【十二天】天帝【1】
「織姫に思い人がいるですって? どんな男です」 大いなる女神、天帝。彼女にとって愛娘である織姫は至上の宝だった。織姫に恋人ができたと聞き、すぐさま部下にその素性を調べさせる。 |
【十二天】天帝【2】
「身分が違う? いいえ、それ自体は問題ではありません」 家来たちは、彦星が牛飼いだからという理由で、織姫とわかれさせることを提案した。だが、天帝はさらに彦星の素性を調べるように命じた。大切なのは職業ではない、自分の仕事に打ち込み、世に貢献しようとする心なのだ。 |
【十二天】天帝【3】
「あなたたちの結婚を認めましょう。ただし、今持っている感謝の心を忘れてはなりませんよ」 天帝は織姫にも劣らぬ彦星の働きものぶりに、結婚を認めることにした。身分違いの恋ではあったが、式は盛大にとりおこない、全面的に彼らを祝福した。 |
【十二天】天帝【4】
「離れて暮らしなさい、それがあなたたち自身を高めることにもなります」 結婚したとたん働かなくなってしまった織姫と彦星に、天帝はやむなく別居を命じた。二人の時間を認めるのは年に一度だけ。人間から見れば非情な裁きだが、人の一年は神々の一日に等しい。愛を高めるのには、むしろ良い期間となるだろう。 |