルム「僕も付き合おうかな」

そう言いながらセリカの隣の椅子を引いた。

アルム「一人より二人のが寂しくないしね」

そして座る。

セリカ「………」
アルム「さぁ、何を話そうか」

笑いながらセリカに向き合うアルム。

セリカ「………ねぇ」
アルム「ん?」

そんな彼にセリカは思うのだ。

セリカ「………アルムは優しいね」
アルム「そうかな?」

だから好きなのだと。

そうして二人でたわいない話をしながら待った。途中エリンシアが寒いからと毛布を持ってきてくれた。
一人、一人と床に就いていき、遂には起きているのは二人とミカヤだけとなった。
けれどそれまでの時間は二人には実際より短く感じられた。
そしてようやくその時がきた。ただいまと寝ている家族に配慮した小さな声。待ち人来たり。
アルム「ほら、セリカ」
セリカ「うん」

二人で包まっていた毛布を取り椅子から立ち上がる。が…

アルム「どうしたの?」
セリカ「アルムは行かないの?」

アルムは椅子に座ったまま。

アルム「僕はここで待ってるから行っといでよ。セリカが待ってたんだからさ」
そう言ってテーブルの上の箱をセリカに渡した。

アルム「忘れたらダメだよ」
セリカ「アルム…!」
アルム「食べた時も言ったけど、凄くおいしかったよ」

セリカはアルムを抱きしめるかわりに受け取った箱を抱きしめる。そして玄関へと走り出した。

アルム「まぁ、僕以外に本命に近いチョコを渡してるのは見たくないしね。兄さんにやきもちとか恥ずかしいけど」

そうセリカが去ってから呟いた。

玄関にはシグルドを出迎えているミカヤがいた。ミカヤは走って来たセリカを見た瞬間小さく笑った。

ミカヤ「良かったわね、シグルド」

と少し微笑みながら、わけのわかっていないシグルドの荷物を持ってその場を去っていく。

ミカヤ「良かったわね、セリカ」

セリカとすれ違う際に彼女にも同じことを言って。

シグルド「セリカ!?どうしたんだ、こんな時間まで起きて…」
セリカ「ちょっとその言い方ひどいわ」
シグルド「あ、いや、スマン。…ん?」

わけもわからず素直に謝る兄に、くすくすとセリカは笑わずにはいられない。本当にお人よしだ。

セリカ「シグルド兄さんが帰ってくるのを待ってたんじゃない」
シグルド「そうか。それはすまなかった。だが何故私を?」

しかも鈍いときた。
セリカはまったく、と溜息をついてから手に持っていた箱を差し出した。
セリカ「はい」
シグルド「これは?」
セリカ「そこまで言わせるの?今日は何日?」

そう言われて玄関にあったカレンダーを見る。あぁ、今日は…

シグルド「14日」
セリカ「そう、つまり…」
シグルド「だったみたいだな」
セリカ「え?」

セリカはシグルドの目線の先――時計を見る。その針は12を過ぎていた。

セリカ「ちょっと!シグルド兄さんが遅いせいで過ぎちゃったじゃないっ!」
シグルド「いやいや、今日は昨日よりは早いぞ!」
セリカ「そんな問題じゃないでしょっ!」

大声で叫び合う。寝ている家族のことなどすっかり忘れている。

セリカ「んもう!せっかく作ったのに!どうせシグルド兄さんは誰からももらえないから、っていう私からの優しさなのに!」
シグルド「いやいやいや!会社の女性陣から貰ったから!それにディアドラが本命をくれたぞ!」
セリカ「それ本当に本命なの!?」
シグルド「う…!いや、うん多分…?」

段々意気消沈していくシグルド。
実はアルヴィスと同時に同じ大きさの箱を渡されたのだ。その時ライバル二人は互いの顔を見つめあったものだ。真意が読めない、と。
セリカはそんな兄を見て笑わずにはいられなくなった。

シグルド「お、おい、笑うなセリカ!」
セリカ「だって馬鹿みたいなんだもの」
シグルド「馬鹿って…まったく、お前は私を兄として尊敬してないのか?」
セリカ「ほら」

そして心配していた自分にも。

セリカ「チョコ。シグルド兄さんが最後よ」
シグルド「そうか」

素直にチョコを受け取ったシグルド。

シグルド「早速開けてもいいか?」
セリカ「別にいいけど」
シグルド「実はお腹空いててな」
セリカ「チョコくらいじゃ意味ないわよ」

いやちょうどいい、そう言いながら箱を開ける。
中にはアルムのよりは小さいハートのチョコが数個。因みにアルムを除いた他の兄弟もなのであしからず。
そしてそのうちの一つを手に取り口に入れた。
自信があるとはいえドキドキするセリカ。
シグルド「うむ、うまい。去年よりうまくなってるな」
セリカ「去年のなんて覚えてないでしよ」
シグルド「いや覚えてるよ。お前が初めてくれた時のことも」
セリカ「え!?」
シグルド「あれは確かまだお前が…」
セリカ「やめてっ!思い出さなくていいから!」

そのまま過去の思い出を語り出すシグルド。その様はまるで父親のようで…
一方のセリカの方は必死でそれを止めようとしていた。

セリカ(何で覚えてるのよ~!?)

セリカも覚えていたからだ。
あの頃はまだ今とは違いシグルドに素直だった頃で、それはそれは姉たちと作ったチョコを喜んで渡しに行った。
が、正直微妙な味だったそれを他の兄弟たちは微妙な顔で食していた。さすがのアルムも無言だった。
ただ一人シグルドだけ笑顔で「おいしいよ」と言ったのだ。

セリカ「もうまったく!…ここは寒いし早くリビングに行きましょ」
シグルド「それもそうだな」

何とか話を切ったセリカが言い、シグルドも従う。

シグルド「ところでこれは本命なのか?」
セリカ「アルムが本命に決まってるじゃない」
シグルド「いやKINSHINはだな…」
セリカ「またその話ー?第一シグルド兄さんに本命あげてもKINSHINじゃない」
シグルド「あれ?」

そしてアルムとミカヤが待っているだろうリビングへと向かった。

――2月15日午前0時過ぎ

セリカのチョコは配り終わり。

-終わり-

書いてる本人もよくわからない話になってしまいました
何だかセリカのネタばかり書いてる→このスレのセリカが好きなんだ!という結論に今回至った
自分が書くときつい娘になってしまうのが申し訳ないけれど
そしてシルドと絡ませるのが好きっぽい。すまん、アルム!
×シルド ○シグルド

最後に誤字、本当に申し訳ないです
実は締切な物があったから徹夜明けなんだ。おかげでこの話も当日に間に合わなかったし
次からはもっと見直してから投下します