Last-modified: 2022-11-03 (木) 15:14:32

土砂災害(土砂崩れ)

山や崖の土砂が崩れたり、崩れた土砂が雨水や河川水と混じって流出したりすることにより、家屋・道路・田畑などが埋まったり、人命が奪われる災害。日本列島は国土の7割が山地・丘陵地であり、急流河川が多く、地質的にも脆弱なため、全国の約9割の市町村が土砂災害の危険と隣り合わせとなっている。発生のメカニズム・土砂の動き方から「土石流」「地すべり」「崖崩れ」の3つに分類される。
「土石流」は山や谷の土石が豪雨などによって崩れ、水と混じってドロドロになったものが猛烈な勢いで麓に流出する現象。勾配の急な谷川で発生しやすい。谷を削りながら流れ下る際、岩や大木を巻き込んで流れは強くなり、谷の出口で扇形に広がり、やがて止まる。例:2014年広島市。発生時は、最寄りの堅牢な建物や、少しでも高所の建物を切迫緊急時の避難先として考えておくこと。
「地すべり」は比較的緩やかな斜面の広い範囲が、滑り落ちていく現象。家屋や田畑が地面とともに動くため大きな災害となりやすい。また、地すべりで落下した土砂が川を堰き止めたために、土石流が発生することもある。豪雨による大量の水が地面に染み込むと、水は不透水層の上に溜まり、層より上の地面が水の浮力で持ち上げられ、そこが斜面だと下へ滑り落ちる。一度発生した場所では、繰り返しやすい。
「崖崩れ」は突然、急な斜面が崩れ落ちる現象。雨水や雪解け水が、崖に大量に染み込んだことが原因で発生したり、地震の揺れによって発生したりする。発生時は非難する余裕がないため、崖付近には極力近づかない。
普段から危険な場所をハザードマップで調べておく。近所に「土石流危険渓流」「崖崩れ注意」などの看板がないか調べておく。同じ場所で同じ災害が何度も繰り返される傾向があるため、お年寄りの話・図書館の市史・町史で地域の災害を調べておく。大雨警報で危機感をもち、土砂災害警戒情報が発表されたらすぐに避難する。建物の外に出ることが危険な場合、建物の斜面とは反対側の2階以上に移動した方が良い。渓流の水の濁り、水位の急激な現象など普段と異なる現象には警戒が必要。

詳細

土砂災害の規模は「表層崩壊」と「深層崩壊」に分けるとわかりやすく、崩壊規模・降雨から発災までの時間、先行降雨、発生場所の偏り等に違いがある。土砂災害にはこの他、土石流(渓流に堆積した、或いは崩壊でできた土砂が流下する現象)と地すべり(深層崩壊の一部とする分類もある)がある。
「表層崩壊」は崩壊規模が比較的小さく、崩壊の深さは2m以下。全国至る所で発生するが、風化した花崗岩や火山灰に覆われた地域が発生しやすい。崩壊の危険区域や土石流危険渓流の情報は国土数値情報で公開されウェブサイト上で地図形式で閲覧できる。
「深層崩壊」は崩壊規模が大きく、崩壊の深さは数十mに達することがある。地質等により発生場所に偏りがあり、「深層崩壊推定頻度マップ」が公開されている。一ヶ所における土砂の総量が大きいため天然ダムが形成されやすい。
土砂災害は、土中の水分量との関係が大きく、先行降雨の影響が大きい。表層崩壊は2週間程度前からの降水が影響し、大雨が降ってから崩壊が発生するまでの時間が短い一方で、深層崩壊は数か月前からの降水が影響し、大雨が降ってから1日経過して発生することもある。よって、土砂災害の直接のきっかけとなる大雨の前に、先行降雨がどの程度多いかを知っておくことが、発生を予測する場合には重要。

洪水

例:2015年の鬼怒川氾濫。洪水は「外水氾濫」と「内水氾濫」の2種類に分けられる。
「外水氾濫」は大雨で河川の水かさが増すと、水の圧力が堤防にかかるようになり、堤防が耐えられなくなると一部が決壊。崩れた場所を通って水が勢いよく流出し、住宅地などを襲う。
「内水氾濫」は、排水能力を超える大雨が降ると川の水位が上がって排水されにくくなり、下水道などが溢れてしまう。これにより、住宅や道路が冠水してしまう。また、道路の側溝にゴミが詰まることで排水能力が低下し、冠水することもある。近年の都市化で頻発に起こるようになった。舗装された道路は雨水を吸収せず、側溝へ雨水が流れ込む→地中に染み込めない雨水が下水道に集まる→下水道で処理しきれない雨水が逆流しマンホールなどから溢れだす(都市型洪水)。
長雨の場合は水位上昇が低速のため避難の準備も可能だが、集中豪雨の場合は水位が急激に上昇するため避難が間に合わないこともある。指定河川洪水予報を正確に理解し、的確な判断や安全な行動に繋げる。自治体の提供しているハザードマップで水害リスクを確認。普段から道路の排水溝の清掃を心掛け、道路上にカーステップやプランターを設けないようにする。大雨が予測される場合は家屋への水の浸入を抑える土嚢を用意しておく。冠水した道路を歩く行為は、蓋の外れたマンホールや側溝が見えないため危険であり、避難場所への移動は浸水する前に行う。移動が間に合わなかった場合は自宅・近所ビルなど堅牢な建物の2階以上に避難する。

詳細

大河川が破堤すると、広範囲にわたり浸水しその水の排水に長時間を要する。大河川の氾濫は上流域の広範囲の大雨が要因となる。大河川の氾濫については、数値予報による広範囲の雨量予想が気象情報で発表される1~2日前、台風接近時にはそれより前から、氾濫の可能性がわかる場合がある。
洪水害には、堤防の決壊や溢水の他に、湛水型の洪水もある(河川の水位が上昇し、本流の水が逆流して支流の流域に氾濫をもたらす危険がある→合流点付近の水門を閉じる→支流流域に降った雨水は本流に排水されず、結局支流流域で浸水害発生)。