日本の地形

Last-modified: 2022-06-03 (金) 10:26:46

湿潤変動帯に位置する日本

内的作用
日本列島は複数の弧状列島よりなる。環太平洋の、世界で最も活動性の大きい変動帯を構成し、変動地形が見られる。造山運動が活発に行われ、地形概形は第四紀の地殻変動の影響が大きい。中部日本など島弧が会合する地域は地形が複雑となる。

中央構造線、フォッサマグナ

東北日本弧は、中新世以降、活発な造山運動が継続している。曲動・断層運動に起因する山地と盆地、褶曲による丘陵・河谷・洪積台地・沖積平野など。

日本には地盤の隆起を示す地形が各地域にみれる。例:隆起準平原、幼年谷、河岸段丘、海成段丘、開析扇状地など。
また、地盤の沈降運動を示す地形も見られる。例:盆地、構造谷、沖積平野、内湾、沈水海岸など。

活火山が多数分布し、火山地形が見られることも地殻運動の活発なことを示している。

外的作用
侵食作用・堆積作用が速やかに行われる。温帯湿潤地域に位置する→台風・梅雨・融雪及び日本の河川の特性(流域面積小さい、流路短い、急勾配)で洪水が発生しやすい。豪雨による土砂礫の生産・流出が地形変化に重要な役割を演じる(豪雨→山崩れ・地すべり→扇状地の形成)。洪水による土砂礫は堆積平野の形成要因となる。

日本の地帯構造

造地形運動は地帯構造の特徴と密接な関連をもつ。フォッサマグナによって東北日本と西南日本に大別される。

西南日本は、花崗岩類・古生層を主とする岩層で構成される。中央構造線によって外帯・内帯に分けられる。外帯は帯状構造を形成して配列する。内帯は花崗岩類・古生層の分布が広いが、各地域の古生層間に地質構造的関連は認められない。

東北日本は、花崗岩類・古生層からなる東部山地と、西部の緑色凝灰岩からなる地域に大別される。外帯に類似する構造が関東山地で見られる。大部分の地域が新第三系と第四系によって構成され、顕著な火山活動がみられる。

北海道は渡島半島と胴体部に分けられる。渡島半島は東北日本弧の延長で、新第三紀に火山活動で海成堆積層を生じた地域。胴体部は樺太・蝦夷山系の造山帯と、千島弧(中新世から活動)が重なり合って形成された。多くの逆断層を伴う複雑な地質構造。

山地

国土の80%が山地で、最近の地質時代まで激しい地殻運動を受けており、現在も継続中。外帯の山地の高度分布は、高いところで緩く海岸で急な、ドーム状の地形。各地形単位ごと緩慢な曲隆運動を受け、局地的な地塊・差別的運動を受けることが少なかったため。一方で内帯は、山地・盆地・平野が複雑に配列し、モザイク構造を呈する。各地塊は差別的運動を継続→高度分布は不連続。ただし、外帯も内帯も、西方より徐々に高度を増してフォッサマグナに接する点、山地の配列方向が中央構造線と南海舟状海盆の方向にそれぞれ調和的である点など、共通点もある。

日本の山形は、早壮年~満壮年的に解析された山地が広い。第四紀以降の隆起速度が大きいため山頂高度が高い、多降水で下方寝食→狭深な幼年谷を形成。また、日本の山地のほとんど全ての地域に隆起準平原+その遺物が残存する。保存状態は地域差がある。西南日本の外帯は散在するが、内帯は地域的に広く残存。東北日本東部は保存状態が良い。北海道の北見山地は北見峠以南に比べて低く、火山の噴出も見られない。連続性を失って孤立した山塊に分断。長期間の削剝作用の継続・第四紀の隆起量が少ない・最終氷期に周氷河作用に起因する面状浸蝕の影響が加わったため。なお、日本の山地には新第三紀層よりなる山地もある。緑色凝灰岩地域は開析が進み、壮年的な山形を呈する。

谷形は、山形を反映して谷底平野に乏しく急な谷壁斜面(V字型の峡谷)を形成して、幼年谷の状態の地域が多い。

日本の山地の地形状の特色は大高度・大起伏山地。中部日本は起伏量が大きいが、北海道の一部は小起伏地域である。

火山

環太平洋に位置する→第四紀に活動した火山多い・火山密度高い・火山形複雑。活火山も多く、活動性に富んだ地域である。火山前線上に分布。東日本火山帯と西日本火山帯に区分される。震源面の深さと火山岩の性質に密接な関係がある。

日本で最も多い火山形は円錐火山。火山体の基盤に近い部分ほど砕屑物の占める割合が多く、下部は厚い集塊岩層からなる。

円錐火山に次いで多いのはカルデラ。列島の南北両端で見られるが、間は空白地域。屈斜路火山・阿蘇火山は世界有数の大カルデラ。大カルデラの周囲には多量の珪長質火砕流堆積物が広く分布する。

台地

国土の11%。激しい地殻運動を受ける日本には、台地を構成する累層は洪積統に限られる。

  • 河岸段丘
    地殻運動・海面変化・河岸段丘など成因は複雑。最も新しい時代に降下堆積した火山砕屑物が、各段丘面上の土壌母材となっていることも多く、土地利用に与える影響は大きい。
  • 開析扇状地
    数と規模の点において、開析扇状地が現成扇状地よりも多いが、これは第四紀末における気候変化が影響を与えている。開析扇状地は地殻運動を受けて変形することが多く、海岸側から内陸側に逆傾斜することもある。
  • 開析三角州
    開析扇状地の前面に発達。日本には規模の大きいものはほとんどなく、砂礫層からなる開析扇状地が直ちに海岸平野へ移行する場合が多い。
  • 海岸平野
    一部の平野では隆起後に開析が進んで開析海岸平野となり、表面に樹枝状の谷底平野が形成される。
  • 海成段丘
    分布は岩石海岸だけでなく、平野の内縁部まで広がり日本の地形に大きな特色を与えている。日本に広域にわたって発達するものは、下末吉段丘面に対比される段丘と、完新世段丘の2つ。4つのタイプに分類できる。

平野

平野は13%のみを占める。太平洋海底の大山脈が、海面上に頭をもちあげている部分に引っ掛かるように形成されている。平野=山地の付属物。
<日本の平野の一般的特徴>
①切れ切れになって散在している。西南日本より東北日本に多い。東北日本は、平野・盆地の配列が島弧長軸と一致して、南北に近い方向をとる。フォッサマグナも南北方向に平野が発達する。近畿トライアングルも南北方向の断層運動に起因して南北方向に平野が発達する。瀬戸内海にはない(沖積世において、海盆を形成する沈降運動が継続→平野の発達を妨げる)。中国地方=高度急変帯の南の隆起準平原の北界に諸盆地がある。九州は北部が小さいが、それ以外は大きい。
②造陸帯に発達する平野と比べると、小規模である。島弧に付随して発達することの当然の帰結。
③地盤運動の影響を強く受けている。第四紀後半に形成された平野が、地盤運動を受けて洪積台地となり、異なった高度に発達する地形→各地に見られる。また、沈降運動が継続→沈水域を埋めて三角州平野・埋積谷を形成することもある。平野に地震断層が出現する。
④平野の形成時代が新しい。日本の平野=洪水と関連する堆積平野。最も新しい平野の形成期=沖積世初期の海進と密接に関連。主要平野下流域の三角州平野は縄文海進以降において造成された。
⑤人工によって著しく改変されている。土地開発が、それぞれの時代における社会経済条件・農業技術の発達と関連して行われてきた。ただし、平野の災害にも繋がる。