The Wonderful 101

Last-modified: 2023-05-14 (日) 21:42:15

【ざ わんだふる わんおーわん】
※リマスター版はこちら

ジャンルユナイト・アクション

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発売元任天堂
開発元プラチナゲームズ
発売日2013年8月24日
定価6,930円(税込)
判定なし
ポイントピクミンと似てるようでまるで違うスタイリッシュアクション
大神やベヨネッタのシステムを継承した直感的操作
ヒーローものとしてお約束ながらも熱いストーリー展開
イージーモードが真のノーマルモード
任天堂としてはやや難易度が高すぎた

概要・特徴

神谷英樹が手がけたWiiU専用のゲームソフト。ヒーロー達100人がユナイト(合体)し、様々な武器などに変形して戦うアクションゲーム。

本作の最大の特徴は、ゲームパッドに図形を描く(あるいは右スティック)ことで、それぞれのリーダー的なヒーローの能力を基調とした武器に変形することである。

これらは集結したヒーローの数によって効果が異なり、いかにヒーロー達のダメージを避けて相手にコンボを決めていくかというやりごたえあるゲーム内容となっている。

発売以前よりピクミンと比較されているが、ピクミンが主に役割を分担したりするゲームなのに対し、こちらは力を一つに結集して巨大な敵と戦ったり、ギミックを動かすのが基本な群像アクションゲームである。

ちなみにゲーム内の組織名は「ワンダフル・ワンダブルオー(100)」であり、ゲームタイトルにある101人目の隊員は、プレイヤーを意味している。


評価点

  • HD画質を活かした、光沢にこだわった美麗なグラフィック。
    • ムービー画面のカメラワークなどはさながらハリウッド映画的なものがあり、プレイヤーを盛り上げる。
  • キャラクターの個性がそれぞれ強烈。
    • アメコミ風ながら、やや日本の戦隊ヒーロー的な空気も漂わせてあり、その奇妙なマッチングによるシュールさは見ていて楽しい。
    • ピクミンと比較されることが多いが、基本的にピクミンの一人一人に目立った個性があるわけではないのに対し、こちらはデザインの違うヒーローが寄り集まってプレイするスタイルになっている。(例を挙げればキリが無いが、一般的なものから意外なものまでモチーフが豊富)
    • ワンダ・レッド以下メインキャラクター以外はイベント中で喋ることこそ無いものの、ユニークな(そしてシュールな)メンバーが揃っている。イベントには反映されないが操作キャラクターとして選ぶことも可能。
      • 100人もの隊員全員にプロフィールとヒーローとしての活動内容、そして専用のロゴまで用意されている。仲間にした隊員なら、モデルとプロフィール、そしてツッコミ所満載の解説を個別に閲覧することができる。
    • 味方が味方なら敵も敵であり、各ミッションを通じてシリアスに、稀にギャグも交えて味方に絡んでくる。特に味方と同等またはそれ以上の性能で幾度と無く襲い掛かってくるライバルキャラの印象は強い。
  • WiiUゲームパッドを活用した斬新なゲーム性。
    • プレイヤーキャラは7人のリーダーが持つ固有の能力を活かしたもの(拳・剣・銃・鞭etc)に変身するため、スティック操作またはゲームパッドに直接図形を描く。(大神?の筆調べシステムを引き継いでいるといってもよい)
    • リモートプレイも可能だが、その場合はゲームパッドの画面で図形は描けない。右スティックで行う。
    • ゲームパッドに建物の内部を移し、TVモニターに建物の外部を映すなどといったWiiU特有の二画面を活かした場面もあり、それを用いたギミックも存在する。
  • 神谷英樹が手がけたゲームらしい爽快感や戦略性のあるゲーム性。
    • ユナイト・モーフを次々とチェンジして空中コンボを決めるのはかなり楽しく、コンボ数を多く決めることで評価もあがる。
    • 状況や相手によって有効なユナイト・モーフは異なるため、使い分けも重要となってくる。正面から拳で殴っても装甲でダメージを軽減されるためハンマーで叩いて衝撃力を与えるなど。個人的にお気に入り・使い込んでいるユナイト・モーフでゴリ押しすることは難しい。
    • 操作キャラによるユナイト・モーフだけではなく、自律攻撃するユナイト・モーフを作り出す「マルチ・ユナイト・モーフ」システムがあり、攻撃のバリエーションは多い。
      • 余談だが本作の開発予定としてはこのマルチ・ユナイト・モーフの仕様はなく、実装されたのはなんと発売の&bold(){3ヶ月前}*1。しかもパブリッシャーである任天堂側に事前相談が一切無く実装されたという衝撃的な事実が「社長が訊く」にて明かされた(参考)。
      • これにより実際ゲームとしては純粋に面白くなっており、これに起因するバグはまったくといっていいほど報告されていないため結果オーライではある。
    • また、ユナイト・モーフだけではなく、神谷ゲーらしく回避や受身のシステムも充実しており、更にそれらを拡張することで周囲の敵だけを一定時間スロー状態にする「ヒーロー・タイム」等を発動することができ一層プレイヤーが有利になる(ベヨネッタ?のウィッチ・タイムシステムを継承)。
    • 上記の基本操作に加え、ミッションによってはダイナミックに状況が変わり、それに応じてゲーム内容及び操作方法もガラリと変わる。
      • 味方を支援する戦艦「ヴァージン・ヴィクトリー号」に乗り込んで敵のボスを追撃する、敵ロボットを鹵獲して専用モードに移行する等、シチュエーションは様々。
  • ケレン味あるステージ展開
    • 各ステージは一本道であり、基本的には雑魚敵を倒すことが進行していくが、その間に挿入される各種演出・イベントが熱い。新タイプのヒーロー加入イベント、崩れ落ちるビルからの脱出、&bold(){何故か野球のようなゲームが始まる}など、プレイヤーを飽きさせない演出がちりばめられている。
    • ボスステージでは段階によって状況が激しく移り変わり、非常に白熱する。
      • 特に味方が優勢になった際のBGM「形成逆転」や「ワンダフル・フィニッシュ」はプレイヤーにカタルシスを与えてくれる。
  • やりごたえのある難易度。
    • 各ステージでは一区切りごとに、またステージクリア時には総評として5段階プレイ評価が与えられる。評価基準はクリアタイム・コンボポイント・受けたダメージ。要は「短時間で・有効な連続攻撃を叩き込み・ノーダメージで」クリアすればよい。
    • 最高評価であるピュア プラチナを狙ったプレイはシビア。ほぼノーダメージでクリアを目指さなければならない。
    • 残念ながら低評価をもらってしまったとしてもプレイの進行に支障は無い。

賛否両論点

  • シューティングステージの多さ
    • 前述した通り本作には様々なゲームシステムが登場するが、基本操作を除けばシューティングステージの比率が多い(無論ステージごとに視点や攻撃システムが異なるため印象はがらりと異なるのだが)。
  • 1ステージの長さ
    • 1ステージに要するプレイ時間がおおよそ20分以上はかかるため長丁場になりがち。ただし区切りが付くたびにオートセーブされ次回起動時はそこから再開できるため、やめたいがやめられないといった事態にはなりえない。
      • しかし高評価を目指すと前述した通りにシビアなプレイを求められるため、1ミスでそれまでの努力が水の泡……ということになりかねない(但しプレイ評価が確定してからセーブされるまでの間にリセットすればやり直せるという抜け道はある)。
  • QTEが多い
    • 演出に従って所定のユナイト・モーフを繰り出す、Aボタンを連打するといったQTEが非常に多い。
      • が、他作品のQTEと異なり&bold(){次にやるべきことが明確である}点、操作そのものが直感的である点、時間制限に余裕がある点、そして&bold(){失敗してもギャグテイスト専用のやられムービーが挿入され}、少しHPが減るだけで直前からリトライできるためおおむね好評。むしろQTEを失敗するためにリトライするプレイスタイルすらある。
      • 特にメインストーリー最後のQTE演出は、プレイヤーと作中のキャラクターの感情が一致する見事なものである。
  • 隠し要素を開放するための難易度が高い
    • 表題通り、隠し要素であるキャラクターを開放するための条件が難しい。比較的楽に開放できるキャラもいるが、全キャラクターを出そうとすれば全難易度で全ステージをクリア、全ステージで最高評価を獲得、全ての収集要素を集める、全てのステージギミックを利用する(どこを利用したことがあるかは見られない)など。
      • 開放される隠しキャラクターたちはいずれも他の隊員以上にユニーク。既存のユナイト・モーフに特殊効果を追加したものであったり、まったく新しいユナイト・モーフが使えるようになったりする。
      • 更には作品の枠や、いわゆる第四の壁を飛び越えて参戦してきたキャラクターも存在する。
      • 特定の条件を満たして隠しコマンドを入力すると隠し要素のうち特に難しいものがいくつか解禁される。ただしメインストーリークリアや相応にお金を得ているのが前提で、「本当は自力で解禁してほしいがどうしても無理だった人のため」というスタンスらしく発売翌年にコマンドが公開された。
  • アメコミ・カートゥーン風のデザインであり、やや癖が強い。少なくとも日本向けのものとは言えず、これに抵抗感を感じて購入に至れないという声も多い。
    • ただし作風自体は日本の特撮(しかも昭和寄り)っぽさがある。
    • そういったデザインに抵抗がない・むしろ好む人からすると高評価。

問題点

  • 任天堂発売の商品としては、万人向けを意識していない不親切な要素の数々。
    • 特徴的な操作であるのにもかかわらず、チュートリアルが不十分。新しい操作が登場するときは画面隅にガイドが表示されるが、プレイヤーは目先の状況に集中するがあまり読み飛ばすこともあり、結果知らない操作が出てくることがある。
      • また、公式ブログやMiiverseでのみ公開されている操作も少なくない*2
      • 体験版でもこんな感じなので、単純に購入者をふるいにかける体験版になってしまい、これで購入を控えたプレイヤーも見られる。
    • 数多く難易度が用意されているのにもかかわらず、基本的な難易度が高い。プレイヤーの間では「イージーモードこそ真のノーマルモードである」と言われるほど。
      • 全体的に敵の攻撃が早く、命中精度も高い。砲撃や突進攻撃などはかなり正確に狙ってくるので中途半端な回避行動では避けきれない事も多い。
    • 任天堂のゲームとして考えると*3不親切な類である。ベリーイージーを選べばリソースが自動回復する、敵の攻撃を自動でガードするなどの救済措置はある。
      • 『ベリーイージー』はあくまで救済措置を満載したモードであって真のゲームシステムを体感出来るレベルとは言えず、「クリアした気にならない」と言う感想を抱かれてしまうのも仕方ない部分がある。
    • ちなみにゲーム内でノーマルモードは「まずは普通に遊びたい人のために」と記されているため、その解説文に騙されて、実際普通とは到底言えない難易度の高さに挫折し、プレイを諦める人もよく見られるようになった。
      • 難易度の高さは自体は決して理不尽なものではなく、プレイヤー自身のスキル向上がそのまま結果に繋がる。一周目では最低評価しかとれなくても、コツをつかんだ後に再挑戦すると自然とランクが上がる気持ちよさを味わうことができる。
      • ただし、下手をすれば最初から最低ランクが連続するため、萎えてしまう人が生まれるのもまた然りである。本作はミッション終了時にランクに応じて司令からコメントが貰えるのだが、最低ランクだと溜息をつかれるだけなので余計に堪える。
      • こういった点も丁寧なチュートリアルがあればある程度軽減出来た可能性もあるため、重ね重ね惜しいところと言える。
  • 台詞回しにやや過激なものが多い。CERO:B指定とはなっているが……。
    • 他社ならばいざ知らず、任天堂のゲームとして考えると少々エロティックに刺激が強い*4。主にワンダ・グリーンとワンダ・ピンクのやりとりや関係はいわゆるSMのそれであり、露骨。
  • キャラの一人一人が小さすぎて見難い。
    • いつの間にか味方がやられているということもしばしばで、ヒーローの人数が知らぬ間に減っているということはよくある。
    • シビアな足場をジャンプで越えるようなステージもしばしばあり、操作キャラの位置が判り辛い所為で何度も落ちてしまうなどと言う事も。
  • DL版も発売されているものの、容量がバカでかくWiiU本体のデフォルトの容量に見合わない。
    • マリオカート8?』に連動した一ヶ月無料体験キャンペーンの中では特に重いソフトの一つで、体験したくても体験出来ない場合がある。

総評

WiiUゲームパッドを活かしたゲームの一つとしてあがることの多い本作であり、宣伝や単独Directなど、任天堂としては比較的重点をおいていたソフトである。

やや人を選ぶゲーム性、任天堂の主要ユーザーと噛み合わないレベル調整・内容などから、売り上げ本数自体は振るわなかった。

しかし、ゲーム自体の出来が悪いというわけではなく、全般的によく作りこまれた良質な意欲作であり、WiiU発足時に掲げた「コアゲーマーに向けてのアプローチ」としては十分な内容と言える。

よって、プレイヤースキルの向上を厭わないタイプのプレイヤーであれば、間違いなくおすすめできるゲームではある。

これのためにハードを買っても良いとまでは言えないが、ハードを買う機会があるコアユーザーならば十分購入検討して良いだろう。

ただし、やはりスタンダードなゲームとはいえず、むしろある程度の癖は目立つ。不親切さが目立つとはいえ、一応体験版はやっておくべきである。少なくとも「自分の好みと合うか」「ゲームの基本的なコンセプト・魅力」は体感出来る。

余談

  • 主題歌である『戦え! ワンダフル・ワンダブルオー』は公式ブログにて無料公開されているほか、カラオケ配信されており、歌うことができる。
  • マリオカート8?』の発売を記念して、WiiUの厳選された6タイトルの製品版を一ヶ月間無料で体験出来るキャンペーンの対象ソフトとして選ばれている。

    ただ、興味はあったけどまだちゃんとプレイしていないという人で、容量に余裕があれば(HDDなどで増設可能)、体験ソフトとして選択するなら十分おすすめできる。

    プレイ後は一定期間40%オフの価格で購入することも可能である。
  • 2020年6月11日にリマスター版である『The Wonderful 101: Remastered』が販売開始。プラットフォームはSwitch、PS4、Windows(Steam)。*5


*1 本来であればマスターアップに向けてデバッグ工程も終わる時期であり、そんな時期にゲームの根幹処理を追加するとは即ちデバッグ工程の再実施を意味する。
*2 もっともこちらは隠し操作・裏技に近いものであるがゲーム中での説明は無く、プレイ評価に直結する
*3 他の任天堂ゲームで言うと、STGで有名なトレジャーと共同開発した『罪と罰 ~地球の継承者~』及び『~宇宙の後継者~』も任天堂らしからぬ高難度であるが、発売時に『トレジャーとの共同開発作品』と大々的に謳っていたため、「難易度はトレジャーの作風に合わせたんだろう」というジョークもあった。
*4 任天堂のゲームには、「下ネタを連想させようとしている」とユーザーから言われるゲームもあるが、それに近いネタをストレートに出してくるのは珍しい。
*5 尚、海外版は北米が5月19日、欧州が5月22日と日本よりも先行で発売された。