271.5
セリカ「それじゃ、『ママチャリの系譜』始めましょうか……って、あら? 今回はリーフだったっけ?」
リーフ「本当ならセリス兄さんだけど、今レースに出てるからね。一つ飛ばして、僕に出番が回ってきたのさ」
セリカ「そうだったわね──ってぇ!? アンタ、何で下半身だけマッパなのよっ!?」
リーフ「ああ、コレね。この会場の熱気が僕を狂わせたとしか──」
セリカ「!!?? 変態!! 全裸ならともかく下だけフリーダムって! 変態! 変態過ぎるわよリーフ!!」
リーフ「何を言ってるんだい、セリカ姉さん? 僕が変態なのは、今に始まった事じゃないでしょ?」
セリカ「あー、確かにそれはそうだったわね」
リーフ「大体人間というのは生まれながらにして変態なんだから、今更大小を気にしてもしょうがないんだよ。
断言しよう、変態じゃない人間なんて、この世には存在しない!」
セリカ「それは、全人類をバカにしている発言なのか、それとも常人には理解できない領域に達しているのか……
いずれにせよ、あなたを修正する必要があるわね」
リーフ「セリカ姉さんは潔癖すぎると思うんだ。
だから、この場を借りて僕が変態の定義について話をさせてもらおうじゃないか!
えっ? 前回47-118の様子? そんなの適当でいいよ!」
セリカ「その前にまずはズボンを履け!」
前回終了時点の状況、順位
┌─────────────┘. └──────┘山岳コース
│ セリ ホー フェ レヴ イシタ ノイ アー →
│ フィー□□□□□□□□□□□ ┌──────┐
│ イシト□□ウォーターバンク□□ │
リーフ「順位とかこれだけ見ればわかるでしょ。後は過去ログ読み直してね」
セリカ「エリンシア姉さんもビックリの適当っぷり!?」 注:エリンシアもこんな感じで適当にやった。
リーフ「さあ、ここからは僕のターンだ! セリカ姉さん、行くよ!」
※リーフは『変態の定義』や『その存在の良し悪し』について自信に満ち溢れた口調で熱く語り、
時には半裸で、時には全裸で、時には葉っぱ一枚で、その存在の尊さをセリカにお伝えしています。
リーフ「確かに、変態という言葉が示す範囲は実に広い。
その中の愚かな一部が犯罪に走り、マイナスのイメージを持たれる事もある。
だがしかし、敢えて言おう! それはそれ、これはこれ、であると!
変態が罪なんじゃない。罪は人の弱い心が生み出すものなんだ!」
セリカ「あなた罪を犯しまくってるじゃないの……」
リーフ「罪を憎んで、変態を憎まず……だよ。
大体、変態性癖自体に罪はない。むしろ、マイナスばかりじゃないんだよ!
考えてみてよ、世の偉大な発明や発見をしている偉人だって、偏執的な執念を持ったある種の変態達だ!
あのネルガルさんだって、モルフを造ろうなどと考えたのは、
至高のダッ(ダキュン!!)ワ(ダキュン!!)フを求めての事かも知れないだろう?
かの発明王エジ○ンだって、電球の芯に竹を使う事を思いついたのは、
竹オ(ダキュン!!)ニーの最中だったかも知れないんだよ?
ルネッサンス期周辺の絵画やクラシックは、当時の変態厨二パワーの宝庫じゃないかっ!!
歴史の影には、常に変態の存在があると言っても過言ではない!
そう、文明の発展は変態によって成されてきたんだよ!
『変態は秘するべき事かもしれないけど、恥じる事ではない』
僕は全国の変態達の為に、それを何より主張したいっ!!」
セリカ「……汚物は消毒しておかなければいけないわね。進者往生極楽退者無間地獄……」つ【ライナロック】
リーフ「はぁ、セリカ姉さんには僕の言葉が届かなかったか……。僕もまだまだ修行が足りないね。
んじゃ、ラストの決めゼリフ、いってみようか。せーの……」
ズドガァァァァーーーーーンッッッ!!!!!!
リーフ「アーッ!! コノヒトデナシーッ!!」
セリカ「Delete完了♪」
272
ノイン 「さあ、トップを行くひまわり号、赤二号、紫電の3台はウォーターバンクを抜け、
いよいよ最難関、ナーガヒル山岳コースへ突入します!」
イシュタル「ハァァァァッ!!」
~山岳コース登り~
ギュイーーン!! ┌─────→
イシタ──────┘ アー
ノイ
セティ 「何っ、ここで仕掛けるのか!?」
ノイン 「おおっと、登りに入った所でイシュタル機・紫電が急加速! 怒りのパゥワーで銀輪を回し、
一気にトップをかっさらったぁっ!!」
アーダン 「速ぇな…」
ノイッシュ「あんな走り方で体力がもつのか?」
ノイン 「登坂コースに入ってなお、スピードは衰えを見せません、
イシュタル選手。恐ろしいまでの怒り、体力、そして脚力! そして、乳っ!!」
エルフ 「確かに恐ろしいですね」
セーラ 「ケッ、どいつもこいつも巨乳かよ!」
ドロシー 「セーラさん、こんな所でやさぐれないで下さい…」
ノイン 「らくだはコブにエネルギーを蓄え、砂漠の長旅を乗り切ると言う……
どデカふたこぶらくだイシュタルにガス欠なし!! 無限のエナジー呼び覚ます!!」
イシュタル「ふたこぶとか言わないでっ!!」
ノイン 「揺れるふたこぶ、怪人らくだ牛! 一方で他の女性陣、エネルギータンクがやや小さいフィー選手、
フェミナ選手、そしてエネルギータンクのないセリス選手が心配だ!
身の上に心配アールの3乗であります! 三条河原か五所川原!!」
フェミナ 「絶対言われると思ったわっ!」
フィー 「まだ成長期なんだからほっといてよっ!!」
セリス 「ボク、男の子だよ?」
ノイン 「エスパーフェミナ、予知能力全開だっ!! しかーしカカシっ、予知能力より乳能力っ!
ナーガヒルの山の神に各車苦戦を強いられ、前に出る事が出来ない3選手!」
セーラ 「乳能力って何よっ!?」
ドロシー 「私に聞かないで下さい」
ノイン 「否、苦戦と言うよりは、イシュタル選手のスピードを凌駕し得ないと言った所かっ、
シルフィード、スノーホワイト、アンジェリカ! 機体は揃って赤信号っ!!」
ユリウス 「と言っても、他の連中もひーひー言いながら登っているから、前との差は開きも縮まりもしないし、
後ろも来てないから、どっこいどっこいだな」
ノイン 「しかし、イシュタル選手、これは速い! まさに横綱相撲、ドスコイドスコイドスコイダー、
秋桜荘で会いましょう。この速さは何なんでしょうか、エルフさん?」
エルフ 「重さですわ。他のチームにはない軽量級コンビである事が、
イシュタル選手の生み出すフットワークの軽さを存分に引き出しているのですわ」
セーラ 「あー、確かに一番軽そうなチームだわ」
ノイン 「なるほど。しかし速いイシュタル選手、まさに天に舞う鬼娘っ! 略して天むすっ!!
私は天むすよりも天セイロを好んで食べます!」
エルフ 「柚七味が必須ですわね」
ドロシー 「そうなんですか?」
ノイン 「しかし、軽さと怒りのパワーだけでここまで行けるものなのでしょうか、解説のエルフさん?」
エルフ 「ティニー選手のナビゲート能力も無視出来ませんわね」
ノイン 「まさにサーキットに咲いた二つの華! 生けるアルファー波、
パ○ソ○ッ○ウ○ー○全開であります、白い集団どこへ行く?」
エルフ 「ホントにどこへ行ってしまったんでしょうね」
273
ノイン 「序盤の無理が祟ったか、2番手のひまわり号、3番手の赤二号はそのビートに魂を感じられないっ!
ボーンインザ紋章町! う、うさ、うさーっ!!」
エルフ 「ですから、落ち着いて下さい」
セーラ 「今回はいつになく落ち着きがないわね」
ノイッシュ「(ズルッ!!)うおっ!?」
ノイン 「ああっと、疲れで集中力が切れていたか、赤二号、僅かにスリップっ!
しかし、何とか立て直すノイッシュ&フュリーペア!」
フュリー 「危なかったわ…」
ノイン 「スリップスリップストリップ、エロいカミナリ娘一人旅っ!! 一人旅の恥はナマステッ!!
トップを行く紫電の一人旅を阻む者はこの世に存在しないのかぁっ!?」
ホーク 「いえ、ここからが勝負ですよ!」
ノイッシュ「何だと!?」
セティ 「ホーク! くっ、登りでは分が悪い…」
~山岳コース登り~
ギュイーーーン!! アー
─────────────────→ホー
ノイ
ノイン 「ああっと、暫定6位につけていたはずのサーキットの精密機械オメガスピードマスターが
一気に赤二号とひまわり号を抜き去った!」
エルフ 「……この傾斜でこのダッシュ、これはもしや……!」
ノイン 「知っているのか、エルフ解説員!?」
エルフ 「またしても風……ですね。今回はこのナーガヒルに時折局地的に吹く、
乱気流が丁度、リンダ選手のウェディングドレスに風をはらませて押し上げているんです」
セーラ 「またかよっ!? こいつら何者なの!?」
ドロシー 「何とも理不尽な展開が続きますね…」
ノイン 「なぁんと何と!? 今度はホーク&リンダペアが大自然を味方に付けた!! 大自然のお仕置きよ!!
体力に優しく、自然にも優しい風駆動で一気にセティ&アーダンペアをオーバーテイイイクッ!!」
ホーク 「凄いな、リンダ。君の言った通りだったよ」
リンダ 「はい、少しでもホーク様のお役に立ちたいと思って…」
ノイン 「好きな男性の為に頑張るいじらしいリンダ選手! 身体は小さくともやっぱり乙女であります!
事件の陰にやっぱり乙女!!」
セーラ 「オッズ最下位のくせに頑張りすぎでしょ!」
ドロシー 「もう今更ですよ、それ」
ノイン 「暫定2位にジャンプアップのオメガ、なおもスピードを増す!!
まさにスピードマスターだ、オメガ!! お嫁さんスタビライザー強しッ!!」
フェミナ 「お兄ちゃんもリンダもやるわね。それに比べてこっちは……」
アミッド 「…………(≧∀≦)ノ」
ノイン 「オメガの秒針のリズムが ひまわり号と赤二号のビートのリズムを上回るっ!!
その永久ゼンマイの力で紫電の独走を止めにかかるぞ、白き光の賢者・ホーク様!!」
リンダ 「ホーク様、ゴーゴーです!」
ホーク 「ああ、リンダが作ってくれたこのチャンス、無駄にはしない!」
ノイン 「スピードの匠、オメガスピードマスター、神がかった追い上げを見せた!
神クラス! まさに神風! 光の守護神が太陽風を送っております!!
神に愛された少女、リンダ選手がホーク様を神の高みへと導くっ!!」
リンダ 「風使いセティ様(十二聖戦士)に感謝します」
ノイン 「そのままの勢いで山を登るオメガ! しかし、風を味方に付けたのはオメガだけではないっ!!」
レヴィン 「おいおい、フォルセティも使えない奴が風を語るんじゃねえぞ」
セティ 「あまりアーダンさんに無理はさせたくないのですが…これ以上離される訳にもいきません」
274
ノイン 「そう、風を語るにおいて、この2人を忘れてはいけませんっ!!
機動戦士ひまわり号のナビゲーター、風の勇者セティと、
いたずら黒ウサギ号を操る風の吟遊詩人レヴィン選手だぁっ!!」
セティ 「アーダンさん、私の言う通りに運転して下さい!」
アーダン 「よしっ、頼むぜ、セティ!」
レヴィン 「ここだっ!!」
~山岳コース登り~
ギュイーーーンッ!!
アー─────────→
ノイ
ギュイーーーンッ!!
レヴ───────────→
ノイン 「両チーム共に上昇気流に乗り、スピードアップッ! しかし、オメガ程の上昇速度は得られない!
何故だ!? 坊やだからさ! 坊やよい子だ金出しな!」
エルフ 「いたずら黒ウサギ号はともかく、ひまわり号は単純に重いからなのではないでしょうか?」
セーラ 「まあ見た目からして重そうだもんね、アーダンが」
ノイン 「金出しなと言えば、日頃セティ選手にたかっているレヴィン選手!
しかし、今は可愛い黒ウサギさんだ! ブラックラビット・レヴィン! 略してブラクラッ!!」
セティ 「全く、兄上も早く自立して欲しいところだ…」
アーダン 「アレクよりアイツの方がヒモに相応しいんじゃないのか?」
アレク 「だからヒモじゃねえっ!!」
ブリギッド嬢「アレク、わたくし達の勝利のお祝いです。好きな物をご馳走してあげますわ」
アレク 「……いいよ、自分で払うからさ」
ブリギッド嬢「あ……そう…ですよね……ヒモだと言うのは貴方の矜持が許しませんものね……
そんな事も気付いて…あげられなくて……ごめん…なさ…い……グスッ……」
ファバル 「あ、姐さん泣いた」
パティ 「アレクさん、女の子を泣かすなんて、酷すぎよっ!!」
アレク 「う…わ、分かったから泣くな! そ…そうだなあ……じゃあ、しっこくカレーを奢ってもらおうかな」
ブリギッド嬢「あ……はい、遠慮なくどんどん食べて下さいね」
デュー 「うわ~、アレクヒモ」
アサエロ 「おいおい、女にたかるなんて、ヒモ過ぎだろ?」
ジャムカ 「流石ヒモだな。負け組ではあるが、自立した俺達としては自分達で昼メシでも買いに行くか」
アレク 「どうしたらいいんだよっ!?」
ブリギッド嬢「皆さんごめんなさい、ちょっとアレクを借りて行きますね」
セーラ 「ちょっ!? 何アレ、変わりすぎでしょっ!!」
ドロシー 「イチイバル所持時のお嬢様モードだそうですけど……ここまで変わるもんなんですかっ!?」
エルフ 「そう言えば、お二人は初めてご覧になるのですね」
ノイン 「一方で暫定4位のノイッシュ機赤二号も、上昇気流を捕まえようとコースラインを模索!
模索が木を切る! ヘイヘイホアー! ユアー!!」
フュリー 「ノイッシュさん、後方にレヴィン様確認!」
ノイッシュ「これ以上順位を落としたくない。フュリー、頼むぞ!」
ノイン 「さあ、暫定5位のいたずら黒ウサギ号、早くも前方の赤二号を射程圏に捉えたぞ!
レヴィン選手、側室のフュリー選手を相手にいかなる葬送曲を奏でるのかっ!?」
フュリー 「レヴィン様、ここは通しませんっ!!」(バッ!!)
シルヴィア「ちょっとフュリー、槍なんか持ってどうするつもり!?」」
レヴィン 「あくまで妨害する気か、仕方のない奴だな…」
ノイン 「フュリー選手、細身の槍を持って臨戦態勢に入る、痴情のもつれが嵐を呼ぶっ!
嵐で家が崩壊した時は紋章町商店街の近くっ、グレイル工務店へっ!!」
アイク 「よろしく頼む」(ミマモッテクレナイカスマイル発動)
エルフ 「(ドキッ)////あ……協賛ありがとうございますわ。あと、グレイル工務店の方々は
会場やサーキットの設営にも尽力してくれました。本当にありがとうございます」
275
シルヴィア「どうするの? レヴィン」
レヴィン 「相手はフュリー、ここは先に仕掛けるぞっ!」
ギュイーーーン!!
フュリー 「ッ!? 来るっ!!」
レヴィン 「フュリー、すまない。俺、君が大好きだから、ヤキモチを妬いて欲しかったんだ。愛してるぜ」
フュリー 「/////え……あ……レヴィン様……」
シルヴィア「レヴィンっ、それはどういう事よっ!? 事と次第によっては……!!」
レヴィン 「シルヴィア、すまない。俺、君が大好きだから、ヤキモチを妬いて欲しかったんだ。愛してるぜ」
シルヴィア「えっ、あっ……うん。だったらいいんだけど」
フュリー 「レヴィン様っ!?」
レヴィン 「フュリー、すまない。俺……」
ノイン 「セリフの途中ですが、ここで実況に戻らせていただきたいと思います。
恐るべし、無限口説きマシーン、レヴィン選手!
フュリー選手とシルヴィア選手を交互に口説き続けております!!」
セーラ 「らしいっちゃらしいけど、最低ね」
ドロシー 「あんなののどこがいいんでしょうか?」
ノイン 「天馬騎士と踊り子を測りにかけりゃあ、乳が重たい、イシュタル選手!! 恋するカミナリ娘!!」
イシュタル「私は関係ないでしょっ!!」
~山岳コース登り~
フェ イシト───→セリ
フィー
ノイン 「そして6位以下の最後尾グループ。こちらも順位が入れ替わっているぞっ!
雪だるまを背負った白雪姫フェミナ機スノーホワイトが暫定8位に!」
フェミナ 「エネルギータンクの問題じゃないけど、確かにキツイわ、コレ……」
アミッド 「…………(´・ω・`)」
ノイン 「更に、ここまで最下位を守り続けてきたイシュトー機フリージサンダーバーズが暫定7位に浮上し、
眼前に捉えるは桜色の守護天使アンジェリカッ!!」
ユリウス 「イシュトー、やはりこのままでは終わらないか!」
イシュトー「ああ、私も少しは動いてみないとな」
ノイン 「妹のイシュタル選手とは違い、レースの流れに逆らわず、じっと勝機を待ち、
勝負所を逃さない試合巧者のイシュトー選手! ウォーターバンクからジワジワとペースを上げて、
白き天馬シルフィードと白雪姫スノーホワイトを確実に倒し、更にアンジェリカをも飲み込むか!?」
ユリウス 「気を付けろ、セリス。この男は淡々とレースを進めているように見えて、
頭の中で時には激しく、時には静かに考えを張り巡らせている!」
セリス 「(ゴクリ)…うん、分かった、ユリウス。指示を頼むよ!」
ノイン 「雷鳥の翼と天使の翼が、このナーガヒルでぶつかり合う、まさに文字通りの序盤の山場、
上位グループだけではなく、下位グループでも激しい争いが繰り広げられますっ!!」
イシュトー「悪いが君達をここで叩いておく。ライザ、ミョルニル・ハンマーを使うぞ!」
ライザ 「はい! いきます、神雷斧ミョルニル!!」(ポイッ!!)
セーラ 「ちょっ!? ホントにハンマー投げおったっ!!」
ドロシー 「何という力技……」
ユリウス 「あれは……ッ!? 止まれッ!!」
セリス 「えっ!?」
ノイン 「フリージサンダーバーズのナビシート、ライザ選手、神雷斧ミョルニルを投てk……」
ドッゴォォォォォーーーーーーーンッ!!!!
セリス 「うわぁっ!!」
ユリウス 「ちぃっ!!」
276
ノイン 「……み、耳をつんざくような大音響と共に、大地を揺るがす地鳴りと、空を灼くような雷が発生っ!!
ただの一撃で周囲の木々が木っ端微塵となって、この世から文字通り消失しております!」
セーラ 「ちゃ、着弾の痕がクレーターになってる……」
ドロシー 「明らかにガチですよね、あの武器は……」
エルフ 「トールハンマーならぬ、トローンハンマーといったところでしょうか?」
セリス 「あ……危なかった」
ユリウス 「イシュトーの奴、とんでもない物を使いやがる……」
ノイン 「流石に直撃は免れたもののアンジェリカ、痛恨の緊急ストップ!
桜色の天使が青き雷鳥の呼び出したイナズマの前に沈黙っ!
恐るべき伏兵の登場だ、イシュトー&ライザペアっ!!」
セーラ 「まあ、あの威力でこの程度の被害なら、いいんじゃない?」
ドロシー 「直撃したら、リタイア確定の一撃でしたからね」
ノイン 「フリージサンダーバーズの必殺トローンハンマーがアンジェリカの翼を撃ち落としたっ!!
悲劇の聖戦士イシュトー、神器に選ばれなくともその実力は十分!!
魔女っ子勇者セリス&パンダ魔王ユリウスペアを下し、6位浮上!! 神器なんて飾りですっ!!」
ライザ 「大丈夫でしょうか、あの子達…?」
イシュトー「ああ、セリス君はあの兄弟家の一員、ユリウスはイシュタルが選んだ男だ。
必ず這い上がって追いついて来る」
ノイン 「桜色の天使アンジェリカを下し、暫定6位に躍進したフリージサンダーバーズッ!
その遥か先を走るトップの紫電は軽さと怒りのパゥアーで尚も坂を駆け上がるっ!」
ティニー 「イシュタル姉様、そろそろ落ち着いて下さい」
イシュタル「もう怒りのパワーは終わったんだけど…」
ノイン 「その紫電の一人舞台に待ったをかけに、いざ参らんとするのはホーク機オメガ、
アーダン機ひまわり号、レヴィン機黒ウサギの風力駆動・ネイチャーパゥアーの3人組っ!!」
セーラ 「理不尽な連中よね…」
ドロシー 「上昇気流に乗っかるとか、ありえませんからね」
ノイン 「しかし、暫定2位のオメガと暫定3位のひまわり号との間がやや開きつつあります。
やはりこれは、ラヴパワーなナビと涙目グリーンなナビの差でありましょうか、解説のエルフさん?」
エルフ 「ラブパワーかどうかは分かりませんが……ホーク、アーダン両選手の力の差を
さし引いた分を考えても、やはり総重量の差…特にマシンの差が大きいと思われます」
ノイン 「マシン性能の差がマシン性能の絶対的な差ではないとでも言うのかっ!?」
エルフ 「何言ってんだかもう分からないんですけど、オメガは徹底的な軽量化チューンを加えているのです。
その代わり、結構ピーキーなマシンにはなっていますが」
ノイン 「軽量バディに軽量ナヴィ! ツイン軽量メカニズムっ! 通院患者もメカニズム!」
エルフ 「患者さん、改造されてますよ?」
ノイン 「改造ボディが怪気炎を吐くっ! しかし、この時点での1位と2位の差は17秒4!!
イシュタルマシン、紫電は既にナーガ神像折り返しポイントに到達しているっ!!」
エルフ 「一応言っておきますが、ここは給水所も兼ねています」
イシュタル「はい、ドリンクよ」
ティニー 「ありがとうございます。イシュタル姉様」
ノイン 「後ろのティニー選手の分までドリンクを取る余裕を見せるイシュタル選手。
ドリンク提供その2は、喫茶トライアングル!! DX苺パフェ80G!!」
ヴァンパ 「本店はグランベル駅から歩いて5分!」
フェトラ 「2号店はアルスター通り入り口付近!」
エリウ 「3号店はコノート商店街真ん中へん!」
三人 「「「ご来店お待ちしてま~すっ!!」」」
エルフ 「協賛ありがとうございますわ」
277
ノイン 「まだまだ独走は続くのか、紫電!? ドリンクの空きコップをカゴにぶち込んで再び加速っ!!
後ろのティニー選手はむせている!」
ティニー 「げほっげほっ…」
エルフ 「まだ飲んでましたね。下り坂は質量の大きい方がスピードに乗りますから、
軽量級の紫電には不利かも知れませんよ?」
ノイン 「なるほど・ザ・プードルッ! 特に意味はありませんっ! 言ってみたかっただけですっ!
言ってみたかっただけかいっ!!」
セーラ 「1人でノリツッコミやってる…」
ドロシー 「ノインさんならこんなの朝飯前に牛丼屋でフレッシュトマトカレーでしょう?」
ノイン 「モチロンでございます! そして、暫定2位の銀の水時計オメガスピードマスター、
その速度を更に上げながら、間もなくナーガ神像が見えてきますっ!」
ホーク 「まさか2位で折り返せるとは思わなかった。これもリンダのおかげだよ」
リンダ 「/////そんな、私はただホーク様の為に…」
ノイン 「イチャつくな、お前らっ!! しかし、オメガ速い! まっさらサラスケの給水ポイントに今到着、
暫定6位から2位確定っ! オッズを考えると、これは大健闘でありましょうっ!!」
セティ 「何とか兄上には抜かれなかったか」
アーダン 「だが、すぐそこまで来ているぜ」
レヴィン 「そうだ。下りで一気に追い抜いてやる!」
シルヴィア「という訳だから、そこどいてね♪」
ノイン 「更にその後ろ、3位を辛うじて死守した機動戦士ひまわり号が給水ポイントを通過っ!
4位で折り返したのはいたずら黒ウサギ号っ! こちらも大健闘だっ!!」
セーラ 「この期に及んで大穴とかないでしょうね?」
ドロシー 「こんな展開は予想してませんでしたよ」
ノイン 「大自然に愛された少女、ゴスロリ花嫁リンダ選手を擁するホーク&リンダペアの、
その神クラスの幸運グッドラックをバックに後続2台を引き連れて、
なおもトップを追いかける! ゴッドスピード!!」
セーラ 「つーか、下りでも風駆動かよっ!!」
ドロシー 「理不尽にも程がありますっ!!」
ノイン 「ゴッドスピード壬生屋!! またか! だから、スカウトなんかに配属するなとあれ程……、
いや、そんな事よりも、逆大番狂わせのアクシデントストップに見舞われた大本命、
傷だらけの天使アンジェリカはどうなっているでしょうかっ!?」
セリス 「……ごめん、ユリウス」
ユリウス 「謝らなくていい、お前は最善を尽くした。だが相手はそれを上回った。それだけだ。それにな…」
セリス 「…それに?」
ユリウス 「まだ勝負が決まった訳じゃない。ここからは僕が出よう!」
ノイン 「おおおおおおおおおおっとぉ!! 世界を救った勇者、セリス選手を撃破した猛者達の戦いぶりに
魂を揺さぶられたかっ、ロプトの魔王、パンダの姿をした終焉の支配者ユリウス、遂に立つっ!!」
イシュタル「遂に来ましたね、ユリウス様」
セティ 「思ったより早く出て来たな…」
ユリウス 「さてと…」
ノイン 「暗黒神ロプトウスと最強超獣PANDAの融合体が今、ドライバーズシートにその腰を下ろしたぞっ!!」
セーラ 「凄いのか凄くないのかイマイチ分からないわね…」
ドロシー 「何言ってるんですか、PANDAですよ、PANDAっ!! 古代アトランティス王国を一夜にして壊滅させた
無敵の生命体ですよっ!! 凄いに決まってるじゃないですかっ!!」
セーラ 「ちょ……ドロシー、何でそんなに熱くなってるのよ? 落ち着きなさい!」
ノイン 「その潜在能力は未知数の聖戦のラスボス、ユリウス選手の力が早くもそのヴェールを脱ぐっ!!
暑いから脱ぐぅっ!!」
エルフ 「脱がないで下さい」
ノイン 「後部座席にセリス選手を乗せて、今、堕天使となったユリウス・アンジェリカ、発進だっ!!
ブツブツが二の腕に出来ているっ、発疹だっ!!」
エルフ 「ノイン実況員の二の腕は、魔性の感触ですね」
ノイン 「ダイエットしよっ!! 停車している隙にスノーホワイト、シルフィードに抜かれて最下位だっ、
魔王の力を得た桜色の堕天使アンジェリカ、巻き返しなるかっ!?」
搭乗者交代 セリス→ユリウス
続く