???「ねぇねぇ、いいいじゃーん。一緒に出よー」
???「嫌だって言ってるじゃない……ハァ……」
二限の授業が終わって廊下をぶらついていたら何やら言い争う声が。声の主は天子ちゃんと圧殺さんだ
言い争い、というよりは天子ちゃんが一方的に詰め寄っているようだ
…どれ、助け舟をだしてやろうかな。何話してるか気になるし
――おーい、二人共どうしたんだい?
圧殺「……としあき……」
天子「お、とっしー。ちょうどいいところに。とっしーもあっきゅん説得するの手伝ってよー」
――説得?
天子「うん。午後からタッグバトル大会があるから、あっきゅんとコンビで出ようと思ってさー」
圧殺「……だから嫌だってさっきから……」
そう言って圧殺さんは天子ちゃんを振りほどこうとするが、天子ちゃんは圧殺さんの腕をがっちり掴んで離そうとしない
圧殺「…大体何で私なのよ……?あの地子とかいう子とでも出ればいいじゃない……」
天子「いやねー、地子ちゃんってばいつの間にかミルクティーちゃんとコンビ組んじゃっててさー」
圧殺「なら万歳だか万博だかいう貴方の師匠と出れば?」
天子「シッショーはゆむ先輩の相方だから無理だよー。ね、お願い!一緒に出てよあっきゅん!あっきゅんフリーでしょ?」
圧殺「……それは……」
天子「もうコンビ名も考えてあるんだってば!」
――へぇ。どんなの?
天子「ふっふっふー、聞いて驚けー!その名も『圧殺天人天子ちゃん』なのさ!」
――…………
圧殺「…………」
天子ちゃんはえっへん!と胸を張って答えるが、圧殺さんはものずごいしかめっ面を浮かべて黙りこくってしまう
正直俺も、それはどうか、と思ってしまった。うん、胸張るとぺたんこなのがより一層目立つなぁ
天子「あ、あれー?何か反応薄くない?」
圧殺「……何処の撲殺天使よ……。やっぱり他当たって」
天子「そ、そんなせっしょーなー!」
しかめっ面はそのままに再び天子ちゃんを振り払おうとする圧殺さん
……コンビ名が納得行くモノだったら出る気だったんだろうか……?
天子「おーねーがーいー!私を助けると思ってさー!」
圧殺「だから…!他を当たりなさいって…!別に私以外にまだフリーな人なんて沢山いるでしょ…!」
天子「そうだけど…!いいじゃない!
それにあっきゅんこの前、私が突発大会の主催した時、人が足りなくてどうしようかなーって思ってたら参加してくれたじゃん!」
圧殺「……あ、あれは暇だったから……」
何が天子ちゃんを駆り立てるのか、すごい必死だ。しかし圧殺さんも優しいところあるんだなぁ
天子「お願いー!!!後生ですからー!!!」
圧殺「……う……ぐ……」
天子ちゃんは今にも泣き出しそうだ。流石にバツが悪いのか、しかめっ面から困り顔に変わる圧殺さん。もう一押し、といったところか
――いいじゃない、圧殺さん。一緒に出てあげればさ
圧殺「…としあきには…関係無い……」
――そうかもしれないけどさ。でも、天子ちゃんこんなに必死なんだし、人助けだと思ってさ……
圧殺「……くっ………。わ、分かったわよ!出ればいいんでしょう!?出れば!」
天子「…え!?マジ?よっしゃー!!!じゃあ早速参加登録してくるねー!」
圧殺さんが参加を了承したのを聞いた瞬間、泣き顔になっていた天子ちゃんは一転、電球に灯りが灯ったかの如く明るい笑顔を見せ、すぐさま明後日の方向へすっ飛んで行った
うん、本当に突風みたいな娘だなぁ
圧殺「……ハァ……全く……何で……こんな……」
天子ちゃんが去った後、呆れたように呟く圧殺さんだったが、心なしか嬉しそうだったのは俺の気のせいでは無いと思いたい
了
今まで書いたSS
ss73466
ss73495
ss73626
ss73967
ss74071
ss74429
ss74491
ss74610
ss74721
ss74794
ss75257