ss73663

Last-modified: 2009-05-09 (土) 13:04:45

(放課後:ショッピングモール)
 
――あのツインテールは天子ちゃん、気づかれないようにそっと逃げよう…
天子「あれ、としあきなにしてんの?」
――見つかったーっ! って、一人じゃない??
??「天子ちゃんさん、こちらの殿方はどちら様かしら?」
天子「ん、としあき。一応2年…だっけ」
――先輩をつけろよツインテ野郎っ!
??「女子に向かって野郎は違うのでは…あ、申し遅れました私いいちこと申します」
天子「地子ちゃんだよ」
地子「天子ちゃんさん、さん付けで呼びなさいと何度言ったら…それにきちんととしあき先輩と呼んでさしあげなさい」
天子「えー、めんどっちぃ」
――……もう慣れたさ。で、二人で買い物かい
地子「ここに期間限定の充実野菜スイカ味とイチゴ味があると聞きましたので」
――それはまた、すごい味だな…西瓜って野菜だっけ?
??「西瓜は野菜です!」
何か遠くで声が聞こえた気がするが俺は無視することにした
 
天子「地子ちゃんは変な味のジュースが好きなんだよ」
地子「変とは失礼ですわ。個性のある味付けには人によって向き不向きがあるとはいえ…」
――で、限定充実野菜はあれか…って、デカッ! どこぞの劇場のLサイズはあるぞ
天子「でけー、すげーでけー!」
店頭に並んでいる容器から見るに、一人では飲むには多すぎる内容量だった、飲めないことも無いがその後の食事は犠牲となりそうだ
これ、数を売る気あるのか? 素人ながらにこの商売に疑問を持ってしまう
地子「これは計算外でしたわね、私一人で2ついくつもりでしたけど、しかしこの期を逃すと…」
驚嘆する天子ちゃんとは対照的に地子ちゃんは何かブツブツ言っている
地子「そうだ天子ちゃんさん、貴女も飲むわよね、せっかくここまで来たんだもの」
天子「えー、いらないよ、だって不味そうだもん」
即答、しかも直球だ
――天子ちゃん、少しは言葉を選んでだな
地子「この良さが分からないだなんて、まだまだ子供ね…しかし、困ったわね」
 
地子ちゃんが困っているので俺は――――
 
・天子ちゃんを説得した
・ジュースを買うことにした
・現実は非情であることを教えてあげるのだった
 
 
>・ジュースを買うことにした
 
――なんだったら俺が一つ買おうか? 興味出てきたから味をみてようと思ったけどあの量だ、半分請け負ってくれると助かる
地子「…仕方ないですわね、そこまでおっしゃるのなら」
――交渉成立だな
俺たちはそれぞれスイカ味とイチゴ味を買った、もちろん俺はスイカ味、さっきの声が気になったわけじゃないあとでイチゴを飲んだほうが後味がよさそうだからだ
――飲み口はストローか、シェイクみたいだな…内容を考えると中が見えないのがいいのか
容器の感想を口にしながら俺は半分程飲み、残りを地子ちゃんに差し出した
地子「なんで勝手に飲んでるのです!? ……これってストローでしか飲めないのに…(ブツブツ」
――ん、先に飲みたかったのか…それは悪い、じゃあ感想は言わないでおくよ
地子「そうでなくって! ああもうっ、私はこのイチゴ味を先に飲むべきか、飲まざるべきか、それが問題だわ…」
やけに顔を赤らめながら言っている
天子「地子ちゃんがいらないんならあたしが貰うよっ、勿体無いし……不味っ!」
一瞬で天子ちゃんがストローに喰らいついたかと思ったら一口のみ、吐き出す
――勝手に飲むなっ! 悪い、地子ちゃん…ちょっと減った
地子「そうね、殿方よりもまだ天子ちゃんさんの方が…でもそうするとこっちは(ブツブツ」
天子「ん、地子ちゃんどったの? あ、もしかしてぇ~」
地子「なんでもありませんわよっ! さ、天子ちゃんさん行きますわよっ!!」
俺からジュースを奪い取ると、地子ちゃんはそそくさと向こうへ走り去る
天子「あーん、まってよー」
行ってしまった…
――……あれ、俺もう半分貰ってなくね?
遠くで天子ちゃんの声が聞こえる
天子「ちゅーか? 間接ちゅーしたかったのか?」
デリカシーがなかった
――ま、いいか
 
おしまい