Last-modified: 2023-08-12 (土) 14:53:41

土壌の生成作用、作用→地域→気候・植生

高緯度地域

  • ツンドラ土。北半球の北極海周辺部に広く分布し、山地の高峰などにも限定的に分布する。
  • ツンドラ気候(0℃以上の平均気温を示すのが2-4ヶ月と長い極寒の冬をもち、250-300mm/年と降水量が少ない。)
  • ツンドラの境界地域で、風のあたらない場所では、トウヒ・カラマツ・マツ・カバノキ・ポプラ・ヤナギ・ナナカマドなどが生育できる。厳しい気候のため、矮小で変形を受けている。
  • ツンドラ地域では、ハイデソウ・北極コケモモ・山岳ダイコンソウ・キンボウゲ(地衣類・蘚類)
  • 有機物の分解速度が遅く、土壌中の有機物の集積は緩慢である。土壌生成が行われるのは、土壌の上部の層が融解する夏に限られる。低温でも蒸発量が降水量を上回るため、土壌を溶脱する水は初夏の雪解けによってもたらされる。永久凍土が地表に近いところでは下方への溶脱は明らかに制限されており、永久凍土が土壌中のより深いところにあって、土壌が透水性を有するところ(ツンドラ帯の周辺部で条件の良い場所)に限って、通常の層位が生じる。
  • 特徴的な成熟土壌としては、北極褐色土が挙げられる。ツンドラのより典型的な土壌は、排水の悪い条件下で形成されたグライ土・泥炭質グライ土である。その他に、ポドゾル・グライポドゾル・泥炭への移行的な土壌があり、ソロンチャーク(塩類が斜面の下部に集積するところ、あるいは塩の飛沫が内陸に運ばれ土壌中に集積するところ)も分布する。

中緯度・冷帯気候

可溶性土壌成分を全体として下方へ溶脱し続けるのに充分な降水量がある。ポドゾルは亜寒帯林と結びつき、北方を代表する(落葉樹林域の中でヒース植物が優占する砂地・礫質の地域にもみられる)。褐色(森林)土と灰褐色ポドゾル性土は落葉樹林と結びついており、灰色(森林)土は森林とステップの遷移帯に結びついている。これら土壌生成帯の中には、成帯性土壌型からの変異(母材・植生・有機物の集積・土壌耕水・成熟段階など相互作用で生じる)が多数存在する。

ポドゾル

  • 北極圏をとりまく地帯に分布(南側でも母材・気候・植生の組み合わせが発達に適しているような地域で限定的に分布)。ポドゾル化作用は、透水のよい砂や礫の上で最も急速に進行する。
  • ソーンスウェイトの蒸発散値は400-500mmのラインにあり、ケッペンでは寒冷帯の南限と一致する。ケッペンにおける、僅かに温暖な気候(Dfa Dfb Dwa Dwb)、冷帯気候(Dfc Dwc Dwd)、西岸海洋性気候(Cfb)のところに見られる。冬の凍結条件は土壌生成を抑制するが、春の雪解けによって水分が得られるので、土壌断面中に溶脱作用とグライ化作用が発生する。
  • 北半球高緯度にある針葉樹林やヒースと結びついた土壌である。ヨーロッパではトウヒ・マツ・カラマツ・カバノキ、シベリアでは極限にダフリア・カラマツが優占、極東ではトウヒとモミが優占。アメリカでは種の数がもっと多く、排水の良い土壌ではトウヒとモミ、悪い土壌ではクロトウヒ・アメリカカラマツが生育する。より西側ではロッジポールマツ・高山モミ、ツンドラとの移行帯ではガンコウラン・ツルコケモモ、地衣類が現れてくる。
  • 雨水の下方への浸透によって土壌成分のお再配分が生じている。ポドゾルのような酸性条件下では、有機物の微粒子は有機―無機複合体を形成することができ、これが断面下部に移動する。鉄・アルミニウムが除去され、粘土が分解され、Ea層位中に残留するケイ酸の量が相対的に増加する。Bs層位中では、鉄・アルミニウムの三二酸化物の量が増大し、ポドゾル断面の特有な層位が形成される。
  • 低地地域では、変異のいくつかが成熟度系列(酸性褐色土→鉄ポドゾル→腐食―鉄ポドゾル)をつくって結びついている。
  • ポドゾル化作用を受けている透水性の良い母材中に水位の高い地下水が存在するところでは、地下水ポドゾルが生成する。湿潤状態が不透水性の母材と一致するポドゾル地帯では、低地帯にグライ土、または泥炭質グライ土が形成される。
  • 雲量が多く、蒸発散量が少ない環境では、酸性の有機質堆積層の集積が助長される。その堆積層の下ではグライ化作用がおこる。盤層の上に集積する水が、水で飽和した表層に対してグライ化作用の影響を与えている。
  • 褐色ポドゾル性土=ポドゾルの亜群の一つ。

褐色(森林)土

  • 五大陸に一様に分布。
  • 風化B層位は色・構造・炭酸塩の除去といった点で母材から変化しているが、洗脱された粘土・鉄・アルミニウム・腐食の集積は生じていない。
  • 酸性褐色(森林)土と、褐色土あるいは褐色森林土に細分される。
  • 褐色(森林)土とその類縁土壌は、原植生が落葉樹林で覆われていたような地域と結びついている。ヨーロッパでは、オーク・ブナ・トネリコなどの林地によって特徴づけられ、アメリカではオーク・ブナ・カエデ・ヒッコリーによって特色づけられる。現在は広域に伐採されたが、もともとは高木の樹冠で覆われ、豊富な林床植生をもっていた。ほとんどの褐色(森林)土は農業に広く利用され、もとの森林ははるか昔に伐採されてしまっている。
  • 気候はポドゾル地帯のように極端ではなく、ケッペンの西岸海洋性(Cfb)、湿潤沿岸型気候(Dfa Dfb Dw Dwb)に対応している。降水量は年間を通じて一様に分布。水の量は、中程度の溶脱を引き起こすには充分であるが、ポドゾル化作用を引き起こすには充分ではない。
  • 年間の落葉に、林床植生の枯葉が加わるので、生産されるリターは、針葉樹林やヒースよりも変化に富む。また、比較的養分量が高いので、土壌動物によってより一層容易に消化される。土壌中に棲息する動物の数はポドゾルよりも多く、植物組織は充分に分解される。
  • 褐色(森林)土やアルジリック層位のある土壌は、グライ化を引き起こす条件の強度に応じて、グライ化作用を伴った類似の土壌、あるいは表面水グライ土へと水平的に徐々に移り変わっていることがある。

アルジリック褐色(森林)土

  • アルジリックB層位(上方の層位よりも集積した粘土を多く含む)が発達する。この層位の発達は、条件がより大陸的になるにつれて、一層強くなる傾向がある。
  • 遊離の炭酸カルシウムの除去に続いて、交換性塩基が溶脱されて酸性が強まったようである。

灰色褐色(森林)土

※灰色(森林)土?

  • 北米・ロシアにおけるポドゾル生成帯とチェルノーゼム生成帯の間にある、より大陸的な環境せ生成する。
  • 気候は、ソーンスウェイトの「亜湿潤および半乾燥のやや温暖な気候」で、ケッペンの「短い夏を伴った湿潤な大陸性気候(Dfb Dwb)」である。南半球に適した条件はない。
  • モスクワ北東の、森林からステップへの移行帯北部と結びついており、そこではカバノキを伴ったトウヒ・マツ・オーク林が存在している。
  • 森林からステップへ移行する地帯の南部に分布する。広大な地域が伐採されてしまったが、ヨーロッパの原植生はオーク・シナノキ・カエデ・カンバ・ハシバミなどの広葉樹であったし、北米ではポプラ・トウヒ・モミ・カラマツ・ポンデローサ・マツなどであった。林床植生は、イネ科草本類を含む広葉草本類であった。
  • 溶脱作用の程度は褐色(森林)土の場合よりも少なく、B層位における石灰集積作用の証拠はチェルノーゼムに良く似ている。特徴は、上部の層位から粘土が移動して、粘土皮膜のあるBt層位が形成されること(真のチェルノーゼムでは起こらない)。生物的条件の変化によって発達した(クルスク地方:ステップ条件下で発達→樹木が生える→高木の成長を促すような僅かな気候変化によって溶脱が助長されるようになった)。徐々に遷移する地域で生成された結果、土壌は土壌生成因子の相互作用に応じて、不連続に分布する。

中緯度・温暖気候

多くの移行帯と変異を伴った広い範囲にわたる気候によって条件づけられる。

地中海地域

  • 褐色(森林)土、褐色地中海性土、赤色地中海性土、肉桂色土。
  • ケッペンCs気候。夏の干ばつの長さが土壌生成の重要な因子になっている。干ばつが1ヶ月未満→溶脱的環境下で褐色(森林)土、5-6ヶ月の干ばつが大陸内部へ移行する石灰集積型→肉桂色土。この両極間に褐色地中海性土、赤色地中海性土が生成する。
  • 原植生はオークやマツの様々な種からなる常緑林。伐採・火入れ・放牧によって森林消滅→土壌侵食を引き起こした。二次植生(非石灰質土壌上のマキ―、石灰質土壌上のガリク)が亜極相植生として発達。
  • 褐色地中海性土。石灰質母材の上に発達しているところでは、上部の層位は脱石灰化され、粘土の移動が生じている。集積層位の下部とC層位における割れ目の内側→夏に土壌乾燥→粘土が石灰質の条件下で再沈殿している。同時に、ケイ酸を含んだ鉄の複合体が不可逆的に沈殿し、土壌下部の層位に赤色を与えている(=赤色化作用、弱い鉄アルミナ富化作用の過程)。
  • 赤色地中海性土。褐色地中海性土の侵食し残されたものに、土壌生成作用が及ぶことによって生じる。他の赤色土壌は石灰岩の風化によって生じた粘土層の残存物から生成されている。
  • 赤褐色土。南オーストラリア、350mm-630mmの等雨量線地域。強度の風化作用を受け、土壌断面の上部から粘土が洗脱されており、粘土と炭酸カルシウムがアルジリック層に沈積している。成分の移動は、季節的な降雨によって行われる。
  • 肉桂色土。より乾いた半乾燥ステップ地域。地中海性気候のより乾燥したタイプに対応して発達している土壌である。
  • 成帯内性土壌も分布。

湿潤亜熱帯もしくは大陸南東沿岸地域

  • ポドゾル化作用の主地域と鉄アルミナ富化作用の主地域との中間に位置する。アメリカ合衆国東南部・中国中部・オーストラリア東部・ブラジル東部。
  • 温暖帯の東岸海洋性気候の影響を受ける。ケッペンの温帯多雨気候(Cfa)。
  • 赤・黄色ポドゾル性土。強度の溶脱作用を示す一方で、鉄アルミナ富化作用も示す。
  • 原植生は、排水良好の台地ではオーク・ヒッコリー・クリの木、排水不良の低地では湿地の低木・イトスギを伴ったテーダマツ、林床には密生した灌木・草本類。
  • 年間を通じて湿潤な気候は強度の溶脱作用を引き起こす。断面の深い部分にある粘土含量の最大値は、下方への移動よりむしろカオリナイトの生成が原因。赤色(より乾燥)と黄色(より湿潤)は酸化鉄の水和の程度の違いを示す。

温帯の大陸内部地域

  • チェルノーゼム。北米のプレーリー、ロシアのステップなど自然草原。森林から草原への移行帯の南方に発達。氷河堆積物から運搬されたレスが再堆積→レスがチェルノーゼムの母材となる地域がある。ケッペンでは温帯の湿潤な大陸性気候(Cwa)、冷帯の湿潤な大陸性気候(Dfa Dwa)、半乾燥の中緯度ステップ気候(BSk)に属す。多くの属で構成されたイネ科の草原下に分布し、広葉草本類もみられ、北方の森林の移行帯には高木(オーク・シナノキを含む)が点在する。波状の平原景観→現在は農耕地。土壌生成を支配する環境因子は、暖かい春と夏の気温に依存する。土壌動物が多く、腐食を厚いA層の中に混合させている。小さな脊椎動物も土壌中で活動。軽度の溶脱・溶脱されたものが再蒸発される→断面下部に炭酸カルシウムを含んだ物質が濃縮→土壌養分を根圏内部に保持。溶脱の変化は微地形と関連付けられ、凹地では溶脱が激しく行われる。より乾燥した気候の地域では、A層を形成するための有機物生産量が少なくなる。
  • プレーリー土・溶脱チェルノーゼムの変種は、冷温帯気候下の溶脱を受けた土壌への移行型を形成している。北米のプレーリー土=退化(溶脱)チェルノーゼムに相当する。より湿潤で樹木がまばらに生えている地域に分布。プレーリー土は、最初に認められる(チェルノーゼム→灰褐色ポドゾル性土に至る土壌系列で)洗脱層位をあらわす。
  • 栗色土は、より乾燥した砂漠の延辺に向かって発達。短茎草本ステップやプレーリーのより乾燥した土壌。「混生プレーリー」=イネ科草本類、ヨモギ属、巨大なヨモギ類のような耐塩性植物、サボテン。低い降水量が植物の成長を制限している。有機物の供給はチェルノーゼムよりもはるかに少ない。凹地→可溶性塩類が集積する傾向にあり、過剰の水が塩類を深部へ溶脱させる原因にもなる(塩類は湿潤で下方移動、乾燥で地表に集積する。)

砂漠地域

  • 分布割合は大陸ごと大きく異なる。アフリカ~アジアの広大な地帯、オーストラリア中央部、南北アメリカの狭い範囲。
  • 砂漠地域の気候は厳しく、特殊な風化条件が卓越し、特殊化された植物・動物。降雨が不規則で溶脱作用を引き起こすのに充分な水分が供給されない。ケッペン=中緯度の砂漠気候(BWk)、低緯度の砂漠気候(BWh)。
  • シーロゼム、他の土壌と類似した土壌生成作用の証拠をもつ。降雨量が年平均250mm以下の地域に分布。限られた量の有機物を伴う。コロラド、ニューメキシコ、ユタ山間低地の「低木砂漠」と呼ばれる植生(ヨモギ属、バンチグラス)下に発達する。ロシアではカザフ共和国、タジク共和国の山麓地域に分布。
  • 未熟無機質土壌、物理的な風化のみをもつ。機械的風化作用は粗粒なレゴリスを生産し、地下ではある程度の化学的風化作用が生じている。塩類風化→岩石の粒状破壊→風化母材は風・布状洪水で再堆積→土壌母材は分級淘汰。塩類はより低いところにある地域から水が蒸発するときに集積する傾向にある(すべての砂漠土壌に発生するものではない)。溶脱をする充分な水はないが、内部では土壌成分の移動(炭酸カルシウム・硫酸カルシウムの皮殻・酸化鉄の砂漠うるしなど上方への移動)が生じている。植物の生育はまばらで、有機物の供給は少なく、酸化的条件が強い地表では、風が枯死した植物遺体を取り除いてしまうので、腐食の量は限られている。通常の土壌断面の発達は欠如し、生物の活動はほとんどない。

低緯度地域

  • 湿潤熱帯地域では最も急速な風化が行われる。岩石の崩壊やレゴリスの形成は急速に進行している。熱帯地域では気候の変動に中断がなく、レゴリスの深さは概して厚い。
  • ケッペンでは熱帯雨林気候(Af)、熱帯サバンナ気候(Aw)。
  • 湿潤熱帯地域の密生した熱帯降雨林は、リターから絶えず植物養分を供給している。年中多雨な地域から離れると、落葉樹がより一般的になり、次第にサバンナの草原へと変わっていく。
  • 二酸化ケイ素は酸化鉄よりも溶けやすく、粘土鉱物の結晶構造から失われている。残留する酸化鉄と酸化アルミニウムは比較的溶けにくい。三二酸化鉄の存在は、土壌に赤い色調(熱帯土壌の特徴)を与えている。
  • 熱帯土壌では土壌構成成分の可動性が極めて大きい→成分の斜面下方への移動→起伏と関連した一連の土壌系列。
  • 明瞭な乾季を伴う気候下で形成される土壌では、二酸化ケイ素がレゴリスの深部に沈積することが可能である。

鉄アルミナ質土壌

  • 高度2000mよりも低いところで形成された、極めて古く、土層の厚い、強度に風化された湿潤熱帯の土壌。
  • 湿潤な雨林地帯では、強度に溶脱された土壌が発達しており、これが該当する。風化と溶脱の最も強度な段階を示している。サバンナ地帯の台地表面にも生成するが、湿潤な降雨林の土壌が示すような酸性と強度の溶脱は欠如している。

鉄質土壌

  • 溶脱作用の結果、極めて酸性で粘土質の土壌が生成し、粘土の移動集積が塩基飽和度の低い条件下で起こっている。一般に、鉄アルミナ質土壌よりも褐色味あるいは黄色味が強い。
  • 湿潤熱帯地域の土壌はすべて、高いところにある排水の良い場所を占めている。より低い斜面の位置では、長期間湿潤な条件が支配するところに、黄色味の強い土壌が生成する。

ポドゾル

  • 河岸段丘上の沖積砂層の中に発達することがある。温帯の土壌よりもはるかに深くまで溶脱されている。土壌の上には、熱帯降雨林の貧化した形態である、ヒース林が形成されている。

ヴァーティソル

  • 塩基に富んだ母材の上に発達した暗褐色または黒色の粘土質土壌。乾季と雨季が明瞭に交替する気候状態に支配されている地域に、広範囲に発達している。ギルガイ現象によって生じる。

酸性硫酸塩土壌

  • 土壌が生成する間は連続的に水で飽和されているため、土壌は強度にグライ化され、硫化鉄が結核の形で生成される。硫化鉄が存在するには、海水起源の硫黄と硫酸塩が微生物によって還元されるためである。有機物も還元作用を助長させる。

水田土壌

  • 稲作のための人工土壌。水成作用及び耕作による圧密化と関連している。

泥炭

  • 高温で有機物の分解速度が速いので熱帯低地地域では有機質土壌の生成と分布は限られている。しかし、スマトラ島やボルネオの低地では、樹木の砕屑物から形成された有機質土壌が存在する。

ラテライト(鉱石)

  • 熱帯地域に広く分布する現象。三二酸化鉄からなる物質が土壌中に集積することによって形成される。ラテライト層位は、土壌中の地下水の動きによって鉄やアルミニウムがある限られた層に濃縮されるところで形成される。
  • 通常、河間地にある台地の残部として分布している(?)。

成帯内性土壌と非成帯性土壌(?)

気候帯の内部には、母材・排水条件など単一の生成因子が局地的に卓越することを反映した、発達の良い土壌の地域がある。以下、主要区分。

  • ①石灰成土壌=石灰岩のような母材が土壌生成に強く影響している。溶脱の程度が弱く、強度の層位分化を欠く。温帯から湿潤熱帯にいたる世界のほとんどの地域から報告あり。土層が浅く、過去において密生した植生を維持したことはなかった。砂漠地域では、溶脱作用がすべての炭酸カルシウムを完全に除去するには不十分である。他方で、湿潤熱帯条件下では、炭酸カルシウムが母材・母岩から急速に除去される。
  • ②水成土壌=土壌中に絶えず水が存在する場合、グライ化作用の特徴が発達する。排水不良は世界のほとんどの地域で観察でき、最も広範な土壌生成過程である。グライ化作用は水が土壌を飽和し、すべての土壌孔隙が水で満たされて、土壌空気が追い出されるときに生じる→嫌気状態で鉄化合物が化学的還元で溶解・移動し、無色の鉱物が残留する。
  • ③塩成土壌=土壌中に可溶性塩類が存在する。世界の半乾燥及び乾燥地域では、土壌は可溶性塩類の影響下で発達しているか、あるいは主要な交換性陽イオンとしてナトリウムを伴っている。塩類を含んだ土壌は、低地の沖積地に分布している。すべての大陸において、他の主要な土壌群内に不連続な島状に分布している。塩類化作用には2つの条件が必要であり、①溶脱されないような乾燥した気候、②塩類を含んだ母材または地下水が存在すること。
  • アンドソル。塩基に富んだ最近の火山性堆積物の上に発達した土壌。アラスカから熱帯まで多くの異なる土壌帯の中に分布する。
  • 非成帯性土壌=未熟土壌。若さ・母材・起伏などの要因が明瞭な土壌生成の発達を妨げている。①リソゾル、②レゴソル、③沖積土。
  • 山岳土壌。標高が高くなると気候や植生が異なるので、山岳地域においては土壌が高度帯をなして分布する。
  • 有機質土壌。水成土壌と塩成土壌は両方とも排水の悪いところに発達し、排水が極めて悪いところで発達する。有機物の集積は湿潤条件下(多量の降水量・浸漏水・洪水・地下水の高いことで引き起こされる)で促進される。低地にある酸性の泥炭は、炭酸カルシウムを含まない岩石地帯から排水が集まってくる場所で形成される。