その日、5時限目の時間、3年生は体育館に集合していた。
学年集会である。
そしてその集会の議題とは…。
そう、修学旅行である。
学園生活でも上位に入る一大イベントである。
生徒にとっては大切な思い出作りの場。
しかし修学、つまり「学」を「修める」旅行なのである。
それを履き違えて羽目を外す生徒が出ないようにと
直前にこうやって学年集会にて、注意を促すのである。
集会の司会は生徒会書記長であるあるるが行っていた。
「それでは、副会長から修学旅行に対する注意事項など。」
そう促され生徒会副会長、ゆむが壇上に上がった。
「あー…まぁ留年しない限りは学園生活で一回こっきりの旅行だ。
存分に楽しむと良い。しかし、学園外だからこそ守らねばならぬマナーもある。
その辺りを各自しっかり肝に銘じた上で、楽しかったと思える旅行にするよう。」
簡単に終わらせると副会長はさっさと壇上から降りてしまった。
もう少し普通なら色々とあるようなものなのだが、どうにもあの様子では
副会長自身が長々とスピーチするのが面倒だったようである。
「次に理事長から。」
淡々とあるるは集会を進める。副会長の次に壇上に上ったのは、
我が学園の長、雷影様だった。
何時も通り難しい顔をしている。
その様子を見て生徒達も一瞬の緊張を覚える。
コホン、と咳払いをすると雷影様の口が開いた。
「無礼講……マジ許す!」
その言葉を聞いて一気に生徒達が盛り上がる。
一部の生徒は歓声すら上げていた。
逆に教師陣は理事長の言葉に唖然としていた。
「あー、静粛に。理事長、有難う御座いました。」
あるるのアナウンスで場は落ち着きを取り戻し
理事長はその一言だけ言うと壇上を後にした。
「…えー、最後に。生徒会長だぜだーから修学旅行に当たっての意気込みと、音頭を。」
最後は、学園の者なら誰もが知っている。
稀代の人気生徒会長、だぜだーの挨拶である。
軽い足取りで壇上に上がっただぜだー。
既に自身も修学旅行に対する楽しみが隠せないようで、ほぼ満面の笑みである。
マイクを握り締めるとだぜだーは皆さんお待ちかね、と言う具合のジェスチャーを取った。
「北海道は……」
「「「でっかいどー!!!」」」
勿論、打ち合わせなどあったわけもないのだが
だぜだーの言葉に三年生全員が右腕を振り上げて応えた。
わぁっ、と盛り上がる体育館。
握手先生はその様子を嬉しそうに眺めていた。
ドリモグ先生はと言えば、何時も通り面倒臭そうに溜息。
何故か今回修学旅行に付いて行く事になったみやびん先生はと言えば
生徒と一緒になって盛り上がっている状態だった。
コレデヨイ。
難しい言葉は何も必要無かった。
だぜだーの一言で生徒全員、修学旅行を楽しもうと言う一つの共通意識になり
教師陣もその様子を見て、それぞれが何かしらの意気込みを手に入れる。
緋想天学園3年部は今この時、一つになった。
修学旅行編はっじまーるよー!