神隠し編・前編

Last-modified: 2010-07-14 (水) 14:19:39

目覚ましの音で、目が覚めた。
「ふぁぁ~……」
本能的に、腕を伸ばして目覚ましを止める。
頭がだんだん起きてきて、今日の日付と現時刻を確認する。
「8時、10分……?」

「ち、遅刻じゃねぇかあああああ―――!!!!」

転げ落ちんばかりの勢いで階段を駆け下りる。
「圭一、ご飯は?」
「あー!かーちゃん、いらねぇや!俺のカッターは?!」
「この間アイロンかけてハンガーに掛けたわよー。まったく、忙しない子ね」
「うるへー!
だって今日から世間は夏休みという名のシーズンに突入してるんだぜ!?やってらんねー!」
「わかったわかった、カッターシャツのボタン違えてるわよ」
「学校でなおす!いってくる!」
そう言って、勢いよくドアが閉められた。

夢想園ーロマンスクールー~神隠編~

「圭一~っ、今日もまた災難だった?」
「おうよ菫、今日もまた災難だったぜ」
「圭一って、いつも遅いよね。寝坊してるの?そうは見えないよ?」
「やー、いつもは6時に起きて8時までゲームして5分で準備して必死でチャリこいで8時15分登校だからな」
「一歩違えば遅刻だよね?それ」
「まっ、圭一様にかかればチョロいもんだな」
「…………。」
「あは、ははは………冷めた?」
「それより圭一、最近こんな噂あるの知ってる?」
「あ?」
「公表されてないけど、1組の生徒が失踪してるんだよ」
「マジっ!?」
「詳しくは知らないよっ?」
「ハイそこ、私語厳禁ー」(司登場)
「うぉぅ榊!いつのまに!!」
「ふん、私語してる暇があるなら仕事しろ、しーごーと」
「だってぇ~ネタが~……」
「じゃあ、また隣町で戦争してこい」
「えぇ~!」(圭一&菫)
「えぇ~じゃない、とにかく行ってこい」(司去る)
「ちぇ、アホ榊」
「なんで大体うちらが生徒会新聞作らなきゃならないわけ?生徒会も作りなよ!」
「俺も同感~」
「おはよーございますです、師匠に菫ちゃん!」
「オウ姫っちょ!おっはー」
「また生徒会新聞言われたですか?」
「うん…メンドいから私嫌いなんだよねアレ」
「ネタ探しは楽しいじゃないですか~」
「そーだな、ポジティブにいこうぜ!」
「……だね♪」
「ですっ☆」
「…じゃ、サイバー要もいることだし、ネタについて話し合おうじゃねーか」
「サイバー要じゃありません!」
「じゃっ、街にでもでるか!」
「ちょっと嶋崎さんー!きーてますか?!」
「ひどいよ圭一、カナちゃんの言ってることきいてあげなよ!」
「何だよ菫ー…いーじゃん呼びやすいし?」
「カナちゃん嫌がってんじゃん!」
「んだコノヤロー!おめー要の味方かよー!ひっでー…なぁ姫っちょ?」
「要さん嫌がってんじゃんですー」
「ひ、姫っちょ~……わ、悪かったよ………」
「そーそー、最初から謝っとけばいーの!」
「このくそ暑い時にケンカなんかするもんじゃないです、街にでたらアイスでも買って涼みましょですよ」
「ごもっともだな…あぁ何で俺男子なんだろ?!ズボンが暑いッッ!!!」
「フ、圭一くん、それが男の性(さが)だよ」
「…………。とにかく街行くぞ!」
【街中】
「圭一くぅーん、こっからどうするおつもりだい?」
「そりゃーアレだろ……うん、アレだ」
「わからんわぁ!」(ツッコミ)
「ぐほっ!」
「盗賊すみれは勇者けいいちに戒心の一撃を喰らわせ、84のダメージを与えた」
「なにっ!そんなに俺はダメージ喰らったのか!くっ…残りHPは67か……もうちょっと装備をちゃんとしなきゃなんねーな…」
「勇者けいいちは装備を整えるためにネタ探しと銘打ってゲーセンに向かった」
「くっ!ゲームが俺を呼んでるぜ………って何か違う方向いってねぇか!?」
「いいじゃん、どうせネタなんか見つからないんだし、時間つぶしてこうよ」
「まぁ…菫の意見には大いに賛成なんだけどな」
「じゃあどうするつもりなの嶋崎さん?」
「そーだな…二手に分かれるか?」
「そうしよっか!じゃっ、ウチら3年同士がくっつくわけにもいかないし、私が圭一と歩いてたらあんなブサイクな彼氏連れ歩いてると思われるし」
「前者には頷けるんだけど、お前その後なんつった?」
「さえないブサイクなオタクなキモいイモ面彼氏」
「何か付け足したろお前………?」
「細かいことを気にする男はモテないよ嶋崎圭一くん」
「……………。」
「私も、しつこい人はあまり好きにはなれないと思うわ」
「……………。……………………………。」
「未練がましい男は男に数えられないですよ師匠ー」
「……………。……………………………。…………………………………………………!!!」
「まぁ、当たり前のこと言ってたってしょうがないし、行こっかカナちゃん」
「そうですね、いってきます」(要&菫去る)
「……姫っちょ~…どうする?」
「さ、路地裏の麻薬密売でも取材してきますですか」
「…え?ちょっ、おい待て姫っ……」
【姫&圭路地裏へ】
「あれ?どこ行った姫っちょ?」
「おーい姫っちょ~、お前まさか本当に麻薬やってんじゃねぇだろうな?………姫歌ちゃーん…?」
「あ、師匠こっちにいるですよー」
「あぁそっか、今いく…」
(圭一の真後ろに何かが墜ちる)

《ぐしゃっ》

「!? 何だ?」
(人が墜ちてきた…)
「―――ッッッ!!!!」
(圭一立ち止まる)
「うっわ、姫っちょがここにいなくて良かった………」
(遠くから姫歌が覗こうとする、圭一は死体を隠す)
「師匠?どーしたですか立ち止まって?」
「いや、何もねぇ」
慌てて姫歌の横に追いつく。
「いや、ちょっとビックリしちまって」
(姫歌立ち止まる)

「みたんですか?」
「―え?」
(姫歌発動&豹変w)
「見ちゃったんですか?『あれ』を」
「あれ……って」
「や、何もないですけど、あそこ[出る]んですよねー……幽霊」
(姫歌いつもの調子に戻る)
「えぇ!?そんな所に俺を巻き添えにして行ったのかよ!!」
「ついてきたのは貴方の方ですよ師匠ー」
「……俺………取り憑かれてねぇよな…………?」
『何だ今の……気のせいか………?』
「分かんないですよー。姫ちゃん霊感無いですから」
「…そっか。世の中には知らねーほうがいいこともあるもんだしな」
『単に薄暗かっただけだろ…姫っちょに限ってんなこたぁねーだろうな』
【街に出る】
「圭一~!なんかネタあったー?」
「おぅ菫!おめーらはどうだった?」
「ないよ~♪」
「アホかー!お前ら何しに二手に分かれたのォォォー!」
「まっ、コレがうちらの実力ってモンさね」
「呆れた……お前らにも……俺らにも…………」
「気をつけて菫ちゃん、師匠には背後霊が憑いてるですよー!」
「えええーーー!??お、俺憑かれてんの~~~!?? 」
「嫌だあああああ~~~!!壱原中報道部、総員退散~~~~!!!圭一に近づかないで、呪い殺されるう~~~~~!!!!」
「アホか菫ぇぇーーーー!!!ってかやめてくんないそーゆーの!怖いから!!」
「意外に圭一くん、怖がりなのかい?陸上部部長ともあろうお方が??」
「うーるーせぇぇーーーー!!!しばき倒すぞてめーらぁぁーーー!!!」
「あははははは、可愛いね~圭一くんったら」
「あははははは………」(失笑)
「ま、特に何事もなかったし、これで帰ろっか!」
「あ、ああ.....。」
(こいつらは何も知らねー方がいいのかもしんねーな....。)
【学校】
「け、圭一っっ!!お前らどこにいた!??」
「え???どこって...街だけど.....?どうした榊??」
「いや...お前ら、何も見てないな?
「え?うちら??」
(榊っ!そっから先は言っ...!!)
壱原で、連続失踪殺人事件が始まった
「―――――っっっっっあああ!!!!!」

全ては始まった。.......そんな気がした。