高木VS高木

Last-modified: 2024-01-24 (水) 21:38:34

並木道に植えられた桜が満開に咲き誇る。桜の花びらはそよ風に揺られてひらひらと舞い落ちて美しく、陽春ようしゅんの暖かい空気と日差しも相まって、出会いと別れの季節『春』を強く感じさせる……やや大きめな真新しい紺色のセーラー服、背中まで伸びている美しい茶髪、左右に分けられた前髪から見えるおでこがチャームポイント、幼さもあるが何処か大人びた印象も受ける可憐な少女(高木さん)。並木道のはずれ、とても大きくて雄大な一本桜の幹へと寄り掛かり、想い人である西片を待つ高木さん。

「ごめん高木さん!寝坊したから遅れる!」という西片からのメッセージを見直し、いたずらっぽく笑う高木さん。肩と背中をを太い幹の後ろへと預け、西片にどんな悪戯を仕掛けようとかな~、返信はどうしようかな~と『からかう』算段を立てていそうな悪い表情……『からかい上手の高木さん』の恋模様は高校生になった今も変わらず純粋で初々しく、想い人は常に振り回されている。「いいよ。隠れてる私を見つけられたら〇〇してあげるね」と返信し、自分の本心を伝えると同時に西片をどぎまぎさせることも忘れない『からかい上手』なLINEテクニック。

「……ん? あれ早かったね西片……なーんだ私か」

「……ん? あー……またなんだ……中学生以来だね」

「……そうだね。ね? 西片もまだ来ないし……」

「……そうだね。西片も遅れてくるって言うし……」

「「……久しぶりに、勝負しよっか??」」

幹の裏影で高木さん達の細い身体が重なり、唇をついばみ合うかのような優しいキス勝負。ちゅぱっと唾液の跳ねる水音が二人の間で小さく鳴り続け、相手のスカートを掴んで捲り上げる……全く同じ白のショーツが丸見えとなり、小さなお尻を大胆に掴んで揉み合い、相手の背中や髪の毛を優しく撫でて性の興奮を刺激し合う。西片の到着時間が不明瞭な為、高木さん達の定めたルールは『傷痕の残る暴力は禁止』――そのため、二人の間に中学生の頃のような暴力的で殺伐とした雰囲気は無い。が、快感を悟らせないためのポーカーフェイス&軽蔑の眼差しを向け合うキス勝負&性感帯を的確に刺激し合う愛撫あいぶは『女同士の静かな闘い』特有のドロドロとした意地悪さがある。

唇をついばみ合う優しいフレンチキスから、クチュッ、ヌチュッと相手を深く求める濃厚なキス勝負へと変わっていく。伸びた舌同士が口内で蛇のように絡まり合い、生暖かくて甘い唾液が混じり、口の端から溢れそうになるブレンド唾液をゴクリと呑み込む……顔が赤らみ、呼吸が荒くなり、背中やお尻をさわさわとする手付きが激しく、そして大胆になっていく高木さん達。踵かかとをあげて爪先立ちとなり、同じ背丈の相手と目線の高さを競い合い、快感で逝きそうな相手を見下す披露会。更に、捲りあげられたスカートから見えるショーツをお尻や秘部へと喰い込ませ合ってズリュッ、ズリュッと乱暴に擦さすり続け合うという激しい逝かせ合い。

「ンチュッ、ンンッ……ッゥ、全身小さいのに…ンムッ、私を見下そうとか……ンムッ、ありえないよっ」

「ンンッ、ンチュッ、……チュッ、身長も胸も育ってない……ンクッ、偽物がっ、上から目線とか……ンンッ、ありえないからっ」

爪先立ちになっている相手の両肩や頭頂部を掴んで強引に足裏を地へとつかせ、長い茶髪を掴んで引っ張り合い、足指を踏みつけて『背伸び』を妨害していく高木さん達……身長だけではなく全身(主に胸)を含めた暴言に怒り『は?』というピキッた表情で相手を気持ちよくさせるための愛撫を止め、更には絡ませ合っていた舌同士を離し、相手の舌を唇先でパクッと咥え直す。そして――長い茶髪を徐々に強く横下へと引っ張り、更には咥えた相手の舌を前歯でガリッと噛んで『快感』ではなく『激痛』を与えていく。

『傷痕の残る暴力は禁止』ではあるが、髪の引っ張り合いと舌の噛み合いでは傷が残らない(目に付かない)。そのため、高木さん的にはルールの範囲内……なのだが、長く綺麗な茶髪を乱暴に掴んでの引っ張り合い、相手の舌に歯型がくっきりと残る噛み合いは凄絶せいぜつで痛々しい。ギチィッ、ミチィッと引っ張られた髪の毛からは悲惨な音、整えられた毛っ先が地面に触れてしまう程に華奢な身体が真横へと折れ曲がり、ゴンッ、ガツンッと後頭部や側頭部を殴り合い、涙目になりながらも相手の舌先を前歯で強く噛み合う二人の姿はまるで『獣』。

更に数秒後――毛先数ミリだけではなく、纏まっている髪束すらも地面へと触れ、咥えて噛んでいる舌には薄っすらと血が滲む。高木さんお得意のポーカーフェイスは見る影もなく「ふ~っ! ふぅっ~!」と舌の噛み合いで半分口が塞がっているせいで呼吸も荒く、鬼のような形相で涙目……地面には引き千切れた髪の残骸が多く残っている。そして――ブチッ! と太いケーブルが断線(列断)したかのような不快音が聴こえた瞬間、高木さん達は勝負を中断して身体を離す。乱れた呼吸を整え、ポケットから取り出したハンカチで唇端に滲む薄い血を拭き取り、掌てのひらに握られている多量の茶髪は勝負の凄惨せいさんさの証明であり戦利品(尚、握られている相手の髪の毛はゴミでも捨てるかのように適当に投げ捨てる)。

「っぅ……喧嘩売ってるのかな? 『私の西片』が来ちゃうから暴力は禁止、って言わなかったっけ?」

「っ……確かに言ったね。でも『傷痕の残る』暴力は禁止だよね? 偽物はか弱いから暴力の線引きが難しいね~それに……私の西片って、勘違いも甚はなはだしいよね」

「冗談だよ。そんなに怒らないで……んー仲直りにハグしよっか? 成長しているのか、確認してあげる」

「そうだね~仲直りしよっか。偽物の細くてまっ平らな身体の感触、久しぶりに確かめたいしね?」

「うん。偽物の硬くて薄いプラスチック下敷きみたいな抱き心地、確かめたいな」

「「っ……………💢💢」」

乱れた長い髪の毛を手ぐしで綺麗に整え、深呼吸を繰り返して普段の冷静さを取り戻そうとする高木さん達。しかし「私の西片」や「偽物は弱い」という所有権の主張と強調、煽り文句に過剰に反応してしまい、売り言葉に買い言葉は慎ましい胸を貶し合う火種になる。想い人(西片)の前ではポーカーフェイスを保ち、本心を上手く隠す高木さんが偽物(自分)の前では愛想笑いや平常心を保てない。水と油のように混じり合わないのは同族嫌悪ゆえ、相手の心を乱す的確な言葉選び(恋愛的にも喧嘩的にも)は流石『からかい上手(煽り上手)の高木さん』といった感じである。

両腕を大きく横へと広げ、大好きな彼や友達とするような正面ハグの体勢になる高木さん達……その体勢のままゆっくりと相手との距離を詰めていくと、チャームポイントの大きな額がゴツン! とぶつかり、貶し合った小さな胸、お腹や太腿といった身体の前面部分すらもぶつかり合う。そして――恋人とするかのような熱くてキツイ抱擁ほうようが交わされ、相手の抱き心地や慎ましい胸の存在•柔らかさを確かめるかのように上下左右へと激しく身体を擦り合わせる。

「……まな板でも抱いてるの?」
「……胸無いんだね。かわいそう」

「……は? 何言ってるのかな?」
「……ん? 頭悪いから、わかんないか……」

「「……………………」」

抱き締めてる最中に鼻で笑い、相手を心底哀れむかのような表情で暴言を吐く二人の高木さん。「は?」「ん?」と笑顔での威圧と怒気どき、背肉を抓って引っ掻くという陰湿さ、ローファーの踵で相手の足先をグリグリと踏み躙る悪辣あくらつ……背骨を圧し折ってしまいそうな抱き締め合い、過度な貧乳弄り、陰湿的な攻撃は『からかい』の粋を超えた『いじめ』。慎ましい胸を突き出し+身体を上下に擦り付け合う比べ合いはより一層激しさを増し、制服同士が擦れる布音の中に助骨じょこつの軋み音(ゴリッ)が混じる。

相手の肩に顎を乗せ、吐息の多く混じった淫らな声の二重唱……抱き締め合う身体が大きく左右上下に動き続け、華奢な身体を支える美脚は仔鹿こじかのように震え、時に美しい身体が快感でビクンッと跳ね上がる。抱き合っていることで制服上では解らない身体のラインが鮮明に浮かび上がり、小さな胸同士の圧おし広がりや敏感になって勃った乳首の擦れる様子が見て取れる。小さな胸同士の潰れ具合も、快感による身体の震えも、甘い声をあげるタイミングも全てが鏡写し。

「……んっ、くっ……負けな……いっ」
「……ぁんっ、っぅ……私っ……だって」

「……きゃっ!?……さ、させなっ……いっ!」
「……ひゃっ!?……や、やらせっ……ないっ!」

抱き締め合う腕力が強まり、高木さん達の身体が限界まで密着する。顔を赤らめ、お得意のポーカーフェイスはぎゅっと眼を閉じた苦悶の表情へと変わり、小さな胸を圧し潰そうとする意地と意地のぶつかり合い……乳肉の中に埋もれた乳首が重なり、根本から圧し折れては絡まり、真正面から突き刺して身体の震え(主に美脚)を推進すいしんする。ゴツッ、ガツッと軽く身体を離して胸を突き出してぶつけ合い、背中まで伸びた美しい髪を掴んで下に引っ張り、綺麗な空を見上げ合う泥沼の勝負。だが――快感でおぼつかない脚は絡まってつまずき、桜の木の幹に身体を預ける体勢となる。

身体を素早く動かし、ドガッ! と木の幹に相手を叩きつける片方の高木さん。その行動を機に近郊きんこうは崩れる――衝撃で怯んだのか、木の幹と身体のサンドイッチに音を上げたのか、はたまた地力の差か。慎ましい胸同士の闘いは木の幹と身体のサンドイッチで優劣が付き始め、やや不安定な体制で木の幹に寄りかかっているせいか抱き締め返す腕力もか弱く、木の幹から抜け出そうと藻掻き苦しむ。

このまま決着が付くと思われた瞬間、ゴッ! と抜け出そうと暴れた相手の額が高木さんの鼻へとクリーンヒット……反射的に両手で鼻を抑える高木さんの隙を見逃すはずもなく体勢は逆転。今度は高木さんの慎ましい胸が圧し潰されて劣勢となり、抜け出そうと暴れる高木さんを何度も木の幹へと叩きつけて動きを抑制よくせいする。胸の大きさ、腕力、美しさ、腹黒さ、可愛さ全てが同じ『からかい上手の高木さん』――そうであるなら、鏡写しにならない行動=有利なポジションを取ったものが勝つ闘い。

綺麗な長髪を引っ張り合い、頭突きで視界を曇らせ、制服上から肩へと噛みつき、制服の中に手を突っ込んで乳首を抓って引っ張り、脛を蹴りあげる。あの手この手で相手を怯ませ、めまぐるしく体勢が入れ替わる。が、数十回の入れ替わりの未に勝敗が付く。多少の膨らみも感じられない程に潰れた胸、乱れた衣服と髪の毛、浅い呼吸……木の幹へと寄りかかり、ずるずると倒れ込む敗者。見下ろす勝者を上目遣いで眺めているが、やり返す気力も体力もないのかぐったりとしたまま動かない。接戦だったが故に根負けした時の悔しさは大きいもの。

「……私の勝ちだね♪ 西片も来たみたいだし……そうだ。罰ゲーム受けてもらおうかな」

遠くの場所から全力疾走で走り寄ってくる西片を木の幹の裏手から眺めて、思わず表情が緩む。乱れた衣服や髪の毛をぱっぱっと手直しして、敗者をそのままに木の幹の裏側から姿を現し、きょろきょろと辺りを探す西片を迎え入れる。

「はぁっ…はぁっ! ごめんっ高木さん! 寝坊しちゃって……ぜぇっ、はぁっ! まだ間に合うよね!?」

「うん。全然大丈夫だよ……ねぇ西片? 私が約束場所に絶対に居る体ていでの全力疾走嬉しかったよ。姿は見えないように隠れてたんだけど……〇〇しないとだね」

高木さんが西片の背後に回り両手で目隠しをする……耳元でなにかを囁き、木の裏で倒れている敗者が監視しているのかも確認しないうちに〇〇をする。終えた後――「頑張って」と口パクで桜の裏に居るであろう敗者に伝えて物語は終わる。一生記憶に残る罰ゲームと激励、高木さんは本当に『からかい上手』である。