用語-「ライン」(道糸)

Last-modified: 2007-08-06 (月) 00:32:31

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「ライン」とは

 簡単に言ってしまえば「釣り糸」。「どれでもイイや」と思いがちだが、魚と釣り人を結ぶ大事な「ライン」。「ライン」選びは快適な釣りを楽しむ上で、重要なファクターとなる。

  • 「ライン」部位での名称
    • 道糸(みちいと)
       リールから伸びるライン。
    • 鉤素(はりす)
       道糸の先端に繋いだフック(針)までのライン。
       道糸から枝状に何本も鉤素を付けた仕掛けは、海のエサ釣りに良く使われる。
       

「ライン」の【太さ(号)】と【強力(lb・ポンド)】

 「ライン」は素材が同じであれば、太いほど頑丈重くなり、「ライン」自体の重さでキャストしにくくなる。太さはしなやかさにも直結し、太い「ライン」はスプールに馴染みにくくライントラブルの原因になりやすい
 また、「ライン」自体が重くなるとルアーからの反応が鈍くなり微かなアタリがわからなくなる。さらに、「ライン」が目立つようになるので、魚が警戒してしまう可能性もあり、細くて頑丈な「ライン」が求められている。
 細くすると、当然強度は落ちスプールに馴染みやすく風の影響が大きくなり、目立たなくなるといった逆の効果が生まれる。ただし、細すぎるとせっかく大物がかかっても「ライン」が切れて逃してしまうかもしれないリスクを負うことになるので、ターゲットや釣場に応じた適切な「ライン」選択が重要になる。
 

「ライン」に関する用語解説

 

denier(デニール)

 旧式の「ライン」の重さを表す単位、繊度。
 「ライン」9000mあたりのグラム数
 現在でもデニールを使うことがある。
 

dtex(デシテックス)

 新式の「ライン」の重さを表す単位、繊度。
 「ライン」10000mあたりのグラム数
 

強力

 「ライン」の適当な一部を切り取り、その両端を引っ張って切れたときの荷重の重さを表したもの。
 ㎏(キログラム)やlb(ポンド)が用いられる。
 

強度

 強力をデニール(またはデシテックス)で割ったもの。
 「ライン」素材そのものの重さに対する強力を表す。
 

「ライン」の【太さ(号)】

 「ライン」の直径を表す単位。パッケージにも必ず書かれている重要要素。
 「号」と言われても、実際どれくらいなのかピンとこないかも知れないが、メートル法換算すると、1号=0.165mmと規格で決まっている。身近なものにたとえると、髪の毛の太さは0.06~0.12mmが平均といわれ、1号でおよそ毛髪の倍程度。
 ただし、いくら技術が進歩したとはいえ、「ライン」の最初から最後まで全く同じ太さで作ることは至難の業で、太さにムラがあるのは当然。また、このムラが品質に直結するので、同じ材質・同じ太さのラインでもメーカーごとに強度に差が出ることがある。その誤差は1号の場合、前後の太さ、0.8号の0.148mmと1.5号の0.185mm間に無ければならないと規格で決まっている。この±0.02mmが品質に大きくかかわる。
 つまり安物だったり信頼できないメーカーのものだと太さにムラがあり、想定を下回る強力で切れてしまったり、思いのほかスプールに馴染みにくかったりするようなクセが現れることになる。
 

「ライン」の【強力(lb・ポンド)】

 「ライン」の強さを表す単位で、これもパッケージに書かれている重要要素。
 このポンド(lb)は、用語解説にも書いたように、その重さでまでなら引っ張っても「ライン」は切れませんという比較しやすい数値となる。
 しかし、ポンドテストはあくまでも目安。と言うのは、太さのところで書いたように「ライン」には太さのムラがあり、すべての部分が同じ強力とは限らないので、細い部分は当然弱くなるし、太い部分は逆に強くなる。同じ1本の糸だけど、たまたま表示されている荷重以下で切れる部分があって思いの外簡単に切れてしまったりすることもあれば、なかなか切れない部分もある。太さのバラつきが大きい糸であれば、それだけ強力にもバラつきが出ることになる。
 と、強力の表示はあてにならないような書き方をしたが、どれくらいの重さまでその糸が耐えられるかを示したとても想像しやすい数値であり、「ライン」を選ぶときの重要な選択基準となる。
 

  • あまり馴染みのない単位の「ポンド」で強力が表示されるのはI.G.F.A(国際釣魚協会)ルールで決まっているからなんです。何kgの魚を何ポンドテストの「ライン」で釣り上げたかを競う時に、「ライン」のポンドテストは非常に重要で、厳格な検査が行われています。
    とりあえず、自分たちが覚えて置けばいいのは、1ポンドは約0.453kgということですね。
     
  • Finity経験則
     渓流用ライン必要強力【3~6lb】
     ナイロンにせよPEにせよ、このくらいの強さがあれば十分。実際に渓流でメインに使っているものは、4lbが多い。太さはこの強さの範囲では0.8~1.5号くらい。「リール」を1000番前後で使用するため、これ以上太くなるとスプールに巻ける量が少なく、さらに手元で「ライン」がバラけてトラブルになりやすい。
     使用するルアーも1g程度から、せいぜい重くて6gあるかどうかのものなので、太すぎる「ライン」はキャストに大きな影響がある。実際4lbで切れてしまうのは、痛んでいて強烈な根がかりがあった時や、対岸・大岩に引っかかって強引に引っ張る時くらい。魚で切られることはよほどのことがない限り心配ない、と思う。
     

「ライン」の素材

ナイロン(Nyron)

50年以上使われてきた歴史ある素材。
繊度は1号で219デニール。
モノフィラメント(継ぎ目が無い一本の繊維)。
伸度26.0~27.0%。カナリ伸びる。
比重1.14。ゆっくりと沈んでいく。
強度8.5~10g/d。結節時でも7.0~8.5g/dあって変化が少ない。
 

ナイロンの特性

  • (^-^ 非常にしなやかで「リール」のスプールによく馴染む。
    (^^; 反面、巻きグセ(ラインがまっすぐ伸びずにカールを巻いたようになる)がつきやすい。
  • (^-^ 柔軟性抜群でキャストする時、抵抗が少ない。
  • (^-^ 伸縮性に優れているため、瞬間的な力に強い。
  • (^_- 吸水性が高く、吸水後は柔軟性があがり、より「リール」に馴染む。
  • (^_- 透明度が高く、水中で見えなくなる。
  • (^^; 伸縮性がある為、振動が吸収され感度が悪くなる。
  • (T-T 吸水後、強力が低下する。(10時間真水に漬けた場合、5%ほど強力が低下)
  • (--; 「ライン」の表面に少しでも傷ができると耐久性はガクッと低下してしまう。
  • (OO; 紫外線で強力が低下する。紫外線連続10時間照射で強力が50%程度低下
  • (^-^ 価格が安い。
     
  • 弱点を克服するための工夫
     
    吸水弱点克服
     吸水による強力の低下を防ぐため、糸の表面にフッ素やシリカで加工処理をしたものがある。スプレー式の撥水剤もあり、弱点を補うことができているが、その分価格が上がったり、撥水剤の分だけコストがかかるようになってしまう。
     また、表面処理を行っている糸は吸水を防止するだけではなく、表面の滑りをよくする効果も合わせ持っており、「ロッド」のガイドなどとの摩擦抵抗も少なくなることで、キャスト時の飛距離の向上につながる。もちろん、摩擦による「ライン」自体の耐久性もアップする。
     
    紫外線弱点克服
     紫外線での強力低下はかなり深刻で、店頭に並んでいるときから劣化が始まっているともいわれている。わずか10時間で半分程度まで落ちてしまうのでこの対策だけはしっかりしたものを選びたい。
     対策として、原料の段階でUVカット樹脂を練り込んだもの、また表面にUVコートを施すなどしているものもある。現在市販されているナイロンラインには、ほぼ標準的対策が施されているがチェックしておきたい項目である。
     

PE

PEは、超高分子量ポリエチレン繊維を編んで作ったもの。
繊維一本の繊度は1デニール。非常に軽量で頑丈。1号だと203デニール。
複数の原糸を編んでいるマルチフィラメント構造。
伸度4.0~4.5%。ほとんど伸びない。
比重0.98。「ライン」自体は沈まない。
強度30.0~40.0g/d。結節時は13.0~16.0に激減するが、それでもナイロンの倍近い強度がある。
 

PEの特性

  • (^-^ 強度が高く、ほとんど伸びない
  • (^-^ アタリなど微妙な変化を伝えやすい
  • (^-^ 紫外線に強い。(1000時間照射で強力が20%程度低下
  • (^-^ 科学的な安定性が高く、海水での強力変化もほとんどない
  • (^^; 伸縮性が低いので細くなっている部分や傷の入っている箇所、結節部分などは衝撃が集中し、極端に強度が落ちる。
  • (^^; 透明度はほとんどなく、水中でも目立つ。
  • (--; 耐熱温度が145度と低く、低い摩擦熱で切れてしまう。
  • (^^; 価格が高い。
     
  • 弱点を克服するための工夫
     
    耐摩擦弱点克服
     激しくこすれたときに熱を出さないように、表面を滑りやすく加工したものや、スプレー式のコーティング剤がある。
     
  • PEの特性は編み方でも変化する。
    編み方は主に「二重構造」「モノ構造」「マルチ構造」「モノマルチ」の4つ。
    船釣り全般に向いているのがマルチ構造、手釣りによく使われるのがモノ構造と二重構造。
    また、同じ編み方でも直線的な編み方をすることで、糸表面の滑りに差が出る。
    残念ながら、編み方が糸のパッケージなどに表示されていることはあまりないので、実際使ってみて感じ取る部分が多くなる。
     

FluroCarbon(フロロカーボン)

ナイロンとは正反対の性質。
重たくて頑丈。1号で342デニール。
モノフィラメント(継ぎ目が無い一本の繊維)。
伸度25%~26%。特殊な伸縮であまり伸びを感じない。
比重1.78~1.85。素早く沈む。
強度5.4~6.0g/d。結節時3.7~4.5まで減少。
 

フロロカーボンの特性

  • (^-^ 比重が重いので水の流れの影響を受けにくい。
  • (^-^ ナイロンほどではないが透明度が高く、水中では見えにくくなる。
  • (^-^ 吸水性がほとんどないので、強力変化がない上に、水切りがイイ。
  • (^-^ 耐光性に優れ、紫外線連続照射1000時間でも、全く劣化しない。
  • (^-^ 特殊な伸縮性でアタリ程度では伸びず、感度が高い。
  • (^_- 比重が重く沈降速度が速い。
  • (^^; 耐摩耗性は強いといわれるが、それほどでもない。
  • (--; 素材が硬く「リール」のスプールの馴染みが悪い。
  • (--; 価格が高い。
     
  • 弱点を克服するための工夫
     
    素材の硬さ克服
     柔軟加工を施されたタイプがある。ただ、柔軟性をだすことで伸度もあげてしまうことがあって、フロロカーボンの感度が失われていることもある。
     

Zylon(ザイロン)

今まで最強と言われたケプラートを超える最強素材。
重たくて頑丈。1号で298デニール。
モノフィラメント(継ぎ目が無い一本の繊維)。使用時は編み糸にする。
伸度2.5%程度で、ほとんど伸びない。
比重1.58。沈む。
強度は42.0g/d。結節時13.0g/d。(それまで最強だったケプラートは22g/d)
 

ザイロンの特性

  • (^-^ 最強。
  • (^-^ 耐切創性抜群、高耐熱性に優れている。
  • (^-^ 伸度が低く、感度が高い。
  • (^^; 紫外線に弱く、自然光でも1年間放置すると強力はナイロンレベルにまで低下する。
  • (--; 価格が未知数
     
  • 耐光性弱点も特殊コーティングを施すなど改良されていて、ザイロンの原糸を100%使用しないで、他の耐光性の強い繊維と組み合わせて編むことで、弱点を克服するようにもしているらしい。