野良漫画問題

Last-modified: 2022-02-16 (水) 01:41:39

野良漫画問題とは、消費者が書店などの店頭で無料で配布されている冊子(無料誌)を持ち帰る行為とそれにより発生する様々な問題のこと。特に商業作品においては作者に支払われる印税や原稿料などから算出される利益を損なうため重大。この行為は日本では著作権法違反となりうる違法行為であると同時に、出版社の経営にも悪影響を及ぼすことから大きな問題となっている。

問題点・背景

日本の出版物は販売促進のために出版取次と呼ばれる流通業者を介して全国の書店などに卸され販売される。また、書店も独自に雑誌などの販売ルートを持っていることが多く、書籍と雑誌ではその取り扱い形態が異なる場合が多い。そのため、本来ならばそれぞれの流通経路に対して適切な価格設定がなされなければならないところではあるが、実際には店舗によって価格がまちまちであったり、あるいは定価が設定されていてもそれを下回るような低価格での仕入れを余儀なくされることも多い。このため、出版社としては在庫を抱えるリスクを避けるためにどうしても販売数は絞らざるを得ず、結果として売れ残った本が大量に出回ることとなる。こうした本が本来の想定よりも多く市場に出回ってしまうことで、本来は購入する必要がなかったはずの読者までもが無料で手に入れてしまい、結果的にはその本の市場価値を下げることに繋がることが問題視されている。
この問題を解消するためには、各販売店における正規の販売価格の設定はもちろんのこと、無料誌として配られる小冊子についても回収ないし破棄することが望まれる。しかし、そもそもこれらの冊子は本来であれば有料で頒布されるべきものであるために、当然それらの代金を回収するシステムが存在しておらず、かつ回収したとしてもそれを再印刷するための費用すら捻出できないという状況に陥るケースも多い。