FrontPage/Midium of Crime 序章

Last-modified: 2010-05-15 (土) 23:55:14

ーーーーーーーーーーー「Medium of crime」-----------

序章

ほのかな闇よ。微かな闇よ。
我は願い、我は思おう。
人としてある限り人は光を求め目指す。
されども人が内に秘めしは対極の闇。
求めし光は影を生み、対極の闇こそ影を消す。
我はここに闇を受け入れ、光を拒み、影を消そう。
「声は遥かに。私の想いは、世界を変える」
ここに闇を受け入れ、光を拒み、影を消し去る王国を築こう。
「想念固有結界「マルクト(王国)」開放。全て等しく暗き蒼炎よ。染め上げろ!」

物質を完全に消滅させる程の熱を持った蒼い炎は
消滅から生まれる力を糧に更に更にと燃え上がっていく
それは過去に自由を手に取り、現在に自由を求める影を消す、闇の光
全て等しく暗い蒼に染め行く異界の炎

               ああ、神が自由だと言うならば、俺は神になりたい。

 12月25日  

空は曇っている、最悪な目覚めだ。
俺の傍らで目覚まし時計が休むことを知らずにわめいている。この上なく不愉快だ。
???「あーーうぜえ。。」
こちらもわめきながら目覚まし時計を殴り飛ばした。 床の上を元気にはねていったが、
依然として鳴り響いているのは目覚ましのアラーム。当たり所が悪かったらしい
???「あー、ちくしょう。」
俺はのそのそとベッドから這い出て、目覚ましを止めた。
ふと気づく。時計の針は今が10時12分であることを示している。
???「あれ、6時にセットしたんだよな?って、、遅刻どころじゃねぇ!」
約4時間も起こし続けてくれた目覚ましに感謝の念を一瞬送るとすぐさま
クローゼットに手をかけ、着替え始める。
今日は12月25日、世間で言うクリスマスだ。何百年も前のやつの誕生日をなんで今更祝うのかわからないが、
あの世の本人にしたって自分の数百歳の誕生日を祝られても正直微妙なことと思う。
本当なら週末の今日は一日寝て過ごすはずなのだが、今年に限っていきなりクリパとやらを
1年と2年でやることになり、2年である俺は当然出し物があるわけで、遅れていい役ではない
???「確か喫茶の掃除番か・・それならそんなに急ぐこともないか・」
あわてて損した。などと思ってしまう。10時から店番を言いつけられていた気もしないでもないが、
所詮対等の立場の人間からの言いつけなど、睡魔というBOSSには勝てないのだ。
俺、霧生 彩華津はゆっくりと支度をすませて、家をまたゆっくりと出て行った。

いつも思うことがある。俺は何のためにここに在るんだろう、と
全てが惰性だ。親の言われるままに勉強して、進学して、夢とかも特別持たず、ただただ日々を
過ごしている。つまり、本気になろうという事がまったくないのだ。俺も昔は部活に励んでいた。
剣道部だった。けど、教師との相性の悪さに1年で身を引いてしまった。それも3年も前の話。
今は寮での生活となり親にとやかく言われることもなく、成績は真ん中くらい。
何を目指すこともなくただただ惰性に過ごしていく。
彩華津「ふう。さすがに寒いな・・・」
念を入れて制服の上に紺色のコートを着て、手袋はめて、カイロを二つ持ってきたが寒いものは寒い。
前方よりがやがやと人の話し声が聞こえてくる。いつの間にか校門前まで着いていた。
っとその時
???「おっそーい!なにしてたの!?」
頭に響く高い声をぶちまけながらこちらに駆け寄ってくる人影が二つ
???「また寝坊か?懲りないやつめ、朝のHRで出席とってんだからお前担任に言ってこないと
欠席扱いだぞ?」
出会い早々に説教モードは妹の霧生 霊花。その後のは親友であり悪友の間藤 昴だ。
彩華津「あー悪いわる・・ふわぁ~あ」
咄嗟にしかられないように口を手で覆うもこれではあくびしてましたとばかりだと今更気づく
霊花「うっわ 反省の色なし」
昴「迎えに来て正解だったな。この様子じゃ校門に寄りかかって寝かけない」
案の定小言を食らう。そこでふと思った。
彩華津「って昴、起こしにきてくれてもよかったじゃないか」
昴とは深奥大学付属高校生徒用の寮に住んでいる仲間だ。
昴「ちゃんと起こしに行ったさ。でも鍵がかかってたし、目覚ましは鳴っててこっちの声も聞こえてないみたい
だったし、しかたないだろ?」
彩華津「そうか、それは悪い。やっぱり目覚まし・4時間なりっぱだったんだ」
霊花「ちょ、4時間って、どんだけ睡魔強いのよ・・」
彩華津「兄弟なんだからわかるだろ?お前くらいだ」
霊花「わ、私は夜空が起こしてくれるからいいんだし~。兄さんも昴さんと同室に
なればいいのに」
彩華津・昴「男と共に朝をむかえるなんてまっぴらだ!」
見事なまでの意見一致。教師にも進められたがこれだけは譲れない。
俺はともかく昴は容姿がいいので下手するとサークルがうるさくなるのだ・・・
あえてなんのサークルかは言わないことにする。
昴「っと彩華津、霧生妹、時間があまりない。行くぞ」
昴が腕時計をしながら急かす
彩華津「ん?どうせ掃除番だろ?急ぐこともないって」
ちなみに霊花はひとつ年下だが今回は両クラス喫茶店だったので合同で運営することになっている
霊花「兄さん、10時から店番って久遠さんに言われなかった?」
ぁー やっぱり w
彩華津「夢じゃなかったか。あ~ しゃあない、行くか~」
はぁ っとため息が二つ聞こえた

教室まで霊花にいろいろ説教されながら歩いているとすぐに教室まで着いた。教室のドアに手をかけ
一思いにガラッっとあけて「悪い、遅れ」
???「おっそーい!なにしてたの!?」
ぶっ 昴が後ろで吹いていた。まさか同じセリフ一句違わずもう一度聞くことになるとは
彩華津「悪い悪、い。ちと寝坊しただけだ。」
なんとかこらえる
???「今あくびしてたでしょ・・・しかもちょっとじゃないし!」
自分では必死に抑えたつもりでも他人から見れば簡単にわかってしまうらしい。努力は報われぬ
この人は久遠 沙里 通称委員長だ。この2-Bの委員長であり、生徒会役員であり、真面目であり・
皆に頼りにされていて、委員長としか言いようがない人物だ。
霊花「すみません。久遠さん。兄がご迷惑をおかけして・・」
沙里「いいのいいの、妹ちゃんは何も悪くないんだし、それより昴は今度から起こすのあきらめないこと!」
昴「むぅ。まあ、俺が早くに起きているというのにこいつだけ寝てやがるのは許せないからな。
  努力しよう。」
友人のためにも少しがんばってみるか! と心の奥底でかすかに思う。無理だとわかっているから諦め気味だ
沙里「ま、いいわ。彩華津の寝坊は今に始まったことじゃないしね。
   それより、店番頼むわよ~?私はこれから生徒会の見回りだから」
彩華津「いえっさ~ でも俺コーヒーとお茶と卵焼きしか作れないんだが」
昴「俺が焼きそばを作ることになっているからウェイトレスでも・・・っ」
彩華津「今変な想像したろ、やめてくれ・・っ」
他二人も笑いをこらえている・
沙里「じ、じゃ、頼んだわよ~。妹ちゃん兄の面倒お願いね。」
霊花「いえっさ~w」
昴「変なところが似てるな・・」
言うな・・
沙里「それと!彩華津は卵焼き作ること!あんたそれだけはおいしいんだから」
彩華津「い、了解」
昴に指摘されぬよう意識してずらしてみるも微妙だった。
後は、こんな適当な出し物に来る客など・・がいっぱいいて結構忙しかったが交代が来て、そのまま三人で
いくつか周って 一日が終わった。 にしてもどこがクリパなんだ?wただの文化祭じゃないかw
そうだな。クリパらしいものと言えば校門の看板だけか?それも名前だけだがな。文化祭との違いは
一日しかないと言うことか。一日のみの祭りごとってのも珍しい気がする
その後途中まで三人、霊花と分かれてからは(女子寮と男子寮に)二人で適当にだべって 自室に帰ってきた。
「ふぅ~」
さいだーを一本。仕事の後の一杯は最高さ!さいだーはいつも最高だけどな。
後は適当にゲームでもやるか、と思いPCの電源を入れる。  その瞬間
いきなり夜空が光った
彩華津「うぉ」
異常にに強い光だった。一瞬だったが部屋の中にはテーブルの上に置かれた
大小様々な物の無数の影が鋭く、くっきりと、まるで俺を刺そうとするかのように伸びていた。
気になって窓を開けて外を見てみると、

世界が狂っていた

彩華津「なんだ・・・これ」
外に広がる住宅街。いや、外に広がる空間がまるで水の中から見ているかのように歪んでいた。
さっきの光で目がやられたのかと思って目をこすってみてもやはり変わらない。
ふと不安に思ってドアに手をかける。
っとその時

ドッゴォオオオオォォオオォォオオォォ・・・

彩華津「!?」
突如大きな地震がおきた。いや、どちらかというと地震というより爆発に近いものだった。
平衡感覚が失われ床に転がってしまう
数秒・ まるで世界の終わりのようだと思った。
揺れがおさまると廊下に出ようとドアノブに手をかけ、壁に下げてある鏡を見てふと気づいた。
自分が笑っていることに
彩華津「ははは、っあはははは」
なんだ、これ、笑いが止まらない。ハハ何が面白いって言うんだ。全然おもしろいことなんかないのに
するとドアが勝手に開いた
昴「大丈夫か!?彩華津!」
彩華津「ハハ、 ああ、昴。大丈夫だと思うぜ ちょっと頭がスリルを面白がってるけどな」
昴「なんだそりゃ、まあ無事でよかった。こっちはテレビが落ちちまってな、壊れてなけりゃいいが」
自前のテレビが落ちたにもかかわらず友人の部屋に真っ先に来てくれるとは、やっぱりいい奴だ
ぞろぞろと周りの部屋から人が溢れてくる
昴は懐中電灯を持っていた。 今更ながら停電もしていたようだ。色々あって気づかなかった。
彩華津「あ、それよりお前外みたか?」
昴「うん?外?どこかの家でも崩れたか?」
昴が窓から外を見てみる
昴「特に何もないようだが」
彩華津「あ?そんなわけ」
あれほどまでに歪んでいた外が何事もなかったかのようになっていた。
彩華津「あれ、おっかしいな」
昴「なにか見えたのか?」
彩華津「いや、たぶん見間違いだと思う。悪いな。そうだお前の部屋のテレビ直そうぜ」
昴「ああ、助かる」
ふと不安になってもう一度外を見てみても何もなかった。本当に気のせいだったのだろうか・
ゴォ
一瞬強い風が吹いた
刺すような冷風の中、ひどい違和感を強く感じた。

まるで、世界が先の一瞬を境に変わってしまったかのような

彩華津「はっ馬鹿らしい。本当に今日は疲れてるみたいだな・早く寝るか」
昴と共にテレビを直したら寝ようと思った。
・でもまだ7時か・・・本読んで、飯食ってからだな・