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Last-modified: 2013-11-07 (木) 00:22:28

124 :リムステラさんが暴走したようです11:2010/12/04(土) 23:29:46 ID:97LL3ZTR

前回までのあらすじ

紋章町のバストサイズ平均を大幅値下げしていた犯人は、リムステラ(多数)だった
ベニグオン社を落とした彼女の次の目的地は、エイリークの通うルネス学院
果たして、この物語はどこへ向かうのか……

ゼト・サレフ「「久々に出番gアッーーー!!」」
学院の警備員らしき連中を文字通り一蹴し、私は生徒達のいる教室へと歩を進めた
あの二山の双丘を手に入れる為なら、何人も今の自分を止めることはできない
(しかし、ずいぶんザルな警備だ。
この学院は女子校生目当ての変質者が多く、そのため警備員もそれなりに多いと聞いていたが……!?)

背後から、殺気

咄嗟に前方へ身体を投げ出すと、ほぼ同時に先ほどまで身体があった所に小剣が突き出される
体勢を立て直しつつ追い打ちを警戒したが、全力の突きをかわされたことで襲撃者の方も僅かに体制を崩していた

「よく避けましたね。本気で倒すつもりで攻撃したのですが」
マントにマスクという、舞踏会から抜け出してきたような格好の襲撃者は体制を立て直しながらそう言った
「いきなり暗殺とはこの学院はたいした警備員を雇っているようだな」

「警備員……ですか。ふ、ふふふ……」
突然襲撃者の方がこらえきれないとでも言ったように私の目の前で笑い出す
私の発言にどこか笑う所があっただろうか?どうもユーモアというものはよくわからない……
「ああいえ、すいません。
 私は実は警備員ではなく、むしろ警備員に追われる側なので……それが可笑しくて、つい」
「…ほぅ。ならば何故私を狙う?
 私は今であったばかりのお前がここで何をしようと知ったことではないのだが」
「そうですか……しかし、私はあなたに用があるんですよぉ」
そういいながら、徐々に私の方に近づいてくる
気のせいか、先ほどよりも殺気が増した気がする

125 :リムステラさんが暴走したようです12:2010/12/04(土) 23:33:20 ID:97LL3ZTR

「その用とやらは、一体なんだ?」

「何って……決まってるじゃないですか」
そして、奴は一瞬口元に笑みを浮かべ、そして……こう言った

「その胸にぶら下がってる醜い脂肪の塊を削ぎ落として差し上げるんですよぉふふふあははっははははははははは!!!」
口元に狂気の笑みを湛えたまま、小剣を胸元へと突き込んできた
「甘い!!」
先程の宣言通り胸がコンプレックスになっているらしく、執拗に胸部ばかりを狙ってくるので避けることはたやすかった
しかし予想以上に相手の剣が早く、剣と剣の合間に反撃することはできそうにない

(くっ……!それにしても、この太刀筋は………!!)
「ほらほらほら!そんな無駄な肉をつけているから回避が遅れるんですよ!!」

攻撃を見切れない原因の一つは、相手の変わった剣の型にもあった
まるでフェンシングのように、細身の小剣をこちらに向けて突き出してくる独特の剣技
従来の剣術とまったく異なる攻撃は、避けにくいことこの上ない

「話になりませんね……やはり以前のスリムな体型の方が良かったのではないですか?」
「!!!」
(私の以前の姿をしている……それにこの剣、こいつの正体は………)

従来と異なる突剣術
胸部への異様なまでのコンプレックス
これらの共通点を持つ人物がただ一人、自分の数少ない知人の中から浮かび上がってきた
彼女の名は……

「ふふ、これで、とどめ………!」
「ッ待て!エイリーク!!」

126 :リムステラさんが暴走したようです13:2010/12/04(土) 23:37:16 ID:97LL3ZTR

「!!!」

私が良く知る友人の名を叫ぶと、襲撃者の動きがピタリと止まった
そしてしばしの沈黙の後

「いつから……気づいていたんですか?」

仮面の襲撃者は仮面を外し、その素顔をこちらに晒した

「同胞の事を間違えなどしない。
 気付くまで、少々かかったがな」

私の予想通り、謎の仮面の正体はエイリークだった
私の数少ない友人の一人で、私と同じ悩みを抱える同士……
しかしその同士は、私の同胞という言葉を聞いた途端に、再び端正な顔を歪ませこう言った

「よくも私に同胞などと言えたものですね。
 ……確かに、私とあなたはかつて、同じ志の元に集い、鉄の絆を築き上げた…………しかし!」

ヒュッ!

一瞬の隙を突いて、私の胸元に剣が突き付けられる
それもあと数ミリで、皮膚を貫くというギリギリの所にだ

「あなたは我らの掟を破った・・・・・・!」

しかし私は微動だにせずに、エイリークの方を見続けた
「……分かっている。この身体の事については、これから説明する。
 私は、お前を裏切るつもりなど毛頭ない。頼む、信じてほしい」
私の返答を聞くと、エイリークの剣先が徐々にぶれだし、
やがて剣がすっと地面に下ろされる

「……分かりました。
 しかし、あなたの説明に納得できなかった時は……」
「その時は、私をその剣で好きにするがいい。
 お前には、その権利がある」

「う、うーん………私はジェイガンと違ってできる子………」
「ぐぅ……弟子のユアンの方が優秀とか言うな……」
先程気絶させた警備員達だが、どうやら目を覚ましそうだ
増援の気配もすることだし、ひとまずエイリークと話ができる所まで移動することにした
どうやら、エイリークに心当たりがあるらしい

127 :リムステラさんが暴走したようです15:2010/12/04(土) 23:38:48 ID:97LL3ZTR

「この紅茶を飲まれよ」

「ありがとうございます。……ここなら大丈夫なはずです」
「ふむ、確かに人気はないが……店の主人に聞かれる危険性があるのではないか?」
「それなら平気です。マスターはいつも注文が無い時は別の店に行ってますから」
連れられて来たのは喫茶・漆黒と書かれた大きい看板が特徴的な一軒の喫茶店だった
看板の大きさの割に店はあまりはやっていないように見える

「そんな経営状態でやっていけるのか?
 まぁいい……先程の話の続きだが」
「はい」
エイリークの顔が引き締まり、私も自然と声に力が入る

「初めに行っておくが、ここから先を聞く以上はそれなりの覚悟が必要だ。
 もし計画の内容を他人に漏らすようなら、教えることはできない。
 ……それでも聞きたいのか?」

私としては、正直エイリークには断ってほしかった
友人をこんな形で巻き込みたくはなかったし、そもそも彼女もこの計画ではメリットがあるのだから

しかし私のそんな願いとは裏腹に、エイリークは覚悟を決めたらしく私の最後通牒に
「……もちろんです」
と言いきって見せた
「分かった。そこまで言うのならば教えよう。
 不当なまでに狂わされた人生の秤を、本来の位置に戻すべく立ちあげられたこの計画の全貌を……!!」

…………
………
……

それから数十分かけて、私は計画の内容を余すところなくエイリークに伝えた
彼女は初めは驚いていたようだが、最後の方になると憤怒が前面に出てきていた
(……当然か、彼女は公正明大な人物。
このような不当な手段で利益を得ても喜ぶような女性ではなかったな………)
「リムステラさんっ!
 これはどういうことですか!!」
最後まで聞き終えたエイリークが、ばんっと音を立ててテーブルを叩きながらそう言った
私は咄嗟に2人の紅茶がこぼれないように避難させつつ、次に彼女の口から発せられるであろう罵倒に備えて身構えた
覚悟していたとはいえ、親しい者に罵倒されるというのはやはり辛い

しかし、次に彼女の口から発せられたのは、私の予想とはかけ離れた内容であった
「どうして……どうして最初から私に声をかけなかったんですか!!」
「………え?」

128 :リムステラさんが暴走したようです15:2010/12/04(土) 23:40:10 ID:97LL3ZTR

「こんな素晴らしい計画があったなんて……まったく、水臭いじゃないですか。

 もし声を掛けてくれていたなら、同じ貧乳同盟の同士である以上協力は惜しまなかったというのに…………」
「いや、その……なんというか、すまない」
予想外の彼女の反応とその迫力に、思わず頭を下げてしまった
まさか反対されこそすれ、肯定されるとは考えもしなかった

「さあリムステラさん、こんな所でお茶なんか飲んでる場合ではありません!」
「あ、ああ」
「次のターゲットの所にいきましょう!今度は私も手伝いますから、もっと早く集められますよ」

………こうして、予想外の出来事であったが、私の計画は一歩大きく前進した
エイリークは驚くほど交友関係が広く、故に相手を油断させるのに大きく役立ってくれた
……彼女の私生活のために、相手のエイリークに関する記憶は抹消しておいたが

「あのお姉さま、ちょっとお話が……」
「あら、エイリークちゃん!
 こんなに早く帰ってきて……学校の方はどうしたの?」
「今です!!」

…………
………
……

「エイリーク、エフラムについて話があるって言ってたけど何かあったの?
 あ、もしかして例の政党のことで……」
「ターナ……私たちは友人ですよね?」
「え、ええそうよ?どうしたのいきなり………」
「全ては……あなたのその大きすぎる胸が悪いんです。
 でも大丈夫、今すぐ私があなたを救ってあげますから」
「え、エイリーク?一体何が」
「今です!!」

…………
………
……

129 :リムステラさんが暴走したようです16:2010/12/04(土) 23:42:06 ID:97LL3ZTR

彼女が自分の親しい人間を計画の為に犠牲にしてくれた

ならば当然、首謀者の私もそうするべきだ
というわけで、エイリークが授業を受けている間に私は組織のめぼしい人間を訪問することにした

「…ウルスラよ」
「リムステラ…様。
…覚悟はできています」
「そうか、なら話が早い」
「アッー!」

…………
………
……

「……あ…あっちに行きなさい……人形め……
 ネルガル様…
 …ああ…たすけ…て」
「……お前もモルフだろう
 それと人形からエーギルはとれないはずだが、
 胸部エーギルは人間と同じ故に摂取することが可能だ。
 というわけで、原作基準なのはここまでだ」
「メタ発言アッー!」

…………
………
……

こうして私の分身の活躍もあり、我々は多くの胸部エーギルを得ることができた
無論被害者の女性達には申し訳のないことをしたが、中には肩こりが治ったり、
特殊な性癖の想い人を振り向かせられたりといったこともあったのでまあいいだろう

そして、この計画が始まってから1カ月
集めたエーギルは10000人分にも及んでおり、
とうとうプロジェクトの最も重要な部分に入ることができるようになった
今まさに、我らの悲願が叶おうとしているのだ

「さあ、始めようか」
「………はい!」
                                つづく

130 :リムステラさんが暴走したようです:2010/12/04(土) 23:44:07 ID:97LL3ZTR

やっちまった……

本当は32章のスレがたったころに構想はできてたんだが、エイリークのキャラが壊れすぎてたのと
スレの最初の家族物2本に感動したのが重なって投下できなかったんだ……

次回で終わる予定です