??「君、ちょっといいか?」
――はい?
……でけぇ!
ボム「私はブラスバンド部の顧問を勤めているボムだ。君はとしあき君だよね?」
――はい、そうですが……
ボム「ブラスバンド部に入らない?」
――いえ、俺は……
ボム「あ、いやいいんだ。一応考えてもらう程度で。」
――はぁ
ボム「申し訳ないんだがちょっと手伝ってもらえないか? 楽器を運びたいんだが私はこれから出張でね。」
――?何故俺に?他に頼める人はいないんですか?
ボム「いや、近くにいたから……無理にとは言わないが……うちの部は女の子ばかりなので男手が欲しかっただけだから」
――まあ別にいいですけど。
ボム「よかった。じゃ、音楽室……って言ってもそこだけど。悪いがすぐ行ってくれ。じゃ、後よろしく」
――え?
い、今すぐかよ…
確かに放課後をいつまでもうろうろしてる俺は格好の暇人ではあるが…
ボム先生も行ってしまったし、仕方ないので行くだけ行ってみる事にした。
??「あら?」
??「応援ですか?」
??「よかった…」
言われたとおり音楽室に行くと三人の女の子がなにやら相談していた。
周りには大型のパーカッションや金管楽器が並べられている。
なるほど、これは確かに女の子だけでやるのは無理かもしれないな。
??「確か…としあき君よね?転入生の。」
――え?はあ、そうですけど
りドる「やっぱり。私2年のりドるよ。よろしくね。」
ラングリー「1年のラングリーです。先輩、来てくれてありがとうございます。」
りくろん「同じく1年のりくろんです。としあき先輩なら安心ですね。」
――ん?何が?
りドる「あなたちょっとした有名人だからね。生徒会や他の様々な部にふらっと現れては波乱を起こすことで。」
――……
りくろん「あわわ! りドるさん! で、でもくろれらさんと並んでピンチの時は頼りになるって!」
――はぁ……ま、いいや、さっさと終わらせよう。
りドる「そうこなくっちゃ。よぉし! じゃ、手分けして1階の旧音楽室に運ぶわよ! 重いものはとしあきに任せて小さいものから行きましょう!」
――ちょっと待てよ!
ラングリー「何です?」
――……いいや、分かった……ところで何で旧音楽室なんだ?
りドる「明日のコンクールに使う楽器を運び出すのよ。音が壊れないように細心の注意を払ってちょうだいね。」
――わかった。しかしこの人数でコンクールとは…大丈夫なのか?
りくろん「助っ人さんがいっぱいいますからねー」
――ふーん
りドる「じゃ、始めますか。」
俺達は手分けして楽器を運び出す。
見た目に反して中々重いものばかりだ。
一見小さいソプラノ系の楽器でも持ってみるとずっしりとくる。
りくろん「えっと、最初にトロンボーンを……いやユーフォニアムのほうがいいかな? ……あ、そっか、バリトンを先に…」
何でもいいから先に持って行ってくれ……
とは言えない俺
小心者だな…
りドる「ふんふん。このペースなら早くいけそうね。ああ、まるで澄み渡る一陣の風が楽器を運んでくれているよう。
小鳥のさえずりが聞こえてくるような気分だわ。
うふふ、帰ったら久しぶりにゆっくり音楽でも聴こうかな。」
こっちは独り言が多いな……
風が楽器を運ぶわけ無いだろうが…というか運ぶほどの突風とかヤバイって。
ラングリー「ふぅ、ふぅ、うぅぅ……重い……」
この子は働き者なのはいいんだけどちょっと体力が無いかもな
真っ赤になって制服の袖で汗を拭いてる……
ってちょっと待て、ブラウスからブラが透けてるぞあんた!
りドる「あら? どうしたの?」
お前もか!いや、暑いのは分かるが自重しろ!
――な、何でもない!
前屈みのまま足早にパーカッションを……
ってこれはちょっとまずい。
こんな大きいものを持ったら勃起してるのがバレバレじゃねーか!
ラングリー「ふぅ、ふぅ、すいません、ちょっと休憩してもいいですかー」
りドる「ん? んー……よし、予定より早いしおやつにしよっか!」
りくろん「わーい! としあき先輩も休憩しましょうよー」
――え”い、いや、俺は……さ、先にこれ置いてくるわ!
手に持っていた小さな楽器だけ持って足早に廊下に出る
ふぅ……いや、ちょっと惜しいことをしたぞ俺
でもじっくり見るわけにもいかんし……クソ、これじゃ生殺しだぜ……
さっさと置いて戻ってきたら、楽しそうな声が響いてくる。
ラングリー「おいしー!やっぱりワサビーフとすっぱむーちょは至高のお菓子ですねー!」
りくろん「先輩のキャベツ太郎ちょっとくださいよ」
りドる「んー、よし、じゃんけんしよ!勝ったら1個あげるね!」
楽しそうだな……なんか邪魔なような……
りドる「ん?ねね、なんかりくちゃんおっぱい大きくなってない?」
りくろん「え?そんなことないと思いますけど…?」
ラングリー「ボム先生よりあるんじゃない? あ、いや、そんなことないかな?」
りドる「いや、先生は背が大きいからああ見えるけど、何ていうか…体との割合?だとりくちゃんのほうが…」
りくろん「え、いや、そんなことありませんって。」
りドる「これは確かめる必要があるわね!」
りくろん「え…?きゃー!」
ラングリー「お、おぉ……柔らかい……」
りくろん「ちょ、ちょっと!先輩!どうしてボタン外すんですか!?」
りドる「うふふふ、良いではないか、良いではないか。」
ラングリー「へーブラジャーもおしゃれね。」
りくろん「あにゃぁぁぁぁぁ!!」
――……(ゴクリ)
ドキドキしながらそっと音楽室の中を覗いてみる。
りくろんという1年生が半分はだけたブラウスの間からラングリーという1年生に胸をもまれている。
後ろからりドるさんが押さえつけて、りくろんは必死になって逃れようと足をバタバタさせている。
おかげでちらちらとパンツが目に飛び込んでくる。
その斜め前で四つんばいになってるラングリーもこれまたきわどいポーズで下着が丸見えだ。
何やってるんだこいつら……
りドる「おっと? あやや、ごめんごめん、泣かないでよりくちゃん。」
りくろん「ひっ、ひっく、だ、だってぇ……」
ラングリー「よしよし、怖かったね。もう大丈夫よ。」
お前が言うのかラングリー……
っと、どうやら休憩も終わりのようだな……
俺は何食わぬ顔で音楽室に入る
りドる「あれ? ああ、そうだった。忘れてた。遅かったね。」
――悪い、ちょっと運んだ楽器が倒れそうだったんで直してきた。
りくろん「ひっ、ひん、あ、ありがとうございます…」
――何で泣いてんの?
ラングリー「大人の事情ってやつですよ。私のうまい棒を上げますので詮索しないでください。」
――あ?ああ、うん
納豆味…だと…
料理研究会に持っていったら高級料理に化けるだろうか。
それから少しして、全ての楽器を運び終わった。
終わってみると中々重労働だ。
これは確かに大変だ。
りドる「ありがと、助かったわ。」
――ああ、結構大変だったな。
ラングリー「ありがとうございます。本当に助かりました。」
りくろん「えーっと、えーっと、その、ありがとうございます!」
ボム「お…?もしかしてもう終わったのか?」
――ボム先生
ボム「いや、悪かったね。急な仕事を頼んじゃって。急いで帰ってきたんだけど必要なかったか。」
――とりあえず楽器は運んでおきましたが
ボム「よし、じゃあ何かジュースでも奢ってあげよう。皆もおいで。」
りくろん「わーい!」
ラングリー「ありがとうございます。」
それぞれにジュースの缶を持って蓋を開ける。
プシュッと気持ちいい音がした。
りドる「前祝いってヤツかしらね?」
――まあよく分からんが、頑張れよ。
ボム「今日は本当にありがとう、としあき君。じゃ、明日の睡眠犠牲コンクールの前祝いってことで。乾杯!」
全員「乾杯!」
冷たい甘さが口の中に広がる。
疲れた体にはとてもありがたい。
明日のコンクールがどんなものかは知らないが是非とも頑張ってきてほしいと思った。
翌日、俺はあまりの筋肉痛にそれどころではなかった。