※没になったバージョンです
| ジャンル | アドベンチャー | #ref(): File not found: "If.jpg" at page "If Found..." |
| 対応機種 | スイッチ,スチーム | |
| 配信元 | アンナプルナインタラクティブ | |
| 開発元 | Dreamfeel | |
| 配信日 | 2020年10月22日 | |
| 定価(税込) | 2,100円 | |
| プレイ人数 | 1人 | |
| セーブデータ | 1個 | |
| 判定 | なし | |
| ポイント | 消したり塗りつぶすことで進捗する 普通であることに悩む若者が主人公 |
概要
アイルランドにて製作されたビジュアルノベル。1993年のアイルランドが舞台の物語で,漫画のようにあるいは日記のように描かれたグラフィックを本作独自のシステムで読み進めていく。
あらすじ
主人公のカシオはトランスジェンダーで,今現在は女性の姿だが大学在学中あたりまでは男性として暮らすことを強いられてきていた。
絵と天体物理学が好きで博士号をとろうとしていたが,家族の圧力から断念。また今の女性としての姿を受け入れてくれない家族と仲たがいして,旧友のカラム,ジャック,シャンズが居つくビッグハウスに居候するようになる。
- カシオの居候生活にまつわる物語をふりかえりつつも,時折,宇宙飛行士カシオペアのミッションの遂行の様子の物語も交錯する。
- カシオペアのミッションのパートではストーリーに直接の影響をもたらしているわけではなく,荒むカシオの心を地球の危機として間接的に表現しているギミックであると思われる。
ゲームシステム
- 画面の切り替え方
- 画面を消しゴムで消すように,あるいは絵の具でぬりつぶすようにして画面をプレイヤー側が切り替えていくことになる。
- Xボタンだと自動で全体が切り替わり,AボタンBボタンだと左スティックとの併用で部分的に消していく。Switch画面を指でこするようにしても消していける。
- 場合によっては,キャラクターの台詞をAボタンかSwitch画面のタッチで送っていくこともある。
- ときおり脚注がつけられている用語があり、Yボタンで意味を確認できる。
- 絵日記を書く
- 終盤になると,絵日記や宇宙飛行士カシオペアの物語の続きを絵日記として描くパートに移る。
- Aボタンを押しっぱなしにしたり,Switchをスライドするようにタッチすることで文章が書ける。
- ストーリーの分岐は特に無くプレイヤーの操作で段々と物語が進行していく。
- 終盤の絵日記を書くパートで選択肢が出てくる程度である。
- 本作をひととおりクリアすることで,チャプターセレクトが可能になる。
評価点
- 美術的な表現
- 自然物は写実的に,登場人物はカートゥーンのようなラフ画で表現されているのが特徴。
- 日記を消していく際,どんなにがんばっても消えない線があったり,消しカスが出てくるような場面もある。
- 絵日記を消していくにとどまらず、絵日記のセピア調の背景をビビッドカラーに塗りつぶしていくこともある。
- また絵の背景を塗りつぶしていくこと夜が更けていったり、雨がひどくなっていったりといった時間経過もうまく表現してある。
- 日記をかき消すという行為による表現
- 主人公のカシオがあまり前向きでない心理で物語を回顧している様子が,おおかたプレイヤーに想像できるようなギミックとなっている。
- 若者の葛藤をテーマとしたこと
- 物語自体は1時間程度で読了できてしまうボリュームではあるが,自分には理解者や居場所はあるかどうか、誰しも悩みそうなテーマを取り扱っている。
- ただただ性的少数者を登場させるので終わっておらず、その登場人物がどういった悩みを抱えているのか掘り下げる側面を持っている。当時はまだアイルランドになじめていなかったであろうインド人の青年との人間関係で,カシオの心情が移り変わる局面もある。
- Xボタンを然るべきタイミングで入力して,消したり塗りつぶす作業も大方スキップできるので物語に集中したい人のプレイスタイルにも対応している。
問題点
- 日記の表現と漫画の表現が融合していることに関する弊害
- 細かい点かもしれないが、イラストで説明できそうなことはイラストで説明してきたりする。テキストに注視しすぎているとお話の流れが掴めないことはある。
- たとえば住む場所を変えた等の情報は、言葉ではなく背景の建物のイラストで表現することもある。
- カシオ目線で自身の身上について悩むのがメインの物語であり、何が起きてどうなったかは若干わかりにくくなっている。
- 細かい点かもしれないが、イラストで説明できそうなことはイラストで説明してきたりする。テキストに注視しすぎているとお話の流れが掴めないことはある。
- 直前の箇所を読み返せない
- チャプターセレクト機能はあるが、何かをかき消していくことで次の画面に進めるようなシステムをとっているので、ひとつ前に書いてあった文章を確認しに戻ることが出来ない。
- 吹き出しで会話している際は、ちょっと画面をタップしてもすぐに次の台詞に移行してしまうほか、うっかり少し何かを塗りつぶしてしまっただけで、日記の別の箇所にカメラが移動するようなこともある。
- タップ操作は行いやすいものの、こういった問題が気になるならAボタンとXボタンで操作したほうが安全。
- 光の点滅が激しい場面
- 宇宙飛行士カシオペアが、難しい宇宙ミッションをこなすようなパートがちょくちょく物語にはさまれるが、そのパートがピンクと白と黒の点滅といった目に優しくないようなグラフィックをしている。
総評
絵日記のセピアカラーと、それ以外のビビッドカラーの対比で彩られたサウンドノベルであり、消しゴムで消したり塗りつぶしたりする独特の操作方法で進行していく。
物語としての量や山場が豊富というわけでもないが、普通であることに悩む若者の葛藤を淡々と自然に描いている作品。