リジョイス ~アレサ王国の彼方~

Last-modified: 2024-03-03 (日) 19:34:49
発売元やのまん

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開発日本アートメディア
発売日1995年4月21日
定価9,900円(税抜)
プレイ人数1人~2人
セーブファイル3箇所
判定なし
ポイントアレサの最初で最後のアクションRPG
やのまんSFC最終作
アレサ外伝

概要

アレサシリーズの最終作。また、やのまんSFCソフトの最終作でもある。

パッケージ裏には「RPGアレサシリーズのスーパーファミコン版第3弾」とありSFC版の2作目の続編と思いきや、それまでの作風や世界観などがガラリと変わった作品になっている。

世界観

  • 本作の世界観はSFC版シリーズではなくGB版シリーズの派生になっている*1

    舞台はアレサ王国のはるか彼方のマハルの国であり、そのイシュの町から物語が始まる。

アレサの物語

昔、アーテラにアレサ王国という平和な国があった。国王リパートンに2人の娘が生まれた祝宴の時、娘の1人がドラゴンにさらわれてしまう。それはアーテラ制覇を目指す魔王ハワードの仕業だった。アレサ王国は娘を人質とするハワードの侵略に苦戦を強いられ、国王リパートンは敵の刃に力尽きようとしていた。リパートンは最後の力を使ってアレサ神殿を封印し、娘を脱出させた。

十数年が過ぎた後、難を逃れた王女マテリアと戦士シビルの活躍、そして魔法によって命を得た人形ドールの捨て身の行動により魔王ハワードの野望はついえた。

シビルは、かつてドラゴンにさらわれたマテリアの妹エミリータと結婚し、アレサ王国の復興に力を注ぐのだった。アレサ王国が平和を取り戻そうとしていたそんな時、地下帝国に逃げ延びた魔王ハワードが再び地上に向けて侵略を開始する。しかし王位継承権を妹に譲り王宮を飛び出したマテリアと、魔道士たちの手によりよみがえったドールの果敢な反撃により、ハワードの2度目の野望も打ち砕かれた。

長く苦しい闘いの末ハワードを倒したマテリアは、育ての親フロイドと共に彼女が育った町ハロハロで暮らし始めた。ドールは魔法の修業、そして人間になる方法を求めてマハルの国へと旅立っていった。

アレサ王国はこの後、またもハワードの魔手に脅かされるのだが、実はハワードの侵略におびやかされた国がもう一つあった。その名はマハル。ドールが目指した国であった。

(説明書より)

登場人物

リジョイスとアレサの登場人物
  • リジョイスのキャラ達
トレノ
  • 本作の主人公(パッケージでは、中央にいる赤髪の少年)。
  • 他の3人の仲間と結成したリジョイスというチームのリーダー。
  • ある日、ベンマルキストから持ち掛けられた話により、洞窟から女神像を持ち出してくるイベントにより「フォースの書」を手に入れて魔法を使えるようになるが、とんでもない冒険に巻き込まれてしまう。
マイキー
  • リジョイスチームの一員(パッケージでは、右側にいる黄色の髪の少年)。
  • トレノの参謀役で、冷静で的確な判断力を見せる。
キュー
  • リジョイスチームの一員(パッケージでは、左側にいる青色の髪の少年)。
  • 本来は臆病者であるが、ハワードの手先になるか戦うかという話から口論になってしまい暴走してしまう。
ベイス
  • リジョイスチームの一員(パッケージでは、最も手前にいる緑色の髪の少年)。
  • 気は優しくて力持ちとあるとおり女神像の搬出の際は得意の力を見せる。食べ過ぎで太った体形を気にしている。
トト
  • トレノのペットで人語を話す事も出来る。戦う際は『どんぐり弾』を使用する。
  • アレサの人物達
ドール
  • 魔法人形。アレサシリーズを代表するキャラの1人で全作品に登場する。
  • ハワードとの2度の戦いに勝利し修行の旅に出てアレサ王国のはるか彼方、マハルの国を目指していた。本作では、序盤でトレノと出会い仲間になってくれる。
ミルローズ
  • 女剣士。ある日、魔王ハワードから逃走を試みるもキューブのボスをけしかけられ再び囚われの身になってしまう。
    • ちなみに最初に行われるこの戦闘は、チュートリアル仕様となっている「トレーニング・ステージ」である。
  • 邪悪なるものたち
ハワード
  • GB版アレサシリーズでは、かつてアレサ王国を窮地に陥れた魔王。SFC版では最初で最後の登場となる。
    • 今回の舞台マハルを狙っており、序盤でミルローズを追い掛け回すところから始まり最後まで牙を剥いてくる。
ベン・マルキスト
  • 謎の魔法使い。リジョイスのメンバー達に対し、「フォースの書」を報酬に洞窟から女神像を持ち出すという話を持ち掛ける。SFC版アレサシリーズではなくGB版で登場した人物でもある。
その結果は…
  • 女神像を持ち出した事で天変地異が起こり津波で町が滅ぶという事に‥‥大事件というよりも意図的に悲惨な事態を招いているのだが、作中でも間接的に牙を剥いて来ており、とんでもないゲスのクソ外道とされている。

序盤で意図的に大惨事を引き起こしてしまうという展開は他のゲームにもある。あと罵詈雑言が酷い

  • 尚、SFC版1作目と2作目のキャラはドールを除き全く登場しない。
    • エンディングでアリエル達の顔グラが出て来るのみである。

システム

アクションRPG

  • アレサシリーズ初のアクションRPGである。
  • 武器及び魔石
    • 主人公トレノは魔石を装備して攻撃を繰り出して戦う。尚、2Pプレイでは他のメンバーに応じて魔石ではなく武器を買い与える事も出来る。
      • 使用回数に制限はなくMPなどの概念も無い。
    • 敵を倒していき経験値と通貨のPERAを稼ぐのが本作の基本である。
  • 回転ジャンプ
    • A+Bで行う。敵弾をよけたり、ダメージを承知で体当たり攻撃を行えたりもする。
  • LRで向き固定
    • 移動する際は特定の方向を向いた状態で移動する事が出来る。
  • 必殺技
    • Y+Bで繰り出す。HPを削りながら大ダメージを与える事が出来る。尚、ボス戦では不可。
  • 防具
    • 鎧は防御力の向上。盾は状態異常を防ぐ。……のだが、敵の攻撃を受け続けると壊れるという使い捨ての仕様になっている。尚、最終装備は壊れる事がないようになっている。
    • 武器はキャラによって装備できるものが異なるが、防具は誰でも装備できるようになっている。
  • アイテム
    • HP回復や攻撃手段が用意されている。尚、ボス戦では使えないのがネック(後述)。
  • 他には、物体を拾って投げつけたりする動作も用意されている。
  • 2人プレイ
    • 主人公は最初から最後までトレノであるが状況に応じて仲間キャラも参戦。セレクトボタンで参加と離脱は手軽に行えるようになっている。
    • やのまん作品の特質として、名前をいつでも変更する事が出来る。
      • ただし、全空白で決定をすればデフォルトネームが出て来るという事がないため、本来の名前を忘れると困る。パーティーにいない場合は当然名前変更も出来ない。
      • 自己責任レベルになるが、変な名前を付けたキャラと再会するという珍事もありうるので注意。
  • 1人プレイでもメニュー画面から他の仲間に操作を切り替える事も可能。
  • ボス戦においてもPAUSE画面からLRボタンで別のキャラに切り替えが出来るようになっている。ただし、混乱状態では仲間に切り替える事は出来ない。
  • ダメージの表現
    • 敵に与えたダメージなどは数値では出てこないが、残りHPに応じて青、黄色、赤に光る仕様になっている。これは同社のトリネアやSFCアレサIIにあった表現を実装したと思われる。

ストーリーの進行

  • シナリオは一本道
    • 新しい街では情報を集めたり装備を整えたりする拠点となりダンジョンを攻略するという流れになっている。
  • 会話コマンド
    • 次の目的地が分からなくなってしまった際は、仲間と会話をする事によりやるべき事が示される。

評価点

世界観

  • 森林や迷路の建造物や地底世界や海底などあらゆる舞台が用意されており、個性豊かなキャラ達とのイベントも豊富でプレイヤーを飽きさせない。
    • SFC版アレサとは異なる世界観だが、本作にも沈没船や地底世界が用意されており地底のアリがトレノ達に接してくれる場面もある。ちなみに、SFCの2作品で登場したアリエル達は本作には登場しないもののエンディングでは顔グラと解説文が出て来る。

グラフィック

  • あらゆる場所のマップは質感良く作り込まれており更にエフェクトが併用されている。
    • 森については、流石にラストダンジョンにまではねじ込んでこないがかなり力が入っており各地では色々な森林が表現されている。
  • 優れたインターフェース。
    • デザイン性や文章の品質が良いのは勿論、アイテムにはアイコンと解説文まで用意されておりどこを切り取っても見栄えが良い。
  • 回転拡大縮小機能の活用。
    • 本作ではSFCの機能を引き出しており、オープニングイベント終了後ではRejoiceのアクセサリーが振り子のように左右に揺れる演出が入りセンスが良い。
    • 作中でも至る所で活用されており、波の満ち引きや森林の草木などの表現に使われていたりする。更に大型のボスでも拡縮補間、回転が使われているので迫力がある。

ゲーム性

  • アレサのアクションゲームというのは新鮮。
    • 操作性も良く、色々な事をやってくる敵や、軽い謎解き探索要素も多数盛り込まれている。
      • レベルアップが早くザコを倒していくうちにどんどん上がって行くのは爽快で、ついでに全回復もする。道中は勿論、ボス戦でお供のザコを倒してレベルアップなんていうのもザラ。
    • 武器や防具もこれが最善というものはなく状況に応じて使い分ける醍醐味がある。
    • セレクトボタンで1~2人プレイに切り替えられたり、腕前に応じて難易度を切り替えられるのも良い。
  • ボス戦
    • どれも大型のボスであり多彩な事をやってくるので個性的である。
    • BGMの方も各ボス毎に異なる曲が用意されており、非常に力が入っているのが分かる。
  • このあたりはアクションRPGとしては十分に良作の条件は満たしており、従来の2作とは違った魅力を持っているのは確かである。

賛否両論点

シナリオ

  • 主人公について
    • トレノ少年とその仲間によるチームRejoiceは今までのシリーズには登場しなかったものであるが、素行が悪く序盤早々に盗みや詐欺を働いており、従来のプレイヤーが共感するのは難しい。しかもそれはゲームを進める上でのフラグになってしまっており避ける事は出来ない。
  • その直後には重い展開がある…
    • 大事件とあるが、大惨事という表現の方が合っていると思われる。
ネタバレ注意
  • リジョイスが女神像を持ち出した事が原因で津波が迫っていた。しかもその間にリジョイスは色々な悪事まで働いている。
  • そこからは為す術もなく故郷が滅亡していく様を目の当たりにする。しかも、それが(仕組まれていたとはいえ)自らの手で引き起こしたという事実を突きつけられるのだから本当にたまらない。本作の序盤早々後味が悪いイベントとされている。
  • BGMが軽い
    • SFC版のアレサ『I』や『II』のような重厚な曲を期待すると肩透かしをくらう。更に本作のシナリオは結構重いのに対しミスマッチ感は否めない。
  • 自由度が低い
    • シナリオは一本道で、一度クリアした場所には再訪する事は出来ないのも好みが分かれる。
  • 大きく変わった作風
    • このあたりは、シリーズファンによっては評価が分かれると言えるかもしれない。
    • とはいえ仮にSFC版のRPG作品を作ってもマンネリ化していたかも知れないので、思い切って作風がガラリと異なる外伝という新機軸を打ち出したのは評価点とも言えるだろう。

問題点

  • ボス戦闘ではアイテムが使えない
    • 道中ではHPが尽きる直前にメニュー画面がでてアイテムで回復出来るチャンスがあるが、ボス戦では何故かメニューが出て来ないため、回復アイテムを沢山持ったままゲームオーバーになってしまう事が多々ある。
      • 勿論、状態異常も治せないので例えば混乱状態にされるとそこから何とか勝ち切るしか道がない。
    • メニュー画面を開く事も出来ないので、武器を切り替えたり、防具が壊れた際には装備しなおす事も出来ない。
    • オープニングにおいてミルローズがボスと戦う負けバトルでは、普通にアイテムが使えていたので尚更とまどったと思われる。
  • 会話コマンドの劣化
    • 以前のSFC作品では会話とともに一枚絵が出てきたが、本作では文章のみで寂しい。顔グラが用意されているのに会話で使われていないのは勿体ないところである。
  • 世界地図がない
    • 進行に支障をきたすわけではないのだが、本作は色々なところを回るだけに大まかな地図は見たかったところである。

終盤の構成が悪い

  • ラストダンジョンから戻ってこられなくなる
    • ラストダンジョンである程度進んでしまうと引き返す事は出来ずラスボスを倒しに行くしかなくなる。回復地点はないがザコを倒してレベルアップすれば全回復するのは救いか。
    • 通貨PERAの入った宝箱が出てくるが、買い物出来る施設などもないので、買い逃したアイテムなどは諦めるしかない。
      ラストダンジョンでは【?F】に進むと戻って来れなくなるというヒントはもらえる。
不完全燃焼のエンディング
  • ベン・マルキストとは戦わずじまい
    • トレノにとっては故郷を滅ぼし仲間の命を奪った元凶で作中では倒してやるとまで言っており,プレイヤーにとっては最も倒したい敵だったはずであるが結局は1度も戦わずに終わってしまう。

総評

従来の作風から大きく斜め上に舵を切っており好みが分かれる作品となってしまったのは否めない。

新しい軸を打ち出したのは確かであるが、終盤では不親切な箇所がどうしても目立ち消化不良があるのは非常に惜しい所であり、やのまんのSFC作品は有終の美を飾ったというのは難しい。

ただ、それでもゲーム性に優れているためか結構な高値で取引されている作品ではある。アレサシリーズを全く知らないプレイヤーがアクションゲームとして手を出すなら選択肢に上がるかも知れない。

余談

  • 当時のラジオ番組『mamiのRADIかるコミュニケーション』とのコラボが行われており、とある隠し場所にDJ小森まなみ氏が登場する。
    • ラジオ番組については、MADテープで知った人もいるかも知れない。
    • ネヴェの町のウィルの家でウィルとウィルの兄弟に話しかけて小さい家に入る事を繰り返すと「プレミアムアーマー」をくれるのだが、それを装備して再び家に入るとスタジオを模した部屋に出る。
      • そこには『アレサ王国アニメレポーター』のミンキーヤス氏とDJ小森まなみ氏がおり、こんばんわの音声で出迎えてくれる。
      • 内容は、TBCラジオ『POP'Nパジャマ』『月刊アウト』という雑誌にはエッセイも書いてあるという旨の文章である。
  • 説明書では、名前入力の際にブライアンという名前が出ている。
    • これは、同社の『FEDA:The Emblem of Justice』の主人公の名前が由来と思われる。FEDAも途中で打ち切りになってしまったのは非常に残念なところである。
  • 沈没船の内部では、同社のSFC第1作目『SONG MASTER?』の雑魚敵が色違いで登場する。RPGの時とはまた違った戦い方が楽しめる。
  • 日本アートメディアは1994年12月に同機種で「覇王大系リューナイト ロードオブパラディン」を制作している。
    • リジョイスとは世界観は別物であるがゲームシステムや作風は良く似ている。

*1 タイトル曲もGB版シリーズのものになっている。