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Last-modified: 2014-06-20 (金) 15:01:03

 TMR(of ephraim) 外伝3 【Tiamo’s Mind-bending Reaction】 第50章50-364の続き

 

 《注意》
ティアモ視点のエピソード、3年前くらいので季節は年明けの冬のお話。
くどいようですがガンダム00(ブシドー)のネタを用いています。
“興が乗らん!”という方はスルーでお願いします。

 

 ………

 

私ティアモは高二、じゅうななさいのクリスマスの夜に運命の人と出逢い、初恋と失恋を体験しました。
諦めきれない私は、人生の先人、セーラに指南を請うことに。
その途中、偶然にも私の前に現れた少年…エフラムで恋愛経験値を稼ぐことになり、
お腹を空かした彼に屋台で食べ物…橙色の髪をした人が作っているタイ焼きを買って一緒に食べました。
エフラムは私の憧れの存在。恋愛対象ではなく、目指すべく人物像。
しかし、失恋による価値観の変化からその憧れは妬み、憎しみに変わり、
彼が武器を持ち出すまでの大喧嘩に発展…このとき私はシビリアンですが。
決別後はセーラにも別れを告げず無言で家に向かうのでした。

 

 ………

 

私は帰路、エフラムとの喧嘩で沈んだ表情で歩いていましたが、
大人の女性を意識した髪、服装のせいで、ガラの悪い人達に囲まれたのです。
私の魅力が上がっている結果がでているということでしょうか…しかし今はこんな結果嬉しくありません。
変わったことの代償?歪んだ私が受ける罰?徒党を組み、力で弱者を押さえつけ、自己欲求を満たす輩。
これだからこの世界は嫌いだ…求める先には絶望しかない。
どんなに足掻いても無駄な努力。私もこの歪んだ世界に飲み込まれたら楽になれるのかな…
精神的にも疲弊していた私には逃げだすことも抵抗する気力もありませんでした。
男の一人が私に手をかけようとした瞬間、悪・即・斬というのでしょうか…一瞬で数人の男達を倒しました。
私を助けてくれた方は身長が高く、青髪で、スーツの上にトレンチコートを羽織り、片手に鞄、もう一方に剣を持った男性で
風貌は少しやつれ気味の不幸のサラリーマン、その強さは数々の修羅場、激戦を潜りぬけた猛者でした。
私が見た実力は氷山の一角、山三合目を満たしていない事を私はまだ知りませんでした。

 

助けてくれた人にお礼を言おうと思いましたが、その男性はどこかで電波を受信をしたかのように顔を強張らせました。
目の錯覚…?その背中には修羅が憑いているようでした。
それにしても脳量子波でも感知できるんですか…まさか、まさかこの男性も革新を?
「KINSIN…は許さん。この感じはラケシスか…エルトシャン何をしているんだ!」
と呟き、急いで携えている鞄の中からある物を取り出そうとしました。
しかし、目的の物がなかなか見つけられず、次第に焦りの表情が出てきました。
その様子を見てると格好いいとか怖いという姿が一気に吹き飛んで、失礼ですがお茶目さんだと思いました。
整理整頓ぐらいしっかりしないといけませんね、そんなんじゃ恋人に呆れられますよ…
一分後…彼は未だに鞄を探っています。その時、ブックカバーで覆われた本が落ちました。
どうやら愛読書のようですね…しかし本を落としたことに気が付いていません…
さらに一分後…ようやく見つけ出し、顔から笑みがこぼれました。
探し物は腕輪のようです。それをはめると同時に足もとから魔法陣が現れ消えて行きました。
あれが…いわゆるリターンリングという物ですか…それにしてもお礼の一つも言えなかったです。
ため息をつき、落とし物を見つめました。本を届けた時に言えばいいか…
本を拾い、はしたない行為だと思いつつも好奇心に負けた私は本のタイトルを確認するのでした。
すると…

 

 『 恋愛必勝マニュアル ~恋愛道の五輪の書~ ミスターブシドー著 』

 

私はこの本のタイトルに心奪われました。
それにしても、恋愛必勝法ではなく恋愛必勝M?恋愛必勝とはスキル扱いとうことでしょうか?
なら読むしかありません。あなたは私に読まれたいために鞄から落ちたのでしょう?
持ち主に返すのはその後にしましょう。
恋愛道…これが私の進む道、我が覇道。
極めて見せる…そしてその先にある宝物の恋を掴んで見せるわ!

 

エフラムと喧嘩して意気消沈になっていた私ですが、思わぬ拾い物(返す予定の遺失物)と巡り合いました。
気分は蝶サイコー…いえ何という僥倖ですね。家に帰って早速本を読むことに…

 

 ………

 

  『 恋愛必勝マニュアル ~恋愛道の五輪の書~ ミスターブシドー著 』
はじめに…私はこの本の著者ミスターブシドーである。決してこの名前が本名でないことを断言しておこう。
この指南書を手にしたということは君と私は絆(運命の赤い糸)で結ばれていたようだな。
ならば、まず君に質問をしよう。愛がどういうものなのかご存知だろうか?
…なんとっ!知らないと申すのか!今の君はあまりに非力、まるで深窓の令嬢のようだ。
だが私は君に与えて見せる、ガン○ムを口説いたという栄誉を!
ちなみにガン○ムとは君の意中の相手のことを指すので、以後肝に銘じておくように。
話が逸れてしまったな。では愛について教えを与えようではいか。

 

諸君らは、ガン○ムの行動・状況に魅力を感じて同性(異性)を好きになる。または、ガン○ムに特有な愛を抱く。
例として上げればだな…
無上の喜び  … 私と君は運命の赤い糸で結ばれていたようだ!
幸福     … まさかな、よもや君に出遭えようとわ…
苛酷な悲しみ … 堪忍袋の緒が切れた!許さんぞガン○ム!
葛藤     … もはや愛を越え、憎しみを超越し、宿命となった!
といった感情を生み出す愛という関係を相手と取り結ぶ。また愛は、複数の観点により幾つかのタイプに分類することが出来るのだ。
その基準としては魅力・性愛欲求・友情と愛情の違い及び利己 or利他主義・持続期間・目的や意義・相互的な言動だろう。
これらを考慮すると愛とは大きく分ける6種類に分類出来る。具体的に台詞を挙げて説明しよう。

 

1.エロス(情熱的な愛)
ガン○ムに理想的な特性を見出して惚れ込む情熱的でロマンティックな愛の形態…まあこれがよくあるパターンだ。
ガン○ムと性的関係を持ちたいという性愛欲求の形態をとって顕在化する。
二人だけの恍惚とした幻想的な世界観を持ち、ロマンティックな感情表現が多く行われることもエロス的な愛の特徴だな。
ガン○ムと合体したいという衝動に駆られる愛だ。
“君という存在に心奪われた男だ!少年! 私は君を求める! 果てしないほどに!”
“君の視線を釘づけにする、活目せよ” “興味以上の対象だと言う事だよ” “ガンダム…この想い今日こそ君に”
『そうだ、きみがほしい』『私は君を愛してしまったらしい』『夜…一緒に寝てくれませんか?』
『げへへ…よだれがでそうですぜ』

 

2.ストロゲー(友愛的な愛)
親密で温かな友人関係が穏やかにゆっくりと発展して、愛し合う関係となったものだ。
親しみやすさや安心感が前面に出ている…燃え盛る愛情表現、陶酔的な激しい性的興奮よりも、友情的な雰囲気強い愛の関係。
一緒に居て安心できる信頼感や親近感によって支えられる。
ガン○ム=半身という考えの愛だ。
“私と貴殿は一心同体である” “君への想い私を強くする!”
『そうだよ、ロシェ』『赤くして…カワイイやつめ…』『スーパーソシアルナイト アレッシュ』
『よし、じゃあ俺たちも誓いの儀式をするぞ』

 

3.ルーダス(遊戯的な愛)
刹那的な快楽・興奮や一時的な刺激・陶酔などを得ることを目的としたゲーム感覚の遊戯的な愛だ。
ガン○ムと継続的に親密な関係を維持する気がなく、独占欲求や執着心が殆ど見られないのも特徴だ。
自分自身が、より多くの快楽や喜びをどれだけガン○ムから引き出せるのかという利己的でスリルを堪能するゲーム的な愛であり、
ガン○ムとの戦いを闘いがこの上ない至福と感じるという愛だ。
“過去は捨てさせてもらった” “その堅牢な装甲私の想いで貫いて見せよう”
“少年、全力と言ったはずだ” “全力で相手をしてくれんか、つれないなガンダム”
“身持ちが堅そうなガンダム口説き甲斐がある”   “少年、私の想いをいなす気か!”
“御機嫌はいかがかなガンダム”
『…お前が見とれたのは、弓か?…それとも私か?』『賭けるのは、私のこれからの人生』
『あなたは愛を信じますか?』

 

4.マニア(狂信的な愛)
エロスの相互的な独占欲求の程度を逸脱した熱狂的で支配的なガン○ムとの愛の関係だ。
狂信的にガン○ムに惚れ込み、現実検討能力が低下、自分の思い通りに相手を独占的に愛そうとする激烈な性衝動であり愛の欲求でもある。
ガン○ムに対する過度に高ぶった感情を制御不可、強烈な嫉妬心に苦悩、絶望的な悲哀や極度の落胆に襲わることもある。
ガン○ムから明確に拒絶された場合、ストーカー行為へと進展、逆恨みして攻撃。
一言でまとめるとこれはガン○ムを一途に追い続ける愛だ。
“この気持ちまさしく愛だ!だが愛を超越すれば憎しみとなる。行きすぎた信仰が内紛を誘発するように!”
“もはや愛を越え憎しみをも超越し宿命となった” “私のしつこさは舞台でも折り紙つきだ”
“フラッグを傷つけた報い、是が非でも受けてもらうぞガン○ム”
『エルト兄様のような人でなければすきになれないわ』『だいすきです…兄さま。』
『だって…兄さまのこと好きなんだもの』『お前の気持ちは、俺が一番よく分かっている』
『お前は今日から俺の妹だ』『お前は俺の妹なんだろう?』『おにいちゃんって呼んでもいいですか?』
『まあいい、よく覚えておけ。お前を屈服させる男の顔を』

 

5.プラグマ(実利的な愛)
物事の価値を有用性や効率性で判断する実利主義に根ざした愛の関係。
損得勘定・功利判断があって、恋愛のガン○ムを選択。精神的な結びつきよりも物理的な生活を重視。
社会的要因として有利に働く経済力・将来性・社会的地位や名誉が重視される傾向がある。
ガン○ムとの戦闘及び勝利を願う愛だ。
“だから君を倒す、世界などどうでもいい、己の意思で!”
“ガン○ムを越えるそれが私の生きる証だ!” “そう…勝利を得るためだけに私は存在している”
“それでこそ倒し甲斐があるというものだ、ガン○ム” “これこそが待ち焦がれた戦いだ、少年”
『そ、その…一番じゃなくても良いです』『おいらとアニキの愛ってそんなものだったの』

 

6.アガペー(博愛主義に根ざす利他的な愛)
キリスト教世界観における“神の無償の愛”であり、エロスと対照的で対立的な愛。
愛によって快楽や幸福を得たいと願う人間には実現不可能な理想的な愛でもある。
厳密にアガペーの『無償の無条件の愛・無差別の自己犠牲的な愛』の定義を当て嵌めると、
特定のガン○ムを好きになるガン○ムとの愛の関係は全てアガペーには該当しない。
少し制限を緩めて『自分中心ではない利他的な愛の関係・自己犠牲を厭わない献身的で純粋な愛の関係』と定義しておこう。
しかし私はKY、空気が読めず、人の話を聞こうともしない、その上我慢弱く落ち着きがない。
だがそんな私でもガン○ムのために命を捨てる無償の愛はあるのだ。
“ガン○ム、今こそ我が生命のすべてを”
“人類の水先案内人はこの私が引き受けた、これは死ではない人類が生きるための…”
『助けて!エイリーク!』『ルドルフは なぜかこうげきしてこない!!』
『わたしはそうりょリフ…』『その剣でわたしを好きなようにして』
『あたしは、あなたを守る盾になる…』『なら、僕は君を守る剣になるよ』
『これで私…クリスを傷つけなくて…すみます』
これくらいだな、まだまだ台詞を上げるときりがないのでこれくらいにしておこう。

 

 ………

 

…愛の種類ってたくさんあるんだな。じゃあ、私がクロム様に抱いている愛は……『マニア(狂信的な愛)』!?
これは納得いかない、一歩間違えれば精神障害者。確か躁鬱病だったかしら、ははは…。
【狂信的にガン○ムに惚れ込み、現実検討能力が低下、自分の思い通りに相手を独占的に愛そうとする激烈な性衝動であり愛の欲求。
ガン○ムに対する過度に高ぶった感情を制御不可、強烈な嫉妬心に苦悩、絶望的な悲哀や極度の落胆に襲わる。】
↑の部分なんて、私の初恋~失恋過程そのもの。しかも、執着していうのも当てはまるわ…
唯一救いはストーキング、逆恨みして誰かに攻撃するまで至ってないことね。
マニアにならないように心懸け、いえ断絶する必要があるわ…

 

それから本を読み進めている途中、栞が挟まっている部分に辿りつきました。
栞というより紙を数回折りたたんだもので、私はそれを開けると文章が書いています。
持ち主の方が書かれたのでしょうか?内容は以下の通りです。
【ディアドラ…きみがみずからの運命を 恐れるきもちはわかる だけどこわがっているばかりでは
 なにも生まれない 私がきみを守ってみせる たとえどんな事があろうと 
 きっと守ってみせる ディアドラ、二人のきもちが同じなら なにも恐れることなど無い筈だ
 神よ、もし私たちの愛が罪だというなら その罰は私一人に与えよ! 私は誓う!
 たとえこの身が切り刻まれようと 決して後悔などしない わが愛しきディアドラ
 神よ…どうか永久に守りたまえ!!】

 

…この人の愛は『アガペー(博愛主義に根ざす利他的な愛)』に間違いありません。
それにしても…な、なんですかこの読んでて恥ずかしくなってくる文章は!?まさか彼女さんに言うつもりですか?
とは言うものの、ディアドラの部分を私に変換し、あたかもクロム様が言っているように脳内でイメージしました。

 

 ~ティアモの脳内再生中~
クロム  『ティアモ、お前が自らの運命を恐れる気持ちはわかる。だが怖がっているばかりでは何も生まれない。
      たとえどんな事があろうと俺が必ず守ってみせる。
      ティアモ、二人の気持ちが同じなら何も恐れることなど無い筈だ。だからこれを受け取って欲しい…』
ティアモ 『こ…これは…ま、まさか…』
クロム  『そのまさかだ。結婚指輪だ。俺の妻となってくれないか?』
ティアモ 『クロム様…』
クロム  『神よ、もし俺たちの愛が罪だというなら その罰は俺だけに与えるがいい! 俺は誓う!
      たとえこの身が切り刻まれようと決して後悔などしないわが愛しきティアモ。神よ…どうか永久に守りたまえ!!』
ティアモ 『何処までも御供させていただいます…クロム様』

 

 ………

 

妄想する私、脳内再生終了後…最初は恥ずかしい文章だと思ったのですがこの告白はアリですね。ナイとは言わせませんよ!
…おっといけないクロム様とのキスシーンを想像しただけで、欲望が体の端から滲み出てしまいました。
ちなみに涎ですよ、涎!あと鼻血も混じっていますけど。決してかがわしいものではありませんから!
興奮のあまり非常に高まった欲望を抑えきれない私は暴走しました。
例えるならその時の私は阿修羅すら凌駕する存在であり、具体的に言うと…
DYNAMITE PASSION 野生の衝動に身をまかせてDIVE!!
机に向かいその思いを無我夢中で真っ白な原稿用紙を私色に染め上げるのでした。

 

 ………

 

冷静さを取り戻した時にはペンを握っていました。し、しまった何をしているのだろう私は!
もうマンガを描くことを止めたと心に誓ったのになんで描いてしまったんだろう…
私の決意はこんなものだったの?と自責しますが
“ネタ浮かんだ→原稿だ”というサイクルを数年間繰り返してるが故、体が慣れてしまってますから止めることなんて難しいですよね。
一応釘を刺しておきますけど、エフラムの言葉を受けとめて漫画を描いたんじゃありませんから!
ただの条件反射あり負荷抗力です。勘違いしないでください!

 

マンガを描き始めてから2日間の完徹も末、同人誌を完成させました。
ちなみにその間、学校を行くことも忘れていました。
あ~あ、やってしまった。集中するとこうなってしまうんだから……完全な『マニア』ですねorz。
せっかく作ったんだし、売るとしますか…家賃も払わなくちゃいけないし。
それで余った分は自分磨きのために使いましょ!
しかし、ここで最大の問題点を発見します…コミケの申し込みしてないしいないのです。
つまり、不戦勝、無血開城。勝算があっても負けるということです。
まあ、同人の神まで登りつめた私だったら少しくらい融通効くかも!
いくらなんでもそれは傲慢か…でも私の漫画を楽しみにしている人のためを思うと
ダメもとで準備委員会に掛け合ってみるか…
もしだめだったらどこかに委託販売してもらうよう頼むしかないわ。
念のために他にも策を立てておこうかしら。

 

 ………

 

マンガを描き終えた次の日。二日間徹夜したのでかなり眠いです。
それでも私は学校…ルネス女学院に通学、そしてお昼を迎えました。
よって食事を取らず保健室で仮眠をとることに…
そこに思わぬ来訪者がやって来ました。人が寝てるのに…誰よまったく!
来て欲しくない時ほどやってくる…まあ、人生こういうものですよね。
「あの、すみません…」
声の主はエイリークでした。普段は礼節を弁える彼女ですが、思い立ったら行動派のようです。
彼女は私がエフラムと喧嘩によるショックで二日間寝込んで、やっと登校した今日も体調がすぐれないと思ったのでしょう。
ならそっとしておけばいいじゃない。今は眠いから放課後にしてくれと返そうとしますが、
どうしても話したいことがあるらしく、なかなか引き下がってくれません。
放課後にしてとと言い放ち、私は眠りに就き、次に私が目覚めたのは放課後のことでした。
どうやら爆睡していたみたいです…

 

 ………

 

放課後、エイリークに捕まるのでひっそりと帰ろうとしたところ校門前で遭遇しました。
どうやら待ち伏せていたようですね…こういう時に影のスキルがあると役に立つんですけど、
シビリアンの私には当然そのようなものはありません。
それでも自己流のすり抜けで彼女を突っ切ろうとしましたが、
「絶対に逃がしません!」
…と『捕える』いえ『救出』のコマンドを選んで私を担ぎ上げました。私の体格はシビリアン補正のあり彼女より低かったようです。
担ぎ上げられ何も出来なくなった私は観念した渋々彼女の話をすることに。
折り入った話であると思われるので彼女を私の家に招き、私の家(アパート)に案内し、リビングで座ってもらうことにしました。
紅茶と茶菓子を用意する間、そこら辺にある本を読んでいてもらうことにしたのですが、
紅茶を淹れ終わり、テーブルに運んできた時彼女が読んでいた本のタイトルとは…

 

【魔女っ子ミカリン アンドリバース Vol.1】
ある所にミカヤという女学生がおり、彼女は義弟のサザという少年と暮らしていました。
決して裕福な生活ではありませんでしたが、慎まやかな日々を送っていたところにある異変が起こりました。
学校帰り、夕飯の買い物を済ませたミカヤの前に一羽の人語を話す鳥が現れたのです。
ユンヌ   『あなたがミカヤね!私はユンヌ、負の女神なのよろしくね!』
ミカヤ   『…どちら様ですか?』
人語を話す動物を見慣れている彼女もさすがに驚きを隠せなかったようです。
そんなことも気にせず自称負の女神ユンヌは話を続けます。
ユンヌ   『ミカヤ、いきなりで悪いけど魔女っ子 (カードマスター)になって欲しいんだけど、いい?』
ミカヤ   『何それ?大きなお友達が喜びそうな職業だけど…』
ユンヌ   『なってくれないと私困っちゃうの!?アスタルテのお説教くらっちゃうし、
       世界の平和が守られないのよ!ねえ頼むわよ、ミ・カ・リ・ン!』
ミカヤ   『ミカリンって、勝手に変な名前で呼ばないでよ!』
ユンヌ   『失礼ね!これはれっきとしたコードネームなのよ!そう魔女っ子ミカリン…これがあなたの真の姿!』
ミカヤ   『お断りします。それに私学生だし、生命保険入ってないし、校則でバイト禁止だし!
       家にはお腹を空かせたサザが待っているんだから!…というわけで無理なので他を当たって下さい』
ミカヤは正当な理由をつけて魔女っ子になることを辞退したのですが…
負の女神はコノヒトデナシーな強行手段をとるのでした。
ユンヌ   『えーうそー、出来無いわけないでしょ、ここでいてこましてあげるしかないわね?』
ミカヤ   『上等よ、やれるものならなってみなさいよ!』
ユンヌ   『例のモノを用意しなさい!』
負の女神は手下であろう人物に命令を下す。連れて来られたのは簀巻にされ、猿轡をはめられた状態のサザのようです。
サザは必死にミカヤに助けを求める素振りをみせると。
ミカヤ   『ちょっとユンヌ!サザを人質にとるなんて!?』
ユンヌ   『だってー、ミカヤが快く引き受けてくれないから。本当は私もこんなことしたくなかったんだけどねー』
ミカヤ   『く…卑怯よ』
ユンヌ   『卑怯もクソもないわ!勝てば官軍っていう言葉が人間にあるじゃない!私はそれに従ったまでよ!
       わかったならさっさとこの血の誓約書にサインしなさい!』
ミカヤ   『この人でなしー』
ユンヌ   『私、人じゃないもーん♪』
こうして魔女っ子になったミカヤいやミカリンの闘いが始まるのでした。
To be continued …

 

…という内容の同人誌だったわね。
懐かしいわ…この本を漆黒さんが買ってくれて以来、私の知名度が上がりました。
また漆黒さんは、この続編描くたび毎回3冊買ってくれました。
何故3冊かというと、閲覧用、観賞用、保管用…だそうでそうです。
その必要があるのか疑問に思いますが、たくさん買ってくれるので何も言いませんでした。
他にも応援してくれて、作品向上に繋がる的確な感想も言ってくれたり、
ミカリンの絵をスケブに所望していました。
漆黒さんが買い手専門ではなく同人誌も執筆しているのを知ったのはしばらくしてからだったかな。
…って何感傷に浸っているのよ、私は!
と思っていると、エイリークの口角が上がり、クスッと笑った。
「私は普段漫画とか読まないのですが、面白いものですね…」
どうやら彼女にも楽しんでもらえたようね、作者冥利に尽きるわ。
その漫画を描いたのが私自身であるとカミングアウトすれば、
「このような才能をお持ちだったんですか、羨ましいです」
と褒めを言葉もらったのを覚えている。
それはそうと、本題に入ることにすれば、
彼女はそれまで笑みを浮かべた顔を引き締め神妙に話した。
「この間の兄上のことは本当にすみませんでした」
私の思惑通りエフラムと喧嘩したことを詫びたかったようだ。
まあ…あの時の私も興奮していたし、後ろに乙女座の人が憑いていたからね。
エフラムのほうも幸薄少年が憑いていたようだし、ああなったのは仕方のない。
それに私も本気で気にしていないから大丈夫、と答えて落ち着かせようしたのですが、
彼女はそれだけでは気が済まない素振りをみせました。
こういう時だけ本当に頑固というか融通が利かないといか、後に引かない所が双子なんだなと改めて思いました。
このままでは一向に帰らないだろうと悟った私はあるお願いを彼女に依頼をすることに、
「即売会で売り子の手伝い…ですか?」
ええ、そうよ…と返事をすると、彼女は疑問に思ったことを質問してきた。
「売り子…とは何なのですか?」
業界用語だから知らないのも当然よね。簡単に店番だと説明したとき私はある大事な事を思い出した。
原稿仕上がったけど、コミケの申し込みをしていない事を!
そうだまずその手配をしなくては何も始まらないわ…!私の表情の曇りを察知したエイリークは
「ティアモさん…どうされたのですか?」
と問いに、急用を思い出したので出かけると返せば
「私も付いてってもよろしいですか?」
と言ってきた。最初はどうしたものかと考えたのですが、
売り子をしてもらう以上即売会がどういうものなのか説明しなくてはなりません。
だったら今教えた方がいいか、という答えを導き出して彼女の同行を許可することにしました。

 

支度が終わるまで少し待っていてもらうことにしました。
その間、私はクローゼットから鉄の金庫を取り出し、机の上の原稿を封筒に閉じ、ちょっとした正装に着替えをするのでした。
十数分後…支度を済ませた私は彼女に声をかけました。
そのとき彼女が読んでいた本は…

 

【魔女っ子ミカリン アンドリバース Vol.2】
ここはどこかの野球場。
ディバーン監督率いるフェニキスホークス対オグマ監督率いるバトルプロフェッショナルフォーレスツの試合が行われていました。
その様子をミカヤ達は観客席で観戦しているのでした。
ミカヤ   『ねーユンヌ、ホントにここに負の気配がするの?』
ユンヌ   『もちろんよ、なんたって私は女神だもの♪』
ミカヤ   『すごく胡散臭いんだけど…まあいいか。野球の試合なんてサザも連れてきたら喜んでいただろうけど…』
ユンヌ   『駄目よ!これも仕事なんだから足でまといはいらないわ!』

 

と話していると…フェニキスホークスの攻撃の回、ある異変が起こるのでした。
なんとバッターが急に鳥人間に変態したのです。
この事態に球場は騒然!ですが試合は続けられることになりました。
ユンヌ   『あの鳥人間から負の気配がするわ!ミカヤ、戦闘態勢を取って!』
ミカヤ   『普通に半化身をしただけと思うんだけど…』
ユンヌ   『つべこべいわず、さっさと準備しなさーい!』
フォーレスツのピッチャー、サムソンの投げたボールを鳥人間は撃ち返しました。
その軌道はピッチャー返し!ボールはサムソンの頭に当たり彼は倒れました。
するとフォーレスツのチアリーダーのシーマさんが大激怒。バッターを殴る展開に!
これを発端とし、球場は乱闘騒ぎとなりました。
ミカヤ   『チアリーダーが選手殴るなんて聞いたことないんだけど…』
ユンヌ   『ほれ見なさい!さ、リワープでマウンドに行くわよ!』
瞬間移動で乱闘のど真ん中にやって来たミカヤ達は…
ユンヌ   『よっしゃーミカヤ!ここで一発変身をかましなさい!』
ミカヤ   『皆見てるけどここで変身してもいいの?魔女っ子って秘匿義務があるものじゃないの?』
ユンヌ   『いいの、いいの、減るもんじゃないし、細かいことは気にしない!わゆーんも言ってるじゃない』
ミカヤ   『減ったら困るし、気にするわ!昨日も商店街のおばさんに私が不良になった、て言われたんだから!
       これじゃあ、おかずサービスしてもらえなくなるんだから!』
ユンヌ   『ぐだぐだ言ってないで(同人誌の)ページが押しているんだからいいから早く変身しなさい!』
ミカヤ   『しくしく…しくしく…私って不幸…なんでこんなことになっちゃんだろう…
       でもこれも紋章町の平和とサザのため頑張らないと!ミカリンいっきまーす♪』
ユンヌ   『普段ネガティブなくせにその気になればノリノリね…』
ミカヤ   『シャイン…ディヴァイン…アルジローレ!
       アーリアル…イーヴァルティ…スターライト…レクスオーラ!』
↑の魔法は変身するのに必要な呪文です。光を発しながらミカヤは魔女っ子に変身しました。
変身シーンを描写することが出来なくて申し訳ありません。
ミカヤ   『魔女っ子ミカリン!最初からいるけど只今参上!』
当たり前ですが、マウンドのど真ん中で変身したミカヤにみんな注目します。
ユンヌ   『ミカヤ、正体を知られたからにはここにいる人間全部闇に葬らな駄目よ!でないと違約金が発生するわ!』
ミカヤ   『ちょ、ちょっとユンヌ、変身しろって言ったのはあなたじゃない!』
ユンヌ   『私、知らなーい♪』
ミカヤ   『この人でなし!もういい、みんなやっちゃえばいいのよね!
       これも私の生活のため…ごめんなさーい』
と球場全体に暁光レクスオーラの放つミカリンでした…
To be continued …

 

…この本は先程の続編ね、はっちゃけていたけどウケもそれなりに良かったわ。
その後エイリークに出発の合図を送り、私達は家を出ることにしました。
時間は夕暮れ、季節は冬ということもあり、寒さが身に滲みます。
ある所に向かっている道中で…
「どうして金属製の箱をせおっているのですか?」
と彼女は私に問いかけます。普通の女子高生は鉄の金庫なんて背負って二宮金次郎のポーズなんか取らないでしょうね。
この中には命よりも大事な物が入っているのと答えると…
「命より大切な…物…ですか、ティアモさんの?それはなんですか…」
とさらに問われると、仕上がった原稿と。
同人作家いえ、このスレでネタを描き溜めたがある方なら一度は通る儀式。
せっかく投稿前の作品が消えてしまっていることを発見した絶望感を。
だから、完成した原稿が雨や雪で汚れないように厳重に囲んでいると説明をすると納得してくれました。

 

しばらく歩いた後、私達が着いた場所というのは…
『エムパ(エムブレムパーティー)運営事務所』
つまり、同人誌即売会を開催している民間企業で、直接スペースを譲渡してくれないかと交渉に来たというわけです。
落選される方もいるのに、こんなことをしてもいいのか…と
同人の神の称号を持っている私なら顔が効くからと思ったからです。

 

…ということで建物の中に入ることにします。

 

 つづく…

 

 ………
【魔女っ子ミカリン アンドリバース Vol.3】
今日もミカリンは魔女っ子として働いておりました。ですが敵さんはコノヒトデナシーな策を謀ってきたのです。
ミカヤ   『先輩、どうして?』
ユンヌ   『ミカヤ!これも敵の作戦ね。ミカヤの憧れの先輩を洗脳して攻撃してきたのね…』
その先輩とはペアレス、多少優柔不断ですがミカヤの悩みを真摯に聞いてくれる優男でした。
しかし、イズカ特製やりそこない薬でアシュナードのごとく野獣にビフォアーアフター。
ミカヤ   『どうしたらいいの?このままじゃ』
ユンヌ   『私に上策がある』
ミカヤ   『ど、どんな…』
ユンヌ   『あいつをぶち殺す』
ユンヌの言っていることは一理あります。理性を失った動物を鎮めさせるのは殲滅が手っとり早いですから…
ミカヤ   『全然上策じゃない』
ユンヌ   『安心しなさい!ここだったら誰も見ていないわ!死体は私が念入りに始末しといてあげる、アリバイ工作もまかせといて!
       ミカヤ、これも正義のためよ!涙を拭って戦いなさい』
ミカヤ   『嫌よ!』
ユンヌ   『正義は必ず勝つのよ!勝った者が正義なのよ!私は負けちゃったから邪神って言われちゃってるのよ。この気持ちがあなたに解かる?』
ミカヤ   『わかったわ!やればいいんでしょ!』
ユンヌは非情な現実主義者と言ったほういいですが、学生のミカヤには理解できません。
敵を倒した後…その屍を人知れず場所に埋めるミカヤなのでした…
ミカヤ   『最近私達の方が悪の帝王みたいね…』
To be continued …

 

【魔女っ子ミカリン アンドリバース Vol.4というより最終回】
物語も渦中を越え、いよいよ大詰め。敵さんはさらにコノヒトデナシーな策でミカリンを倒そうするのでした。
ミカヤ   『きゃー』
ユンヌ   『ミカヤ!もうダメ、この最後の敵には勝てない』
…ミカリンの前に現れたのはアスタルテの加護を受けた漆黒の騎士だったのです。
ミカヤ   『…皆と約束した、皆の幸せを守るって!』
ミカヤの渾身の暁光レクスオーラ放つと、漆黒の仮面が割れ素顔が現れました。
ミカヤ   『う、うそ…でしょう。なんで…なんでサザがここにいるのよ!』
そう、漆黒の騎士の中の人は義弟のサザだったです。なぜ姉弟同士で戦わなければならないのか…ミカリンは激しく葛藤します。
ユンヌはやっと非人道的ではありますがまともなことを言います。
ユンヌ   『ミカヤ戦いなさい!あなたは紋章町の人命と一人の弟の命を天秤にかけると言うの!』
ミカヤ   『で、でも…』
ユンヌ   『いいから早くあいつを討ちなさい、でないとあなたが葬った先輩も無駄死になるでしょうが!』
ミカヤ   『…そうね、これで終わりにする』
ユンヌ   『駄目よ、それは自分の命と引き換えに相手を正気に戻す禁断の魔法(癒しの手)!』
ミカヤ   『サザ…強く生きてね…てやーっ!』
禁断の魔法を唱えたミカリン。辺りは彼女を中心に光の粒子…暖かいエーギルの輝きに覆われました。…それから数時間後のことです。
ミカヤ   『わたし…私…生きてるの!』
なんと、ミカリンは奇跡的にも生きていたのです!ですがユンヌが発した第一声は…
ユンヌ   『ミッションクリアね。ほな、明日からもがんばってな』
ミカヤ   『え、明日からも!?』
ユンヌ   『決まっるじゃない、3年契約忘れたの、血の誓約書にも書いているじゃない!』
ミカヤ   『いつの間に!…明日から普通の女の子に戻れると思ったのに!私もう魔女っ子なんてやならない』
ユンヌ   『続けないつもりなの?なら違約金、1億5千万G払ってね』
ミカヤ   『そんなの学生の収入で払えないわ…』
ユンヌ   『それだったら仕方ないわね…このままアダルト業界デビューする?』
ミカヤ   『絶対に嫌よ!この人でなし…私って…不幸』
といわけでミカヤは明日からも魔女っ子として戦う日々を送るのでした。
To be continued …?

 

 ………
魔女っ子ミカリンは“こみっくパーティー”というゲームの中に登場する“カードマスターピーチ”が元ネタとなっています。
その元ネタが“CCさくら”であり、本来は魔符で戦う予定ですがネタなので肉弾戦になってしまっています。