ある日の放課後、職員室にて
――「いつもの先生いますか~?」
いつもの先生「あら、としちゃんどうしたの?」
――「あ、先生。ちょっと時間良いですか?」
いつもの先生「良いわよ。どうしたの?」
――「ここじゃちょっと話しづらいんで…」
いつもの先生「あら、そうなの?それでは会議室を借りましょうか」
二人で会議室に移動する
いつもの先生「それで、どうしたの?」
――「えーっと…ですね…」
まずい…こんなに言い出せないとは思わなかった
いつもの先生「どうしたの?何か勇気の要る告白でもするのかしら?」
相変わらず鋭い
だが言わない事には男がすたる
――「あ、あの…明日遊園地…行きませんか?」
先生「え?遊園地?」
――「やっぱ…ダメですか?」
先生「うーん、行きたいけど仕事があるし…」
――「そうですか…」
先生「あ、来週ならいいわよ」
――「!本当ですか!?」
先生「えぇ。あ、でも1週間ずれると他に行く人の予定もあるからダメかしら…」
――「あ、先生しか誘ってないので大丈夫です」
先生が意外そうな表情を見せる
先生「そうなの?それなら良かったわ。他には誰を誘う予定なのかしら」
――「他は…誰も誘いませんよ」
先生「え、そうなの?デートのお誘いだったのね」
俺は赤面し、くすくすと先生が笑う
先生「いいわ、一緒に行きましょ」
――「あ、ありがとうございます!」
まさか承諾してもらえるとは思わなかった
多分先生なりに気を使ってくれたのだろう
先生「デートのお誘いなんて緊張したでしょう。コーヒー淹れて来るから少し待っててね」
――「あ、はい」
先生が部屋を出る
――「ふぅ…良かった…一歩前進だ」
しかし嬉しさからか落ち着かない
じっとしていられないので、歩き回ってみたり外を眺めてみたりする
そうしてる間に先生が戻ってきた
先生「おまたせ、はいどうぞ」
――「あ、いただきます」
一緒にコーヒーを啜りながら、待ち合わせの場所や時間等を話す
コーヒーのおかげか、何となく落ち着いた気がする
先生「それじゃ、決まりね。先生お仕事まだ残ってるから、そろそろ戻るね」
――「あ、はい。コーヒーご馳走様でした」
そしてその日は先生と別れた
それから1週間、俺は期待と不安の狭間で揺れながら過ごしていた
ふまれ「としあきくん、最近何か落ち着かないね」
――「そうか?」
ふまれ「うん、何か心配な事でもあるの?」
――「どっちかっていうと、その逆かな」
ふまれ「そうなんだ。それなら心配する必要は無さそうね」
――「おぅ。安心してくれ」
という感じにそわそわしてる俺を心配してくれる人も居たり
心配してくれる人が居るって嬉しいよな
そして1週間が過ぎ、デートの日が来た
待ち合わせの場所に到着する
先生はまだ来てないようだ
――「先生早く来ないかな…」
待ち遠しい
その時誰かに声を掛けられた
??「あれ、としあき?こんな所で合うなんて奇遇だね」
――「ん?あぁ天子ちゃんか」
天子「誰か待ってるの?」
――「あぁ、ちょっとね」
天子「ふーん…デート?」
――「そんなところだ」
天子「…そうなんだ」
天子ちゃんが何となく寂しそうにしている
その時
先生「としちゃん、待った?」
――「あ、先生。さっき来た所ですよ」
天子「え、としあきのデートの相手って先生なの?」
――「先生が相手で悪かったな」
天子「別に悪くないけど。…そっか」
先生「天子ちゃん…もしかしてとしちゃんの事好きなの?」
天子「そんなんじゃないよ。それじゃ先生、としあき、またね」
――「またな」
先生「ちゃんと宿題やっておくのよー」
天子ちゃんが走り去る
先生「天子ちゃん、やっぱりとしちゃんの事好きなんじゃないかしら」
――「あいつが?まさか…」
先生「それより、早く行きましょ。折角のデートなんだから、楽しまないとね」
――「そうですね、行きましょうか」
しかし天子ちゃんが俺の事を?
…確かに思い当たる事は多々あるが、今はそれよりも先生との一時を楽しむ事にしよう
道中他愛の無い話をしながら向かう
心なしか先生の言葉数が少ない気がする
もしかして先生も始めてで緊張しているのだろうか
そして遊園地に着いた
――「着きましたよ、先生」
先生「わぁ、凄いよっ!としちゃん、早く行こう!」
先生のテンションが急激に上がった
――「あ、先生まってくださいよ~」
先生「早く早く!あ、あれ乗りましょ!」
まるで子どものようにはしゃぐ先生
いつもの落ち着いた雰囲気とはまるで違う
先生の普段見れない一面を見れてちょっと嬉しいかも
しかし…
――「ジェットコースター…ですか…」
先生「ほら、一緒に乗りましょ♪」
ここのジェットコースターは恐い事で有名だ
――「い、いや…俺は…」
先生「としちゃん、私だけで乗って来いなんて言わないですよね?」
――「お、お供します」
そしてコースターに乗り…コースターが動き出す
カタカタカタカタ………ゴオオオオオ~~~~~~~
先生「きゃぁぁぁぁ~~~♪」
――「あ”あ”あ”ぁ”ぁ”ぁ”~~~~」
…………
先生「はぁ~楽しかったねとしちゃん♪」
――「そ、そうです…ね…」
先生「としちゃん?大丈夫?」
――「だ、大丈夫です…」
先生「そうだ、次はとしちゃんがアトラクション選んでくれないかしら」
――「俺がですか?それじゃオバケ屋敷」
先生「オバケ屋敷…」
オバケ屋敷の前に着いた
――「先生、入りますよ」
先生「ね、ねぇ…別のに…しない?」
もしかして先生はオバケが苦手なのか
――「さっき先生が俺に選べって言ったじゃないですか」
先生「そうよね…」
――「さぁ、いきますよ」
先生「としちゃん…絶対離れないでね?」
オバケ屋敷に入る
さっきから先生は俺の腕にしがみついて離れようとしない
先生の胸が俺の腕に思いっきり押し付けられているが、本人はそれどころでは無い様だ
オバケが出てくるたびに先生は小さく声をあげる
オバケ屋敷も中盤にさしかかった頃
先生「と、としちゃん…もう…ダメ…」
先生が座り込む
――「先生?大丈夫ですか?」
先生「も、もうううう動けない…」
――「リタイアします?」
先生「え、えぇ…」
先生をおぶって脱出路からオバケ屋敷を出て近くのベンチまで運ぶ
――「先生大丈夫ですか?」
先生「多分…大丈夫よ…」
――「しかし先生がこんなにオバケ苦手だなんて意外です」
先生「私小さい頃から…オバケだけはダメなの…」
――「そうなんですか。とりあえず落ち着くまで休みましょう」
先生「そうね…」
――「お、ソフトクリーム売ってるな。先生、買って来ますね」
先生「いってらっしゃい」
一緒にソフトクリームやたこ焼きを食べて
一緒にいろんなアトラクションに乗って
先生の意外な一面を見つけて
こんなに楽しい日は久しぶりだ
そして気が付けば夕方
先生「としちゃん楽しかったね」
――「そうですね。あ、最後に観覧車乗りません?」
先生「そうね、そうしましょうか」
観覧車で二人っきりになる
先生「夕焼けがきれいね…」
――「そうですね…」
先生「ねぇ、としちゃん?」
――「何ですか?」
先生「としちゃんは、何で私なんかデートに誘ったの?」
――「なんていえばよくわからないんですけど…一緒に居たいっていうか…先生のこと色々知りたいっていうか…」
先生「そうなんだ…」
………………………
先生「ねぇ、としちゃん?」
――「何ですか?」
先生「私のこと…好きなの?」
――「…多分好きなんだと思います」
………………………
――「先生…」
先生「なぁに?」
――「目を瞑ってもらっても…いいですか」
先生は何も言わず目を閉じた
俺は先生の背中に手を回し、ゆっくりと先生と唇を重ねる
先生が嫌がる様子は無い
そして…
――「先生…順番逆になっちゃいましたけど…俺と…付き合ってください」
先生「……私のこと、大切にしてね」
――「はいっ!」
俺たちは再び唇を重ねた
………………………
遊園地を出た後、先生が俺の自宅まで送ってくれた
先生「今日はありがとう。楽しかったわ」
――「先生、俺も楽しかったです。また一緒に行きましょう」
先生「そうね。また一緒に…それじゃ、また明日学校でね」
――「はい、また明日」
先生「あ、そうそう。恋人になったからって宿題はちゃんとやらないとダメですよ」
――「は~い」
そして俺たちは別れて帰宅した
この後エピローグになってしまったのでここまで