ss73787

Last-modified: 2009-04-05 (日) 22:26:16

side オレオ

 

朝早く学園に着いた俺は一人屋上で風と戯れることにした
決して席で寝てしまった俺に誰も気づかれず、そのまま朝を迎えたとかそういうのでは・・・ない
――戯れなれば当身にてっ♪
適当な歌詞を音楽に合わせて口ずさみながら屋上の扉を開けると、
目に映ったのは大きな弓矢を持ち柵の上に立つ少女の姿だった
確か彼女の名はzip・・・天子ちゃんとよくうるさくしてる2年だったか・・・
しかし何故そんなところにっ・・・
??「・・・なんで来ちゃったんですか?」
――え?
小さく呟くような声に振り返ると扉の影から小さな少女が顔を出す
――君は・・・?
くた「私はくたくた・・・あなたも不幸を・・・?」
そう言って彼女は柵の上に居るzipに目を向ける
不思議な瞳をした少女が何を言っているかを推測するに、どうやらzipが不幸な目に遭うらしい
――じゃあzipは身投げでもするっていうのか? 止めないとっ!
駆け寄ろうとした俺の制服の端を持ち、くたくたが制止する
くた「ダメ・・・です・・・それに・・・違います・・・」
その声に応え、落ち着きを取り戻し俺は視線をくたくたからzipに戻す
確かに表情からは決死の覚悟が見て取れる、そして何故か殺気の様なものが感じ取れた
――身投げじゃない・・・、だとしたらあの弓矢で何かをするつもりか?

zip「ちょろいもんだぜ・・・ここだ! テケちゃん・・・その綺麗な顔を吹き飛ばしてやるぜー!」
その不穏な台詞とともに、zipの引き絞った弓から矢が放たれる
どうやら口ぶりからテケちゃんに向かって矢を飛ばしたらしい、弓の大きさや放った反動から察するに受けた相手は無事では済まされまい
――な!? zipなんてことをっ!!
zipに駆け寄ろうとする俺を、今度はくたくたは止めない
くた「フフ・・・」
ただ狂気に満ちた瞳をzipに向けたまま口を歪め笑っていた
柵の近くまで来たところでzipの頭に矢が生えた、いや、何故か放った方向から飛んできた矢が刺さっていた
柵の内側に弓を構えた少女はどさりと倒れ落ちる
その光景を目の当たりにし―――俺は足を動かすことができなくなっていた

くた「フフフ・・・これが・・・これが見たかった・・・」
くたくたが歩いて俺を通り越し、倒れこんだzipに身を震わせながら近寄る
満面の笑顔だった・・・正気とは思えないほどに・・・
そういえば聞いたことがある、くたくたは変わった趣向を持っていたって・・・猟奇的な現場を見て性的興奮を覚えるとか
――つまり、こうなることを予見して俺を止めたのか!?
くたくたを非難すると俺は止めていた足を動かしzipに近寄る
そこで小さな舌打ちが聞こえた
くた「チッ・・・」
意を決しzipを見ると額に矢が―――くっついていた
――これは、吸盤?
矢尻は吸盤に変えてあり、矢は刺さらずに額へ吸着することでその役目を終えていた
これでは矢が肉体へ影響を及ぼすことは出来ないだろう、zipは落ちた衝撃で気絶しているだけのようだった
しかしこの吸盤、ハート型に作ってあってちょっと芸が細かい
くた「つまらない・・・」
息を吐く彼女の瞳に先ほどまでの輝きは無くなっていた
くた「あと・・・お願い・・・」
興味を失ったくたくたは校舎の中へと消えていった
俺は――――

 

・くたくたを追いかけた
・見なかったことにして授業の準備をしに教室に戻った
・zipを介抱することにした

 

――――なんて選択肢出るわけないだろ、だってさ、オレオなんだぜ

 
 

おしまい