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Last-modified: 2018-02-04 (日) 23:44:32

・作中現実のものと違うところがありますがフィクションとして見てください
・キャラの口調と性格が異なる(改変もしくは崩壊)してるところも
・またオリキャラが登場しますが注意をお願いします
・一部物理無視の描写が有るため此方も注意を
・作中の時期は夏です(重要?)
・今回はオリキャラが主役の内容です
以上の内容が苦手の方はスルーをお願いします

 

(ここは、俺がかつて通ってた学校・・・?夢なのか?
 あれは俺と・・・オズ)
『どうだデニム、てめぇが負けた感想は』
『・・・詰めが甘かった、とだけは言っておくさ。だが、次は・・・勝つだけさ。』
デニムは今過去の自分を見ている、目に映るのは夢であるのがわかった
3年間レーシングスクールに通っていたころの本人だ
目の前にいるのは、いつも勝負に勝ったり負けたりした一人の天才、昔のオズだった
この日のレースは自分の負けであった、それにオズはその負けに拍車を掛けるような煽りを言ってゆく
挑発を受けながらもスルーしつつ、昔のデニムは敗北を受け止め、自室に戻ろうとする
『・・・チッ、おもしろくねぇ』
(そういえば昔の俺、あいつからの挑発に軽く流してたのだったっけ。懐かしいな・・・)

 

それを思い出そうとして次に場面が変わった、
目の前には学生時代に住んでいた自分の部屋の中、その周りにはモータースポーツにまつわる本や資料
並びに自分の書き記したノートが数多、机には本日のレースの結果の敗因を書き上げていた
『あの時は右コーナーでアンダーを出してたから、小刻みにブレーキを掛けていけば・・・
 だけどそうすれば後方から来るマシンがアウト側から抜かれる可能性も・・・
 ということは当たり前だが、もう少し手前でブレーキを掛ければアンダーが出ずに
 ブロッキングも可能、と。でも他にもベストラインがあるはずだが・・・』
(今見ても思い出すな、俺はレーサーにあこがれてモータースポーツのいろんなものを見て
 そしてここがあることを知って、難関の受験を合格した。
 入学等の学費は馬鹿にならなかったが、孤児である俺のために先生方はカンパさせてくれて
 俺は入学できた・・・。)
デニムは孤児であり養護施設に入っていた
本来なら普通の学生として行く筈だが、己の夢をかなえるために狭き門であるにも関わらず、
レーシングスクールに入学できた
またそれをを後押ししてくれた人、先生方の恩を報いるために、デニムは一所懸命に勉学に励んでいた
今回の敗北を、次へのステップアップのために日々モータースポーツの復習を取り組んでいく

 

己の勉学の姿を見ると再び場面が変わった
映ったのは授業の練習試合の時だ、この試合でオズと僅差でデニムは1位をとった
勝利に安堵する少年のデニムはマシンを降り、ピットガレージに入っていく
だが、本来ならお疲れ様の一言ぐらいかけるはずだが
彼に対する生徒達の視線が邪険な目で、無視するような姿勢であった
「・・・どうしたんだよみんな急に」
思わず呆然とするデニム、しかし彼らはそんなのもお構いなしに片付けに取り掛かっていた
教師に取り合ってみたものの、困惑を極めており対応に困っていく
(・・・このときだったからか、俺が周りから蔑ろにされているのは
 それに無視した一部のやつらはあいつの下に行った奴らだ。おそらくはあいつがやつ等に、いや元々オズ派だったのかもな)
デニムは彼らの顔を覚えていた、オズの腰巾着である彼らだ
彼らは元々オズの派閥であろうと考えた、其れもそのはず彼らはいつもオズと釣るんでいるのを思い出した
少年のデニムは声を掛けてみたものの、全く持って相手にされず、しかしオズがガレージに帰ってくると彼らは、オズの元へ集まっていく
少年のデニムは彼らに疑問と怒りや嫉みを覚えるも表に出さずただ羨みつつ彼らの談笑を傍らから見て無言で後片付けをしていった
(・・・今となってもこの時の自分はどうして声を上げなかったのだろうかと思うと情けないな)
その有様をただ見ていたデニムは、ため息の一つ二つは上げていった
なぜ無視するのか、自分のどこか悪いのかと一言いえばよかったと
この出来事が後に自分を崖淵に立たされてしまっていくことに
この光景を見たときから今と少年の自分は何度も見るようになった
彼らの無視が日に日に増していく、授業の終わりでも、休暇でも、練習試合でも
もはやいじめの領域であった
自分から挨拶、言葉掛けしてもクラスメイトは反応せず、オズからのは受け返しが来た
この場で怒ればよかった、声を上げればよかったと今の自分が昔を見ても、後悔が産み出されるだけだ
少年の自分はこの場を耐えようと必死だった、問題を起こし怒れば水泡に帰すと思ったいた
孤児の先生の恩に報いるためにも耐え忍ぶのが精一杯であった

 

そんな過去を見ると三度(みたび)場面が変わった
それは、彼にとって運命が決まり、希望から絶望に変わり、そして悪夢を見た過去であった
3学年の卒業試験と入団試験をこめたレースだ
この場に集まったのは学生や生徒を始めプロのレーサーとプロチームの監督が視察しにきた大事な試験だ
ここで上位成績もしくは1位を取れば間違えなく入団の契約が交わされる
やっと掴める夢がある、踏み出せる道に行ける
デニムの心臓は高鳴り、拳が振え、意気も上がっていく
学年最後のレースで上位の成績を収めて、プロと契約して、孤児院の先生方への恩返しと卓上の想像であるが
誓いを立てんとするデニムは闘志を静かに滾らせて、マシンやコースの最終チェックを済ませると静かに待機した
しかし、今のデニムにとってはこのあと起こる出来事は確定的なものだと同時に
せめてという意味をこめて願望が湧き上がる
(・・・せめて・・・せめてこの夢だけでも良い結末だけでも見せてほしい)
今の自分が弱気になる、苦痛の記憶はいくら振り払おうとも後からまたやってくる
もはや避けられないものだ、少年の未来は・・・絶望の門の入り口だ

 

コンディションは上々、マシンも上々であった
だが体の中が沸騰するほど湧き上がるアドレナリンと、頭の中に稲妻が走るほどのストレスが不協和音を起こすほど大きくなっていた
少年のデニムはこの状態の中グリッドについていく、息を切らすほどに肩が張っていく
そしてシグナルが赤から青に変わると、学生最後の試験のレースが始まった
少年の中で起きてる不協和音のせいか、スタートのタイミングを逃してしまった
出遅れた
遅れながらも8位スタートとなった少年のデニムは、第一コーナーを抜け遅れたぶんを取り戻すべく
エンジンの音を高くする
勝負は15週、入団候補生の生徒たちは上位を目指そうと互いに火花を散らしていく
デニムは下位でゴールするという甘えを許さなかった
上位をキープすることも入団条件の一つだがより高く目指すためにもトップを勝ち取ろうと
現在1位を走る、少年のオズに狙いを定めていく
(待ってろよトップ、俺が必ずチェッカーを手に入れてみせる!)
少年のデニムの内なる闘志が燃え盛り、エンジンと自分の高鳴りが己とマシンのギアを上げていき
次々とコーナーをはやての如く駆け抜けていく

 

残り1週、現在2位に上がり遅れたぶんを戻した
途中ブロッキングでオーバーテイクが出来ず、膠着状況もあったが己が技を駆使しマシンを信用して
ここまで上り詰めた
少年のデニムは希望に満ちていた、己がその先の道へ進めれることに
今のデニムはただ祈っていた、自分がこの後起きる事がおきないことを

 

コーナーは残り7つ、ゴールまで1kmと少なくトップとの距離は10mと射程範囲内に収まっている
(来たか)
サイドミラーから後方をオズが覗く、その姿を見ると三日月に笑みを浮かべた
黒い笑みだ
デニムが来た事が彼にとって千載一遇の機会であった
あいつをこの手で終わらせることが出来る
オズの狂喜が表立っていくのがメットの中で浮かび上がっていく
そんなのを知らぬ少年のデニムはトップへ向けてアクセルを離さずにいる
ゴールも近い、今の順位でもいけるが甘えたくない。
トップに立って、夢を手に入れたい。
そんな思いが前に進めと魂がさけび、トップに狙いを定めていく

 

しかし今のデニムは待てと叫んでみた
それ以上行くな、行ってはダメだ
叫んでも出ない、叫んでも届かない自分の声が願望をこめて叫んでいく
(頼む!奴を抜くな!抜かないで・・・くれ!)

 

テールトゥノーズに入りデニムはアウトからコーナーを抜こうと差し掛かる
イン側のオズは負けじと渡さないようにインベタをキープしてゆく
残すコーナーもあと5つ、僅かな膠着状態からチャンスは訪れる
デニムにとってのオーバーテイクポイントが次のコーナーで抜けれると確信した
サイドバイサイド
両者は差し迫るコーナー入り口にてブレーキングを仕掛ける
ギアを下げエンジンの高鳴りが重なる、 デニムは外から攻め、オズはインを守る
両者一歩も引かずのコーナリング勝負
どちらかが頭を取るほうが勝つ
アクセルを緩めない両者、高速コーナーから4つ抜ければコントロールラインは目の前にある
チェッカーを取れば道は開けるとデニムは、アクセルを抜かず外からオーバーテイクをする
徐々にトップを勝ち取れる自信が心の中で湧き上がっていく
(もうすぐだ、もうすこしで・・・勝てる、勝てるんだ!)
最早勝利はあと一歩であることを確信する、そしてギアをあがる
これを見てる今の己は行くなと届かない叫びを再びこだます
その先にある最悪の思い出を知っていた

 

高速コーナーの半ばに差し掛かりにデニムはコースのイン側に、黒い浮き出てるものが見えた
(何だあれは・・・前の周であんなものはなかったぞ?)
前の周での高速コーナーはクリーンの状態であった、だが最終ラップでなぞの物体が出てきた
一体何なのかと一瞬考えたが、デニムは最悪な回答を浮かべた
(まさか・・・オイル!?)
レース上マシンに異常をきたした時オイル漏れが起こる
このオイルを踏んだとき、グリップが落ち転倒することがある
特に高速コーナーはハイスピードでコントロールするためかなり危険だ
危険を感知するドライバーはそれを瞬時に判断しなければならない
今がまさにそれだ
デニムは黒い物体がオイルだと思い、咄嗟にラインを変え、アウト側に寄っていく
無理をせず突っ込みを掛ければ、もとの木阿弥にもなりかねない
ここは安全を掛けようとそう判断した
コースに視点を落としたことでデニムは再びコースに正面を向ける
次のコーナーをと注視する

 

光が彼の目をさえぎった

 

(!)
思わず目を瞑り、さらに危険を悟るデニムは体勢を安定にし、両ブレーキを掛けた
身を固めつつもデニムは勘を頼りにラインを維持したままコースを抜けようとした
負けるかもしれない、とにかく今は順位を確保して抜けるしかない
そう思った

 
 

デニムのバイクに衝突の衝撃が走った

 
 

それはデニムにも伝わってきた
走る衝撃から、自分の体が浮き上がってきた
目を見開いていく
映るのはアスファルト、自分が走っているコースの上だ
体が左に回っていく、バイクが映った、自分の愛車だ
ゆっくりと落ちていく感覚がおぞましく感じる
思わず頭だけを反対側に向けていく
オズだ
オズが悠々とコースを走っていくのが見えた、その姿がとてつもなく黒く感じた
やがてゆっくり感じる落下の感覚は、ついにアスファルトと衝突した
そこから倍速が掛かるようにデニムが転がっていった、マシンも同じく宙を舞っていく
デニムの時間は止まってしまった
そして今のデニムは見慣れた悪夢に苦悶を浮かべていく

 

コントロールライン、生徒や職員、来客が最初にチェッカーを受け取るのは誰かと浮つく気分になっていた
首位候補のデニムかオズか、はたまた他のレーサーかと今か今かと待ち構えていた
遠くから最終コーナーを立ち上がり、一番手が向かってきた

 

オズがやって来た
後ろとの差は大きく離れており独壇場でコントロールラインを通過していく
オズはチェッカーを手に入れ、ピットにいた生徒と教師たちの顔は表情を浮かべた
「やったなオズ、プロ入りは確定だよ!」
「うそだろデニム君が・・・まけた・・・」
オズの勝利を信じたものは歓喜にあふれ、デニムの勝利を信じるものは驚愕した
オズは拳を突き上げウィニングラップを走っていく
「やっぱりオズが勝つに決まってたろ!あいつが勝つなんて逆立ちしてもかてねぇよ」
「そうだな、あいつじゃオズに勝つことなんて万分の一もありえねぇよな」
オズの派閥の生徒たちはデニムの敗北を貶していく
オズのチェッカーを受けてからその後は入団候補生の生徒が徐々にゴールしていく
デニムの勝利を信じた人たちは、いまだにその主が帰ってこないことに一抹の不安を感じる
「なぁ、デニムは・・・」「あいつどうしたんだ一体?」
オズがウィニングラップを終えてピットに戻る、マシンを降り喜びを分かち合っていく
最早お祭りムードである
そして続々とクールダウンラップを済ませた選手たちがピットに入っていく
そこにデニムの勝利を信じてた人が、レースを終えた選手に話しかけていく
「なぁデニムは見かけなかったか、あいつ一体何があったんだ!?」
「・・・」
「おい、黙ってないで何とか言えよ。あいつに一体何があったんだよ?!」
話しかけたが帰ってきたのは沈黙だ、その態度に癪に障ったか声を荒げて詰め寄っていく
デニムが戻ってこないこと不安と不穏が募り行く
すると一人の生徒が最後の選手がコントロールラインに向かおうとしてるのを見かけた
「・・・!おいあれを見てくれ」
「・・・デニムだ!おーいデニ・・・ム・・・!」
「どうしたん・・・だ・・・!?」
デニムであった
デニムが帰ってくるのを見えた学生一同は大手を振ってみて、しかし徐々に近づいていく彼の姿に一同は絶句した
ヘルメットは数多の擦傷、バイザーにヒビが、スーツは転倒した跡が残るような砂利が
そしてその転倒をものがたるマシンが、デニムに押されている
一同は彼の姿に沈黙し、その姿をただただ見ていく
デニムはレースが終わっていてもなおコントロールラインへ押していく
ようやくコントロールラインを越えた
デニムは教員にピット出口から入るよう誘導され、マシンを降ろしていった
転倒があったせいかサイドスタンドがはずれ立てれない状態だ
一方でこの光景を見た今のデニムは、眉間にしわを寄せつつこの光景をみていく
この後起きることも今でも憶えている奥歯をかみ締めたくなる思い出が

 

デニムがレースをヘルメットを片手でぶっきらぼうに外していく
額から血が流れて入るにもかかわらず、血眼になり、トップを手に入れたオズの方へ足が力みを入れにじり寄っていく
「テメェ俺を殺す気か!?」
デニムは開口オズに向かって怒りをこめ怒鳴り声を上げていく
学生や教師並びに来客一同は彼の怒鳴り声に思わず顔をこわばらせていく
学生と教師は普段おとなしかったデニムの豹変に驚愕、並びに彼が怒りをあらわにしたことに言葉が出なかった
また来客は彼の怒りに唖然とし、また候補生が緒が切れてる姿に目を点としていく
デニムの怒りを受けたオズはうろたえ、パニック状態で言葉を続けていく
「な、何言ってんだよ俺が何かしたの?俺はお前に何もしてないよ?」
「嘘つけぇっ!テメェだろうが、俺を・・・俺が倒れたあのコーナーで倒したのは
 お前だろ、違うか!?」
「冗談じゃない、俺がそんなことするわけないだろ?なあ?」
「・・・この期に及んでそんな事を、テメェは一体」
デニムはオズが自分をぶつけてリタイアさせたと思い、気が済まないまま彼を追及していく
それを聞く教師や来客並びに、本当かと顔を浮かべる
卒業試験にてこのような行為があることは、大問題である
「それは本当かデニム?」
「・・・確証はないが、俺が倒れる前はオズと横一線で勝負してた」
事のあらましをあらかた説明するデニム、それを聞いた一同は呆然とした
真剣勝負の場にて起きた、信じられない出来事
もしそれが本当だとすれば、それは列記としたスポーツマンシップに反する行動だ
この出来事にざわめきは収まらず、教師たちは今の状況を鎮めるために一声掛けていく
審査員を務める教師は直ぐ様、デニムが転倒したところをカメラで確認する

 

デニムは怒り猛る眼差しが収まらないまま睨みを効かしている、対するオズは何処かしら落ち着いた表情だ
デニムはこの状況が気に食わなく、またオズに対しても嫌悪を表さずにはいられない
身の震えが収まらず、顔が岩のようになり、最早周りの人間は一歩離れており一触即発の爆弾があるという環境だ
確認から数刻、審査員が戻ってきた
デニムはようやく来たかと思い詰め寄っていく、自分の中で証拠はあると思い審査員に問うてみた
「デニム・・・お前が言ったオズの妨害は・・・」
デニムは目を開き、確かなものを告げてくれるときたいした

 
 

「・・・残念ながら、ビデオには写ってなかった・・・」
だが返ってきた答えは、デニムの予想を裏切る答えであった
彼の中の時間が、再び止まった

 
 

若獅子の激走 続