ss73221

Last-modified: 2009-05-09 (土) 12:01:18

side としあき
 
――光栄だなぁ、⑨まだ先輩と一緒に登校できるだなんて
⑨ 「ふふ、行き先が一緒ですもの、稀によくあるでしょ」
――どっちッスか…
おっと、俺の名はとしあき、今日は駅で一緒になった⑨まだ先輩と登校中だ
ここに来て日の浅い俺の面倒をよくみてくれた先輩の一人でもあり、テケちゃんと仲良くなるきっかけを作ってくれた先輩でもある
噂をすればなんとやら俺たちを見つけたテケちゃんが前方からテテテっと走ってくる
テケ「おはようございますなのです先輩・・・あと、としあき」
――俺はついでかよ
テケ「ついでになれることを誇りに思うのだ」
⑨ 「今日も仲いいわね、二人とも」
俺とテケちゃんのやりとりに先輩は微笑を投げかけてくれる
何故かテケちゃんの頬がほんのり赤い・・・風邪かな? 小さい体で色々と大変なんだろうな、たまには休息を取るように進言してみるか
⑨ 「テケちゃんアイス好きだったわよね、今度あの店に新作が入るんだけど帰りに一緒にどうかしら?」
テケ「喜んでご一緒させていただくのだ・・・」
何故かテケちゃんがこっちをチラチラ見ている、これは―――
 
・俺も一緒にどうか? ってことだな
・俺に気を回せってことかな
・KINGと最低に連絡してやらないとだな
 
 
KINGと最低にも教えておいてやるか、人は多い方が楽しいだろう(高感度分岐:放課後に影響)
色々考えているうちにテケちゃんと⑨まだ先輩は放課後の約束を取り付けていた
⑨ 「テケちゃんはもう全部のメニューを試したのかしら? 私は―――」
すっかりアイス談義だ、朝から甘いお菓子の話で盛り上がれるのは女の子の特権なのだろうか・・・
放課後に食べる二人の姿を想像していると校門が見えてくる
テケ「っ!」
校舎の方向を一瞥したテケちゃんの表情が一瞬険しくなる
⑨ 「?? どうかしたの?」
テケ「なんでもないのだ、としあき、少し急ぐのだ」
――? いいけどさ、日直とかだっけ? 俺ら
駆け足になったテケちゃんを追うように俺も校門へと差し掛かった時―――
(ステーン!)
足元に違和感を覚えた刹那、俺は転がっていた
⑨ 「としあき君、大丈夫?」
追いついた先輩が心配そうに覗き込んでくる、あ、角度的にちょっと役得
いきなり走り出したから転がった・・・? そんなはずは・・・
自分の足の方を見ると靴が脱げていた、なぜか靴紐がきれいに切れていた
――テリーマンかよ、俺はっ!
セルフ突っ込みも忘れない、おかげで傍にいる⑨まだ先輩はポカンとしているが、そっちよりもテケちゃんだ
気づかずに行ってしまったのだろうか、声をかけようと顔を上げた瞬間
テケちゃんに向かって矢が飛んでいた!
――テケちゃ・・・
もはや遅いであろう警告勧告をしようとしたその時、テケちゃんが動いた
左手をすばやく上げると飛んできた矢を人差し指と中指で挟みこみ、肘から先を回転させる
あれは二指真空把! 飛んできた矢を飛ばした本人に撃ち返す(?)技
飛んできた矢は来た方向へと帰っていった、きっとどこぞの刺客であろうが、相手が悪かったようだ
――テケちゃん、今のは・・・?
テケ「なんのことなのだ? としあき靴の紐が切れているのだ、不吉なのだ」
⑨ 「まぁ、こわいわね」
こっちの心配もよそに、テケちゃんはシラをきっていた・・・ま、いいけどさ
――でも紐なんて変えたばっかりなのになぁ、本気でテリーマン現象かもな
せめて残った紐だけでも結びなおそうと靴を見ると
紐が何か鋭利なもので切られたかのような切断面を覗かせていた
 
――まさか、ね?
⑨ 「???」
テケ「~♪」
⑨まだ先輩の不思議そうな表情とテケちゃんのそっぽを向いた顔を見て悟る
してやられた・・・というわけか
テケちゃんは⑨まだ先輩には見せたくない一面を持っているらしい
さっきの一連の流れは⑨まだ先輩に矢を撃ち返す姿を見せないように俺を転ばせたのか
先輩から少し離れることで自然に転んだように仕向けて注意をそらす作戦とは・・・
――テケちゃん・・・
俺は手早く残った紐で靴を縛りなおし、テケちゃんに少し恨んだ表情をみせる
テケ「不幸で可哀想なとしあきには特別にテケがドルチェをあとで奢ってあげるのだ」
――そんなんで誤魔化され・・・
最低「よう、としあき、朝から盛大だな」
KING「オレにも奢ってくれると聞いて」
――お前らいつからっ
なんだか見られたくない相手に失態を見せたような気がする
最低「あんだけ白昼どうどうとすっ転べば目だって仕方がないだろ」
二人と話しているうちに⑨まだ先輩とテケちゃんは先に校舎に入っていった
それを確認し、俺は最低とKINGを睨みつける
――お前たち、あえて言おう、覚えていろよと!
KING「プ、忘れられないよね・・・あんな・・・ププ」
最低「ああ、ずっと覚えていてやるよ」
――いや、やっぱ忘れてくれ
最低&KING『だが断る!』
 
(オレオsideとあわせてお楽しみください)