ハヤテと喧嘩した。
始まりはハヤテ自身に比べれば些細な事なことだったのに、
私がまた怒ってハヤテを置いてきた。
さよなら、ハヤテ…
今日はこっそりこの木の上の秘密部屋でお楽しみなのだ。
このマリアに知られないように買った新作ゲームを秘密部屋でするという、
スリル感溢れる事を。
…居ないよな?
外、確認。誰もいないな。
入り口確認、オーケーなのだ。
室内、はもちろん居ないか。
ふう、これで一安心…ん、手元にあったロウソクが……
わああっ!!
床が燃えている、火を消すにはどうしたら…!?
「お嬢様!」
ハヤテ!
すぐに飛んできてくれたハヤテ、相変わらず格好いいのだ…
ハヤテはすぐに私を抱えて外へ脱出する。
「お怪我はないですか?」
ん、ああ。
見上げると小屋の中で炎が燃え盛っている。
危ないところだったのだ。
ない。
あれがない。
いかん、今すぐ取りに行かねば…
「危ないですお嬢様、やめてください!」
だがあそこにはお前の大切な物が…
「いけませんお嬢様、僕が取りに行きますから!」
置いてきたのは私なのだ。
だから私が取りに行く!
「お嬢様!」
私の命令に従えないというのか?
「こればかりは従えません。お嬢様には危険過ぎます」
そんなに私にさせるのが嫌なのか?
「そうではありません。ですが…」
もういい、大切なものもいい。
出て行ってやる!
「待ってください、お嬢様!」
付いてくるな。
私も一人で生きられる。
私の財産もお前に全部くれてやるよ。
それでいいだろ?
「お嬢様!!」
走って屋敷を出てきてしまったが、ここはどこなのだろう。
公園らしいが、場所が分からん。
まあいい、私には携帯ゲームがあるのだ。
このベンチでおもいっきりプレイしてやるからな。
電池が切れるまでは思ったより短かった。
辺りに充電出来そうな場所はない。
困ったのだ。
やることも何もないし、食べ物や寝床はどうすればいいのだろう。
あんな勢いで屋敷を出てこなければ良かったのだ。
何も出来ないのに、ハヤテも居ない…
こんなにハヤテに会いたいのに…
でも私はハヤテと喧嘩してしまったからもう屋敷には戻れないのだ。
このまま私は一人で生きて行かなければいけないのか…
まるで突然別れてしまった母のように。
「ちょっと来てくれるかな?お嬢ちゃん」
誰なのだ?お前達は…
「こいつは可愛い。マニアに売れば泣いて喜ばれるぜ」
離せ!私はもう三千院家の財産も放棄したから何も持っていないぞ?
「三千院?知らねえな。俺達はただお嬢ちゃんに興味があるだけだ。
どれ、売る前にちょっと一発やってみるか」
何をするのだ!
私はまだハヤテとも、でもそのハヤテはもう私の傍には…
悲しい別れは母だけで十分なのに。
こんな事になる前に謝っておけばよかった。
ハヤテ…ハヤテ!!
「僕のお嬢様に手を出すな!!」
ハヤテ!?
「なんだこいつは。とっととやっちまおう…うぎゃああ!」
ハヤテ、お前…
「お嬢様っ!!」
わっ、急に抱き締めるな、それにお尻が…んあっ!!
「探したんですよ、ナギ」
マリアまで!?
二人して何故…
「何故も何もありません。あの後ハヤテ君もずっと落ち込んで暗そうにしてたんですよ?
それで私が励ましてわざわざ来てもらったんです。
あと大切なものというのもハヤテ君が見つけてくれたようですし、
ハヤテ君には物凄く感謝しなければいけませんよ」
ありがとうハヤテ。
そしてすまん…
「いえ、僕もお嬢様にさっきはあんな風に言ってしまって申し訳ありませんでした。
お嬢様のお気持ちも考えずに、頭ごなしにあのような言い方をして…
あとここに来るときに誰かにお嬢様を助けるように言われた気がするんです。
お嬢様に似た人なんですけど…」
それはきっと母なのだ。
また母が私を助けてくれたんだ。
二度も助けられてしまったな。
病弱だったからもっと休ませてやらなければいけないのに。
「これからは僕がお嬢様を守ります。
お金に関係なく、ずっとお嬢様をお守りしたいんです」
ハヤテ…
その、私の方からも頼む…
…聞いている私の方が恥ずかしくなってしまうではないか、まったく。
「で、大切なものとは何だったんですか?」
「はい、とても言いにくいのですが…脱衣場から盗み出された僕の下着でした。
あと他にも部屋からは新作のいかがわしいゲームも…」
「まあ!?」
わ~~~っ!!