イリス【1】
| 「天候を操るものには、演奏家としてのセンスが問われると思いますの」 それが虹の女神イリスの口ぐせである。春夏秋冬は毎年訪れるが、同じ天気が毎年繰り返されるわけではない。すべてがわかってしまっていては、世の中が単調になりすぎる。それでは面白くないと、彼女は考えているのだ。 |
イリス【2】
| 「かといって、奇をてらいすぎるのもどうかと思いますわ」 暑過ぎる冬や、寒すぎる夏。それらは秩序を乱すものだとイリスは批判している。天候に関する日常会話の盛り上がりにつながる一方で、作物の成長を妨げ、人々を失望させるものでもあるからだ。 |
イリス【3】
| 「スパイス、わずかな驚きを呼び起こすスパイスくらいがちょうどいいんですのよ」 単調でも奇異でもない、天候に対する少しの工夫。それが世界というオーケストラを輝かせるものだとイリスは語る。そうして生まれるのが春一番や、雪というわけだ。続いて、その最たるものをイリスは語った。 |
イリス【4】
| 「虹、天候の華はやはり虹ですわ。刹那の時間、この世界を輝かせる鮮やかな色」 虹はイリスの本領。だが、乱用はしない。ここぞという時に魅せてこそ引き立つのだ。すべての人が見られるほど長くはなく、誰も見られないほど短くもなく。人々が虹を見たと目を輝かせられるような加減を、イリスは心がけている。 |



