ss73884

Last-modified: 2009-02-11 (水) 04:41:26

ひょんな事から俺が生徒会の手伝いをする事になって数日。
段々とこの奇妙な生徒会にも慣れてきた。
どうせ今日も―と思っているうちに聞こえてきた。
本来5人居るはずの生徒会室には3人。
そしてその中から一際大きな声が二つ。
怒声と、それに呼応する謝罪。いつも通り、何も問題ない。
どうせまたふまれちゃんが失敗をやらかして
あるる先輩に怒られているのだろう…。
―「うぃーっす。」
あ「だからどうやったらこんなこと出来るのよ!?」
ふ「すいませんすいませんすいません~!」
―「今日も賑やかっすね。」
とりあえず俺はその喧噪を横目に、隅の席に腰掛ける。
会計の巫女巫女先輩は黙々と帳簿を付けている。
しかし、すごい速度で埋めていくもんだ…。
あ、目があった。
―「あ、その…」
巫「…お茶飲む?」
―「あ、はい。」
先輩は自分の鞄から水筒と紙コップを取り出すと
俺にお茶を汲み渡してくれた。
…番茶とは渋いな。
あ「こんな間違い、小学生だってしないわよ!!」
ふ「だからすいませんってばー、やり直しますからー!」
あ「やり直すって言って、どれくらい待たせるの?これの締め切りは明日なのよ?明日!」
ふ「ふぇ~…。」
何かいつにも増して激しいな…。
―「あのー、なんかかなりヤバいんすか?」
あ「やばいなんてもんじゃないわよ、これを見てみなさい!」
バンッ!と目の前に叩きつけられた書類。
各部活動経費集計……?
―「…ふむ……あれ?」
あ「あんたの頭でも気付いた?」
―「言い方が気になりますが…一行ずつズレてる?」
あ「そう、そうなのよ!ふまれは何を思ったか全部一行ずつズレて記入したのよ!」
ふ「うぅ~~・・・」
あ「しかもご丁寧にボールペンで!一から書き直すしかないけど今日で出来ると思う?」
―「流石に厳しいかな…。」
あ「全くこんな間違いするなんて…。ふまれ、あんたは受験当日にビビって記入ミスして落ちるダメ浪人!?
  今時小学生だってこんなミスしないわよ!」
ふまれちゃんは今にも泣きそうであるが…。
確かにこのミスは厳しい。
おまけに締め切りが明日ともなれば、あるる先輩が怒るのも頷けてしまう。
一先ず、巫女巫女先輩のお茶で落ち着こう…。
ズ…
『スパーーーーーーーーン!!』
軽快な殴打音が聞こえた。
?「駄目でしょ、あるるちゃん。まだそんなつんけんしてて。』
あ「…な、あ、いったー……。ちょ、誰よ殴ったの!?」
いやマジで誰だよ。
あのあるる先輩をあそこまで気持ち良く殴るなんて。
あ「…え、ど、丼ちゃん!?」
丼「そ、私。」
あ「え、な、な、何で!?」
どうやらあるる先輩の知り合いらしいが…ここって関係者以外立ち入り禁止じゃなかったか?
丼「あら、生徒会役員なのに聞いてないの?私、明日からこの学校で教育実習。」
あ「えー!?私知らないわよそんな事!?」
ふまれちゃんも俺同様にわけがわからないようであたふたとしている。
丼「昔っから変わってないわね。そうやって怒ってばっかりじゃ皺増えるわよ?」
あ「う、うるさいなぁ!ちょっと待ってなさい!今教育実習の件確認してくるから!!」
と叫ぶやいなや、あるる先輩は駆け出して行った。
巫「…書類ならここにあるんだけどね。」
―「それ、もっと早く言うべきですよ。」
巫「そう?」
とにかく、一度状況を整理したいところだった。
丼「本当に相変わらずなんだから、あるるちゃんは。」
―「あの…、教育実習って言うのは…?」
丼「あ、ごめんなさい。明日から1ヶ月こちらの学校で教育実習生としてお世話になるわ。
  丼よ、よろしくね。えーと、あなたは二年生?」
―「あ、はい、そうです。」
丼「一応、二年の現国を担当する事になってるから、授業とかよろしく。」
―「こちらこそです。」
丼「えぇと、あと…。」
丼さんは俺達の顔を確認して、ふまれちゃんに目をやった。
あれ、ふまれちゃんも知り合いなのか?
丼「あなたがふまれちゃんね?」
ふ「ふぇ?は、はい、そうですけど…。」
丼「あるるちゃんがいつもお世話になってるみたいね、ありがと。友達としてお礼を言うわ。」
ふ「そ、そんな…いっつも私がご迷惑をかけて怒らせてしまって…。」
丼「あるるちゃん、たまに電話寄越すんだけど、いっつも話題があなたの事ばかりなのよ?
  それに昔よりも表情豊かになったようだし…きっとあなたのおかげ。」
ふ「そんな私は何も…。」
―「え…昔ってもっとすごかったんですか?」
丼「そうねー…例えるなら抜き身のナイフ?」
―「は…?」
丼「誰かれ構わず傷つけて、終いには自分まで傷つけちゃいそうな。
  そんな危なっかしい子だったのよ。」
…意外だ。先輩にそんな過去があったなんて。
それ以上に、あるる先輩にこんな知り合いが居た事が。
丼「多分あなた達のおかげね、あの子が変わったのは。ありがとうね。」
妙に、照れくさかった。
―彼女が俺達のクラスの副担任になるのは、それからしばらく経った後の事だった。