ジャンル | 無限ダンジョンRPG | #ref(): File not found: ".jpg" at page "ダンジョン オブ ウインダリア" |
発売元 | コンパイルハート | |
開発元 | ザックス・エンターテインメント | |
発売日 | 2008年5月15日 | |
定価 | 5,040円(税5%込) | |
セーブデータ | 1個 | |
判定 | クソゲー | |
ポイント | あっさりすぎる再現で伝わり辛い原作ストーリー 原作とローグライクRPGとの接点が薄い シンプルすぎて時代遅れなゲーム内容 |
概要
1986年代に劇場公開されたアニメ「ウインダリア」を元にしたローグライクRPG。
原作はサキの村に住むイズーとその妻マーリン、イサの王女アーナスとパロの王子ジルの2組の恋人達が戦争により引き裂かれる姿を通じて、悲恋を描いた作品である。
原作のキャラクターデザイン・作画監督のいのまたむつみ氏と同社の『アガレスト戦記』のキャラクターデザインの平野克幸氏によるコラボレーションをホームページなどでアピールしていた。
特徴
- 原作のロケーションの1つである「迷いの森*1」をローグライクの無限ダンジョンに見立て、原作のメインキャラのイズー・アーナス・ジルがそれに挑むという内容
- ダンジョンは4つ。最初に「イズーの決心(6階層)」、その次に「アーナスの戦争(16階層)」「ジルの戦争(16階層)」、最後に「イズーの約束(26階層)」をクリアすればエンディング。
- エンディング後は裏ダンジョンの「迷いの森の奥へ(99階層)」が選択できる。
- ダンジョンプレイ時はDSの上画面にゲーム画面(HPやコンディション(満腹度)なども表示)、下画面はマップとステータス(タッチかセレクトで切り替え)、アイテム使用時はアイテム欄が表示される。
- 大まかなルール・操作方法は概ね『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』に準ずる。下記は主な異なる要素。
- 所持アイテムの総数は30。指輪は2つ装備できる。
- アイテムは武器・防具も含め、極一部を除いてすべてのダンジョンで未識別状態。
- 武器には火・氷・雷・毒の属性があり、弱点を突くと与えるダメージが増加する。また、たまに属性に応じた状態異常*2を与えることがある。
- 飛び道具には「矢」と「銃弾」の2種類があり、ダンジョンによって入手できる種類が異なる。
- 水薬(『トルネコ』での草に相当)は「においをかぐ」コマンドで未識別でもある程度の推測ができるようになっている
- コンディション(満腹度)が0になると即冒険失敗となる
- 中断は次の階層へ進む時にのみ可能。
- メダルトレード
- ダンジョンのクリア、または冒険失敗の際のスコアに応じてメダルを獲得。それを使用して各種アイテムと交換ができる。
- 交換したアイテムは次回のダンジョン挑戦時の初期所持アイテムになる。効果は永久なので初期所持アイテムのアンロックシステムと言える。
- ダンジョンのクリア、または冒険失敗の際のスコアに応じてメダルを獲得。それを使用して各種アイテムと交換ができる。
問題点
原作付きゲームとしての問題点
- 原作再現があっさりしすぎで、原作のストーリー・魅力が伝わり辛い。
- 特にイズー絡みでのストーリーの省略が多く、「王に取り合ってもらえず、退廃したパロで浮浪者同然に過ごすうちに心が荒んでいく」「水没したイサの街と幽霊船に向かう人々の魂を見て自身のした事の重大さを思い知る」といった原作描写が丸々カットされている。
- 「アーナスの戦争」「ジルの戦争」のエピローグの内容はほぼ同一。ほぼ同じ内容のダンジョンを2度もプレイさせられるので徒労感が目立つ。
- 各ダンジョンのオープニング・エピローグでは原作アニメのスチル画像が使われているが、場面が飛び飛びで表示されるため状況が掴みづらい。
- CERO:Aに配慮したためか、一部の悲劇的なシーンの再現が画面暗転の中で行われるようになってしまっている*3。
- 原作とローグライクRPGとの接点が薄い。
- 迷いの森自体はアーナスとジルの逢瀬の場所であるが、原作では両者とも乗り物でその場所へ移動しており、わざわざ徒歩で行く理由が薄い。
- イズーに至っては原作終盤の逃亡時に小舟で通過する程度で接点が極めて薄い。
ローグライクRPGとしての問題点
- 良くも悪くも本家Rogueや初代トルネコの模範と言えるシンプルな内容で、本作ならではといった独自性に乏しい。
- 足元に落ちているアイテムを直接使ったり、その場で手持ちのアイテムと入れ替えることができないなど、足元に関するコマンドの仕様が不便な点も同様。
- ゲーム内チュートリアルが無い。
- アイテムの持ち帰り要素がない。入手したことのあるアイテムをタイトル画面から閲覧できるアイテム図鑑の機能があるだけ。
- Gold(お金)は冒険終了時のスコアに影響を与えるだけでそれ以外の用途が無い。
- コンディション(満腹度)が0になると即冒険失敗となる点は非難されやすい。
- また、コンディションは100%を超えて回復できるが、100%以上の値は表示されない。
- メダルトレードで初期所持アイテムを解禁していく仕様上、ゲーム開始時はコンディション)回復アイテムさえも初期所持アイテム初期所持していない。
- 何度かプレイしてメダルを集め、コンディション回復アイテムを解禁しないとダンジョン最序盤のバランスが不安定になりやすい。
- 本編ダンジョンに登場するモンスターの総数が18と初代トルネコと比較しても少ない。
- 裏ダンジョンに追加登場するモンスターは本編ダンジョンの色違い。能力は別物と呼べるレベルで強化されているが。
- ダメージ表示がテキストでなく、『ファイナルファンタジー?』のようにキャラクターグラフィック上に数値がダイレクトに表示される都合上、飛び道具で画面外の敵に与えた時にダメージを見る事ができない。
- モンスター名がゲーム中に表示されず、確認できるのはタイトル画面から閲覧できるモンスター図鑑のみ。
- 操作キャラは入手できる飛び道具の種類が違うくらいしか違いが無く、全ダンジョンでモンスターの出現テーブルは同一。
- ダンジョン内の罠は発見しても全て「?」マークで表示されるため、踏むまで何の罠かわからない*4。
- 罠は踏めば消滅するため「部屋の入り口に移動阻害系の罠が配置されて中々部屋から出られなくなる」といった事態は起きないが、上記の罠の種類が判別できない事もあり「呪われた装備を装備解除の罠で外す」などの狙って罠を逆に利用する事がほぼ不可能になっている。
賛否両論点
- いのまたむつみ氏の描いたパッケージイラストの出来は良いのだが、絵柄がアニメ公開当時のものとは変化しており、特にアーナスはイメージチェンジが激しくなっている。
評価点
- 平野氏のゲーム中のキャラクターの立ち絵グラフィックは原作絵を上手くアレンジできており、表情差分は無いもののクオリティ自体は高い。
- ゲーム内グラフィックはGBAの延長線上レベルだが、ダンジョン内では木の葉が舞うエフェクトが表示されるなど、全くの手抜きというわけではない。
- 時代遅れな内容であるものの、ローグライクRPGとしての大きな破綻は見られない。
- 斜め移動や方向転換、アイテムの解説文
- 「水薬はにおいをかぐコマンドで未識別でも効果が推測できる」「不要な杖や木製の武器を矢に変換するアイテム」「不要な鉄製の武器防具を銃弾に変換するアイテム」などアイデアが光っている部分が多少は見られる。
- パロの戦車やイサの小型気球、迷いの森の幻覚やモブ動物の一角獣など、原作要素をできるだけ敵として起用した点。
- BGMは表ダンジョン1つにつき1曲*5だが、曲自体は勇壮なイメージを持ち聞きごたえがある。
- モンスターハウスに侵入しても曲が変わる事がないので、そのうち聞き飽きてしまいやすいのが難点。
総評
原作ストーリーがローグライクRPGとかみ合っておらず、ストーリーの再現もあっさりしすぎで薄い。
ローグライクRPGとしてもシンプルすぎて時代遅れであり、多方面から非難されても仕方がない残念な内容になってしまっている。
本作は原作未見のプレイヤーにも原作ファンにも「いい思い出」を残すことは出来なかったようだ。