「おはようございます、お父様」
「おはよう、今日はひとりか?他の兄弟たちは?」
「え?私はもともと一人っ子ですけど……まさかお父様、お母様以外の女性と関係を!?」
「違う、誤解だ!いや、確かに全員母親は違ったが」
「複数ですか!?まさかとは思いますがヤリ捨てなど」
「してないっての!」
俺がそんな大胆なことできるわけないだろう!
というか俺は一途だ!誠実だ!好きな女は大事にする男だ!
しかし前にはルキナ、後ろには壁か…。
「かくなるうえは…!」
「え? きゃっ!」
強 硬 突 破!!
「ふう…、なんだっていうんだ」
「あ、クロムさん」
「お前はデジェル……だよな?髪の色が違うが…」
「私は髪を染めたことはないですけど…勘違いじゃないですか?」
「何?しかしその髪の色は」
「デジェル、何してるんだい?…ってクロムじゃないか!久しぶりだね」
「あ、父さん。母さんは?」
「ソワレなら多分先に行ってるよ」
「父さん?ソールがか?」
おいおい俺の娘じゃなかったのかデジェルは。
だが確かにソールと同じ髪の色だ。親子と言われればそう見える。
「告白したばかりなのにこんな大きな娘ができるなんて不思議な気分だよ」
「告白!?」
「この世にたった一つの指輪、なんて臭かったかな//」
「いいえ、そのおかげで私が娘だって証明できたんだもの。そろそろ行きましょ、母さんが待ってるわ」
「そうだね。それじゃあクロム、またね」
「あ、ああ」
……もしかしてだが、ソールがソワレに告白したことで運命が変えられたのか!?
「ん、あれはブレディか?」
「げっ、く、クロムさん!?」
「『ことばづかいにきをつけよう!入門編』?」
「ばっ、違っ、これは…!!」
「そういうの、気にしてたんだな」
「こ、これは母さんがうるせーからで……別に父さんみたいになりたいとかじゃ、って何セレナみたいなこと言ってんだ俺」
「えっと、一応聞くがその父さんというのは…」
「リベラ父さんだよ、あの女声の…」
「やっぱり俺じゃない、か」
「は?」
「いやいや何でもないぞ、HAHAHA」
まさか、ルキナ以外全員が別の父親の子になってたりするのか?
「あら、クロムじゃない。こんなところで何やってんのよ」
「ルフレ♀か……実はかくかくしかじかでな」
「あたしがクロムと結婚?ありえないわ。そもそもクロムを男として認識できないし」
「おい、俺が男以外の何に見えるっていうんだ」
「だってただの友達にしか思えないっていうか…」
「まあ確かに俺もお前を女とは思えな…いやすまん、謝るから石は投げるな!」
「いいわよクロムなんかと違ってフレデリクはあたしのことちゃんと女として見てくれるから」
「フレデリクって…あそこでマーク♂と小石拾ってる?」
「そうね。っていうか親子揃ってなんて無駄なことしてるのかしら」
「趣味なんだろ、多分」
フレデリクの奴…以外とちゃっかりしてやがる。
しかし俺の持ってるフラグがバキボキバッギャンと折られてるぞ。
このままどんどん減ってフラグゼロなんてことになったらどうするよ。ガクブル
いやまだオリヴィエとスミアがいる。 とりあえずオリヴィエの所に…。
「そこの可愛いキミ、いっしょにイーリス地区までデートに行かない?」
「え?僕?」
「って早速アズール発見か。しかも人の弟に何をしてる」
「お、弟?」
「俺の弟のセリスだ。言っておくがれっきとした男だぞ」
「セリスってまさかあのセリスさんの少j…少年時代!?さすがレベルが違う」
「未来でも有名なんだな、やっぱり」
「えっと、クロム兄さんの知り合い?」
「ああ、こいつは俺の…」
息子、でいいのか?
言ってしまってから違う父親の子どもです、とか言われたら残念な勘違い野郎じゃないか。
だがしかしそれなら何と紹介する?
「クロムさんの贔屓にしてもらってる店の踊り子の息子…っていうと縁遠そうだけど、リーフとはハンティング仲間として仲良くさせてもらってるよ」
「リーフのお友達なんだね!兄さん、踊りとか見るの好きなんだ?」
「ゆ、友人のつきあいでな(こいつ…、せっかく家族の前ではアイク兄さんみたいなストイックを演じてるってのに)」ピキピキ
「ってもうこんな時間?帰らなきゃ」
「え?まだこんな明るいのに?」
「父さんに話術を教えてもらってるんだよ。貴族的にうざいけど」
「ヴィオールか…」
「ああ見えて頭はいい人だからね。学ぶことはあるよ」
「意外と勉強熱心なんだな」
「女性のためと思えば父親とのムサイ時間も耐えられるのさ!それじゃ!」
結局ナンパか、おい。
しかし連敗記録更新中だったくせにヴィオールの奴、いつ口説き落としたんだ…。
「あの、クロム様?」
「あいつら一斉にくっつきやがって、図ったのか?…ブツブツ」
「クロム様?あの、すみません」
「な、なんだ?…ってスミアか」
俺としたことがつい考えこんでしまったか。
「何かお悩みのようですけど…もしかして花占いで悪い結果が出たんですか?」
「そういうわけじゃないがその、なんだ。スミアは気になってる相手というか……直球に言うと結婚はしているのか?」
「け、結婚ですか!?し、してませんけど……それに私なんかじゃ相手に迷惑をかけてしまいそうで」
「ほっ、そうか」
よし、スミアにはまだ他の男の影はない!
俺のフラグゼロが回避されて良かったぜ。
それに良い方向に捉えればアイク兄さんやロイのところのような熾烈な争奪戦なしにこいつは俺の嫁と宣言できるわけだ。
いいじゃないか、固定嫁。そうと決まれば…、
「だから私、ヘンリーさんにお願いして自身がつく呪いをかけて貰おうと思うんです」
「呪って欲しいなんてスミアももの好きだな~」
「ヘンリー!お前いつから…、」
「今来たんだよ~。あ、そうだスミア。呪いの準備が出来たよ」
「本当ですか?」
「うん。本当にスミアは呪いの利用法を考える天才だよね~」
「そんなこと…。あ、クロム様、私たちはこれで失礼しますね」
なっ…、め、目の前で他の男に奪われた!?
ヘンリー>>俺なのかスミア!!!?
主人公特権とかそういうのないのないの!?将来ルキナという娘が生まれるのは確定してるはずなのに何バキボキバッギャンとフラグ折られ続けてんの!?ねえ俺泣くよ?泣いちゃうよ!?
「アッハハハ~。君がフラグ折られてるとこ、結構面白かったよ~。つい僕も協力しちゃった」
「つい、じゃねええええええ!!!」
こうして全てのフラグを折られた俺。
きっと子どもたちがいるからと、将来はあの母親たちの誰かとは結婚できるような気がしてたんだ。
でもそれはただの勘違いだった。
そう気づいた俺はフラグ探しの旅に出ることにした。自分から動かなくちゃ恋人なんかできるわけない。
うおおおおお!!!!フラグ王に、俺はなる!!
「ロイく~ん、あたしの新しい踊りを見て!」
「わっ、ちょ…ララムさん!!」
「……ロイさまが…穢れる………」
「あの、髪の毛が怖いよソフィーヤ」
「お兄ちゃん!お弁当、野菜ばっかりだって言ってたよね?このお肉いる?」
「また一緒に食べ放題でも行きませんか」
「肉はもらう。だがその前にフレイムバレルで特訓だ」
「え、ちょっとお兄ちゃん待ってよ!」
………あ、なんか早速無理な気がしてきた。
続かない。