経済格差

Last-modified: 2022-06-25 (土) 15:37:00

地域間格差

地域間格差は、大都市の巨大化、農山村の過疎化、高齢化や少子化、国土のネットワーク化などと関わる。

70年代後半以降は、景気拡大期に地域間格差が拡大し、景気縮小期には格差が縮小するという循環。経済力のある地域の突出した所得の高さが景気減退によって抑制→統計上の格差縮小がもたらされる。

所得・国富

所得の違いは、消費生活・生産活動に地域差を生じさせる。県民1人当たりの平均個人所得にはかなりのバラつきがある。地方別に集計すると、高い所得の地域は、(ほぼ平均に近い近畿を含めて)大都市地域とその周辺に限られ、逆に沖縄・南九州・山陰・東北では全国平均を大きく下回っている。なお、個人所得での地域差はさらに大きく、東京の突出が目立つ。また、所帯当たり消費水準や地域別総生産構成をみても、三大都市域とその周辺で全国の3分の2を占め、その半数を東京とその周辺があげる。資産額は、三大都市域への集中度合いが所得の場合より高く、それは産業関連で顕著。所得・国富の地域的アンバランスは産業全般の消長の差から生じて、消費活動に反映されるため、以下概観する。

1人当たり県民所得は東京都で突出し、全国値を上回るのは茨城・栃木・神奈川・静岡・愛知・富山・滋賀のみ。共通点=高い工業生産性を有しつつ大都市圏の近傍に位置しながらも人口密度はそれほどでもない。全国値を下回るのは北海道・北東北3県・山陰2県・高知・南九州3県・長崎・沖縄。これらは国土の周辺部に位置し、大都市の外部経済を享受しにくいが、賃金水準の低さを利用して労働集約的な産業が発展→日本経済を支えてきたが90年代以降はアジア競合に直面して困難を抱える。

人口

人口の約半数が三大都市域に集中し、関東だけで3割を占める。都市域では都市問題、山間農村は過疎問題が顕在化。全国の4割の市町村が過疎で、その割合は人口減少地域で高まる。

人口分布に差があり(表)、人口規模の格差が拡大している。人口疎密の差は行政単位内でも大きい。人口動向にも地域差がみられ、増加地域は9都道府県のみである。老年人口割合は主要都市域で全国平均を下回るが、第一次ベビーブーマーにより今後急速な高齢化の進行が見込まれる。

高度経済成長期に新規卒業者が三大都市域と太平洋ベルトに大量に移動→都市化(向都離村)。

工業

工業の集積は太平洋ベルトに大きい。大都市域では、中心部で成長が鈍化しているものの開発機能は高まっており、第三次産業発展の要因となっている。一方で工業は大都市周辺部に盛んに展開しており、工業地域は面的に拡大している。太平洋ベルト内では、近畿の停滞が目立ち、南関東では東京の地位は低下しているが広域関東圏外縁部で発展が大きく、自動車工業に主導された中京地域の発展が顕著(→個人所得の高い伸び)。全国各地の地場産業・(労働力依存型の)地方分散した電子部品工場・戦前からの原料依存型重化学工業は衰退。1960年代からの工業の地方分散は実を結んでおらず、工業発展の地域的不均衡が他産業・住民所得に反映→地域間格差をもたらす大きな原因。

日本の工業出荷額のうち77.3%が太平洋ベルトから発する。

農業

水田単作を特色とする東北地方で戦後の発展が目立った他、園芸農業の発展が全国的に顕著。大都市周辺では日曜農家など脱農家が急速に進む。現在、農家の半数が副業的で、兼業は工業に依存して成り立っていることが多く、工業発展が低調な地域では農家・農村地域にも大きな影を落としている。

高い土地生産性や規模の経済性を追求できる地域とそうでない地域に分かれる。

第三次産業

第三次産業の多くは工業活動と結びついたもので、工業の機能拡大による。日本の巨大企業本社の半数以上が東京にあり、外国系企業の8割も東京にある。卸売業では東京・大阪で販売額の過半数を、愛知を含めると3分の2を占める。ソフトウェア・情報処理・デザイン業従事者は東京地域が圧倒的に高く、弁護士・公認会計士数でも東京が6割以上を占める。金融活動は東京への一極集中を特色づける(ロンドン・ニューヨークと並ぶ三大金融市場)。