アムピトリテ【1】
| 「氷の海に、すっごい剣をもった海獣がいるんだって!」 興奮した口調で姉妹のネレイスたちに言い放つなり、アムピトリテは一直線に北へ向かって泳いでいった。今日はまだマシな方だ。いつもなら面白そうなことがあると姉妹たちにもなにも言わないまま、どこかの海へ遊びにいってしまう。 |
アムピトリテ【2】
| 「キミ、面白いね! でも違うかな、もっと北かな」 北へ泳でゆく途中、興味をもったのは貝を胸に置いて石でたたき割る海獣だった。海には面白いものや不思議がいっぱいだ。見るものすべてにわくわくしながら再び北に向かう。 |
アムピトリテ【3】
| 「本当に大きい剣だね! しかも二刀流!」 海に氷が浮かび始めたころ、二本の巨大な牙をもつ海獣が現れた。アムピトリテよりはるかに大きく、どんな武器も通じそうにないほどに厚い肉の鎧で身を覆っている。性格はきわめて凶暴だ。 |
アムピトリテ【4】
| 「ただいまー! お友達ができたよー!」 故郷の海に帰ってきたアムピトリテは、二本の鋭利な剣を持つ海獣にまたがっていた。結局、素手でやっつけて降参させてしまったのだという。こんなにおてんばでお嫁にいけるのか……姉妹たちは心配のあまり、深いため息をつくのだった。 |



