草刈り

Last-modified: 2011-09-17 (土) 09:52:22

近所のおばあさんが、草刈りをしている私のところに近づいてきた。
「とおるちゃんや。その左右に居る二人は何もしないのかねぇ」
「え? あ…」
そう言われてみれば、この二人は何もしていない。突っ立って周りを見ている。ただそれだけだ。
川べりを吹く風が左右のミニスカートとポニーテールを揺らす。草刈りだというのにスカート(しかもミニ!)が二人のやる気の無さを示している、と、さらに捉えられても不思議はない。
左の手下が口を開き、「御頭。我々は…」続きを右の手下が続けて、
「御頭を危機から守るために存在するものであり」二人が声をあわせて答える。
「「危機が存在しないとはいえ、今も降りかかるやもしれない何かを警戒しているのです」」
はぁ、とおばあさんは溜め息を一つ。
「最近の若い娘は、理屈をこねて楽しようとするんだねぇ」
私も釣られて溜め息を一つ。
「なぁ、今は私の世間体の危機だ、と思わない? 思うでしょ? はい」
 渋々、私の差し出した鎌を受け取る、左右。そして不承不承、草を刈りだす。
そして私は、少しは手下の使い方が成ってきたかな、と思ったりする訳だ。
11/09/10(土)00:27:48 No.7063077

関連事項 谷 透