ss75257

Last-modified: 2009-02-21 (土) 15:43:43

※原作のキャラが出ます。「てめぇ、ホスメモだろうが!何さらしとんじゃボケェ!」という人は読まない方がいいです
※以前○○○スレに投下された小ネタを元にしています。ネタを提供してくれたとっしーに感謝!
※以下本編。ゆっくり読んでいってね!

 
 
 
 
 
 
 
 

悲鳴が聞こえる――
右を向いても、左を向いても、阿鼻叫喚と共に目に映るのは屍の山
気を失っている訳では、無い。本当に死んでいる
ある者は首を落とされ、ある者は真っ二つに両断され、ある者は影だけを残して灰と化して、ある者は磨り潰され……
様々な『死』が、入り乱れていた

 

――(何で……こんなことになったんだろう……?)

 

自問しても、答えは出ない
何を間違えたのか、何が間違ったのか、解らない――
もう意識を閉ざしてしまいたかった。何もかも忘れて、夢だと思い込みたかった

 

???「ひぎぃ!!!いやぁぁぁぁ!!!止めて!!!痛い!いたい!!イタイぃぃぃぃ!!!」

 

でも、それは許されなかった。何処を見ても行われている惨劇が、俺の意識に覚醒を促す
今も、天子ちゃんがくたくたさんと圧殺さんに言われようの無い責め苦を受けていた

 

くたくた「……まだ指を三本折っただけ………騒ぎすぎ……」
圧殺「どうしたの?いつもの元気は……?天子ちゃん最強なんでしょう?緋想の剣すごいですね……クスクス……」
天子「止めて……止めてぇぇ……もう、痛いの嫌ぁぁぁ……」
くたくた「……何言ってるの……?これからが楽しいのに……」
天子「やだっ!やだぁ!!!助けて!誰か助けてぇ!」

 

うつ伏せの状態で押さえつけられ、指を一本一本折られる天子ちゃん。ボキ、ボキと骨が折れる音が響く度に天子ちゃんの絶叫が辺りに木霊した
やがて指を全て折ると、漸くくたくたさんは天子ちゃんの拘束を解いた。全ての指を折られた天子ちゃんは痛みに耐えながら嗚咽を上げるのみ
だが、責め苦はまだ終わった訳では無かった。嗚咽を漏らす天子ちゃんの足に、何の前置きも無く圧殺さんの手によって要石が叩きつけられたからだ

 

天子「――――っ!!!!ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

一際高い絶叫が響く。要石の下から、じわりと赤い液体がにじみ出る

 

圧殺「次は足――。これでもう、逃げられない……」
くたくた「……潰れた足なんてもう要らないよね……?じゃあ今度は切断しちゃおう……」

 

くすくすと、無邪気に、でも醜悪な笑みを浮かべるくたくたさんの手には何処から出したのか、ノコギリが握られていた
刃がボロボロに錆付いていて、とてもでは無いが肉は切れても骨は切れそうにない。が、それでいいのだ。彼女の目的は、苦しめることなのだから

 

天子「嫌!いや!イヤ!止めて!止めて!何でもします!私が悪かったなら謝りますぅぅぅ!!!だからもう止めてぇぇぇぇ!!!」
くたくた「うん、それ無理」
天子「な……何でぇぇぇぇぇ!?いやぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

天子ちゃんは尚も『止めて』と懇願するが、くたくたさんが聞き入れる様子など全く無い
逃げようともがくものの、粉砕骨折して潰れた足はぴくりとも動かず、這って進もうにも腕に力が入らない
そこに、いつも弾けんばかりに元気を振りまいていた快活娘の姿は無い

 

???「や、止めて下さいまし!!!それ以上やったら死んでしまいますわ!!!」

 

惨劇を続行しようとする二人に、静止を求める声が掛かる。声の主は地子ちゃんだった
天子ちゃんと違い無傷であるが、腰が抜けてしまっているのだろう。弱弱しくその場にへたり込み、動けないでいた

 

圧殺「……じゃあ、貴女が代わってあげるの?この娘の代わりに、貴女が私達の玩具になってくれる?」
地子「そ、それは………」
くたくた「……麗しい友情……でも、行動が伴わなければ意味は無い………。そこで大人しく見てるといい……お友達が『壊れる』のを」
圧殺「心配しなくても、次は貴女の番よ」
地子「っ!!!………だ、誰か………」

 

淡々と告げられた『お前も同じ目に遭う』という二人の宣告に、地子ちゃんは助けを求めて視線を泳がせる
そして、俺と目が合った
……けれど俺は……恐ろしさのあまりすぐ様視線を逸らし、全速力でその場を離れた
遥か後ろから、『待って』『行かないで』『助けて』と声がした気がするが、俺は固く目を瞑り、耳を塞いでひたすらに逃げた――

 
 

でも
何処に逃げても
何も、変わらない
世界は、壊れてしまったから……
俺達の望む学園は、もう戻らない……

 

散々走り続けて、漸く一息付いた俺の前に飛び込んできたのは首の無い死体の山だった
その無数の屍の上に、一人の女性が身の丈程もある大鎌を携えて座っている

 

――めかぶ先輩……
めかぶ「やぁ、としあき……どうしたんだい?そんなに息を切らせて……」
――めかぶ先輩まで……
めかぶ「何を驚いてるのさ?……もう、学園中何処に行ってもこんな感じだろう……?」
――でも……どうして……こんな……
めかぶ「……私は勝負を挑まれたから、応じたまでさ」
――だからって………!

 

言葉が上手く出てこない。こんな実の無い問答をしたい訳じゃないのに

 

めかぶ「……お前も……私に向かって来るかい……?」

 

その言葉を聞いた瞬間、俺は弾かれたように飛び出した。この場に居てはいけない……確実に殺される……!
めかぶ先輩は追って来なかった。ただ、最後に「それでいいんだ………」と呟いたのを聞いた気がする

 

地獄絵図は続いた
ちょっと天然入ってて、でも優しい娘だったテケちゃんは、悪鬼のような形相で目に付くモノを片っ端から斬り捨てていた

 

テケ「全て……ボクの敵なのだ………!邪魔するならとしあきでも斬るのだ!」

 

何も出来ず、何をしてやれず、俺はまた逃げた
さとりさんが全て、と公言して止まないくるるさんは、傷だらけのさとりさんを抱いて泣いていた
さとりさんの目は深く閉ざされたまま、もう開くことは無さそうだった

 

くるる「……目を……目を開けてよ………さとりん………また一緒にお昼食べよう……。二人でお茶しようよ………さとりん………」

 

何度も、何度もくるるさんは呼びかけていた。でも、さとりさんが目覚めることは無くて……

 

くるる「………ふ、ふふっ………ははは………。もう、居ないのね……さとりん………
    ……だったら……こんな世界、イラナイ…………。私が……壊してやる……。皆……コワレチャエバイインダ………」

 

虚ろな眼差しと共にふらりと立ち上がると、さとりさんの屍を置いてくるるさんは何処へと去っていった
次に会ったのはちーすけだった。たが、彼の周りはまた別の意味で地獄だった

 

ちーすけ「よう、としあき……」
――お前……一体何を……?
ちーすけ「……何って……ナニをしてたのさ……」

 

ちーすけの周りには全裸、あるいは無理矢理服を剥ぎ取られ、秘部から白濁した液体を流しながら恍惚の表情を浮かべて倒れている女生徒で溢れていた

 

ちーすけ「不思議な感覚だ……。何人レイプしても、何度射精しても俺のイチモツは硬さを保ったままなんだ……
     俺、壊れちまったのかな……?」
――ちーすけ………

 

今も尚女生徒を犯しながら、ちーすけは自嘲気味に笑った

 

ちーすけ「……としあき……お前は……『狂う』なよ……?」

 

それだけ言って、ちーすけはもう俺には目もくれず、また女生徒を犯す作業に戻った

 

ちーすけは狂うな、と俺に言った
でも………こんな状況で、狂わない訳が無い……
自覚が無いだけで、俺はもうきっと何処か壊れてるんだ。目に入る全てに目を背けようとしてるのは、単なる逃避行為だ
何故、こうなった?
どうして?何が?何故?解らない
わからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからない

 

???「………それは………としあき君が『そう』望んだからです……」

 

頭を抱える俺に突然掛けられる声。振り向くと、優しく微笑むいつもの先生が居た

 

――………っ!!いつもの先生!どういうことですか!?俺の……俺の所為だと言うんですか!?
いつもの「………そう。貴方がこうあるべき世界を望んだ、その形がこの世界です」
――嘘だ!!!俺は………俺はこんなこと望んでない!!
いつもの「でも世界はこうなりました。『貴方の望んだセカイ』です」
――やめろ……やめてくれ………
いつもの「……目を背けないで……。焼き付けておきなさい……」
――先……生……?
いつもの「……次は、間違えちゃダメですよ……?」

 

最後に、先生は何時もと変わらぬ笑みを浮かべて―――
俺の意識は、そこで途切れた

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

――がっ!!!!!あぁぁぁぁぁぁ!ああぁ―――――――!!!!

 

薄暗い部屋の中、男の絶叫が響く
バイザーとメットのような物を被り、椅子に幾重ものベルトで固定されている。それはさながら、電気椅子で処刑されている囚人のようにも見える
メットには幾つも大小様々なケーブルが繋がれており、それは背後の巨大な装置に繋がっていた

 

???「……いいの?これ以上やると彼、精神崩壊起こすかも」
???「別に構いません。此処に迷い込んだ以上、あちらの世界ではほぼ死んだも同然の扱いを受けるのですから」
???「……自分で『迷い込ませた』クセによくも言う……」

 

叫び続ける男を見ながら、つなぎに似た青い服を着た少女が傍らのチャイナドレスと西洋のドレスを無理矢理合体させたような服を着たバry………少女に言う

 

???「じゃあ、このまま続行でいいんだね?」
???「何度も言わせないで下さいな」
???「アイアイサー。……ゴメンよ、盟友……」

 

つなぎを着た少女は装置の緊急停止用ボタンに手を掛けていたが、ドレスの少女がそれを良しとしないので、椅子に括り付けられている男に無念そうに謝る
男は暫く絶叫し続けたが、やがて悲鳴はドンドン小さくなっていき、糸が切れた人形のようにがくん、と動かなくなった
時折、微かにぴくり、と何かしらの反応を示すため、死んだ訳ではないようだ
つなぎを着た少女はその姿を見て、少しだけ胸を撫で下ろす。自身が「盟友」と定めた種族を実験台に使うのは、彼女の本意では無かった

 

…二人は人間では無い。本来なら人とは相容れぬ存在、「妖怪」だ
つなぎを着た少女は川城にとり。河童のエンジニア
ドレスのバry………少女は八雲紫。妖怪の賢者と謳われる強力な力を持ったスキマ妖怪だ

 

にとり「……で、この装置なんのさ?アンタが持って来た設計図通りに作っといてから聞くのもアレだけど」
紫「それを貴方が知る必要はありません」
にとり「………あっそ。……でも、何のために作ったのか、くらいは聞かせてくれてもいいんじゃない?」
紫「……機械は人になる夢を見るか」
にとり「……は?」
紫「深い意味はありません」
にとり「ふぅん……。で、何で作ろうって思ったの?」
紫「それが、特に理由は無かったりするのです」
にとり「……何それ……」
紫「朝起きて、藍が作ってくれた朝餉を食べ、橙をもふもふして……そんな風にゆったりと過ごしていたらふと、閃いたのです。だから、本当に深い意味は無いのですよ」
にとり「はぁ」
紫「とはいえ、私には機械に関する技術はありません。そこで貴方に協力を依頼した次第です」
にとり「……ほとんど脅迫だったけどね……」
紫「……成果は上々、といったところでしょうか……。では私はこれで……」
にとり「えっ……?ちょ、これどうすんのさ?」
紫「さぁ、どうしましょうかねぇ……」

 

扇子で口元を隠しながらクスクスと笑う紫は、にとりの問いに答える事無く、空間と空間を開き、そこに生じたスキマへと入ってそのまま消えていった
残されたのは、呆然と立ち尽くすにとりと、そのにとりが紫に作らされた巨大な装置。そして、実験台として犠牲になった哀れな一人の人間だけだった

 
 
 
 
 
 

紫「……幸せな幻想と、どうしようもない現実。真実はどちらにあるのかしら、ね………」