今日はバレンタインだ
毎年この日は気が重くなる
何故なら生まれてこの方義理チョコさえ貰った事がないからだ
だが今年は違うぞ
何故なら今年は仲のいい子がたくさんいるからな!
期待を胸に教室へと向かう
定番は朝机の中にチョコが入ってるっていうパターンだよな
教科書を机の中に入れる時に入念に確認する
…が、無い
ちくしょう…だが今日は始まったばかりだぜ!
…………………………………
結局誰からももらえないまま放課後になってしまった
何故だ…
絶望に打ちひしがれてるその時
天子「あ、としあき居た居た。はいっ義理チョコ」
天子ちゃんがチョコを押し付けてくる
はっきり義理と言われると何となく寂しいものもあるが、やはり貰って嬉しくないはずが無い
――「…あ、あり…がとう…」
天子「としあきどうした?元気ないぞー」
――「いや…チョコ貰ったの初めてだから…」
天子「義理チョコさえ無いなんて、余程環境に恵まれなかったんだね」
――「うるせぇ」
天子「それじゃまたねー」
チョコだけ渡してあっという間に去っていった
だが…生まれて初の戦果だぜ…
感動してると天子ちゃんと入れ違いにいつもの先生が教室に戻ってきた
先生「まだ帰ってない男の子、ちょっと集まってくれる?」
もしや?
期待しながら教壇に集まる男子の中に俺も混ざる
先生「バレンタインなので、皆さんにチョコを配ろうと思います。義理なので期待しちゃダメですよ」
うぉー!!と声が上がる男子一同
一人ずつ先生が手渡ししていく
先生「はい、としちゃん」
――「あ、ありがとうございます!」
2個目ゲットだぜ!
朝の絶望が嘘のようだ
その後
ふまれ「はい、チョコレート」
あるる「義理だから、勘違いしないでね」
雛山「としあき、チョコレートあげる」
と、何と5個もすんなり集まってしまった
シンジラレナーイと某狂人の真似をしたくなるぜ
以下分岐ルートめかぶ
十分過ぎる収穫を得て帰宅しようとするが、下駄箱のところで声を掛けられる
めかぶ「あぁ、居た居た。探したよ」
――「?俺?」
めかぶ「他に誰かこの場に居るかい?」
――「…いないなぁ」
めかぶ「そういうわけで、少し時間良いかい?」
――「あぁ、今日は特に予定も無いから大丈夫だよ」
めかぶ「よかった、それじゃちょっと付いて来てくれ」
――「あ、あぁ」
めかぶさんが俺に用事?
一体何だろうと思いながら付いていくと屋上に着いた
めかぶ「あ、あのさぁ…」
――「どうしたんですか?」
めかぶ「いや…私こういうの作った事が無いから…その、上手く出来てるかわからないけど」
これは…まさかのまさかが有り得るのか!?
めかぶ「これ、お前にやるよ…」
あのめかぶさんが少し恥ずかしそうにしながら丁寧に包装されたものを差し出している
――「え…これ、俺に?」
めかぶ「受け取って…もらえるよな…?」
――「断る理由なんて何もないよ」
差し出されているものを受け取る
めかぶ「よかった…それじゃとしあき、またな…」
――「はい、また――」
めかぶさんが立ち去る
――(ていうか…マジだよなこれ…夢じゃないよな…あのめかぶさんが俺に…)
ありえないと思っていた事が起こったせいか、体が震えて止まらない
――(そういえば作った事が無いって言ってたよな…てことはこれが初めて…?しかも手作り…?)
事実が一つずつ繋がっていく
そして一つの結論が導き出される
――「嘘…だろ…?」
自分で出した結論ながらとても信じられない
あのめかぶさんが俺なんかに本命チョコを渡すなどと…
真偽を確かめるため包装を解いてみる
するときれいなハートの形をしたチョコと1通の手紙が入っていた
早速手紙を読んでみる
『私の気持ちだ
よく味わって食べてほしい』
とだけ書かれていた
彼女なりにこの言葉に精一杯の気持ちを込めているのだろう
――「めかぶさん…よく味わって食べますね…」
そう呟いた俺はめかぶさんが初めて作ったというチョコを口にした
めかぶさんのチョコは、ちょっと苦味が強かったけど、凄く美味しかった
ホワイトデーには特別なお返しが必要になりそうだ…
続かない