鳴神【1】
「問答無用です! 悪しきものに裁きを!」 申し開きをしようとした盗賊の頭上に、突如、稲妻が落ちた。光のなかから現れた女の顔を盗賊は見る事が出来たのだろうか? |
鳴神【2】
「悪即斬です!」 稲妻のなかから現れた女の名は鳴神、いわゆる雷神である。かつては鳴神も罪人に天罰を下す前に申し開きを聞いたりした。だが今は違う、罪を犯したものには、すぐさま罰を与えている。 |
鳴神【3】
「口ではなんとでも言えるものです!」 長い時間の中で、鳴神が学んだことがそれだった。罪人のなかには巧みな言い訳をするものもいる。鳴神もその場では同情し許してしまったのだが、その後の行動を見た結果、すべてがウソだったとわかったのだ。 |
鳴神【4】
「我が雷が罪を断つ!」 いまや鳴神は、罪人を見つけると、理由など聞かずに天罰を与えている。罪人を許すことにより、罪なき人々が新たな罪の餌食になるよりは……と、その道を選んだのだ。鳴神は今日も電光石火で天地を駆ける。 |