NHK連続ドラマ『ちりとてちん』
最高傑作ドラマ
朝ドラの中では最高峰なのは間違いない。もっとひろげて「テレビドラマ」というくくりでもおそらく最高峰の作品だと思う。そもそもテレビを見ないからわからないけど。この「ちりとてちん」は別格。まったく新しい経験であった。放送当時も見ていたし、途中からは録画してまで見ていた。このたび開始された新サービス、NHKオンデマンドで特選街ライブラリで見放題パックに含まれていた。ほとんどこの「ちりとてちん」を見るためだけに契約。その価値はある。震災直後のゴールデンウィークの暇さもあって、最初から最後まで一気に見てしまった。
脚本家の藤本有紀さんは天才なのではないかと思える。小浜の箸、恐竜博物館、五木ひろし、…といった福井の特徴と、物語のプロットを織り交ぜ、一本のつながった話としてまとめあげ、かつとても面白くするのは並大抵なことではなかったはず。
キャスティングも完璧のように感じる。主役級に新人をおき、脇はベテランで固めている。すべての役者が素晴らしい演技をしている。
その他蘊蓄
細かい蘊蓄はwikipediaに詳しくまとめられている。未だにあるNHKのページもよく作られている。
再放送開始2013年10月スタート
この「ちりとてちん」感想を第7週で記載をほったらかしにしていたら、ナイスタイミングで再放送開始。DVDを買おうか、blu-rayを待つか考えていたところの再放送はうれしい。1週目は再放送を知らずに録画忘れ。その後は順調に。
録画して見返しているが、このドラマはやっぱり面白い!大好きである。8週目以降の感想記載を再開。
小浜市の実態…
http://deepannai.info/fukui-obama/
小浜市に行ってみたいと思っていたが、コレを見ると思いとどまらざるをえない。放映される小浜市の風景にとことなく違和感があったのは確かだけど、まさか、こんなところだったとは…。(2014-11-18追記)
全151回俺的感想
第1週目 『笑う門には福井来る』
| 回 | あらすじ | 俺感想 |
|---|---|---|
| 1 | 1982年。和田喜代美9歳。和田喜代美一家が福井に引っ越す。父と祖父の間に何らかの確執がある事がわかる。主要小浜メンバーが登場する。草若のテープも既にここから流されている。 | 初めに見たときは和久井映見がお母さん役なことにまず驚いた。トレンディドラマの常連だったのになあ。京本政樹が二枚目役じゃないことにも、このときは同様に違和感。途中で挟まれる小さいギャグ、回想シーンの面白さ。これまでのドラマと何かが違う事が感じられる初回である。 |
| 2 | 和田喜代美と清海の出会い。祖父との出会い。正平の賢さ、野口順子の鋭さ、野口一家の面々など。和田Aと和田Bというあだ名が付く。 | 同姓同名が偶然ではないことは、ほぼ最終週にならないとわからない。また、祖父正太郎がなぜ頻繁に草若のテープを頻繁にかけているのか。これは第6回にならないとわからないが理由がある。落語『天災』のプロット。バックに五木ひろしの『ふるさと』が流れる。 |
| 3 | 『愛宕山』の世界。祖父正太郎とすっかり打ちとける。表現はされないものの、打ち解けてからそれなりに長い時間が経った模様。和田友春と出会う。遠足で恐竜の化石(この時点ではそうとはわかっていない)を拾うB子(この回からA子B子)。A子はきれいな(だけの)ガラス玉を拾う。弁当に手打ち蕎麦。正太郎が正典をつきとばしているところで次回へ | ここでも物語の重要な役割を担うガラス玉が登場。今は綺麗なガラス玉、やがて色あせるが最後はA子の作る箸の模様となって綺麗によみがえる事になる。A子の足跡をそのままたどる事になる、のだがいまはその役割は不明。見返すたびに緻密な脚本の練り上げに驚く。 |
| 4 | 正太郎と正典が売り言葉に買い言葉でうまくいかない。確執の原因も明らかに。秀臣と正太郎との関係。このドラマの核となる正太郎の台詞「研いで出てくるものは塗り重ねたものだけ」正太郎倒れる。 | この後何度もくりかえされ、ドラマの核ともなる正太郎の台詞が登場する。伝統芸能や人生と塗り箸とが交差する。まったく異質なものがリンクする。重要な回 |
| 5 | 正太郎の病室。草若のテープをかけると全員に笑いが戻り、正太郎も意識を回復。「喜代美、おまえはぎょうさん笑え」という言葉を残して、正太郎こと切れる。喜代美泣き暮れる | 塗り箸を継ぐという正典に「独学で継げるほど甘くない」とたしなめられるシーンが印象的。 |
| 6 | 正太郎が死んですっかり落ち込む喜代美。あげくの果てとうとう床に。正典は草若のテープの日付を見て、正典が塗り箸を継ぐ決心をした日のテープである事に気がつき、秀臣に弟子入りという選択。喜代美は夜中に抜け出し母とかわらけ投げ。この回から喜代美は高校生に | かわらけ投げが重要なシーンとなる。母は喜代美のことしか願わないのが泣ける。このシーンも後に何度も回想シーンとして使われる。 |
これまでのNHK朝ドラとはまったく違うものである事を予感させる第1週目。ぐいぐい引き込まれていく。wikipediaによると、小浜からかわらけ投げができる山までは相当な距離があり、実際に行く事は困難との事。また、恐竜の化石が子供に簡単に拾える場所にあるというのも無理がある。がしかしそんなことを言っていたら、そもそも母がニオイで喜代美の行く先を当てることなど不可能だ。これ以外にもフィクションのドラマなのだから矛盾点はたくさんあろう。しかし物語の本質以外のところは、無理矢理や、こじつけ、笑いでごまかす、ということは許されてしかるべきだ。いやむしろ積極的にそうすべきだとすら思う。現代テレビドラマは些事にこだわるあまり、些事ばかりが目立って本質がぼやけているではないか。そしてそんなドラマは例外なくつまらない。
第2週「身から出た鯖」
| 回 | あらすじ | 俺感想 |
|---|---|---|
| 7 | A子もB子の高校生活。第3回で登場した石をお互いに交換。すると恐竜の化石である事がわかる。A子もてはやされる。これをきっかけに、三味線ライブ出場決意。 | A子とB子との関係がかわっていないこと、野口順子のクールさも同様なことが短い間で表現されている。佐藤めぐみはほんとうにかわいい。 |
| 8 | 「ちりとてちん」という言葉がここで初出。この時点で三味線はB子の方が上手い。しかしすぐに追い抜かされる。稽古をしなくなっていく。 | この物語の重要な題材、三味線が登場。このエピソードではA子は簡単にB子を抜いているが、A子は実は影で必死に練習していたことは後にわかる。 |
| 9 | ストーリー的には、三味線の稽古を続けられず、挫折。祖母に厳しくたしなめられるが、学園祭にも出ない事に。最初と最後の3分づつのほかは、コメディタッチの回。 | 三味線のエピソードはシリアスだが、ほとんどの時間がコメディに割かれている。母の弁当がいつも茶色い件、奈津子と小次郎との出会い、小次郎の「プライドがないと生き安い」のセリフ、などなど。 |
| 10 | 小浜観光事務局長、竹谷修に見捨てられそうになる父に替わり、土下座で詫びる母の糸子。自分を殺して母の心持ちが理解できないでいる。三味線ライブは照明係になることに。 | 脇役人生である母の心持ちが理解できないB子。これは最終回へつながっていく。 |
| 11 | 「学園祭をやりなおしたい」と後悔するB子。学園祭は終わっても、人生はこれからや、と励ます順子。高校卒業。箸の修行を中断した10年を後悔する正典を諭す小梅。 | B子の心情描写が絶妙。なぜかA子はB子を慕っているようだが、B子はあまり気がついていない。これも後になってわかる。 |
| 12 | 導入はコメディタッチ。和田友春がプロポーズ。奈津子を頼って小浜出る事を決意。母に「お母ちゃんみたいになりたくない」と言い、母の「ふるさと」に送られ、大阪へ。 | 1回1回の中身が濃いちりとてちんにあって、この第12回は最濃厚の部類。なお、喜代美の部屋に徒然亭の紋であるセミの折り紙。当時開通していないはずの高速道路への案内看板が写っていたり。 |
とにかくこの週は和田小梅が大活躍。いろいろ示唆に富むセリフが多い。三味線はこの時点では一度挫折するが、以降B子は三味線の稽古はかかさなくなる。三味線がらみのエピソードも、自分は大好きである。シリアスな話になりがちだが、大阪特有「笑いとともに」ストーリーが流れ、シリアスさを感じさせない。”秀逸”の一言。
第3週「エビチリも積もれば山となる」
| 回 | あらすじ | 俺感想 |
|---|---|---|
| 13 | フリーライターの奈津子にあこがれて大阪に出てきたはよいものの、長期不在。やむなくA子のところに。数日はうまくいっていたようだが。 | こんな回があったっけ。というくらい印象にない。上手くいきそうにない予感がビリビリ。登場するエビチリも、週テーマにこじつけた感がある。 |
| 14 | 大学生活をおくっているA子とはやはり上手く行かない。A子のところを飛び出す。全くの偶然で(!)草若に出会う。草々と初対面 | 強引なストーリー展開が多いちりとてちんにあって、草若との出会いは全く必然性がなく、強引にもほどがあるといえる。これには目をつむらねばならない。 |
| 15 | 草若が借金取りに追われていること、酒飲みなこと、落語家であること、等が明らかになる。居酒屋「寝床」の夫婦、菊枝、磯七が登場。くしゃみしながら愚痴る喜代美。wikipediaによると「くっしゃみ講釈」のモチーフらしい。 | 8分6秒くらいにA子との糸子の電話中、糸子が「もしもし?なんか混線しとる?」と聴く場面があるが、前後つながっていないセリフで意図が不明。たぶん、途中がカットされたか、もしくはなんらかの変更が場面があったんだろうと思われる。 |
| 16 | なぜか草若宅にいることになる。糸子が大阪に出てくる。電話口から聞こえてきた「寝床」という名前とニオイで喜代美の居場所を突き止める。死んだ振りをしてカレーうどんを頼むがこれは落語「掛け取り」のモチーフだそうな。 | 全体的にコメディタッチですすむ。 |
| 17 | 連れ戻そうとする糸子と喧嘩に。草々はそれをたしなめる。大阪一の取り立て屋「哀れの田中」登場。哀れ合戦で勝ってしまう。失望して小浜に帰ろうとするが、草若が久々に笑うのを見て、草々に引き止められる。 | 完全に大阪タッチのコメディ回。面白い。 |
| 18 | つれて帰ろうとしていた糸子もなぜか草若宅にとどまる事を勧める。奈津子のもとでアルバイト的に働く事になる。いよいよ大阪での居が定まり、母との別れ。 | 釘を抜こうとして穴があくのは「宿替え」のモチーフだそうな。駅には当時あるはずもない自動改札。あと、行き先も当時ではありえないのだそうだ。 |
正直なところ、あまり印象にない週である。なお、これを書いていて思い出したが、1週は6回づつ区切られるが、そのうち1~5回は月~金曜日で、6回目に土曜日となる。平日朝のストーリーは平凡なものか、コメディタッチとなり、比較的シリアスなのを土曜日に当てていたような気がする。
第4週「小さな鯉のメロディ」
| 回 | あらすじ | 俺感想 |
|---|---|---|
| 19 | 奈津子のところで働き始める。小草若登場。父親を罵倒。草々からキーコと呼ばれる | 第3の、いや第2の主役、小草若登場。演じる茂山宗彦さんのことをコメディアンかなにかかと思った。この人の抜群の演技力はちりとてちんの大きな魅力。 |
| 20 | 徒然亭の状況がだんだん見えてくる。草々は師匠から離れない。年季明けの落語家がやるようなお手伝いで草々は食いつないでいる。羽振りが良い小草若。草若が草々に土下座して出て行ってくれ、と頼む場面に遭遇。草々嗚咽。 | 火曜日放映だったはずなのになかなかシリアス。 |
| 21 | 柳眉の「辻占茶屋」を見て唇を噛む草々。そんなとき磯七から散髪組合で高座の打診があるが断る草々。喜代美は出るように説得開始。 | ちりとてちんで重要な落語の一つ、「辻占茶屋」が初登場。和久井映見が「辻占茶屋の世界」で和服姿。やはりすごい美人。散髪組合の高座も、後に小草々が初高座を踏む事になる。結構重要な高座。 |
| 22 | 喜代美が三味線を弾けば辻占茶屋を演じられることに気がつき、稽古。草若のすすめもあって高座に上がる事に。 | すごい剣幕で草々に怒られるがめげない喜代美。草々も喜代美も変わろうとしていることに心動く。 |
| 23 | 本格的に稽古開始。めげそうになる喜代美に「不器用な者ほどぎょうさん稽古する」いよいよ本番。草々は3年ぶりの高座。少し堅さが残り、そんなに笑いも起きないところに喜代美が。 | 落語指導の桂よね吉は、「実際にはこんなハデな間違いはあり得ないのだが」と語るようにさすがにこんなひどい間違いはないかもしれない。これも大阪らしいオモロイ展開で嫌いではない。草々の座布団がここで初登場。 |
| 24 | 大間違いをフォローする草々。そうしているうちに座は爆笑に。最終的に成功し、草々は感激、喜代美に感謝する。半年前に弾けなかった「ふるさと」が弾けていた。草々に対する恋心に気がつく。そこでA子登場。 | 物語は急展開。最後の1分前までは幸せ気分だが、モヤモヤを予感させる終わり方。演出が秀逸だなあ。 |
「辻占茶屋」を軸に、物語が進む。和久井映見はやっぱり美人だ。
第5週「兄弟もと暗し」
| 回 | あらすじ | 俺感想 |
|---|---|---|
| 25 | 草々と清海が出会う。喜代美が喜八で清海が清八、と呼ばれる?楽して単位をとったり、コンパに夢中な同級生となじめないという清海。「コンパって何や」と言う草々。いい女になりたい喜代美。いい女とは何か?結局A子を見て、いい女とは何か、を見せつけられる。恐竜の化石を見つけたのはB子だと告白。草々はA子に惹かれはじめる | 佐藤めぐみがもの凄く可愛い。B子が不憫~ |
| 26 | 草々は完全にA子にのぼせている。B子はスピード失恋。B子の不器用さが際立つ。A子はタレント事務所からスカウトされているとのこと。辛くて大阪におれず、祖父の月命日を楽しく過ごす家族を思い出し、一時帰宅。 | なんとも女の子女の子向けの回なので何ともかんとも。 |
| 27 | 帰省したものの、先月とはうってかわって実家の懐事情は芳しくない。家庭内も殺伐として、正典と小次郎の兄弟ゲンカも絶えないようだ。ふるさとで癒してもらおうと思っていた自分を恥じる。小草若も登場、草々とケンカ。 | 一時は喜代美の実家も羽振りが良かったが、すっかり景気は良くない。これからしばらくは箸もうれない状況が続く。 |
| 28 | 五木ひろしが本人役で登場。小草若も仕事にかこつけて(か、どうかは作中では謎だが)B子を追って小浜に。家族に笑いを取り戻そうと、小草若を家に招いて落語「寿限無」を。小草若は完全に未熟で、場はしらける。正平はこのころから進路に悩む。 | 本放送時、職場でこの回を見ていた。ホンモノの五木ひろしが登場したときには、上司と目をが合ってお互いに驚いていた。いい思い出である。この頃は小草若は完全にピエロ役だし軽薄男にしか見えない。今見ると、これはこれで茂山宗彦さんの完璧な演技なんだと思える。 |
| 29 | 何をやってもうまくいかない。そんなときに草々が登場。思いあまって友春との結婚を受けると言い出す喜代美。母は喜代美が失恋した事、帰省してから一度も笑っていないことに気がつく。しかし草々が落語をすると、みんなが笑顔になった。 | 気がつくのはいつも母なのである。 |
| 30 | 草々がテープを聞き、草若のものだとわかる。それからは全てが上手く回って大団円。喜代美は大阪に戻る。 | 特段感想なし。 |
小浜への一時帰省の回。五木ひろしの回は雨が降っているが、ロケの関係か?雨であることの必然性はない。
第6週「兄弟もと暗し」
| 回 | あらすじ | 俺感想 |
|---|---|---|
| 31 | 前回草若のテープを聞き、やはり草々は草若に高座に戻ってほしいと切望する。「せをはやみ~」の「崇徳院」登場。磯七から兄弟弟子の話を聞く。草々はせめて稽古を付けてくれと草若に頼むが。喜代美は何かを決意。 | 「お前はどこまでも一人じゃ」と草若。「俺にとって落語は草若師匠」と草々。このやり取りは、ずっとあとの回で小草々と草々(ただし喜代美の妄想内)で再現される。本放送は月曜日だったはずだがなかなかに重い回である。 |
| 32 | 草若の落語を伝えたい、その草々の気持ちに打たれた喜代美は、他の兄弟弟子に戻ってきてもらおうと説得開始。まず草原、次に四草 | 草々のヘアスタイルも「願掛けみたいなもの」とのこと。相変わらず小草若は草若にひどい言葉を浴びせ続けている。 |
| 33 | 四草登場。「算段の平兵衛」の世界。京本政樹はやはり色男。草若は飲んだくれている。草々は酒を浴びせかけられる。草若のテープを聴く草々。草々は草若の元へ | 本放送では水曜日。これも結構重い回。笑いは無し。 |
| 34 | 落語の蘊蓄をかたる草原はやはり楽しそうである。「落語のことをおもいださせないでくれ」という草原に草々は引き下がる。草原はかつての事がフラッシュバックする。 | 5年前、客席を凍らせてしまった草原のあとに草若が出演するシーン、草原を「マー君」と呼ぶ仲のよさなど。 |
| 35 | 草々は今度は四草のもとへ。ハンドミキサーの修理が終了した旨の電話を喜代美にかけると、出てきたのは草若。揺れる草原。喜代美が説得して、妻の後押しもあり、落語家へ復帰を決意する。 | 徒然草を持ち出して、吉田兼好は好きだったからこそ書いたんだという喜代美。なかなか説得力あり。奈津子からライターの仕事の打診っぽいこともされるが、この道ではないようだと喜代美が気づくのもこの回。 |
| 36 | 四草を草原と説得。四草が今後落語家の演技をするのだろうか、と思わせる演技。あきらめかけていた草々に二人が集結。敷居をまたげない2人は居酒屋寝床へ。そこに小草若登場、バタバタしているなか、草若が寝床にやってきて今週は終了 | 前半はシリアス、後半はお笑いで終わる。お菊さんが小草若を「ヒトシ!」とたしなめる。 |
四草役、加藤虎ノ介さんはミスキャストではないか、と思ったものだ。あんな落語家は存在しないし、ちょっとクールすぎるように思える。しかし、それもドラマ。あんな落語家は存在しないのは間違いないが、ドラマとしては良いスパイスとなり、引き立っている。
第7週「意地の上にも三年」
| 回 | あらすじ | 俺感想 |
|---|---|---|
| 37 | 草若と再会するも、やはり草若はつれない。居酒屋「寝床」で熊五郎のライブを見て、寝床での落語会を思いつく。 | 「寝床」のくだりは落語「寝床」のモチーフ。キム兄の「今日から俺がおまえの寝床」のフレーズはおもしろい。歌詞にテロップをつけるなど、オモシロさ満点の回 |
| 38 | 四草の機転で寝床での落語会を行う事になった。愛宕山の稽古をしている弟子たちの様子をふすまごしに聴く草若。変化が現れているようだ | 小草若と草々はなにかと仲が悪い。これはあとにケンカするほど云々、とつながっていく。草若宅にある「めくり」では「中入り」となっている。しかしちりとてちんのオープニングで出てくるのは「仲入」。意味は同じだと思うけれど使い分けがあるのだろうか? |
| 39 | 小草若の圧力で寝床はかせないと言う熊五郎。小草若はあいかわらず草若にひどいことを言う。なにかと菊江の店に寄る小草若。菊江は何か知っていそうだが。そばうちを教えるため母と家族が来訪。草々は喜代美の母の様子をみておかみさんを思い出すという。 | いろいろつまった15分間であり、息をつかせない。 |
| 40 | おかみさんの話を草々から聞く。三味線の弦の張りを見て、喜代美がきちんと稽古を続けている事を暗示。奈津子と小次郎の再会。喜代美は母からそば打ちを教わる。草々は小草若の親に対するアンビバレントな感情を看破する。 | 15分にいろいろつまっている。茂山宗彦さんの演技も光る。 |
| 41 | ついに草若が三年前の高座を空けた理由が菊江から語られる。あいかわらずそば打ちを母から教わる喜代美。小草若もようやく高座に復帰することに。 | ようやく真実が明るみに。 |
| 42 | いよいよ寝床での落語会開始。草若が高座に復帰。 | おそらくテレビドラマ界史(というものがあれば)にのこる名場面。これも茂山宗彦さんの演技あっての事。 |
この第7週で前半は終わり、と言ってしまっても良いと思う。まだ先は随分と長いけれど。初見時には茂山宗彦さんという人を知らず、なぜこんな名演技をする人が無名なんだろうと思った。いやはや、無知というものは怖いものだ。
第8週「袖振り合うも師匠の縁」
| 回 | あらすじ | 俺感想 |
|---|---|---|
| 43 | 草々に髪を切るように諭す草若。その言葉を待っていたと草々は涙。草若は天狗芸能へ挨拶へ。無下にされる。一方落語家になりたいという喜代美。やっとなりたいものが見つかった。 | 32回の「願掛けみたいなもの」の意味がここであきらかに。 |
| 44 | 落語家になりたいという喜代美に対し、弟の正平の人間観察力、賢さがちらりと。基本オモシロを中心にした回。弟子入りは断られる。母と大根おろし対決。弟子入りをあっさりと断られる。 | 大根おろし対決は面白い。が、30秒でミキサーをつなぎ、母を逆転するのはさすがにムリでは。 |
| 45 | 弟子入りをあっさり断られてめげる喜代美。野口順子「落語家は向いてるかもなあ」との感想。稽古を付け始める草若。怒るのも褒めるのも遠回し。周りからは噺家へ入門をあきらめるように寝床で皆から揶揄。そこにTVでA子が活躍しているのを見た。 | 野口家のコミカルな様子が自分としては印象的。野口家はこの物語でまあまあ重要な展開があるが現時点ではその気配なし。 |
| 46 | 草若はもとより、弟子たちも3年のブランクを感じて苦しんでいる。喜代美は落語をよりいっそう勉強する。一方、若狭塗箸製作所の和田家の内情が少し垣間見える回。腕一本でのし上がったかつての喜代美の祖父の弟子社長とその息子友春。あらためて友春は喜代美にプロポーズするも、落語家への決心は堅く。友春を励ましてこの回は終了。 | 友春の人生はどうなるのか、ということもこのドラマの副ストーリーである。偉大な父と、自分自身とふがいなさのギャップに悩む姿は、草若と小草若との対比をなしている。 |
| 47 | 友春が婚約解消(?)の挨拶に和田家へ。友春が父に「大阪へ行って喜代美は変わった」という。箸作りの背中が祖父に似て来たと小春。父は大阪へ、草若に対して、喜代美の弟子入りを嘆願。テープを見た草若は祖父と草若のわずかな会話を思い出す。喜代美倒れる。 | 祖父のフラッシュバックが多く使われる回。 |
| 48 | ようやく弟子入りが許される。父に「あんたも私もこれからが大変やで」と草若。正式な弟子入りは年明けからとなった。草々への恋も、来年からは兄弟弟子となるので抑えねばならなくなることと、落語でつながっていられるという安心感とでないまぜ | 弟子入りから先が平坦でないことは草若も承知の上。 |
先が長いちりとてちん、草若が復帰の7週目、喜代美の弟子入りが許される8週目とつながり、次週から中盤に。ここから草若の死亡までが大きな一括りになろう。
第9週「ここはどこ、私はだめ?」
| 回 | あらすじ | 俺感想 |
|---|---|---|
| 49 | いよいよ内弟子修行開始。落語の修行は行われず、掃除洗濯炊事の毎日。「おかあちゃんと一緒やん」と不満げ。 | 「これではお母ちゃんと一緒」という文句は最終回へとつながっていく。草若も厳しい。 |
| 50 | 録画失敗 | デジタル機器の弱さを実感… |
| 51 | あいかわらず嫌々雑用をしている。寝床で皆で集まっているところに小草若がA子をつれてくる。A子に思わず酷い言葉をぶつけてしまう。その喜代美を草々は厳しく「オマエは落語家に向いてない」と。その草々を「相手を見て、言葉を選べ」と、とがめる草若。草若は自宅で喜代美に熱い茶を入れる。気配りの何たるかを知り、内弟子修行の意味を悟る喜代美。しばらく後、草若は扇子と手ぬぐい(?)を喜代美に手渡し、明日から落語の稽古を開始すると告げる。 | 最後の数分で救われた雰囲気になるものの、はじめからさいごまでかなり重い空気に包まれる回。野口順子との友情とはまた別の種類の友情が、A子と喜代美の間に育まれることになるのだが、ここではそんな気配もない。重要な転機となる回。 |
| 52 | いよいよ喜代美の落語修行開始。序盤は上方落語の各種用語解説的なところから始まる。最初に教わる演目は「ちりとてちん」に決まった。京本政樹と渡辺正行で「ちりとてちん」再現シーン。最初の基礎の基礎から丁寧に教える草若。 | このドラマの題名、「ちりとてちん」がまた出てきた。つまり、三味線の基礎項目である「ちりとてちん」、そしてこの落語。草若は三味線のくだりも承知の上でこの演目にしたんだろう、ということがわかる。また、再現シーン内の京本政樹の色男っぷりがスゴい。 |
| 53 | 祖母の小梅がスペイン行きを決意。なかなか上手く行かない喜代美はまためげそうになっている。小梅が喜代美にしばしの別れを言いにくる。弱っている喜代美は思わず小梅に抱きつく。「落語に向いていないのだろうか」と喜代美。「そやね、向いていないかもなあ。で、向いていないとして、あんたどねするん。」と小梅。「今度のちりとてちんは、最後までやり遂げられるのか?」と小梅。力強く頷く喜代美。 | 落語と三味線が交差するというシナリオは素晴らしいと思う。この他、このたぐいの交差はこのドラマのあらゆるところにちりばめられていて、本当にスゴいと思う。 |
| 54 | 寝床の大将、熊はんの計らいで落語会を定期的に寝床で行えることになるようだ。そこに喜代美も出るように草若。いよいよ芸名の決定。「若狭」に決まる。昔を思い出して嫌だと言う喜代美。しかし、そこに込められているふるさとへの思いを知り、この芸名で頑張る決意を新たに。「若狭」と決まったことをなぜか小次郎がいち早く知っている。奈津子との仲が深まっていることが示されてる回。 | お笑いの回。話の発端、キム兄演じる熊さんの「同じエンターティナーとしてわかるぜ」的なセリフ。面白い。寝床で兄弟弟子が「草」を使った名前を予測。それぞれに貫地谷しほりがかぶり物で演じている。お金も手間もかかっているなあ。 |
この第9週はこんなにいろいろつまっていたのか…。内弟子修行の重要さ、A子との大げんか、落語「ちりとてちん」、小梅のスペイン行き、芸名の決定。内弟子修行は「お母ちゃんの仕事」つまり最終回へと交差し、A子とのケンカは「ケンカするほど仲が良い」(草々と小草若、正典と小次郎、そしてA子とB子)へつながっていき、そして題名「ちりとてちん」が交差している。ちりばめられているギャグも、きちんとお金と時間がかかっていて、このドラマのスタッフの方々の本気度を感じる。お笑いもマジメにやる、という大阪の良いところが出ているホントに良いドラマだと改めて思ったこの第9週である。
第10週「瓢箪から困った」
| 回 | あらすじ | 俺感想 |
|---|---|---|
| 55 | 若狭初高座の前日~当日の話。ケンカしたA子からお祝いの花。とりあえず邂逅。小梅から預かっていた着物を着用。おかみさんの形見のかんざしをつける。 | まちがいなく大失敗する予感がビシビシする。 |
| 56 | 初高座。見に来るな、といわれていた母が見に来る。高座は案の定大失敗。草若邸で泣く若狭。母に悪態をつくも、母はやさしくなぐさめる。 | 高座の失敗はある意味予定通り。貫地谷しほりさんの「若狭が大失敗する演技」が、見返すとなかなかコミカルに演じられていて、さすが女優さんはちがうなあ。と思った。若狭の高座での大失敗はこれが最後(中くらい失敗は小浜での高座か)。この取り返しのつかないくらいの失敗があるから、後のストーリーも生きてくる。 |
| 57 | 内弟子修行中に実の母に甘えたことを厳しく嗜める草若。若狭はすっかり落ち込む。弟子の誰が若狭を励ませるか賭ける。草々はズバリ「あれがお前の実力だ」。草若は菊江に若狭の扱いについて相談。志保さんがいなくなってからの初弟子だからとまどっているのではないかと菊江。若狭はちりとてちんで登場する料理を作り、次の高座に備えるという。 | 序盤に母に甘えたことをびしっと嗜める草若に少し違和感を感じる。が、そのあとで菊江に相談しており、草若も迷った上でのことだったことがわかる。弟子たちの励まし演出もコミカルで、水曜の朝にはちょうど良い感じ |
| 58 | 若狭のちりとてちんも、だいぶ良くなってきたようだが、高座には上がらないように草若から言われる。草々の「景清」の稽古を見る。若狭には完璧に見えるが「おまえの景清は目が見えている」と厳しい。落語の奥深さを知る。寝床寄席にA子が来る。草々と仲良くなる気配。雨なので正典、小次郎、野口幸助で酒を飲むがそれぞれ奥さんに発見されるというオモシロシーンも。 | 「泣ける落語」というものがあるということを、このちりとてちんのこの回で知った。佐藤めぐみが本当に可愛い。まさにヒロイン役にうってつけである。この佐藤めぐみさんも、単に可愛いだけのアイドル女優というわけではなく、実はかなりの演技派であって、ちりとてちん後半では素晴らしい演技力を見せつけることになる。でもここまではとにかくかわいいヒロイン役に徹している。ちりとてちんに出てくる女優陣は一人残らず全員が素晴らしい女優さんなのである。 |
| 59 | A子と草々はデート。四草にそそのかされ、寝床寄席に出ることにする若狭。一方、草々はA子と天狗座で落語を見るため欠席。草々の前でちりとてちんを演じる若狭。なんと草々は腐った豆腐を食べたことがあるという。若狭は必死に練習。草々は「あんたのちりとてちんでは客は笑わん」と突き放す。言葉の真相は不明 | A子と草々との仲が深まっていく予感がする。芸のために腐った豆腐を食べたことがあるという草々。さすが落語馬鹿といわれるだけある草々。寝床で酒のつまみにの豆腐をまずそうにして食べる演技をしてしまう若狭。おもしろい。第55回とは違い、次回は案外上手く生きそうな雰囲気が漂う。 |
| 60 | 若狭の高座。2回目お母ちゃんの百度参りの成果もあって(?)、母のへしこ丁稚羊羹の話を枕に、笑いもきちんと取れて成功に終わる。友春の車に同乗して野口順子も見に来る筈だったが、途中で友春の車がガス欠。これはちょっとしたシーンだが、重要なシーンなのだった。草々とA子の仲は順調だ。ナレーションで「あとでA子がおしえてくれたのですが…」とあるのが色々示唆している。尊建と最後に大げんか。これが次回以降メンドクサイ事になる伏線。 | 雷をきっかけに若狭の緊張が取れる。この切り替えも貫地谷しほりさんの演技が生き、若狭がリラックスしてちりとてちんを演じられたことが伝わる。初見のときにはこの野口順子のくだり(友春の車に乗せてもらう→ガス欠で行けない)のシーンは余計なのではないか、と思ったものだ。あとで効いてくる。 |
派生ストーリーもいろいろ始まっている週。
第11週「天災は忘れた恋にやってくる」
| 回 | あらすじ | 俺感想 |
|---|---|---|
| 61 | 草々は濡れた服を着替えるためにA子のところに。上半身ハダカのところ、そこに順子と友春がちょうどたずねてくる。友春がB子を好きだという周知のこともA子は知らないという鈍さ。順子が「何があっても天災と思え」とのこと。友春に「芸人みたいなものと付き合うな」とわれるA子。それに反発する。草々への恋心に気がつくA子。一方和田家。秀臣が工房に入ろうとするが正典拒絶。しかし、商品の買い入れは秀臣がやっていた。 | 序盤、朝っぱらから昼ドラ的展開に驚き。草々の座布団が登場。また、小梅の手紙がスペインから届くとか。秀臣VS正典の気配もあって不穏 |
| 62 | 「伝統若狭塗り箸は単なる看板。(500万は)宣伝費としては安いものだ。」という秀臣。正典は大いに反発。しかし和田家の台所事情は苦しい。一方大阪では、寝床寄席は好評で客が増えている。「算段の平兵衛」をかけたいという四草。しかし断る草若。A子と草々は川辺で抱擁。それを目撃する若狭。 | 61回からつづくピリピリ感。特に秀臣との確執がいよいよ決定的なところまで来ているようだ。伝統若狭塗箸、それと日用品であるたんなる塗り箸。「何万もする塗り箸を消費者は買わない」とこのドラマの中で言い切っている。問題提起的でとても大胆な脚本だと思う。 |
| 63 | A子と草々の仲は周知のものとなったようだ。動揺する若狭。草若から新しい話の稽古をつけられることになった。「天災」である。しかし、草々のことが気になり、全く稽古に身が入らない。奈津子を通じて(奈津子は小次郎から聞いているだろうことは示唆されている)小浜の状況も若狭の耳に入る。 | この回は落語「天災」の芝居が面白い。 |
| 64 | A子に東京のプロダクションから誘いがあるが、迷っている。若狭はA子と別れてほしいがために、東京行きを勧める。若狭は草原に「内弟子修行中の身を自覚しろ」とたしなめられる。小浜では小次郎が失敗作の箸を安売りし、正典に殴られる。若狭はA子と草々の仲が気になり、稽古どころではない。草原に「次の寝床寄席にはでるな」と言われる。草若に「私を破門にしてください」というところで了。 | 序盤に若干の笑いがあるものの、シリアス展開の回である。 |
| 65 | A子と草々の破局を、心の何処かで望む自分に嫌気が差している若狭。「私はどこまでも性根の腐った嫌な人間なんです、破門にしてください」と。草若は「それも修行、自分を真っ直ぐにみつめろ、人の気持ちがだんだんわかるようになる。自分とよく向き合った後は相手とも向き合え」とのこと。若狭はA子と会い、いろいろな思いをぶつける。草々と小草若が本番前に喧嘩し、この二人も草原から高座に上がることを禁じられる。結局草若、草原、四草の3人の寄席になった。が、ここで草原が大活躍し、成功。この草原を見て「身近な者のおかげで、成長できるものもいる。内弟子修行中は、身内になんぼでも迷惑かけてええんやで」と草若。 | 貫地谷しほりさんの泣き演技がスゴイ。 |
| 66 | 若狭はA子に東京には行かないでほしいと言ったのだが、A子は東京行きを決意。若狭はおどろいてA子と会う。「本当のことを行ってくれて嬉しかった、B子のことも羨ましかった。いい落語家になってね」とのことナレーションで「学園のアイドル、小浜のスター、皆の、そして私のあこがれのA子、そんなA子らしいA子に会ったのは、この日が最後になりました」とのこと。算段の平兵衛を勝手にかけた四草に言い聞かせる草若。「落語は人から人へ伝わってきたもの。これからも伝えていくもの。お前もその流れの中におる。」小次郎は奈津子のところに転がり込む。というところで、一気に2年の月日が経過し、了。 | A子は東京じゃあまり成功しないんだなあ、ということがナレーションで示唆されている。が、今見返すと、さらにその先のA子の展開も含めて(可愛いだけの)学園のアイドル、小浜のスター、はここでいなくなり、さらに違ったA子が出てくるのだ、ということも示唆されていたのだ(と思う)。 |
笑いが無い週である。貫地谷しほりさんの泣き演技が光る週。小浜でも大阪でも、いまのところ大きな障害が立ちはだかっている状況。この障害だらけの状況をスタート地点とすることで、2年間の状況がわかるというものである。A子の登場はしばらくお休みであり、A子再登場時には佐藤めぐみさんの演技に驚愕することになる、のだがこれはもうちょっと先の話。
第12週「一難去ってまた一男」
| 回 | あらすじ | 俺感想 |
|---|---|---|
| 67 | 二年が過ぎた。ドラマでは1995年に。若狭21歳。寝床寄席は盛況。若狭もレパートリーが増え、5席かけられるようになっている。小次郎と奈津子は同居したまま。母は魚屋食堂でパート。正平は福井理科大学で地質学を学ぶ2年生。小草若は番組レギュラーをどんどん降ろされて荒れている。草々と小草若が揉める。草若にたしなめられる。そこで天狗芸能の会長が登場。一門会を天狗座で開催することになった。喜ぶ一同。一門会でいい落語ができたら年季明けと草若に言われる。 | 第11週から2年半を一気に経過させた。物語の出だしで、落語家らしく挨拶をする若狭。「ちりとてちん」「天災」とその他3席がかけられるようになったことも示唆されていて、若狭も成長したようである。一方で小草若の暗転。これがきっかけになっていろいろ始まる。まずは今週の一悶着。 |
| 68 | 序盤で二日酔いの小草若。ヒトシ、オヤジと呼び合う会話がある。草原の「鴻池の犬」が懐かしいという草々。かつて京都で小さい民宿の寄席でかけていたところ、草々が聞きに来たとのこと。友春は魚屋食堂にしょっちゅう来ている様子。A子の出ていたテレビ番組も早く終わってしまったらしい。連絡もなくなった。一方、辻占茶屋でお囃子ができるようになっているB子。よく稽古をした、と寝床で草々に褒められる。そこに小草若が酔ったままで来る。若狭にも怒鳴る。草若を侮辱する尊建を小草若が殴る。 | シリアス展開。今週は笑いなし。 |
| 69 | 小草若をかばい、自分が殴ったという草々。尊徳と尊建で二人会をやる予定であったため、中止の可能性が出てきた。若狭は草々を責める。尊徳には会えず天狗座会長に詫びに行く草若。弟子全員を集め(小草若は連絡取れず)、早々に破門を言い渡す。小草若がその後に来て、自分が殴ったことを弟子たちに言う。 | シリアス展開で笑いなし。 |
| 70 | 草々は小草若のマンションに来て、絶対に自分が殴ったと言うな、草若の落語を継ぐのはおまえだ、といって去る。草原が早々の弟子入りの話をする。天才的な才能を見出し、草若は自分から草々に弟子になるように頼んだとのこと。座布団は実父の作なのであった。草々の生い立ちも語られる。草々にとって、家族とはどういうものか、など。草若は尊徳に土下座して詫びる。 | 第23回で初登場した座布団だが、ようやくここで秘密が語られた。 |
| 71 | 若狭が草々の部屋にいるところに小草若がやってくる。小草若は若狭を抱き寄せるが若狭は激しく拒絶。草々に黙っているように言われたことを話す。その通りにしてほしいと若狭。それが草々のため、一門のためだということで弟子たちも一旦了承。しかし、すぐに歯車がうまく回らないことに気がつく一同。建設現場ではたらく草々。結局草若に本当のことを話す。連れ戻しに草若は出かける。 | 「男にはあんねん、そんな夜が」と言う磯七に、お咲さんが睨みつける。キムラ緑子さんの演技。これがスゴイ。ほんの一瞬のことなんだけれど。こういう一瞬芸がこのドラマでは散りばめられていると思う。 |
| 72 | 大事な座布団は野良犬に食いちぎられる。雨に打たれて倒れる草々。そこに若狭が介抱。破門を取り消すように各方面から頼まれる草若。そこに草々をつれて若狭が戻ってくる。草々を殴って「ちっとは親の気持ちを考えろ」と嗚咽。 | 笑いなし。 |
草々の生い立ち、弟子入りの経緯などがわかる。しかし、物語としては不可解な部分もあるし、笑いも少なめなので、正直なところ好きな週ではない。ちなみに、本放送も再放送も、この週が年の最後。次週は新年となり、時系列はきちんと合うことになる。