ダフネ【1】
| 「ふふっ、やっぱり水遊びがいちばん楽しいわ」 とある男神が水辺を通りがかると、純粋そうな笑みを浮かべた少女が立ち止まり、水面を見つめていた。男は美しさでも知られる神であったが、彼女の汚れなき美しさに思わず心を奪われてしまった。 |
ダフネ【2】
| 「きゃっ、冷たいっ!」 娘は川辺で遊んでいた。楽しそうに声をあげ、子供のようにはしゃぎまわっている。高い声だが不思議と耳に心地よく、聞き入ってしまうような魅力があった。娘の脚が跳ね上げた河の水が顔にかかることさえ楽しく感じられた。 |
ダフネ【3】
| 「あら……こんにちは、ご機嫌はいかが? わたくしはダフネと申します」 男の視線に気づいた娘は、遊ぶのをやめて男の方へと駆け寄ってきた。水にぬれたスカートをつまみあげ、魅惑の笑みを浮かべてあいさつをする。彼女は自身を、川の神の娘なのだと言った。 |
ダフネ【4】
| 「それでは、ごきげんよう。あなたにも川のご加護がありますように」 やがてダフネは川に戻り、再び遊び始める。男は自分の心が変化しつつあるのを感じていた。流れる川面に映る太陽は常に姿を変える。この出会いが自分の運命にいかな変化をもたらすか、天地を照らす神であっても見通すことはできなかった。 |



