運動器と関連疾患

Last-modified: 2023-10-30 (月) 11:34:57

基本

  • 骨は骨端、骨幹端、骨幹からなる。
    骨端と骨幹端の境目くらいに、成長軟骨板が存在しており、そこで軟骨を作って骨が延長していく。成長が終わると骨端板に変化する。
    骨の表面は骨膜により覆われており、その内側に皮質骨(緻密骨)、それより更に内側に海綿骨があり、海綿骨の内部に骨髄がある。
    • 皮質骨は同心円状の構造が多数重なって作られている。その構造の基本単位をオステオンといい、そこに骨細胞が存在している。
      オステオンの中心は血管や神経からなるハーバース管であり、ハーバース管同士を繋ぐ管をフォルクマン管という。
    • 骨の縦軸方向の成長は、成長軟骨板から作られた骨端軟骨が骨化していくことで行われる(軟骨内骨化)。
      横軸方向の成長は、骨膜から骨が形成されることで行われる(膜性骨化)。
    • 骨細胞がバランスを保ちながらターンオーバーしていく過程を骨のリモデリングという。
      現在の骨を破壊するステップを「吸収相」といい、破骨細胞が主に働く。この働きを骨吸収という。
      骨を作るステップを「骨形成相」といい、骨芽細胞が主に働く。骨芽細胞は周囲にⅠ型コラーゲンなどからなる骨基質を分泌する。骨芽細胞自身は骨細胞に分化していき、骨基質はカルシウムなどが沈着して石灰化し、硬い骨が作られる。
      • Ⅰ型コラーゲンが作られない遺伝性疾患として、骨形成不全症がある。常染色体優性遺伝で発症する。
        骨がうまく作られないことによる易骨折性、耳小骨がうまく作れないことによる難聴や、同じくⅠ型コラーゲンを原料とする目の強膜の形成不全による青色強膜が特徴。
  • 軟骨は軟骨細胞と軟骨基質からなる。軟骨基質には、コラーゲン、ヒアルロン酸、プロテオグリカンなどが含まれる。
    硝子軟骨、線維軟骨、弾性軟骨といった種類があるが、ほとんどの軟骨は硝子軟骨である。
    • 椎間板や半月板はコラーゲンを多く含む線維軟骨。
      耳介や喉頭蓋は弾力に富む弾性軟骨。
  • 関節は骨と骨を動かす働きを持つ。関節の部分には硝子軟骨がある。
    関節は関節包により包まれており、その内側に滑膜がある。滑膜は関節内に滑液(関節液)を分泌しており、それが栄養を担っている。ただし血管はないため、関節軟骨は自然治癒が困難である。
  • 椎骨は大きな円状の椎体を基礎とし、椎体のやや平たい部分の側から椎弓が出ている構造をしている。椎弓の椎体と反対側の部分からは棘突起が出ている。椎体と椎弓の移行部分を椎弓根という。椎体と椎弓によって囲まれている部分が脊柱管であり、そこに脊髄が流れている。
    なお、脊髄はL1~L2程度の高さまでしか存在しておらず、そこから下は馬尾というひも状の構造になっている。
    • 椎骨は多数存在しており、頸椎(C)、胸椎(T)、腰椎(L)、仙椎(S)、尾骨(Co)に分類される。
      頸椎はC1~C7の7個存在しており、特にC1を環椎、C2を軸椎という。
      胸椎はTh1~Th12の12個、腰椎はL1~L5の5個存在する。
      仙椎は5個の骨が癒合して1個の仙骨を形成している。尾骨は1個だけ。
    • 椎骨は連なって脊柱を形成している。
      脊柱は生理的な湾曲があり、Thレベルでは後ろ側、Lレベルでは前側に出っ張っている。
      椎骨の椎体同士を繋いでいるのが椎間板である。
    • 椎体や椎弓などは多くの靭帯によって囲まれている。
      椎体と椎間板を囲む靭帯が前縦靭帯と後縦靭帯。その後ろに硬膜があり、硬膜内部に脊髄や脊髄液がある。
      後ろ側の硬膜の更に後ろに椎弓がある。椎弓は腹側の黄色靭帯と背側の棘上靭帯によって囲まれており、更に椎弓同士の間には棘間靭帯が存在している。
  • 腕や脚の骨は、肘・膝の上側(上腕・大腿)は骨が1個、下側は2個である。前腕は橈骨と尺骨、下腿は腓骨と脛骨からなる。
    手(足)の骨は数多くあるが、その中でも付け根にある骨群をまとめて手根骨(足根骨)という。手根骨(足根骨)には各指に対応する5つの中手骨が繋がっており、中手骨に更に指骨が繋がっている。
    親指以外は、中手骨-MP関節-基盤骨-PIP関節-中節骨-DIP関節-末節骨という繋がりになっている。
    親指は中手骨-MP関節-基盤骨-IP関節-末節骨となる。
    MP関節は、手のものをMCP、足の方をMTPと区別することもある。
  • 関節の運動について
    肩関節を例にすると、腕を左右に回して上げ下げする動きを外転・内転、前後に回して上げ下げする動きを屈曲・伸展、腕の位置はそのままに回す動きを外旋・内旋という。
    • 肩関節の運動のほとんどには三角筋が関与している。
    • 下肢の動きには中殿筋、腸腰筋、大腿四頭筋、ハムストリングスといった筋肉が主に関係する。
      臀部にある中殿筋は股関節の外転や立位での骨盤保持を担う。
      大腿四頭筋は大腿直筋・中間広筋・内側広筋・外側広筋からなり、股関節の屈曲や膝関節の伸展を担う。
      ただし、大腿四頭筋の股関節屈曲力はやや弱く、90度程度までしか無理。それ以上の角度の屈曲を行う場合は、腸腰筋が担当する。
      ハムストリングスは大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋からなる。太ももの裏側に存在しており、股関節の伸展や膝関節の屈曲を担う。
    • 足関節の背屈(伸展)は前脛骨筋が担う。
  • 徒手筋力テスト(MMT)では筋力を0~5の6段階に判定する。
    3以上なら重力にあらがうことができる。

骨疾患

  • 単純骨折と複雑骨折がある。
    骨折部と外界の交通があるものを複雑骨折と分類するため、イコール開放骨折のことである。
    逆に単純骨折=閉鎖骨折。
  • 単純骨折の場合、骨の自然修復力を頼って、正常な修復を助けるために整復・固定するのが治療の基本となる。
    • まず受傷直後の初期対応として、RICEを行う。
      R:Rest:安静
      I:Icing:冷却
      C:Compression:圧迫
      E:Elevation:挙上
      出血がある場合は強く圧迫するが、骨折だけなら動かない程度に圧迫するだけで十分。
      添木(シーネ)を使って固定する場合は、上下の関節まで含めて長く固定する。
    • 病院に運ばれた後、骨折部位に転位がある場合は整復を行う。
      基本的には徒手整復を行う。麻酔を入れて、皮膚の上から医師の手で整復する。
      ただし、場所を戻しても靱帯や筋肉に引っ張られて骨がズレてしまう場合もある。そのため、持続的に外部から引っ張って正常な位置に戻すという牽引による整復が行われる場合もある。ただし侵襲性や負担がかなり大きいため、徒手整復が困難な場合や手術まで時間がかかる場合にしか行わず、特に最近はほとんど行われない。
    • 骨の位置が正しくなったら固定を行う。
      外固定と内固定があり、年齢・部位・重症度などを総合的に見てどちらにするか判断する。
      外固定は三角巾・ギプス・添木などで固定する保存的な治療。
      内固定はピンニングやプレート・鋼線で内部から固定する外科的な治療。
  • 複雑骨折は広い軟部組織の損傷がある場合が多く、感染リスクも高い。
    そのため、まずは洗浄とデブリドマンを行う。
    通常はしばらく様子を見てから創外固定を行い、更に様子を見て感染徴候などがないなら周辺軟部組織などと共に手術を行う。
    ただし、ゴールデンピリオド(6~8時間)以内にデブリドマンを実施できた(感染リスクが低い)、かつ周辺軟部組織の損傷が比較的軽い場合、創外固定を行わずに直接手術を行うことも可能(内固定術)。
  • 骨折の合併症などで発生する疾患として、コンパートメント症候群がある。
    運動器系は骨や筋膜などで区画ごとに分かれているような構造をしているが、その区画の内圧が上昇すると、神経や血管が圧迫されて神経障害や筋壊死をきたす。これがコンパートメント症候群である。
    • 骨折部の腫脹や骨転位、あるいはギプス固定や圧迫包帯などによる圧迫が長時間続いた場合に発症する。
    • 5Pと呼ばれる症状が出る。疼痛(Pain)、知覚障害(Paresthesia)、麻痺(Paralysis)、脈拍消失(Pulselessness)、蒼白(Pallor)。
    • 区画内圧を測定して検査し、ギプスを除去したり筋膜を切開することで内圧を下げて治療する。
  • 骨粗鬆症は骨の絶対量が低下する疾患で、骨折しやすくなる。それ以外の症状は特に出ない。
    多くは加齢による原発性で、特に閉経後の女性は高リスク。やせもリスクとなる。
    クッシング症候群、副腎皮質ステロイド、性腺機能低下症などの二次性に起こる場合もある。
    病気というよりは加齢性変化という面が強いため、運動や食事を生活指導するのが基本。必要ならビタミンD製剤などを投与する。

関節疾患

  • 関節炎には自己免疫性疾患によるもの、代謝性に起こるもの、感染性のものがある。
    特に代謝性のものとして痛風が重要。
    痛風は尿酸値が高い人に起こりやすく、尿酸結晶が足の親指の付け根=第一MTP関節に沈着することで起こる。
    沈着するだけならそこまで問題はないが、結晶から尿酸が溶け出すことで白血球が遊走してきて炎症を起こし、それにより激しい痛みを呈する。
    痛み止めとしてNSAIDsやステロイドを使用する。また、前兆期(激しい痛みが出る前に、足がうずいたりする感覚がある)に白血球の遊走を阻害するコルヒチンを服用すると予防になる。発作時に飲むのも、それ以上痛むことを阻害するという意味で有効。
    結局一番いいのは尿酸値コントロールによる発作予防。アロプリノールやプロベネシドを使用する。
    また、偽痛風というものもある。これは膝関節にピロリン酸カルシウムの結晶ができる疾患で、痛風と似たような症状となる。
  • 変形性関節症は、関節軟骨の摩耗などによって関節の痛みや変形をきたす疾患。
    股関節や膝関節で主に起こる。
    加齢・肥満や、骨折などの疾患からの二次性に起こる。
    股の方は発育性股関節形成不全、膝の方は半月板損傷や十字靭帯損傷にも合併し得る。
    DIP関節が障害されることも多く、ヘパーデン結節と呼ばれる。
    いずれも痛くて歩けない(疼痛と跛行)のが主な症状。また、股の方は骨の間の軟骨が無くなることで下肢長が短くなり、膝の方は主に内側の方がすり減ることでO脚になる。
    X線で診断でき、関節裂隙の狭小化や、骨同士がぶつかることによる骨硬化像・骨棘の形成などが見られる。
    基本的に減量、筋力訓練、鎮痛剤投与といった保存的療法で治療するが、必要になったら人工関節置換術を行う。膝の方では高位脛骨骨切断という手術が行われる場合もある。

神経疾患

  • 手~腕の神経障害として、手根管症候群や肘部管症候群がある。
    • 手根管は手首のあたりにあるトンネルのような狭い構造。
      妊娠やアミロイドーシスを原因として狭くなると、そこを通る正中神経が障害されて、その先にある母指球筋(母子対立筋・短母子屈筋・短母子外転筋)が障害されることで猿手という手の状態(掴む動きができない)になる。
      また、正中神経が支配する知覚領域として、親指~薬指の半分程度が障害される。
    • 肘部管は肘関節にある構造で、肘関節変形などで狭くなるとそこを通る尺骨神経が障害され、薬指・小指の虫様筋(MP屈曲・IP伸展筋)や骨間筋、母指内転筋が障害されることで鷲手という手の状態になる。
      また、尺骨神経が支配する知覚領域として、小指と薬指の小指側半分程度が障害される。
    • いずれもTinel徴候(狭くなっている手根管/肘部管を叩くと支配領域が痛む)が見られる。
      手根管の方はPhalenテスト(手の甲同士をくっつけることで手根管が狭くなり、手根管症候群ならしびれが増大する)やperfect O テスト(親指があまり動かず、親指と人差し指で綺麗なOが作れない)といった検査もある。
      肘部管の方はFroment徴候(両手を縦にした状態でくっつけてもらい、親指に紙を挟んでちゃんと挟めるかを確認する。母子内転筋が正常なら手の形を変えずに力を入れて挟めるが、障害されていると挟めない)という検査もある。
    • 治療は鎮痛薬内服、副腎皮質ステロイド局注、安静装具固定といった保存的療法で行うが、改善が見られない場合は手術する。
  • 頸椎症は加齢によって椎間板や椎体が変性し、神経圧迫障害をきたすもの。
    椎体がど真ん中に突出すると、脊髄が障害される。これを頸椎症性脊髄症という。
    一方、斜めに突出すると、脊髄から伸びる神経根を圧迫する。これを頸椎症性神経根症という。
    • 脊髄症は両側性に緩徐進行性の症状が出る。
      やや細かめの作業(ボタンをかける、箸を持つなど)がしにくくなる巧緻運動障害や、粗大運動・感覚の障害、膀胱直腸障害といった症状が出る。
      一方神経根症は片側性で、保存療法で軽快する。上肢痛や肩甲部痛、稀に運動麻痺を呈する。
    • 慢性期にはネックカラーや鎮痛剤内服の保存的療法を行い、改善されないなら手術する。
      一方、転倒などをきっかけて急性増悪することがある。この場合は脊髄損傷に近く、まずは安静にし、膀胱直腸障害や高度麻痺が見られる場合は緊急手術を行う。
  • 後縦靭帯骨化症(OPLL)は、椎体・椎間板を囲む靭帯の後ろ側の方(後縦靭帯)が骨化することで、その更に後ろにある脊髄が圧迫されるものである。
    特に頸椎に好発する。頸椎症、特に頚椎症性脊髄症と同様の症状が出て、治療も同様。
    検査では単純X線やMRIで後縦靭帯の骨化が見られる。
  • 脊髄が損傷した場合、そのレベルに応じて症状が大きく異なる。
    C4の枝は横隔膜を支配している。これが生きていれば自発呼吸が可能。
    C5の枝は三角筋を支配しており、生きていれば肩関節運動が可能であるため、標準型車いすの駆動が可能となる。また、上腕二頭筋も支配しているので、上腕二頭筋腱反射の有無で検査できる。
    C6の枝は腕橈骨筋腱反射で検査できる。
    C7の枝は上腕三頭筋を支配しており、上腕三頭筋腱反射で検査できる他、生きているとお尻を持ち上げて移乗するプッシュアップ動作が可能となる。
    L4の枝は大腿四頭筋を支配しており、膝蓋腱反射で検査できる。
    L5の枝は前脛骨筋を支配しており、足関節の背屈を担う。
    S1の枝はアキレス腱反射で検査できる。
    • 重度の脊髄損傷の場合、初期に全ての脊髄機能が停止することがある。これをspinal shockといい、弛緩性麻痺、交感神経の停止による血圧低下や徐脈(神経原性ショック)、自律神経機能の停止による麻痺性イレウスといったものがある。
      通常は3日以内にショックを脱し、どこが障害されているかの診断(脊髄高位診断)が可能となる。
    • 急性期の治療として、とりあえずspinal shock中は呼吸循環管理しないとまともに生きれない。
      自力での体位変換が難しいため、褥瘡予防のために体位変換してあげる。
      損傷部を固定するため、砂嚢やネックカラー、牽引などを行う。
      また、賛否両論あるが、副腎皮質ステロイドを大量投与することで炎症を抑える治療も行う。
      全身状態が落ち着いた慢性期になってから手術を行い、褥瘡や深部静脈血栓症を予防するために早期からリハビリテーションを行う。
  • 椎間板ヘルニアは、椎間板が脱出して脊柱管内の神経を圧迫するもの。
    特に腰椎のL3より下側で起こりやすく(腰椎椎間板ヘルニア)、脊髄はL1~L2の高さまでしかないため、ヘルニアによって脊髄が障害されることは少ない。
    椎間板が脱出すると、基本的に下側にある神経根が障害される。
    L3/L4間の椎間板が異常をきたすとL4が障害され、膝蓋腱反射が消失する。
    L4/L5間の椎間板が異常をきたすとL5が障害され、足関節の背屈ができなくなる。
    L5/S1間の椎間板が異常をきたすとS1が障害され、アキレス腱反射が消失する。
    • 主にL5やS1が障害されている場合、SLRT(Straight Leg Rising Test=足を伸ばしたまま上げる検査)で神経痛が出るLasegue徴候が見られる。
      腰椎MRIで診断できる。
    • 基本的に保存的治療で軽快する。

感染性疾患

  • 化膿性関節炎や骨髄炎は、多くの場合黄色ブドウ球菌によって起こる。
    主に血行性に病原微生物が関節や骨髄に侵入することで炎症をきたす。
    • 乳幼児の場合は動かすと痛いので患部を動かさなくなり、他動的に動かすと泣く。
      小児以上では疼痛、腫脹、発赤、発熱といった症状が見られる。
    • 骨髄炎の場合はCTやMRIによる骨髄破壊像の確認、関節炎は関節穿刺による関節液の混濁・白血球増加・細菌の検出で診断する。
    • 放置していると関節や骨髄の破壊が進むため緊急性が高く、外科的な洗浄や抗菌薬投与で治療する。
  • 化膿性脊椎炎は関節炎が脊椎で起こったもの。
    発症までの流れは上記と同じで、やはり黄色ブドウ球菌が多い。
    関節炎や骨髄炎は全年齢で見られるが、こちらは高齢者に多い。また、易感染者や脊椎術後患者にも起こりやすい。
    • 腰痛や発熱がみられる
    • 抗菌薬投与で治療し、治らない場合や麻痺が発生している場合は手術を行う。
    • 結核菌による脊椎炎を脊椎カリエス(結核性脊椎炎)と言う。他の化膿性脊椎炎よりも進行が遅く、強い炎症は伴わないが骨破壊をきたす。

腫瘍性疾患

  • 原発性の骨腫瘍には骨肉腫やEwing肉腫がある。
    いずれも10代の若年者に好発する悪性腫瘍で、疼痛や腫脹をきたす。
    • 骨肉腫は骨芽細胞などが増生し、類骨や骨の形成像が認められる。
      膝関節などの骨幹端部に多い。
    • Ewing肉腫は発生起源は不明で、小円形細胞が増生する。
      大腿骨や上腕骨などの骨幹部に多い。
    • いずれもX線で骨破壊像、骨新生像、外骨膜反応(骨膜がはがれることによる特徴的な形態。骨の周りのもやもやした陰影)がみられる。
      MRIでの局所評価や採血でのALP増加も見られる。
      生検で腫瘍細胞が増殖しているのを確認して確定診断とする。
      その後は全身CTや骨シンチグラフィなどで転移を検索する。特に肺転移・骨転移が多い。
    • 治療は手術での広範切除が主。
      前後に化学療法を併用することで、転移などがあっても根治を目指せる。
  • 転移性の骨肉腫は基本的に疼痛をきたし、原発巣より先にその痛みによって骨転移が見つかるケースもある。
    • X線において、椎骨転移では椎弓根が消失するpedicle signが見られる。ただしぶっちゃけ分かりづらい。
      基本的にはCTやMRIで、病変部の溶骨・造骨像や神経圧迫像を見て診断する。
    • 多くの転移は溶骨性転移だが、前立腺がんなど一部の転移は造骨性転移となる。
      ただ、造骨性転移でも自身が増えるためにまずは溶骨作用を示す。その際、骨芽細胞に働く。
      骨芽細胞のRANKLと破骨細胞のRANKが結合することで破骨細胞が活性化する。
    • 薬物療法・放射線療法・外科療法を併用して治療する。
      使用する薬は全例において、破骨細胞の働きを抑えるビスフォスフォネートや、分子標的薬である抗RANKL抗体といった骨修飾薬を使用する。
      ただし痛みを抑える効果は無いので、NSAIDsやオピオイドといった一般的な癌性疼痛コントロールも実施する。
      また、放射線も鎮痛効果を期待して行う。ただし即効性はないので、鎮痛薬と組み合わせて行う。
      手術は骨折や神経圧迫症状がある場合、あるいはその危険性が高い場合に行われる。