ss83542

Last-modified: 2009-07-05 (日) 12:52:02
 

1.

 

僕の名は握手。しがない体育教師だ
…信じられないかもしれないが、ひょんなことから女になってしまった。いい迷惑だ
それでも、なんだかんだで生活は出来ているし、女の身体にも慣れてきた。いや、慣れちゃダメなんだろうけど…
……だが、僕は今、新たな問題に直面していた。それは………

握手「(僕は……男湯と女湯、どちらに入るべきなんだろう……?)」

修学旅行先のとある旅館
心は男、身体は女な僕はどちらの浴場に行くべきかを迷っていた
ちなみにこの旅館、混浴は無い。チクショウ!
…って混浴が無いことを悔やんでると何か誤解を受けそうだ

いつもの「あれ?握手先生、どうしたんですかー?もう皆さん大浴場の方に行ってますよー。早く行きましょう」
握手「…あ、いつもの先生……で、ですが……」
いつもの「ん…?どうしました?」
握手「い、いえ……その……念のため聞きますが、女湯……ですよね?」
いつもの「ふふ…何言ってるんですか握手先生。そんなの決まってるじゃないですか」
握手「い、いえ……僕、男ですし……」
いつもの「でも今は女じゃないですか」

女湯に入ることに難色を示す僕に、いつもの先生は予想通りの答えを返す
……間違ってない、間違ってないんだけど……

握手「そ、そういう問題じゃない気が……」
いつもの「大丈夫ですって。もう皆知ってることじゃないですか。さ、行きましょう」

そう言って僕の手を掴み、強引に引っ張っていくいつもの先生
…何気に結構力あるなぁ…この人
まぁ、考えても仕方ないので、僕は考えるのを止めて大人しく女湯へ連行されることにした

 
 

2.

 

意を決して女湯に入って行くと、宴会状態ですでに出来上がっている先生方達が居た
…何故かのまのま君まで居る……ぐるぐる先生やボム先生と共にじゃんじゃん酒飲んでるが……キミ未成年だろう……
宴会の主犯はあの三人か……えろい先生、鏡の前でセクシーポーズの練習しないで下さい。目のやり場に困ります
みやびん先生、タオルで前くらい隠して下さい……後、走ると危ないです……

ゆあ姉「ひゃん……!69先生……そ、そんなところ……触っちゃ……やぁん…!」
69「うへへーよいではないかーよいではないかー」

湯船の隅っこの方では69先生がゆあ姉先生にセクハラの真っ最中だ。…あの人も酔ってるな……
平和なのは山札先生とドリモグ先生、それと僕と一緒だったいつもの先生くらいか……
……酒乱勢に巻き込まれたら大変だ……僕も隅っこの方でやり過ごそう……そして目のやり場に困るからさっさと出よう……

ぐるぐる「おっ、握手せんせー!握手先生も一緒に飲みましょー!」

…何て思ってたら早速目を付けられた……お願いですから平穏に過ごさせて下さい…

握手「…いえ……僕、お酒はあんまり……」
ぐるぐる「何よー!アタシの酒が飲めないって言うの!?」
握手「そ、そういう訳じゃ……」

参ったなぁ…ぐるぐる先生、相当出来上がっちゃってるよ……しかも絡み酒……勘弁してくれ

ぐるぐる「よしよーし、近こう寄りなさい。婚約ーじゃんじゃん注いでよー」
婚約「はいはい。今日はペース速いわねぇぐるぐるちゃん」
ぐるぐる「無礼講ってヤツよ!ホラ、アンタもどんどん飲みなさいよー」
婚約「分かってるわよぅ。……ふふ、昔はよく飲み比べとかしたわよねぇ」
ぐるぐる「あー、やったやった。…いっつも先に潰れるのはアタシの方だったけど」
婚約「そうそう。で、酔いつぶれたぐるぐるちゃんを私が介抱してー」

仲睦まじく酒を飲み交わしながら昔語りを始める二人
絡み酒ですでに悪酔い状態のぐるぐる先生に対し、婚約先生は顔色一つ変えずにぐるぐる先生のペースに付き合っている
…先程言っていた、潰れたぐるぐる先生を介抱する婚約先生の光景が容易に想像出来る

ボム「うめー、酒うめー」
のまのま「にゃははーせんせー、飲んでるー?」
ボム「はっはっはー。飲んでるさー!」

和気藹々としたこちらの二人の向かいにはすごいハイペースで飲み続ける酔っ払いが二人
……ダメだこいつら……早く何とかしないと……

みやびん「ドリモグせんせー、向こうに露天風呂あるみたいやでー。一緒に入りにいかへんー?」
ドリモグ「露天風呂ですか……いいですねー。行きましょう」
みやびん「ほな、レッツらゴーや!」

そう言ってドリモグ先生を誘って露天風呂へと向かうみやびん先生
……何だかあの二人が並んで歩いてると姉妹みたいだなぁ
てかみやびん先生、ホント前隠して下さい。無防備にも程があります……

ぐるぐる「ホラホラ握手先生も、ドンドン飲んで下さいよー?はい、一気!一気!」
婚約「一気ー!一気ー!」

拒否る暇も無くおちょこに酒を注がれ、二人の一気コール
……これで飲まなかったらKYどころの話じゃない……

のまのま「一気ー!一気ー!にゃははー」
ボム「一気!一気ー!」

えぇい、あんたらまで煽るな!クソ……飲めばいいんでしょ、飲めば……
四人の酔っ払いに煽られ、仕方なくグイっと注がれた酒を一気飲みする

婚約「うふふ、いい飲みっぷりですねー」
ぐるぐる「よっしゃー!ドンドンいこー!」

…まだ飲むのか……いや、マジで僕酒強くないんで……

のまのま「飲めー!じゃんじゃん飲めー!」

……何て言っても聞いてくれそうにないなぁ……これは………

 
 

3.

 

握手「……うぅ……飲みすぎた……」

酒乱勢に巻き込まれた僕は、どうにか一瞬の隙をついてあの場を抜け出し、浴場を後にした
湯の中で酒を飲んだ所為か、いつもより酒の回りが速い……酔い覚ましも兼ねて、旅館の周囲を散歩するとしよう…

いつもの「あ、握手先生」

夜空を見上げながらてらてら歩いていると、いつもの先生とバッタリ出会った

握手「いつもの先生……。先生も……散歩ですか?」
いつもの「えぇ。少し……のぼせてしまったみたいで……」

熱っぽい視線を向けながらそう言ういつもの先生
湯上りで半渇きのまま束ねられた髪から覗かせるうなじがとてもセクシーだ

握手「(……って、何を見とれてるんだ、僕は……)」

普段とは違う雰囲気のいつもの先生は……こう、劣情を誘うというか……
…って、そうじゃなくて……。良からぬ感情を抱きそうになった僕は、慌てて彼女から視線を逸らす

いつもの「……どうしました?握手先生…?」
握手「……い、いえ……何でも無いです。い、いつもの先生がすごい綺麗だなーとか、そんなこと別に考えて……はっ!?」

言ってから気付いた。てか、何いらんことを口走ってるんだ、僕は…!
やってしまった!状態の僕とは対照的に、みるみる耳まで真っ赤に顔を染めていくいつもの先生

いつもの「……えっ……あっ……お、煽てても……何も出ませんよ……?」
握手「……いや……その……そ、率直な感想が出ただけというか……何というか……」

言いながらドンドンドツボに嵌っていってしまっている僕
いつもの先生は僕の言葉におろおろするばかり。可愛いなぁ

いつもの「……握手先生は……世辞が上手いのですね。私なんかが……綺麗だなんて……」

そう言って俯き、あくまで綺麗だという僕の言葉を否定しようとするいつもの先生
そんな彼女を見て、僕は反射的にその肩を掴む
そのまま互いに向き合って、見つめ合う形になる僕達

いつもの「あ、握手先生……?」
握手「いつもの先生……自分をそんな風に卑下しないで下さい
   …少なくとも、僕にとってはいつもの先生はとても魅力的な女性です」
いつもの「握手先生……」
握手「…ま、まぁ……女である今の僕に言われても、説得力が無いかもしれませんが……」

言いたいことは言った。そのまま見つめ合っていたのはほんの1、2分程度だろう
でも、僕にはその沈黙の見つめあいが、何十分もの時間に感じられた
やがて、その沈黙を破ったのはいつもの先生の方だった

いつもの「……肩……」
握手「えっ?」
いつもの「肩……痛いです。離して……もらえますか?」
握手「え、あっ……す、すみません!」

無意識の内に力を込めていたのか、いつもの先生にそう言われて、慌てて肩から手を離す僕
そして、僕が肩から手を離すと同時にいつもの先生はそっぽ向いてしまう

握手「い、いつもの先生……あの……」

何かフォローを入れようにも、言葉が続かない
ぱくぱくと金魚のように口を開閉している僕に、いつもの先生は普段通りの笑顔を向けてくれた

いつもの「…握手先生、ありがとうございます……。世辞でも何でも……やっぱり嬉しいもの…ですね。綺麗だ、なんて言われると」
握手「いつもの先生……」
いつもの「さ、そろそろ戻りましょう。身体が冷えてしまわない内に、ね?」
握手「え、えぇ…そうですね」

そう言って踵を返し、旅館へと戻っていくいつもの先生
…上手くはぐらかされたかな……と、思いつつも、いつもの先生の後に続いた

 
 

でもね、いつもの先生……

世辞でも何でも無く……本当にそう思ったから言ったんですよ?

そう、貴方は……もう少し自分に自身を持つべきだ。……なんてね