まずは始めまして…とでも言えばいいんだろうか?
俺の名はクロム、紋章町で評判の兄弟家の一人だ。
長らく留守にしてたが久々に紋章町に帰ってきた。
なぜ留守にしていたのかって? バイトだよ。ちょいとマグロ漁船に乗って海の果てに行っていた。
俺は高校出てからいろんなバイトをこなしてる。まだやりたい事も決まらんしな。フリーターで色んな事をやりながら決めていきたいところだ。
ちなみに今までやったバイトはまず…そうだな。
闘技場の敵役だ。強い挑戦者と何度も戦えたからこれはいい修行になったな。なんかアイク兄貴みたいな物言いだが。
夏には海水浴場の監視員もやった事あるぞ。
……いわゆるライフセーバーってやつだ。
…ご、誤解の無いように言っておくが女の子の水着目当てじゃないぞ!
お、おお、俺はあくまでもただ純粋なバイトとしてだな…
なんてモノローグで取り繕うのも変な話か…ああ、そうだとも!
俺はアイク兄貴を見習って外面はストイック気味に通しているが……正直に言う。
もろに水着目当てだ。キリッとした顔で海岸を監視しつつ内心鼻の下伸ばしてた。文句あるか。
リーフじゃないが俺とて健全な青年だ。女の子に興味もあるしエロ本くらい読む。
兄貴ほど浮世離れした修行者みたいにはさすがになりきれん…剣士としては尊敬するがな。
…まぁ俺については大まかにだがこれでわかってもらえたと思う。
そんな俺は今は港にいた。先ほどバイト代を受け取り仕事を満期で終えたところだ。
クロム「結構稼げたな…何日か休んだらまた次のバイトを探すとするか」
さて、家に帰ろうとするのもつかの間。俺は港の波頭に見知った顔を見かけた。
クロム「なんだ。来てくれたのか。よく今日が帰港の日だってわかったな?」
ミカヤ「私の占いに出たのよ。貴方の船が今日帰ってくるってね。おかえりクロム」
クロム「ああ、ただいま」
このネタを見てる皆には言うまでもないかも知れないがこの小さいのが俺の姉上だ。
子供の頃は随分可愛がってもらったしそれは今もそうだな。
どちらかというと姉萌えな俺だがミカヤ姉上は俺にとっては姉というより母みたいな人だ。
シグルド「HAHAHAHAHA!兄さんもちょっと仕事を抜けてきちゃったぞ!」
クロム「また上役から叱られても知らんぞ…」
…シグルド兄上よ…その気持ちは嬉しい…嬉しいのだが…
シグルド兄上はもうちょっと仕事に打ち込んだほうがいいと思うぞ俺は…
まだ定職を決められん俺が言うのもなんだが……せっかくいい会社に入れたんだからリストラなんかされたら目も当てられん。
エリンシア「厳しい仕事でどれくらいKINNIKUがついたか後で見せてくださいね?ハァハァ…」
クロム「…姉上も変わらないな……アイク兄貴には及ばないが見るくらいなら別にいいぞ」
……そ、それにだ…貧弱な坊やより逞しい方が女の子にモテるからな…
姉上の眼にかなうKINNIKUならそれはつまり彼女ができる希望もできる。
ふ、不順な動機って言うなっ!いいだろ別に!
アイク「稽古は欠かしていなかっただろうな?あとで稽古つけてやろう」
クロム「船の上はいい修行ができたぞ。三半規管を鍛えるのにはちょうどよかった」
…アイク兄上らしい出迎えの言葉だな。いつかは一本取りたいもんだ。
フラグ建てる能力も見習いたいが折るほうはごめんこうむる……
俺が兄上の立場だったらとっくに候補の誰かと付き合っているのに…まったくもったいない。
エリウッド「今回は長期のバイトだったね兄さん。次はもう決めてるの?」
クロム「んー…一年以上海外だったからな。少し休んでから考えるよ」
エリウッドには家計やら何やらで苦労かけてるからな。
俺のバイト代は俺が使う分をいくらか引いたらエリウッドに渡しておこう。
次のバイトは何がいいかな…マグロ漁船は男ばっかでむさ苦しかったからな…できれば華やかなところが…けふんけふん。
ヘクトル「兄貴…なんか鼻の下伸びてねぇか?」
クロム「なななな、なんの事だ。おおおお俺はアイク兄貴のようにどっしり落ち着いている!」
くっ…顔に出てたか……ヘクトルの奴、意外と目端が利くからな。油断ならん……
そういうこいつはまた体重が増えたように見えるな。少し稽古つけてやんないとな。
エリウッド、ヘクトル、エフラムあたりとやると大体俺が勝つが何本かは取られるし俺にもよい稽古になる。
エフラム「兄上…相変わらずムッツリなのか……それはどうかと思うぞ」
クロム「いや、お前にだけは言われたくない」
こいつまだロリコン治ってないんだろうな。グレゴとノノじゃあるまいし。ルックスはいいんだからその性癖直せばモテるだろうに…もったいないやつだ。
兄としてこいつの性癖は矯正してやらんといかんかな。ヴェイクあたりとホステスのおねえさんたち目当てで飲みにいく時に連れてってやるか。
…ただ、こいつを連れて行くとこいつばっかモテそうで俺やヴェイクが引き立て役になりそうなんだよなぁ…はぁ…
エイリーク「ふふふ、お元気そうでなによりです。後でいっぱい海外のお話を聞かせてくださいね?」
クロム「ああ、なんでも聞くといい。海外の寄港先でいろいろ土産も買ってきたからな」
……一年ぶりくらいに会ったが……エイリーク……まったく育ってないな…
俺はどっちかっていうと大きい方が…こ、こほん。俺の好みはどうでもいいがここまで平たいと流石に心配になってくる。
もうカンストしてしまってるのだろうか…チェンジプルフ使えばまたレベル上げできるんじゃないか?
リン「兄さん…エイリーク姉さんのどこを見てるのよっ!男っていやらしいんだから!」
クロム「ち、ちちち違う勘違いするな!お、おお、俺はアイク兄貴みたいにそんなことには興味が無い!」
…相変わらずこういう事には厳しいなリンの奴……男兄弟も多い中で育ったんだからちょっとくらいわかってくれても…こ、こほん。
とにかくストイックで鈍感というフリをするのは結構疲れるが他の皆を見るとそれでモテてる奴が多いからな。
俺も俺でいろいろ苦労もしてるということはわかってくれ。
マルス「ところで兄さん。娘さんが会いたがってましたよ?」
クロム「…ルキナか…そうか…」
…弟に似た娘がいるってのも変な気分というか…彼女すらいない童貞なのに父親と言われても妙な気分だが…
早いとこルキナの母を確定してやらないとな。
……とはいえそんな簡単に彼女ができるなら誰も苦労はしないのさ…ふぅ…
アルム「兄さんっ僕の事覚えてるよね!?」
クロム「…誰だお前?…い、いや冗談だって。そんな顔するな」
……声をかけられるまで気がつかなかったぞ……カラムよ。お前なら俺の弟と気持ちが通じ合えるだろう。
今度紹介してやろうかな。友達多いことはいい事だ。
…この時俺はこいつが同じく影が薄い女の子とフラグを建てた事を知らなかった。くそ、内心で妬んでやる!
セリカ「無事に帰国できたのも私が毎日ミラ様に航海の無事をお祈りしたからよ。さあ入信…」
クロム「勘弁してくれ……ギムレー教団と喧嘩したばっかなんだ。当分宗教とは関わりたくない」
こいつも変わらんな…なんか生暖かい眼で見てやりたくなる……
末妹だからか少し我侭な奴だが明るくて元気がいいのはいいとこだ。
入信はせんが手伝える事は手伝ってやるか。
セリス「今夜はご馳走だね!エリンシア姉さんと一緒に頑張って作っちゃうよ♪」
クロム「…ああ、お前がこの一年でどれだけ腕をあげたか楽しみにしてるぞ」
我が弟ながら和ませてくれるやつだ。まったく可愛い。こいつが女だったら俺はシスコンになってたかも知れん。
エプロン姿を見るのも一年ぶりか……役得役得。これくらいの幸せが俺にあったっていいだろうな。
…先に言っておくが弟だってことくらいわかってるぞ?だが可愛いもんは可愛いんだから仕方ない。
リーフ「兄さん兄さん、約束の洋モノエロ……むごむぎゅ!?」
クロム「んーなにかいったかリーフ?兄ちゃん聞こえなかったな?あぁん?」
…こ、このバカ!大バカ!こんなとこで堂々と言おうとする奴があるか!
危ない危ない…俺がムッツリであることがばれるところだ…ったく…お前に頼まれてた洋モノ無修正DVDはちゃんと仕入れてきたから後で一緒にこっそり見ような?
…ま、これも男兄弟のレクリエーションってものだ。決して決して俺自身が見たくて見るわけではない…むふふ…こ、こほんこほん!葉っぱにつきあってやるだけだ。うむ。
ロイ「……聞かなかった事にしておくよ……」
クロム「お前はできた弟だな…鑑賞会に呼んでやってもいいぞ?」
ちっ…勘のいいやつ…だが俺の一言でDVDの中身を想像したのだろう。真っ赤になっている。
まだまだ初心だな弟よ。兄貴は先に大人の階段を上っているのだ。俺の域に達したければもっと経験をつむがいい…
その気になればさっさと経験積めるのにこいつももったいない奴だまったく…羨ましい。
そんなこんなで俺はみんなと共に懐かしの我が家へ帰ってきた。
それからは大騒ぎさ。食って飲んで歌って踊って…賑やかなのはいいもんだ。
宴会も終わって俺が部屋に戻ったときはもう日付が変わってたな…
俺の部屋はそのままだ…やっぱ家は落ち着く……
…が、そのままでないところもあった。物置に入れておいたエロ本が根こそぎ無くなっている。
リーフの奴が持ち出してるな。後で返させよう。
そんな事を考えていると俺の携帯が鳴り出した。誰だ?
ヴェイク「おーやっと着信が入るところに帰ってきたかっ」
クロム「…なんだ野郎か……」
…がっかりさせやがってこの野郎…
ヴェイク「なんだたぁご挨拶だなオイ…」
クロム「うるさい。帰国して最初の着信だぞ。期待したってしょうがないだろ。それとも嫌味か?お前と違ってモテない俺への…」
ヴェイク「あのなぁ……」
クロム「ほっとけ!お前に俺の気持ちがわかるか!?お前等みんな親世代の女性陣全員とカプ可能なのになんで俺だけ少ないんだ!
女性陣に避けられてる証拠だろうが!サーリャとかベルベットとか俺の好みストライクのナイスバディ美女から見事避けられてカプ不能の俺を笑えっ笑うがいいっ!
主人公一の喪男のこの俺を…」
ヴェイク「ま、まてまてこのバカ!ルフレとかスミア辺りとはフラグ濃いだろお前!」
クロム「どうせフレデリクあたりにとられるに違いない…お前だって初登場から忘れ物の斧を届けてもらうとかミリエルとフラグ建てまくりだろが!
呪うぞ!……すまん……ちょっと鬱憤がたまってたようだ……」
ヴェイク「へへっ俺様とミリエルの仲が羨ましいかー?…なんてな…ったく…いきなり喧嘩もいいけどよぉ…それでおめえ次のバイトは決まってんの?」
クロム「いや、まだだが?」
ヴェイク「なら俺様と自警……」
クロム「断る。こっちは男所帯でさんざんムサい思いをしてたんだ。何が悲しくて海の向こうから帰ってきてお前の暑苦しいKINNIKUを拝まなきゃならんのだ」
その後もヴェイクはいろいろ言っていたが俺はさっさと携帯を切った。
まったく暑苦しい野郎だ。奴と喧嘩をするのは嫌いじゃないがな。
さて…そんなこんなで数日のんびりして航海の疲れを癒した俺は次の仕事を探し始めた。
ぶっちゃけるとこのネタは俺が色んなとこにバイトに行くという連載モノの予定だ。
俺が動かないと話が進まんからな。
アイク「おうクロム。バイト探しを始めたそうだな?」
クロム「ああ、次の稼ぎのツテをつかまないとな」
アイク「それならうちにこい。今度でかい工事を請け負ってな。短期の作業員を集めているんだ」
クロム「兄上のとこって工務店だろ?やめておく」
ガテン系とかむさ苦しさの代表だろうが…狭いマグロ漁船でむっさい海の男どもと顔つき合わせていた俺は少し男の職場に嫌気がさしていた。
その時である……工務店の作業着を着た女の子たちがこちらに来たのは。
え?…ちょ、ちょっとまて…工務店って…普通男ばっかだろ?
なにこれ、兄上のフラグ能力に引かれて集まったのか?
ワユ「あ、たいしょー!」
ミスト「お兄ちゃんっ…あれ、その人だれ?」
イレース「ちょっとアイクさんに似てます…」
アイク「ああ、こいつは俺の弟で…」
クロム「クロムだ。よろしくたのむ。それと兄上、さっきのバイトの話だが受けさせてもらう」
アイク「やめておくんじゃなかったのか?」
クロム「気が変わった。そっちの三人もよろしくな」
ミスト「うんっよろしくねっ!」
正直に白状する……兄上がフラグを折るなら折られた女の子を慰めてフラグが…みたいに俺にもチャンスがあるかな…とか思ってしまった。
我ながら馬鹿だと思うが男なんてそんなもんだ…笑ってくれ。目先の女の子に惑ってバイトを決めてしまったこの俺を。
次回
戦えバイト野郎! 第2話 戦えフラグ野郎!
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張り切ってみたらさっそく被ってスマソ