受難1:「浸水」
必ずや魚とのツーショットを撮ると意気込んで挑んだ秘境。
我々は数々の苦難に見舞われ、そして、散った。
その苦難の旅は、最初の入渓時点で始まった…。
「冷たい」
「水が冷たいから、そう感じるだけだよ」
「明らかに冷たいよ」
「そうか?」
「中でジャブジャブいってる」
ウェーダー破損による浸水。
くまが即死した。
受難2:「遭難」
そして藪を掻き分け、目的の場所まで歩き始めるが…
「迷った、電話する」
「あー、鉄塔の2番目? 左に行けばいい?」
どう考えても、鉄塔はいくつかあって何番目など意味のない数え方だし、左って向いてる方角でいくらでも変わると思うのだが。
「戻るべ」
遭難した。
受難3:「散財」
川幅はわずか3メートルほど。両脇は藪。ミスキャストは死につながる危険な場所である上に、水中には枯れた藪だけではなく、倒木・枝・根が張り巡らされている。
次々と散っていくルアーたち。
Bおじさんとアキラ君の助力もあり、目的の地までたどり着いたは良いが、そこから更に厳しい試練が待って居ようとは。
今まであった魚影もなく、テンションは地を這う勢いから地中深くにもぐりこんでいった。
受難4:「No Fish」
それでも崖を降り、沼地を渡り、じっと魚を待ち、苦行とも思える釣りを繰り返す。
キャストはままならず、散っていくルアーたちを回収するルアーリターンまでも致命傷を負う。
「退却」
隊長の決断で撤収を開始した。
そこで、最後の試練が…。
受難5:「遭遇」
ジープが来た。止まった。
語り始める見知らぬオジサン。
下に堰堤があると数回繰り返し、ルアーでアメマスが釣れる(ここ秘境ではない場所)と数回繰り返し、手作りの錆付いたスプーンを見せ、堰堤があると繰り返し、毎日釣りに行くといいながら週3回は釣りに行くといい、40センチのアメマスといいながら両手を広げ、打ちひしがれる我々に致命傷を負わせた。
隊長はいつの間にか浸水し、片足が濡れていたが、くまがウェーダーを脱いでダバダバしたたる水を見て絶句した。
フィニティは秘境に散った・・・。