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Last-modified: 2017-11-01 (水) 21:25:14

・作中現実のものと違うところがありますがフィクションとして見てください
・キャラの口調と性格が異なる(改変もしくは崩壊)してるところも
・またオリキャラが登場しますが注意をお願いします
・一部物理無視の描写が有るため此方も注意を
・作中の時期は夏です(重要?)
以上の内容が苦手の方はスルーをお願いします

 

まだ朝にも拘らず真夏の太陽が照らしていく任天都
そこに集まるのは人、人、人、人の海が都の一部を埋め尽くしていく
都は世界大会規模のレース『任天都8時間耐久レース』が、今日最終日を向かえ
大会のメインである1000・600クラスの決勝が幕を切って落とされようとしている
そこにはVIP、他の世界のプロのアスリート、レースファン並びにスポンサーが一堂に会する
また海外からの旅行客もこの都へ一目見ようと訪れるのも少なくない
大会が行われる都の経済効果は凄まじいものだ、一般的な観光の時より100倍近く効果を生み出していく
観客は海外からだけでなくキノコタウン、ミュートシティ、ハイラルシティと
任天都と繋がりの有る都市からの住民達もやって来る
会場はまもなく熱気に包まれ、観客は今か今かとならんばかりにチケットを片手にギャラリーで待っている
そしてここに一人、紋章町からの来客がギャラリーにやってきた
「ここにロイ君が選手として参戦してるのですが、何処にいるのでしょう」
その女性は色は肌白くどこかの貴族いわば富豪の人かのような佇まいであるが、今風の格好をしているにもかかわらず
アイボリーのブラウスとワインレッドのスキニーパンツがフィットし、他の観客を魅了させるような
彼女のプロポーションに一目で釘付けとなる
無論、彼女はそんな事を露知らず新品のレディーススニーカーで足取りが早くなり
その少年の活躍を人目みたいと女性はチケットを片手に特等席へ駆け上ってゆく。

 

特等席はまさに展望台
上空から市街地コースのスタート地点が事細かに見え、人はいるが誰一人邪魔にならないような空間からか心安らぐような観覧席だ
女性は手提げ袋から5本の飲み物を取り出し後から来る人を待つために椅子へ座る
上から眺め少年を探すかのようにまじまじとガレージを見てゆく
「どうでしょうか、見つかりました?」
「あいつ、こんな大舞台でほんとに参戦してるの?そっくりさんじゃない?」
「でもさ、どうしてずっと黙ってたのかな?みんなに言えばいいのに」
「自慢するほどじゃないからのと、他に何か理由があるのじゃないかな?」
「私はわからないですが、おそらくはそうなのかと
 あと、紋章町にモータースポーツが盛んではないことですかね」
後方から、遅れて登場した女性達が先に来た女性に質問、そのことに答えが返ってくる
今だ見つからなく、また彼女らはロイとかかわりを持つ人物達だ
彼女たちがこの場に来てることは、どこかで情報が漏れたというより、明るみに出たというのだ
ロイはそんな事は露も知らずである
「・・・あ、いた!いたよあそこ!」
狐髪の少女がロイを探して少し経つが、ようやく見つかり彼のいるほうへ指を挿した
彼女達もロイをまじまじと見はじめた
そこはチームの選手そしてスタッフと、打ち合わせしてる様子がみえた

 

ー決勝開始2時間半前
会場はピットウォークで観客が出場チームのライダーやマシンを一目見ようと撮影したりと人が集まっている中
決戦の舞台に参戦する選手達はオープンの状態で最終調整をスタッフ達、監督と会話しつつ確認を取っていた
スタートまでの時間はまだあるが、最後のフリー走行の時間は40分と少ないため、おのおのは仕上げを行っている
「ロイ君、最後の調整だけどフィールに合うかどうかわからないけど
 最高速を少々抑えて、多少アンダー(コーナリングで外側に膨らむ)重視にしたのだけど大丈夫かな?」
「わかりました、後は自分でマシンをコントロールしますので
 あとハードタイヤを1,2セットまわそうかなと思っています」
「ハードタイヤを?よくわからないがそこは大丈夫だ。タイヤは決勝分のタイヤは少し余裕がある
 だが、使いすぎはよくないからな」
「ありがとうございます、すいません無茶をいいまして」
ロイはスタッフとマシンチェックを行い、最後のフリー走行を行おうと深呼吸していく
大舞台の前で未だに鼓動が鳴り止まず、体が熱くなっているのが自分の中でわかっている
それを落ち着かせるために一つ、また一つと呼吸を整えていく
「遅れてすまん!」
最後のフリー走行に入る、すると後ろから遅れてきた人物がようやく登場した
「ようやく主役のお出ましか」「何だ何だ寝坊かお前?」
「へっうっせぇ、こっちも少々忙しかったんだよ」
手にはコンビニで買ったであろう軽めの朝食と氷が袋片手に下げて、ロイへ歩み寄っていく
「すまんロイ、遅れた」
「気にしなくていいですよ、・・・それより腕のほう大丈夫ですか?」
ロイは小声でデニムの右腕を確かめていくが、首を軽く横に振った
周りのスタッフに見せないようにライダースーツを捲くると、氷袋と青あざのある右腕を見せるデニム
ロイは息を呑むしかなく、下唇をかみ締めていく
「まだ治ってない、今でもまだ痛むぐらいだ。正直言って痛み止めの注射が欲しい位だ」
「でも今の時代はドーピング検査が厳しいですからね
 仮にオフィシャルに嘆願して、打ってそれで陽性反応が出れば元の子もありませんね」
どのスポーツもそうだが、試合終了後にドーピング検査が行われる
フェアなルールでフェアな戦いをしなければならず、また自らの健康を損ないかねないためそれを防止するために設けられている
また違反をすればすべてが水泡に帰してしまう
ロイとデニムは今は痛み止めなしで挑むしかない状況、そんな中ロイは提案を述べた

 

「・・・デニムさん、僕が一番手走ります」
「・・・いいのか一番手?」
「今は患部を冷やして、痛みを少しでも抑えることがいいかと思います
 一番手で走れば痛みが増すかもしれません、それに一時間でも多く冷やせば・・・」
「わかった、それ以上は言わずもがな・・・。
 すまねぇ、一番手頼んだぞ」
デニムは一番手に走ろうと思っていたが、今の状態で無理することは出来ず
やむなしにデニムは次に走ることとなった
「ありがとうデニムさん、それじゃ最後のフリーラン行ってきます
 後監督にはこのことは伝えてあります、では」
ロイはマシンにまたがり、最後のフリーランへピットを後にした
またついでの一言で思わず舌打ちをするも、僅かながらにやけ顔になっていく
「ようデニム、話はロイから聞いたぞ。災難なのはわかるしお前が一番に行きたいのはわかる。
 だが、今はお前の腕を大切にしろ。今日ここで勝ちに行くんだろ?」
「わかってるさ、だが20分後フリーを走らせてくれ。
 怪我の状況を走ってどんな状況か確認したい」
イーライがロイとのミーティングを終えた後、デニムの怪我の心配と具合を確認する
確認を終えると、デニムからの提案を許可を入れた
20分後にロイがピットに戻ると、デニムは右腕を守るように自然体な姿勢で準備をしていた
ロイは彼を心配するも、大丈夫の一言を後にコースへ走っていく
痛み具合はひどいほどではないが、振動やスロットルを回すたびの痛覚が痛いほど伝わり
奥歯をかみ締め身体を膠着してしまう状況もあった

 

「ロイ君のチームの・・・何かあったのでしょうか?」
「?どういうことですかそれ」
「何かパートナーに何か異変があるような感じがするみたい」
「ホントどうしたんだろう、あたしはよくわからないけど・・・」
「もし今の状況が本当だとすれば今のロイたちは
 向かい風が来てるとおもうわ」
VIP席よりチームの状況を見ていた彼女たちは、ロイ(主にチーム)になにやらアクシデントがあると睨んだ
曲がりなりにも彼女達は紋章町の住人である、傍目から見ての人物の状態を一目で
おおよそ70%は理解している

 

彼女たちがフリー走行を見ていると一人が会話を持ち出した
「ロイ・・・何かカッコよくなってない?」
狐髪の少女がモニター越しに写るロイの姿を見た、彼の眼差しはライオンのように鋭く
いつも子供のような顔ではなく、アスリート以上いくさ人並みの表情になっていることがわかる
また彼女は彼の姿を目に焼きついて言う
「うちらの町ってカオスで時折喧騒あるじゃない、それでロイはあたし達や誰かをを助けるともあるのだけど
 そのときの目つき以上になってないかな
 それに、あんなあいつの顔したのって今まで見てなかったし」
「うん、いつもどこか幼い顔してるし、おまけに天然が入ってるところもあるけど
 今日のロイ君は何か一味違う感じがするね」
「いつも趣味で女の子に興味や関心はないけど、ここ最近のロイ君は
 何か違う雰囲気を出してる感じがする」
「これが私達に向ければいいのにねぇ・・・
 でも、それがロイのポイントみたいなものだしね」
「フフッ、何だかんだ言って皆さんロイ君が気になるのですね」
「「「「うん」」」」
彼女達のロイの評価において悪い点もあるが、今の状態がすごくよい感じに見えている様子だ
彼との付き合いが長い彼女達は、そんな彼が気になっていく。女心が疎い彼でも。

 

「・・・?」
「どうしたんだロイ?」
「うぅん、誰かに目を着けられてる感じがするんだ」
「お前、誰かに恨み持たせたりしてないか?」
「それは・・・・・・ある」
「何だお前心当たりがあるのか?」
「ええ・・・ちょっと」
そんなロイは彼女たちが来るのを知らずにレースの方へ集中していた
またイーライからのくだらない質問に対して、心当たりがあるようにこたえた
かつて自分が泣かせた自分を想っていた彼女達に

 

日はまさに晴天、雲はあれど今回の舞台にはもってこいの天気だ
しかし季節は夏、炎天が観客そしてレーサーに熱を注いでいく
『さぁ参りました第XX回任天都8時間耐久レース!
 今日この日をどれだけ待っていたことか!土曜に行われた250のレースから
 まもなく1000・600の混戦の火花が切って落とされようとしてる!
 最早誰もが優勝の二文字を狙おうと闘志を燃えあがってきた
 スタート開始まで後1分、観客のみんな、アーユーレディー!?』
「「「「「イェーイ!」」」」」
アナウンスからの大きな掛け声から響くコールに、観客もそのコールに答えようと
腹の底から嘶きを上げてゆく
この炎天の中の観客の熱気は徐々にはれ上がり、興奮冷めやらぬ状況だ
しかし出場レーサー達は炎天に加え路面温度の熱気によってヘルメットとスーツの中が
滂沱(ぼうだ)となってレーサーの神経を鈍らせていく状況だ
さらにわれ先と目指すプレッシャーも圧しかかって加えられていく
そしてロイはその600クラスのポールポジションを一番手で走るという大仕事がある
怪我をしてるデニムのためにも、優勝を目指すチーム、そして世界大会に挑戦する自分のために
負けるわけには行かず、シグナルとマシンに神経を尖らせている
『ロイ聞こえるか?お前一番手を走る以上とにかくトップをキープしろよ
 今お前に掛かってるからな』
「わかりました監督」
『後それから・・・デニムや俺達のためとはいえお前が無茶をするのはわかる
 だが出来る限りのことだけをやるんだ。時間とラップをお前なりに稼いでくれ』
「・・・わかりました」
無線でイーライは指示を受けたのち、小声でロイを心配する
今頼りにしてるのと同時に彼の安否が気に掛かっている
イーライとデニムをはじめスタッフはまじまじと彼の様子を見つめていく
マシンを支えているリッドも彼がスタートできるのかと心臓を漠々させながら見守る
そして彼女達もロイが無事スタートできること祈っていた
ロイは暑さを耐えながらシグナルとマシンを見ていた、カウントダウンが始まり残り20秒になる
600クラスのポールポジションである自分には大きなプレッシャーであるが
そんな様子を微塵も見せる様子もなくロイは、今自分に出来ることを頭に入れていく
(今自分はポールポジション、ここからホールショット(スタート直後の第1コーナーをトップで出る)を狙い、
 稼げるだけ稼ぐ、よし・・・行くぞロイ!そして一緒に行こう『レウス』!)
目の前に勇ましく待ち構えてるマシンとともに応えようとロイは深呼吸をして走る準備をしていた
そして2位にいるオズはロイとデニムのガレージをぎらつかせながら睨みつけていた
自分にとって格下の相手に予選で負けたことを今でも根に持っている
最早彼は優勝を狙うと同時に二人を踏み潰したいという思いでいっぱいだ
(ロイ、デニム今お前たちが笑ってるのも今のうちだからな・・・!)

 

カウントダウンが残り12秒となった、同時に観客やアナウンサーの声も自然と大きくなっていく
『10!』
「「「「9!」」」」
レーサーたちが残り10秒を切り、前かがみになる
『8!』
「「「「7!」」」」
出場チームのスタッフ、監督も彼らの様子を見守っていく
『6!』
「「「「5!!」」」」
『4!』
「「「「3!!!」」」」
それぞれの思いがここでぶつかり合う
それぞれの願いがここできらめきあう
それぞれの闘志が熱くたぎり行く
『2!!』
「「「「「「1!」」」」」

そして
「「「「「「スタート!!!!!」」」」」
会場に響くスタートの合図と火薬のにおいが
戦いの火蓋を切って落としてきた

 
 
 
 

若獅子の激走 続