イベント名・「猟奇的な下級生」
1
昼休み、購買部でチョココロネとコーヒー牛乳を買った俺は屋上で昼食を摂ることにした。懐が寂しいとメシもひもじくなるぜ…
屋上に来ると穏やかな風が俺を出迎える。晴天の空は外で食事をするのには最適だ
???「あら、としあきじゃない。キミもお昼?」
不意に声を掛けられた。声の主はくるるさんだ。傍らにはニコニコと微笑むさとりさんが居る
――あ、くるるさんとさとりさん。お二人もスーパー昼食タイムですか?
くるる「そうよ。さとりんとラブラブ&スーパー昼食タイムなのだー」
さとり「もう、くるるちゃんったらまたそういうことを恥ずかしげも無く言う…」
くるる「いいじゃない、隠すような仲じゃないんだし」
さとり「私が恥ずかしいの。…ハァ、よかったらとしくんも一緒に食べる?」
――え、いいんですか?お邪魔じゃないですかね?
くるる「邪魔だーって言いたいところだけど、別に構わないわよ。ほれ、近こう寄れ。ってね」
そう言って手招きするくるるさん
――じゃあお言葉に甘えてご一緒させて頂きましょう
折角の好意を無視する理由なんて無い。ビニールシートの上に座っている二人の傍へ行き、食事の準備をする。…っと言っても袋破いてパックにストロー刺すだけだけど
さとり「としくんお昼それだけで足りるの?」
さとりさんが俺のひもじい食事を見て心配そうに聞く。まぁ育ち盛りの男の昼飯を考えれば、明らかに量が足りてないから気になるのか
――いやぁ全然足りないですけど、今月ピンチなんですよ。だから節約をですね…
さとり「そうなんだ。でもそれじゃ足りないでしょ?私のおかず何かひとつあげるね」
――まままマジですか!?
くるる「さとりんは優しいわねぇ。しょうがない、私も何かあげようじゃない」
――くるるさんまで……。うう……お二人の優しさが染み渡るようだ…。ありがとうございます
さとり「気にしないで。私ってば少食なのにいつも作りすぎたりしてはくるるちゃんに食べてもらったりしてるから…」
くるる「そうそう。お陰で気をつけないとすぐ太っちゃうのよね。美味しいからいいんだけど」
――あー、そういえばくるるさん最近お腹の肉付きが……
くるる「……何か言った?」
――い、いえ、何も言ってないであります!!!
くるる「…ったく、大体服越しでそんなの判る訳ないでしょうに」
さとり「でもくるるちゃんこの前『また体重増えたー』って言ってたよね?」
くるる「わー、わー!さとりんそれ言っちゃダメぇ!!!」
さとりさんの爆弾発言にテンパってあわあわと手を振るくるるさん
くるる「そ、そんなことよりどのおかずがいいのよ!?は、早く決めなさい!」
テンパってるのを誤魔化すようにくるるさんは顔を真っ赤にしてキッと俺を睨む。女の子って体重が1K2K増減するだけで一喜一憂するって本当なんだなぁ
そんなくるるさんに、ぽっちゃり体型の女性も嫌いじゃないですよ、と言いかけたが止めた。もしそんなことを口にしようものならきっと殺される
というかおかず、選ばせてくれるんですね。テンパって思わず言っちゃっただけかもしれないけど、あざーす
さて、どれをゴチになろうか……二人の弁当箱を見ながら考えていると、突然後方からバンッ!っと轟音が響く。何事かと思ったが単に屋上と校舎を隔てる扉が開いただけだった。だが鉄製の重い扉が今日のような風の穏やかな日に勝手に開くはずが無い
振り向くとそこに圧殺さんが立っていた。心なしか不機嫌そうだ。まぁあの人はいつもあんな感じだが
圧殺「――見つけた」
そう呟いて圧殺さんは俺達の方へツカツカと迷い無く歩いてくる
圧殺「としあき、邪魔」
――ぐはぁ!!!
まるで道端の小石を退ける様に俺を蹴り飛ばす圧殺さん。ひでぇ
くるる「あっちゃんじゃない。どうしたの?いきなり」
圧殺「……くるるさん、貴女に緋想天ファイトを申し込むわ…」
ビッっとくるるさんを指指して静かに告げる圧殺さん。二人の間に只ならぬ雰囲気が漂い始める
くるる「緋想天ファイトかぁ。別に戦るのはやぶさかじゃないけどね、今から私達スーパー昼食タイムなの。その後じゃダメ?」
圧殺「……緋想天学園校則第一条…『緋想天ファイトは学園内のあらゆる事柄の中で最も優先されるものである』忘れた訳ではないでしょう…」
くるる「それは解ってるわ。でも食事の後でも別に構わないでしょう?腹が減っては戦は出来ぬって言うしね」
圧殺「………解った。待ってる……」
いきなり勝負を申し込む圧殺さんに苦笑いしながらくるるさんはそう返す。渋々といった感じで応じた圧殺さんは日陰まで移動して懐からパンとパックのジュースを取り出し、黙々と食べ始めた
くるる「一緒に食べればいいのに」
そんな圧殺さんを見ながら残念そうにくるるさんは呟いた
2
くるる「――さて、じゃあ始めましょうか」
お互い食事が終わり、不意にくるるさんが圧殺さんへ向けてそう言った。圧殺さんは特に何か言うでもなく静かに頷く
くるる「食後の運動にはちょうどいいかもね…。さとりん、としあき、立会い人を頼めるかしら?」
さとり「りょーかい」
――はぁ、分かりました
くるる「オッケィ。じゃあ始めましょう」
こうして昼下がりの屋上で、くるるさんと圧殺さんが対峙した
……緋想天ファイト。それはこの緋想天学園における特殊な単位取得システムのことである
この学園の生徒は入学時にあるIDカードを渡される。簡単に言えばポイントカードのような物で、学校行事や出席日数で取る単位とは別に『学内における緋想天ファイトによって加算される単位』をカウントする物である
この特殊な単位取得システムによって、仮に学力評価オール1だとしても緋想天ファイトで勝ちまくり、規定単位を取得していれば卒業可能なのである。なんてデタラメなシステム
更にIDカードに溜まった単位は学園内に限り『お金』として使うことも可能で、むしろこっちを目的に日々戦っている生徒も多い。定期的に行われる『実習』でも成績順に単位を取得出来るため、皆自身の実力を高めることに余念が無い
また、IDカードは『システムAQN』という緋想天ファイト管理システムと繋がっていて、学園の敷地内なら何処で勝負しても試合結果は即学園側に知られるため、偽証は不可能である
ちなみにテケちゃんやめかぶ先輩は一年生の時点で卒業に必要な単位を緋想天ファイトだけで取得してしまったという。末恐ろしい人達だ
くるる「それじゃあいくよ…。緋想天ファイト…!」
圧殺「…レディ…!」
くるる・圧殺「ゴォォォォ!!!」
試合開始の合図と共に両者は同時に踏み込む。緋想の剣(木刀)による互いの剣戟が交差し、それを皮切りに二人の切り合いが始まる。まるで真剣を振るっているかの如き鋭い斬撃が二人の間で弾ける
数度斬り結ぶと二人は距離を取り、筍ドリル(プラスチック製)を撃ち込む。他にもああいった射撃をする人は沢山いるけど、どういう原理でやっているんだろう?俺も腕を磨いていけばあんなことが出来るようになるんだろうか?何てぼんやり考えながら見ていたら、その時勝負が動いた
圧殺「――しっ!!!」
射撃と共に突っ込んでいた圧殺さんが、くるるさんに対して強烈な張り手を浴びせたのだ
くるる「――ッ!」
胸への痛打は流石に効いたのか、苦悶の表情で後ろに下がるくるるさん
さとり「大丈夫」
――えっ?
さとり「当たる瞬間に自分で後ろに飛んで衝撃を和らげたから、見た目よりダメージは無いハズよ」
――そーなのかー
冷静に二人の勝負を分析しているさとりさん。ボケーっと見ている俺とはえらい違いだ
成る程、言われてみればくるるさんはさほど痛がっている様子は無いようだし、圧殺さんも……ん?何か様子がおかしいぞ?上手く攻撃を決められなくて悔しがってる……という訳ではなさそうだ。何か感触を確かめるかの様に指を動かしている…?
くるる「相変わらずキレのある張り手だね……って、どうかした?」
圧殺「……くるるさん、胸大きくなった……?」
くるる「え、嘘、ホント?この前の身体測定じゃ変化無しだったんだけど」
圧殺「あー、どうかな…?あんまりアテにしないで」
圧殺さん、いきなり何を言い出すのかと思ったが、まさか一瞬触っただけでバストサイズが解ったというのだろうか?
さとり「そういえば圧殺ちゃんは張り手すれば相手のバストサイズが解るとか何とか」
――何その羨ま…もとい、無駄な特技
さとり「あくまで張り手しないと解らないって話だけどね」
何だろう、一応真剣勝負だというのに場が和んでしまった
くるるさんと圧殺さんの間にも微妙な空気が流れてしまっている
くるる「……つ、続けようか……」
圧殺「……(コクン)……」
どちらもバツが悪そうな顔をして再び向かい合う。十数秒後、再び二人の戦いは始まった
一進一退の攻防が続く。どちらも一歩も引かない激しい攻め合いが俺の目の前で繰り広げられた
しかし、
――(あれ…?)
一見互角に打ち合っているように見えるが、よく見れば圧殺さんの方は防戦一方といった感じだ。牽制やフェイントを上手く織り交ぜ攻めるくるるさんに対して圧殺さんはやや大雑把というか、勢い任せの攻撃が多い
緋想天ファイトに時間制限は無いが、この状態がずっと続くとは思えない。きっと勝負は…一瞬で付くだろう
さとり「圧殺ちゃん、狙ってるね。くるるちゃんもだけど」
――狙ってるって…
真剣勝負で狙うことと言ったら一つ。――すなわち、必殺の一撃だ。殺し合いでない以上は問答無用で相手を戦闘不能にする一撃、それを与えた方が勝つ
それを、どちらも狙っている
俺とさとりさんが固唾を呑んで見守る中、防戦一方だった圧殺さんが、仕掛けた
圧殺「はぁ!」
ここぞとばかりにくるるさんの上段からの一撃を受け流し、同時に横凪ぎに切り払う
くるる「――くっ…!」
その一撃をくるるさんは何とかガードするものの、もう一撃畳み掛けるように圧殺さんが袈裟切りを見舞う。渾身の力が込められたその一撃に、くるるさんが堪らず膝を付いた
そしてトドメと言わんばかりに跳躍し、身の丈の倍以上もある要石と共に急降下する。一体何処から出したんだ、というのは無粋なツッコミだろう
それは文字通り「圧殺」だった
これは…勝負ありだろう…。というかくるるさんは無事なんだろうか…?だが、俺の心配は杞憂に終わる
くるる「――危ない危ない。後少し躱わすのが遅かったら危なかったかな…」
くるるさんは無事だったのだ。しかも無傷だ
圧殺「どうして……まさか!?」
くるる「そう、あれは演技よ…!」
言いながら、くるるさんはすでに圧殺さんへ向かって疾走していた
圧殺「……くっ……!」
くるる「遅いっ!!」
くるるさんの誘いに上手くハマってしまい、動揺していたのだろう。圧殺さんの対応が僅かに遅れた
くるる「ふっ!!!」
瞬時に懐に潜り込まれた圧殺さんはみぞおちに右手での抜き手と、そこから間髪入れず顎に左アッパーをもろに喰らい、
圧殺「かっ……はっ!」
崩れ落ちた――。くるるさんの逆転勝利だ
圧殺「…ッ!ま…だ…」
くるる「…無理しない方がいいよ。割と手加減抜きで打ったから…」
圧殺「これくらい……どうってこと……無い…」
精一杯強がって立ち上がる圧殺さんだが、指で突いただけでも倒れそうなくらいフラフラで、おまけに意識が混濁しているのか、目の焦点が定まっていない。誰が見ても『もう貴方のライフはゼロよ!』状態だ
そして程なくして、圧殺さんは再度崩れ落ちた
くるる「言わんこっちゃない…。ふぅ。さとりん、としあき、保健室に運ぶの手伝って」
さとり「うん、分かった」
――は、はい!
3
圧殺「……んっ……」
くるる「あ、気が付いた」
圧殺「…ここは…?」
くるる「保健室」
圧殺「……そう……。また、負けた……」
意識を取り戻した圧殺さんが上半身だけを起こし、がっくりとうな垂れる
くるる「…ちょっと勝負を急ぎすぎちゃったね。何時でもリベンジ、待ってるわ」
優しくそう告げるくるるさんにコクリと頷く圧殺さん。その表情は暗い
くるる「…さて、私達はそろそろ行くわ。としあき、落ち着くまで看ててあげなさい」
――え……俺がですか?いや、でも……
さとり「としくん、ちょっといらっしゃい」
――え…さとりさん…?い、痛ぇ!耳引っ張らないで下さい!
突然さとりさんに耳を引っ張られて連れて来られたのはすぐそこの廊下。心なしか、さとりさん怒っているように見える
さとりさんは俺と向き合うとふぅ、と軽く溜息をついて小声で話し始めた
さとり「あのね、としくん。キミが圧殺ちゃんの立場だったとして、負けた相手に介抱されて嬉しい?」
――……ちょっと、屈辱的ですかね……
さとり「くるるちゃんは別に貴方に圧殺ちゃんを押し付けようとしてる訳じゃないの。今はキミの方が圧殺ちゃんを元気付けられるハズだから…」
――……解りました。任せて下さい
さとり「うん、任せた」
さとりさんに諭され、再び保健室に戻る俺。入ると同時にくるるさんが「じゃあ、お願いね」と俺の肩を軽く叩いて退室する。保健室には俺と圧殺さんが残された
――……えーと……ま、まぁその…元気だせよ?
とはいえそんなに気の利いたことが言えるハズも無く、当たり障りの無い台詞しか出てこない自分にちょっと情けなくなる
圧殺「…何それ?もしかして負けて落ち込んでる、とでも思ってるの?」
――……えっ……?
だが、返って来たのは呆れた様な声と、先程とは打って変わってケロっとした表情の圧殺さんの姿だった
――え、えーと……割と平気でいらっしゃる…?」
圧殺「さぁ、ね。どうかしらねぇ?クスクス……」
……くるるさん、さとりさん。何だかこの人負けても割と平気っぽいです。というかクスクス笑ってる様が何だか怖いです
その後も圧殺さんはしばらくクスクスと笑い続けた
そして、そんな圧殺さんが静かな笑いと共にポツリと呟いた一言を、俺は聞き逃さなかった
確かに言った
―――何時かくるるさんの眼球を、私のコレクションに加えるんだから……
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おまけ
――ところでくるるさん
くるる「何?」
――この学園の人達は皆ビーム撃ったり突風起こしたり色々出来ますけど、何でなんでしょう?
くるる「あー、それは――」
???「私がお答えしよう!」
――あ、貴方は!
くるる「いつもの先生!」
いつもの「こんにちはとしあき君にくるる嬢。今日もE&Eしてるかい?」
くるる「まぁ、ボチボチと」
いつもの「それはいいことだ。それはさて置き、学園の生徒及び教師が何故不思議パワーを使えるか、だったね?」
――は、はい。何故なんでしょうか?
いつもの「それはだね、『スキマシステム』による効果だ」
――な、何ですかその少女臭がしそうな名称のシステムは?
いつもの「スキマシステム……それは仮想と現実の境界にちょっとだけ干渉し、半仮想現実の空間を作り出すシステムだ」
くるる「バーチャルリアリティってヤツですね」
――まるで無○城みた……ゲフンゲフン。ど、どんなシステムなんですか?
いつもの「うむ。スキマシステムは学園の敷地内限定で先程言ったように半仮想現実の空間を作り出す。この空間はイメージの力がダイレクトに反映される」
――思ったことが現実に反映されるんですね?
いつもの「大体そんなところだ。ただイメージを具現するだけじゃない。火ならちゃんと熱いと感じるし、水なら冷たいと感じる。そしてこの半仮想現実空間で負った場合、当然痛みを感じる」
――それってヤバくないですか?
いつもの「案ずるなとしあき。スキマシステムは緋想天ファイトが行われている時しか起動しない。そしてシステムAQNと組み合わされることにより、個々の対戦がキチンと管理される
例え黒コゲになったとしてもその時点で勝負が付いた、と判定されればシステムは停止するから、大事には至らない!」
――そーなのかー
くるる「(……故障した時はどうなるのかしら…?)」
いつもの「細かい説明は省かせてもらうが、まぁこんなところだ。常に精進し、E&Eの精神を忘れないように!」
くるる「はーい」
――解りました
終われ