日本の土壌

Last-modified: 2022-06-07 (火) 18:54:07

全般的特徴

①多降水地域→土壌中を水が上層から下層に移動。→表層から可溶性成分が溶脱→土壌から流れ去る→一部は下層に集積。土壌から塩基を失い酸性に=性質悪化。緩傾斜地・凹地→湿性になりやすい。
②森林の影響を受けた土壌が圧倒的に多い。湿潤気候→褐色森林土・ポドゾル(両者とも森林の影響を受けている)。
③急傾斜の山地斜面→侵食を受けて土層の浅い未熟な土壌(リソゾル)が形成される。山地は地形性質の変化に対応して多様性を帯びる(カテナの現象*1)。
④火山灰起源の土壌が多い。母材中に火山灰混入する地域が広い。火山灰起源のアンドゾル→気候型土壌の出現を妨げる。
⑤水田土壌の分布が広い。沖積平野と一部の台地上に広く分布。

主要土壌型

褐色森林土

日本の土壌の大部分を占める。日本は①の影響で酸性褐色森林土。暗色A層+褐色B層。欧米に比較して、腐植が多いため暗色味が強く、粗ひん(湿潤+火山灰による)。落葉広葉樹林(ブナ優占種)において典型的な褐色森林土を生成。ただし、天然林が伐採された後の、スギやヒノキの人工林も多い。

黄褐色森林土

本州の暖帯照葉樹林帯の山地に広く分布し、関連した?。一方で、冷温帯落葉広葉樹林帯の低山地にも分布→赤黄色土と関連する古土壌?。褐色森林土より腐植含有量が少ないA+黄褐色のB(赤黄色土の色にやや近い)。

赤黄色土

亜熱帯地方の森林下に分布。A層(赤・黄だが着色・退色アリ)+B層(赤・黄はっきり)~(紅白の網状斑)~C層。西南日本の丘陵地・台地に広く分布し、アカマツ疎林のもとにあり、強酸性。原始植生は常緑広葉樹林だったが、開発で二次林のアカマツ疎林が形成された。黄色→排水悪い+鉄分に乏しい母材。

(気候・植生環境の)成帯性土壌の見解アリ。北限については二つの意見があり、課題となる。

ポドゾル

亜寒帯針葉樹林下に形成されるが、温帯でも(溶脱層の形成が顕著で)低標高地域まで広く分布する。北海道は少なく、本州・四国に広く分布し、中国山地にも及ぶ。


乾性ポドゾル
酸性溶脱がより支配的な環境で生成。急峻山地の稜線にある針葉樹林(4種)下、支稜線の末端に見られる。層位も浅く、上部は乾性褐色森林土に移化することもある。本州では低い山地まで分布。表日本→乾性ポドゾルのみ+四国・九州では多雨で溶脱層中の砂粒が洗脱されて多くの空隙をつくる。


湿性ポドゾル
温帯上部~亜高山帯。冷涼湿潤の凸形斜面、隆起準平原遺物、火山泥流の台地など重粘・緻密な母材に生成される。
①湿性鉄型ポドゾル(グライ化作用が進み、粘土質。北海道北部・本州脊梁山脈・中部地方の温帯上部~亜高山帯の3林下に分布)。
②湿性腐植型ポドゾル(腐植が土壌中によく浸透。緩斜面上に分布。温帯上部~亜高山帯の5林下に分布)。

アンドゾル

腐植含有量15~20%と多いが、この腐植の供給源は草本植物の遺体だった可能性が大きく、草原だったこと=アンドゾル生成の重要要件か。山地草原・裾野草原→土が火山灰からなる=黒ボク土(腐植質アロフェン土)。黒ボク土は、非火山灰性のもの、半陸性のものも知られている→腐植の集積機構は不明。温帯・亜寒帯にかけて広く分布し、垂直にも広い地域にまたがり、様々な土(褐色森林土・腐植型湿性ポドゾル・暗色系褐色森林土など)に移行する。母材に基づく成帯内性土壌。全国の段丘面上に分布するが、低地は非火山灰性のものが多い。


*1 特定の土壌地域内で,同様な土壌母材から生成したが起伏または排水条件の違いによって,土壌の特徴が異なっている現象。