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Last-modified: 2017-10-17 (火) 22:18:11

居間

 

大人チキ「ねえ、エフラム……ううん、おにいちゃん。今ちょっといい?」
エフラム「ん? どうかしたのか?」
大人チキ「最近、体調面で変わったことはない?」
エフラム「……そうだな。いつもより疲れを感じない、ということはある」
大人チキ「やっぱり、そうなのね」
エフラム「……すまない。説明してくれるか?」
大人チキ「おにいちゃんの体から神聖な気を感じるの……といっても、まだ微弱だけど。
     少なからず、私達が与えている影響はあるみたい」
エフラム「そういえば、そんな話を聞いたことがある。たしか聖戦士伝承だったか。
     しかしそうなったら、今度こそアサマ義兄上にヘクトルのような現人神として祀られそうだな」
大人チキ「……でも、私が一番影響を与えているわ」

 

エフラム「どういうことだ?」
大人チキ「だって、私の知る過去に大人の私は居ないもの。
     その違いがあったから、最後までおにいちゃんから神聖な気は感じなかった。
     成長した私が加わったことで、ようやく表面化したみたい」
エフラム「つまり、チキはキヌのような神気を得ていたのか?」
大人チキ「私はアイドルを引退してから、神竜の巫女として活動していた時期もあったから、そのせいかも。
     でも、結局疲れちゃって寝てばかり。果てには過去に戻りたいだなんて思ってた。
     ……他の皆は、前に進んでいたのに」
エフラム「それに関して俺に言えることはない。置いていく側だからな。
     だが、チキが過去に戻りたいと願って、それを恨むような家族だったか?」
大人チキ「……いいえ。そうは思わない」
エフラム「なら大丈夫だ。寂しがりだなと笑って許してくれるさ。
     チキが立ち止まったままの方が、皆は嫌だからな」
大人チキ「うん。ありがとう……おにいちゃん」