「どうしたもんかしらねぇ」
エレブ地区の任侠団体「黒い牙」、その屋敷の縁側に一人、ブレンタンの妻ソーニャは考え事をしていた
「ごっこ遊び、そう言われても仕方ないのかもしれないわね、今の状況だと」
ソーニャは人間ではない。人形師であり魔術師であるネルガルに作られた人間、モルフだった。モルフは言い方を変えれば人造人間であり
人間ではない。今こうしてブレンタンの妻としてニノやロイド達の母親、をやってはいるが血をわけた家族というのはいなかった。
「ソーニャ様?」
「ウルスラ?どうしたの?こんな夜更けに」
「それは此方のセリフですソーニャ様。風邪をひいてしまわれますよ。」
「大丈夫よ、私はモルフだから。ねぇウルスラ」
「なんですか?ソーニャ様」
「私はちゃんとあの子母親役をやれているのかしら」
「ニノ様はソーニャ様を本当の母親のように慕っているではないですか」
「ニノは昔孤児だったのを私が拾った子だからね。ニノが私を本当の母親のようの慕うのは普通じゃないかしら」
「クスッ」
「何笑ってるのよ」
「いえ、心配しなくても大丈夫だと思いますよ、ニノ様がソーニャ様を慕っているのはソーニャ様の優しさや愛を受けての物だと思いますよ」
愛だの優しさだのはくだらない、必要無い無駄な感情だとソーニャは思っていた。ニノを拾うまでは、そしてこの黒い牙で家族を知るまでは。
「家族ごっこ、のつもりだったのよ最初は。けどあの子が育ってお母さんお母さん言うのを見てるとどうもね」
「なんだかんだ言ってらっしゃっても、なんだかんだでお優しいんですよ、ソーニャ様は」
「似合わないわね、私に」
「そうでしょうか?私はお優しいと思いますよ。それに、その優しさはみなさんわかってると思いますよ。ロイドも、ライナスも」
「!」
「やはりその事で悩んでたのですか・・・そうだと思いました、さて、そろそろ夜も遅いですし今日はお休みになりましょう」
「そうね、」
「お休みなさい、ソーニャ様」
「お休み、ウルスラ」
ウルスラが去ったあとソーニャは一人、空を見上げた
(血の繋がりなんか気にしなくてもいいのよね、気持ちが、優しさが通じれば)
「それにしてもやっぱり、似合わないわね、優しさだのなんだの、私には」
一人自分のギャップに苦笑しつつもソーニャは家へ入っていった。愛する家族のいる家へ。