恐怖の誕生日

Last-modified: 2010-04-23 (金) 09:33:15

恐怖の誕生日
615 本当にあった怖い名無し sage 2006/07/12(水) 02:58:14 ID:h6uV5CRw0
弟の10歳の誕生日。僕はその二ヶ月前に12歳になっていた。
家族でささやかなパーティー。父母僕弟の四人で、テーブルに置かれた、普段よりずっと豪華な食事を囲んだ。
テーブルの真ん中にはケーキ。甘いものが好きな弟は何より先にそれを食べたがった。
10本立てたロウソクに火がともる。
明かりを消そうねと言って母親が立ち上がり、蛍光灯の紐を引いた。
ドーナツ型の蛍光灯が、はじめは二つ点いている。一回引いてその一つが消える。
二回目に紐を引くと、二つめの蛍光灯が消えて、代わりにオレンジ色に光る小さな電球がともる。
夕暮れよりもう少し暗い、オレンジ色の薄闇の中に、ロウソクに照らされたテーブル、それから家族の顔がぼうっと浮かぶ。
もう一度紐を引いて部屋を暗くしようとしたとき、せっかちな弟が力み返った息を吹き出して、ロウソクの火を全部消した。
母親が紐を引くのが、それと同時だった。
カチ、と音がして明かりが消え、同時に弟の息で火も消え、つまりそこは真っ暗闇。
カーテンの隙間から漏れるかすかな外の明かりが、やけに遠くに見える。
暗くしてからロウソクを消す、という段取りが頭にあった僕達家族は、一瞬呆然とした。
弟は弟で、火を消したつもりが部屋ごと真っ暗になって黙り込んだ。
ここで母親がすぐに紐を引いて、もう一度明かりをつけてくれればよかったのに。
驚いた母親は紐を放してしまった。

616 本当にあった怖い名無し sage 2006/07/12(水) 02:59:45 ID:h6uV5CRw0
母親が手を動かして紐を探すのが気配で分かる。
誰も喋らない。
だが何かが喋っていた。
「軟らかい上り坂。平らな道。急な坂。丸みを帯びた壁。途中に半開きの扉。上ると、てっぺんはさらさらした野原。」
「野原を抜けると、丸みを帯びた崖。途中に半開きの窓。下ると、坂、平らな道。軟らかい下り坂。」
手のひらで撫でられる感触があった。二の腕をのぼり、肩から首へ滑っていき、首から顔の横をのぼって、途中耳に触れて、髪の毛を撫でる。
反対側を、今度はそれと逆の順で下っていく。
「下りてきた。冷たい、硬い道」
テーブルの上を手のひらが這う音。
「上り坂。さっきより軟らかい」
隣の弟が体を硬くするのが気配で分かった。
「坂を上ると平らな道。さっきより短い。急な坂。丸みを帯びた壁。途中、半開きの扉に、おや、鍵穴があったのか」
「あああああ」と弟が悲鳴を上げた。椅子もろとも床に倒れる音。
「なおきなおきなおき、なにしたの」と母親が叫んだ。「どうしたんだなおき」と父親が怒鳴った。
母親がようやく、紐をつかんだ。しかし動転しているのか、めちゃくちゃに紐を引きまくる。十回も二十回も。
明かり、弱い明かり、薄闇、暗闇。カチカチ、音を立てて目の前の光景が色を変える。
ひとつづきのはずの視覚が、コマ送りになる。
そのコマ送りに乗って、カチ、カチ、と弟がテーブルから離れていく。
カチ、5センチ。カチ、10センチ。カチ、15センチ、カチ、真っ暗。
弟は耳から血を流して、横ざまに倒れて体を縮めていた。
カチ、20センチ。カチ、25センチ。カチ、30センチ、カチ、真っ暗。カチ、カチ、カチ、カチカチカチカチ
やがて弟は部屋のドアのそばまで来た。母親がまた紐を引いた。カチ、真っ暗。
最後のカチと一緒に、ブツ という音がした。真っ暗のまま、蛍光灯の紐が切れたのだ。
母親が手を止めた。そして、その体が闇の中でゆらめいて、テーブルの上に倒れた。
食器の砕ける音の中、「こわいよおこわいよお」という弟の声が遠ざかっていった。

617 本当にあった怖い名無し sage 2006/07/12(水) 03:01:12 ID:h6uV5CRw0
僕は長いことじっとしていた。母親は気を失っているようだった。
ひとりそこを離れた父親が、手探りで見つけた懐中電灯で部屋を照らした。
ドアを照らし、あけると、廊下が暗い。
「廊下の電気はいつもつけているのに」と父親が言って、部屋を出た。
暗い中動く気配があって、懐中電灯の光の筋が踊った。
「あった、スイッチだ」
カチ、と音がして廊下の明かりがついた。壁に遮られて半分しか見えない父親がこっちを見た。
僕もそっちを見た。手首から先だけの薄い手のひらが、指先をこっちに向けて父親の右の耳を覆っていた。

2010-03-31 洒落にならない怖い話 コメント (18)
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コメント
よくわかりません
2010-04-01 怖い名無し #- URL 編集
同じく、よくわかりません
2010-04-01 怖い名無し #- URL 編集
よくわからない、ってのは考えてから使えよ…
お前らの脳は飾りか?
考えることをやめた脳は退化するだけだぞ。
頭の悪いお前らの代わりに俺が説明してやるよ。
つまりこれは、どういうことだ?
よくわからない……
2010-04-01 怖い名無し #- URL 編集
良かったw
文盲は俺だけじゃなかったwww
2010-04-01 怖い名無し #- URL 編集
母親が電気を消すと同時に弟がロウソクを消してしまう。
想定外の暗闇に固まる家族。
更に母親紐を離してしまい暗闇が続く・・。

妙な声が聞こえる。
頭から肩にそって何かに撫でられた。
野原→髪の毛 丸い崖→頬 そして半開きの窓・・耳。
どうやら何か得体のしれないものが自分たちの体を触りながら
それを地形になぞらえているらしい。
弟の体が強張った。彼も今撫でられているのか。
また声が聞こえる。しかし私の時と違うのは
得 体 の 知 れ な い 何 か が 耳 の 穴 に 気 が つ い た
急に叫び声をあげる弟
パニックの中母が電気の紐を見つけ引く。
何度も何度も・・。
ストロボの様な電気の明滅の中、弟の耳から血が出ているのが見えた。
電灯の紐が切れまたリビングに闇が訪れる。

父がようやく廊下の電気スイッチを見つけ、点灯する。
逆光の中見えたのは、父の耳に覆いかぶさる人間の手首・・

要約
怪異は人間の手首。穴を見つけると侵入しようとする。

2010-04-01 怖い名無し #- URL 編集
なんか読んでてイライラするんだが…気のせいか?
2010-04-01 怖い名無し #- URL 編集
うん、イライラする。
2010-04-01 怖い名無し #- URL 編集
母親もちつけww
2010-04-01 怖い名無し #- URL 編集

解説さんくす
鼓膜を破られたから出血したのか。
にしてもなんでこんなめんどくさい書き方をしたんだ。

2010-04-02 怖い名無し #- URL 編集
めんどくさくて解読する気力もない。
2010-04-02  ああ #- URL 編集
母狂ってるな。

これ最後に「父の耳を塞いでる、血まみれの手の母」

だったらおもしろかったのになー。
2010-04-02 七氏 #- URL 編集

それはそれで楽しいけど
耳に指入らなくね?
2010-04-02 怖い名無し #- URL 編集
↑爪が伸びるんだよ、きっと
2010-04-03 怖い名無し #- URL 編集
<よし 任せろ!
2010-04-03 怖い名無し #- URL 編集
母ちゃん、ギャグ日の三蔵みたいなものか・・。
そうか、それなら納得だ。
任せろ言うなwwwww
2010-04-06 怖い名無し #- URL 編集
皆さんお久しぶりです。覚えている方、いらっしゃいます?
今までの中では、小説的でなかなか良い文章だったのだが、文と文の繋ぎ方にもっと工夫がほしい。折角のリズム感が崩れていたり、動作と動作の間に無用な空白がができてしまってたりする。

平仮名だけの台詞は、一つ一つの間に '半角空白'程度の間がほしい。
状況説明も、できればもう少し省略すると尚良し。

皆さんの意見もこんな感じ?
2010-04-09 墓石に巣くう赤き怪鳥 宮羅梛泥悪 #7c2Vji2g URL 編集
蛍光灯は点くまでに間があるので、文面のように
「カチッカチ・・・」ってやってもストロボのようにはならんと思うが?
2010-04-11 怖い名無し #- URL 編集
よう見てみ。カチッカチやでー・・・ちがうか。
2010-04-13 怖い名無し #- URL 編集