オレこれショート
1・おは緋
俺の体に何が起こったのか。
朝の5時に目が覚めてしまった。
普段なら喜んで二度寝をするところだが、どうにも目が冴えるので
このまま学校に一番乗りすることによってクラスの女子に勤勉さをアピール。
「こんなに早起きなんてオレオくんかっこいい!抱いて!」作戦を決行することにした。
……そんな顔すんな。ちゃんと起きてるぞ。
そうと決まれば善は急げ、さっさと制服に着替え学校に向った。
ほどなくして学校に到着してみれば、校門の前に誰かがいる。
誰だ?こんな時間に……
もう少し近づいてみると、はっきりと姿が見えるようになってきた。
女の子だ。なぜか制服の上着を羽織っておらず、シャツにリボンではなくネクタイをしている。
向こうもこちらを確認したらしい。にやりと不敵に笑うと
「今日の一番乗りは早いね。……おは緋想天!」
と、声を掛けてきた。
「お、おは…?」
「ここから先を通りたかったら、わたしと一勝負していきなさい!」
なんだこれ。この展開は想定の埒外だったわ。
「…君はいったいここで何を?」
と問いかけると、少女は良くぞ訊いたといった表情になり
「毎朝校門前で一番乗りの人間を待ち受け、そのひとと勝負するのが私の日課なの」
と胸をそらした。オ、ナイスデザイン。
「とんだ暇人もいたもんだよ」
「失礼な人だな!そういえば見ない顔…わたしはにんっじんっ。戦いの前にそちらも名乗りなさい」
びしりと人差し指を突きつけられる。
まるで銃口を突きつけられているような圧迫感。
思わず軽く両手を上げてしまいながら答える。
「……オレオ」
「オレオ…?ああ、最近ふまちゃんと一緒に校内周ってるっていう…」
「そうそれ」
「なあんだ」
にんっじんっさんとやらがふにゃりと笑った。
よかった、ふまれさんの友達か。余計な争いは避けられるかな。
「じゃあ手加減はしなくていいね。…もとからするつもりもないけど」
「あれっ?なんで!?」
「きみに恨みはないけど…まあ、ふまちゃん本人に訊くんだね…では勝負!」
「ちくしょおーーーー!」
「うあー、遅刻遅刻ー!……あれ、オレオ?そんなところで寝てると邪魔だし風邪ひくし遅刻寸前だよ?」
「ふまれさん……なんで……?」
「…なんでって何が?うわっ、予鈴なった!じゃあねオレオ!たまには早起きしなよ!」
二度としてたまるかよ。
2・日替わりB定食
「よーオレオ、これから飯か?」
「ああ、鮭か。これからだけど、今日何食おうか迷っててさ。……お前何食ってんの?」
「日替わりのB定」
「和食か。ほとんど食い終わってるな。メニュー何だった?」
「大根の味噌汁と、ホウレンソウの御浸しと焼き海苔と、鮭の切り身だな」
「朝飯みたいなメニューだな……でもたまにはそういうのもいいな。俺もそれにしよう」
「籍取っといてやるから早くしろよ」
「サンキュー鮭。ところで片腹ないけど大丈夫か?」
3・人間観察
あれは大パンダさん……あの圧倒的な存在感ときたら……名は体をあらわすとはよく言ったものだ。
おっとりとした草食動物のような物腰だが、パンダは元々肉食動物だという……
ガワは羊だが、とんだ雌豹もいたものだよ。
ゲェー!あれが噂のめかぶ先輩か!まさに王者の佇まい!あの双丘からは、なるほど「無敵」という言葉が
連想されるな!死神ならぬ乳神様というわけだ。
あの乳に葬送されるならば地獄行きとて悪くないな。
な、なんだあの耳帽の子は!なべ先輩の後ろを走っているところを見ると新聞部のようだが、
その小柄で華奢な体に、なんと強力な爆弾を隠し持っているのか!
俺が警察官なら、爆発物所持罪で現行犯逮捕だな。君は俺の心を爆発させた…なんつって。
友達と談笑しながら歩いて来るあの娘……あの声は間違いない。お昼の放送の淫乱さんだ。
声からして煽情を掻きたてられる思いだったが、まさかあれほどのわがままボディの持ち主だったとは…
エロい声にエロい身体…おお、神は何故に、この少女に二つの奇跡を遣わせたのか…
ふう…まさに眼福だ。つぎは一体誰が通りかかるかn
「おーオレオー!天子ちゃんだぞー!!どうしたこんなところに座ってっていうかなんだそんな
悲しそうな顔しておなか減ってるのかー!?そういえば今日の私のおひるごはんは
4・幕
「いやー、今日も一日終わったねー!今日はなんか面白いことあった?オレオ」
「別に。実に平凡な一日だったよ」
「そっか」
おわし