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Last-modified: 2014-12-20 (土) 01:26:02

好きって何?といつもあの人に聞いていた。
あの人は「大きくなったらわかるよ」と笑いながら言った。
そして「でもお父さんは厳しいぞー」と半分真面目な顔をして言った。
その「厳しい」の意味がよく分からなかった私は、「こわーい」と笑っていたと思う。

 

「好き」って何だろう、どうしてお母さんはあの人を好きになったの?
あの人は私を捨てた最低な人なのに、霧切を裏切った弱い人なのに。
だから私は誰も好きになんかならない。好きになったらつらいだけだと思ったから。
そういうとお母さんは悲しそうに私を見つめた。

 

「好き」という感情なんか探偵の私には必要ない。
死ぬまで私は1人―――そう思ってた。
彼に出会うまでは。「好き」を知るまでは。
高校生になって初めて抱いた「恋」。とてもあたたかくてやさしい感情だった。

 

ねえ、お父さん。
私は霧切に誇りを持っているわ。だから、あなたとは違うと証明する。
でも、今の私は霧切響子と――あなたの娘だと、胸を張って名乗れる。
それもすべて彼のおかげ。
彼はお父さんがずっと考えていた婿テストに合格出来るのかしら?
ねぇ、お父さん。
ありがとう。