フィル「たのもー!ラケシス殿はおられるかー!」
というわけで拙者ノディオン家のAKJ本部をお尋ね申した。
何が、というわけ…なのかは41-180を参照してほしいでござる。
イーヴ「こんにちは。エレブ中から連絡のあった就職体験の方ですね…なんでよりにもよってウチに…」
フィル「…なにか申されたでござるか?」
イーヴ「…それはよろしいとしてどうぞこちらに」
…なんか流されたでござる。
拙者はイーヴ殿の案内で会長室に通されたでござる。会長は有名なラケシス殿でござる。
FE妹=ブラコンのイメージを一代で築き上げた偉大な人物と聞き及んでいるでござる。
会長室にはラケシス会長の兄上エルトシャン殿の肖像画が掲げられていたでござる。
ものすごい兄愛でござるな。
ともあれ体験と言えどこれよりこの方はご主君。ただの一日と言えど忠節を尽くすでござる。
フィル「拙者フィルと申す者。本日ただの一日と言えど滅私奉公仕る!何卒よしなに!」
きちんと正座してお辞儀でござる。
…どうして板張りなのでござろうか…床が冷たいでござる。
もっと畳の部屋を増やすべきでござる。
ラケシス「そう…それで貴女兄上はいらっしゃるかしら?」
フィル「いえ、あいにくと」
ラケシス「なんでいないのよっ!?」
フィル「申し訳ござらぬっ!」
プリシラ「いないならご両親に頼んで作ってもらってください!」
フィル「はぁ…さようでござるか…」
何故か叱られ申した。わけがわからんでござる。
弟妹ならともかく兄上はもはや今更どうしようも…って拙者は何を考えているのでござろうか。けふけふ。
ラケシス「まぁ今回は体験という事だから兄上がいない点は不問に付すわ。けれど正式に入会するなら兄がいないとダメよ」
クラリーネ「それではさっそくAKJのお仕事を手伝っていただきましょう」
ティニー「AKJのお仕事。それは兄妹愛の成就を助ける事や新規会員の募集になりますね」
フィル「心得申した!忠節一筋しかとご主君のお役に立ってお見せ申すでござる殿!」
ラケシス「誰が殿よ!?変な呼び方しないでよね!」
…というわけで拙者意気揚々と新規会員の募集に乗り出したでござるよ。
やはり手っ取り早いのは知り合いに声をかける事でござる。
封印繋がりの同胞達にお頼み申す。
フィル「たのもーシャニーどのーはおられるかー?」
シャニー「はーい。あれ、どったのフィル?私は剣士じゃないよ?」
フィル「果し合いの申し込みではござらん。拙者シャニー殿を生涯の友と見込みお頼みしたいことがあって参った次第」
シャニー「なんかそのなりきりも板についてきた感じ?それでなにかなー?」
フィル「何も言わずにAKJに入っていただきたい!!!」
シャニー「えうあ!?」
フィル「聞けばAKJ会員は義兄妹もありとの事。シャニー殿にも義兄上がおられるゆえ入会資格は満たしてござる!」
シャニー「い、いやーそらそーだけどゼロット義兄さん妻帯者だし」
フィル「そこを曲げて何卒!何卒!」
シャニー「私が義兄さん狙ったらあらゆる意味でシャレにならないでしょー姉さんの旦那寝取るとかどこの昼ドラよ!?」
フィル「これほど頼んでもだめでござるか?」
シャニー「当たり前!」
フィル「無念…我が殿ラケシス様…貴女様より大命を賜りながら拙者ご期待に沿えず…もはや貴女様に生きて合わす顔なしっ!!!」
シャニー「切腹癖はやめいっ!?お腹かっさばいたらバルキリー高いんだよー!またカアラさんにしばかれても知らないよー!」
フィル「離せー武士の情けでござるー!」
…結局駄目だったでござる。無念でござる。
プリシラ「ええいっふがいない!それでもAKJ会員ですか!」
フィル「これはプリシラ殿。なれどなんと申して説得したものか…」
プリシラ「FE界の兄妹にはDNAレベルで愛が刻まれているのです。これは全兄妹共通です。私の勧誘をサポートして学びなさい」
フィル「御意!拙者全力を持って兄妹を成就させてご覧に入れ申す!してどちらに行くのでござるか?」
プリシラ「この家よ!」
フィル「心得た!かんね……フィル一番乗り!」
プリシラ「…貴女最近三国志読んだでしょ」
フィル「たのもー…む…この家は…」
玄関のドアがあいたでござる。
そうして顔を見せられたのは…
カアラ「ああ、どちらさま…む、フィルか。今帰りか?」
フィル「拙者の家ではござらんかプリシラ殿!?」
プリシラ「そのとおーりっカアラさんっ兄カレルさんとの愛を成就せんがため是非AKJにご加入くださいっ!」
カアラ「ま た お 前 か」
プリシラ「今日こそよいお返事をいただくまでここから動きません!」
カアラ「ああもう…で、フィルよ。お前なにやっているんだ」
フィル「拙者ただいまAKJにお仕えの身の上!たとえ相手が母上だろうと私情は交えませぬぞ!何卒AKJに入っていただきたい!」
カアラ「バカモン!私にはバアトルがいるわ!アホな事に付き合ってないでさっさとこっちこい!」
フィル「否!今の拙者はラケシス殿の一臣なれば例え死すともAKJにお尽くし申す!」
プリシラ「よく言いましたフィルさん!娘さんの決死の説得を聞いて心が動きましたでしょう!?
原作で行方不明の兄上を追って旅をした兄への情熱が貴女の中にもあるはずです!」
カアラ「あのなあ…いいからお前もとっとと目を覚ませ。お前の兄上だって目の色変えてまで慕えるのは若いころだけだぞ。
年も取るし中年過ぎればハゲるかも知れんぞ(主にストレスで)いつまでも夢見ていないでだな…」
プリシラ「どうあっても駄目というなら…フィルさん!」
フィル「おうっ!母上一手勝負を所望する!拙者が勝ったら…」
カアラ「よかろう。AKJでもなんでも入ってやる。だが私が勝ったら半年間小遣い無しな」
な…なんと…なんという恐ろしい条件を!?
せせせせ拙者…い、いや、これもご主君の御ため!それに勝てばよいのでござる!」
フィル「心得た!いざ尋常に勝負!」
カアラ「よかろう。軽くもんでやろう」
…………………拙者の小遣い……ああ…諸行無常………
がっくり肩を落とす拙者の横ではプリシラ殿がキレておられる。
曰く兄を愛さないなんて間違ってるだのなんだの…なんにしても拙者と母上の立会いは拙者の完敗でござった。
我が母強しでござる。無念でござる。
AKJはいつもかくも過酷な運動に身を投じているのでござるか。兄上のおらぬ拙者ではござるが苦労は伝わってきたでござる。
プリシラ「ええいまだまだよ!AKJは滅さず!次の仕事よ!宿敵Sをヌッコロしにいきますよ!」
フィル「おう戦でござるか!腕が鳴り申す。今度こそ一番手柄を立ててご覧にいれるでござる!」
………拙者の仕官体験は散々な結果になったとここに記すでござる。
思い出すのも恐ろしい鬼と戦ってきたでござる。えらい目にあったでござる…
仕官して働くということは容易なことではないでござるな。
毎日家族のために働いておられる父上を拙者あらためて尊敬申し上げるでござる。
終わり